3日目:9月1日(土)
昨晩に続いてぐっすりと眠れて、朝は同じように少し早く目覚めました。(さすがに、もう年?)
お風呂に洗い場のあるホテル「熊本東急イン」なので、リフレッシュのためにも朝からシャワーを浴びてスッキリ。いよいよ私のひとつ目のメイン、「九州鉄道三昧」の3日目のスタートです。
東急インの朝食は地下にある居酒屋「雑魚屋」でいただきます。ビジネスホテルでは時折見られるパターンなので違和感はありません。
でも新鮮そうな魚が泳ぐ生け簀を目に前に、妻と二人でパン&ベーコン等の「洋定食」を食べる姿には何となく笑ってしまいました。
8時前にはホテルをチェックアウトし、再び熊本駅に向かいます。荷物が重いのでタクシーで行けば良いのですが、今日は鉄道三昧の日なのに、この日のスタートがタクシーでは何となく締まりません。なのでホテル前の空車に乗りたがっている妻を急かして、すぐ目の前にある市電の停留所に重い荷物をえっちら持って歩きます。この市電に乗れば熊本駅には一本なのです。
すぐに市電が来て乗り込みます。2両編成の市電には車掌さんが乗車しています。車掌さんはマスクをしていますが、それが車掌さんの決まりなのか単なる風邪なのかは不明ですが…
熊本の市電は均一150円。120円の長崎よりは高く、二両編成もあるし、車掌もいたりするし… 何となく市電は熊本の方が企業としては大きいような気がします。そういえばタクシーの初乗りも長崎は500円で熊本は640円、何でも長崎は激安です。 まぁ、熊本は政令指定都市だし、どちらかというと「長崎が安すぎる」のかもしれませんね。
駅ビルFiestaにあるいくつかの土産店をはしごして、結構真剣にくまもんグッズを仕入れました。
昨日の熊本城での買い物とあわせて、それなりのボリュームになったと思っています。 本当に我ながら親バカだと思います。
お土産選びも終わり、いよいよ「九州鉄道三昧の日」の始まりです。
お目当てのSLは既にホームに入線しており、ホームはちびっこや鉄ちゃんや鉄子さんで溢れています。
「大正11年製造」と書かれていますので間もなく齢90才の機関車は、関東大震災の年の生まれで老雄であることは間違いない筈なのですが、極めてピカピカに磨きこまれており、新品と見間違えるほどに光っています。
それにしても、さすがに蒸気機関車だけあってその吐き出す煙は凄まじいものがあります。近隣の民家は大丈夫かしら… と余計な心配をしてしまいます。
客車内部は4人掛のボックスシート。車内放送によると「本日も満席」なのだそうで、我々のボックスにもしばらくするとちょっと年齢の高い鉄子さん(徹子さんクラスの鉄子さんって、くだらないダジャレ)が二人でやって来ました。でもお二人はその後ずっと展望車かどこかで過ごされたようで、結局終点人吉まで我々がボックスを独占出来ました。
なので最初のうちは指定された座席に大人しく座って、車窓の球磨川を眺めています。このあたりはまだまだ急流というより大河と言う感じです。
なので、座席を立って3両編成の列車を探検します。
まずは一番後ろの展望車へ。過ぎてゆく線路が全て見えますので眺めが一番良い展望室です。SLの煙の凄さはここで一番体験できます。カメラに映るかちょっと心配でしたが、雰囲気お分かりいただけますでしょうか?
列車は時折駅に数分~10分程度停車します。鉄ちゃんが大半の乗客はその都度駅に降りて、田舎の風景に溶け込んだSLをパチリと撮ります。私も勿論(元)鉄ちゃんではありますので、記念撮影待ちの人が溢れる中で、隙を見つけてはパチリと撮ります。
先頭の展望車も覗いてみましたが、SLの燃料車が見えるだけで眺めはイマイチ。後方の展望車の方がずっと良いようです。我々と同ボックスだったはずの鉄子オバサン二人は、ずっと先頭展望車に居座っているようです。車掌さんはしきりに「展望車は譲り合ってご利用ください。」と放送していますが、効果はないようです。
肥薩線に沿って流れる球磨川。個人的には「球磨川=急流」のイメージがあるのですが、この人吉までの区間は想像していたような急流区間ではありません。八代付近の大河の風情より大分川面は狭くなりましたが、どうも私の想像していた急流とはちょっと違うようです。時折ラフティングなどを楽しんでいるような人たちを見かけます。彼らの船上から見るSL… これが一番絵になるような気がします。 いつか来て船上から見てみたいと思います。
12時過ぎの定刻に人吉到着。2時間半の「人生初SL乗車」を満喫しました。個人的な感想を言えば、やっぱりSLは「この素晴らしい車窓風景があった上で楽しめる列車」だと感じました。今は関東の、もう少し近くてもSLに乗車できる列車があるようですが、ここまで乗りに来て本当に良かったと思います。
人吉駅は、本当は温泉にでも泊まってゆっくりしたい観光地ですが、今回は残念ながら乗り継ぎだけです。駅前には有名なお城の形をしたからくり時計があります。
今回の人吉のメインは「駅弁」。有名な人吉の駅弁を食べることが目的です。人吉の駅弁で一番有名なのは、駅弁の中身も有名ではありますが、未だにホームで立ち売りをしている「駅弁売りのおじいさん」なのですが、我々は乗り継ぎ時間が1時間あるので立ち売りのおじさんからは買わずに、駅広場にある「駅弁やまぐち」の店舗に行って駅弁を購入します。(でも、駅弁売りのおじいさんはこの日も元気でお弁当を売っていました!)
売店(本社)には結構多い種類の駅弁がありますが、我々は特に有名な2つの駅弁を選択します。
妻は「あゆ寿司」で私が「栗めし」です。
本社の横には、冷房がちゃんと効いていて自由にお弁当が食べられる椅子・テーブル席がありますので、ありがたく人吉の味覚を満喫させていただきました。
開業当時の逓信大臣「山縣伊三郎」の名前にちなんで命名された観光列車「いさぶろう」の指定券も大変人気が高いという評判を聞き、「えきねっと」の事前販売で1カ月前にしっかり1ヶ月前に予約を済ませておきました。
しかし「この列車の景色やループ線を見るには奇数番号の座席を!」とネットに書かれていたのに、えきねっとで取れた座席は偶数番号。慌てて近くの駅に行ってわざわざ奇数番号の座席を改めて手配したという因縁の列車です。でももう9月に入ったからなのか、ピークシーズン用の増結車輌3号車はガラガラでした!
サービス満点の観光列車は人吉を発車。早速トレインレディが各ボックスを回って、乗車券の検察かと思ったら、みどころ説明の紙を配りながらボックス席ひとつひとつでシャッターを押して歩くサービスが始まっています。何かとてもJRとは思えない、観光バスのような嬉しいサービスです。
人吉を出た列車は、川には沿わないでかつ人家が全くなさそうな本当に何もない場所を徐々に登って行きます。これだけ周囲に人の気配がない鉄道は、廃線になった北海道のローカル線以来かもしれません。
列車は最初のスイッチバックがある「大畑(おこば)」駅に到着。さすがに観光列車のいさぶろう号は、全ての駅で一定時間停車し、鉄ちゃんにたっぷり写真を撮る時間を与えてくれます。
この駅からいよいよ山登りのハイライト、スイッチバックとループ線が始まります。スイッチバックとループ線各々単独の路線は他の路線にもあるようですが、この両方が揃ってあるのはこの肥薩線だけ。なので日本でも超有名で鉄ちゃん憧れの聖地なのです。
まずはスイッチバック。すぐに高いところには登れない鉄道は、ジグザグに走ることで高度を稼ぎます。反対側に走るには運転手さんが反対側に移動しなければいけないため、鉄ちゃんのたくさんいる客車の中を歩くので、何となくちょっとスターになった気がするのではないでしょうか?
写真は正にスイッチバックの現場。自分達が走って来た線路がすぐ下に見えます。
(左上の木がない場所に、我々が走って来た線路が見えるのですが…)
そして次のハイライトは、登り切った先に見える絶景。「日本三大車窓」のひとつなのだそうですが、他の二つがどこなのかも実は知りません。でも確かに平野とその先に山も眺望でき、素晴らしい景色であることは確かです。
当日は晴れでも遠望できる山には雲がかかっています。この雲がなければ景色はもっとファンタスティックな筈なのですが、そこまで望むのは贅沢過ぎるでしょう。これで充分満足することにします。
駅は「真幸(まさき)」。また結構停車時間があり、地元の方が名産品を売りに来ているそうなので、下車して見物に。
何気なく駅名を見て愕然としました。
何とここは、残り数少なくなった私の未訪問県で九州唯一の空白地区である宮崎県ではありませんか!?
正直嬉しいというよりは微妙な気持ちです。宮崎は最後の未訪地帯として次回の旅行のメインディッシュに取っておきたかったのですが…
いさぶろう号の終点は鹿児島県に入った吉松。吉松からも観光特急列車「はやとの風」で鹿児島を目指します。
でも、この列車も素晴らしいですよ!
いよいよ鹿児島に到着です。