麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

12.東北一周の旅<その4:秋田県>


5日目:8月11日(木)続き

午後からはいよいよ秋田県に向かいます。この日本一周を始めてから、最後まで足を全く踏み入れていない都道府県がここ秋田県だったので、一昨年10月の沖縄旅行(投稿はこちら)から始めて、ようやく47都道府県全てに、その足跡を残したことになります。
当初の計画では県境の八幡平を見てからそのまま秋田県に入り、山を下って田沢湖を目指す予定でしたが、結局安比高原まで降りて来てしまったため、東北道を盛岡まで戻って、その後国道46号線を雫石方面に向かって秋田県を目指します。このルートからは、あの小岩井農場にも近く、妻は子供の頃に行った思い出を熱心に語りますが、「今、初老の二人で行く?」と聞くと首を横に振ります。数年後、もう既に溺愛が始まっている孫となら来たいのでしょうが…

JRの線路沿いの国道46号線。知識として知ってはいたものの、このローカル線の線路に、突然秋田新幹線こまちの鮮やかな赤い車体が現れると、元鉄ちゃんとしては大興奮です。写真を撮りたいものの、元々片手運転なのでカメラを構えることすら出来ず、ゆっくりと車を追い越していく秋田新幹線をどうしても手が届かないアイドルを眺めるかのような羨望の眼で見送ります。翌日までの2日の間に何度かすれ違った秋田新幹線が、鉄ちゃん的には最も印象深い秋田県の車窓風景でした。

午後は予定を変更して秋田県を代表する渓谷である「抱き返り渓谷」に行くことにします。その理由は、昨日盛岡のE先輩から聞いたYさんが今いると思われるホテル(E先輩も名前は知らない)というのが、私の予想ではこの抱き返り渓谷のすぐ近くのホテルではないかと予想したので、「それなら訪問候補にしていて行くかどうか最後まで迷っていた抱き返り渓谷を観光してから行ってみよう!」と思い立った次第です。
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抱き返り渓谷と言えば東北を代表する紅葉の名所。駐車場から片道30分以上細い遊歩道を歩きますが、途中の眺めはやはりなかなかのものです。
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遊歩道のゴールは「見返りの滝」。滝好きには終点に滝があるというのが、長い散歩のモチベーションになり、結構疲れたけど楽しいひとときでした。
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抱き返り渓谷の長い散歩の後に、いよいよYさんが勤めているかもしれないホテルを訪ねてみます。もう夕方なので、訪ねたホテルのフロントでは当然宿泊客と思われたのでちょっと憮然とされますが、「実は…」と切り出すと、「少々お待ちください」と奥に入って行くので、どうやらこのホテルでビンゴのようです。

数分後、変わらない姿のYさんが現れ、十数年以上振りの再会です。まもなく70になるYさんは、このグループの非常勤の役員をされているらしく、不定期の出勤でこの日もずっと会議に出ていたとのことですから、会えたのは本当に運が良かったとしかいいようがありません。このグループはこの近辺にいくつもの施設を持っているグループですので、この日のこの時間にこのホテルに来なければ恐らく会うことは叶わなかったでしょう。Yさんは妻とも面識があるので、久し振りに昔話に花を咲かせました。
「何でうちのホテルに泊まらないの?」と皮肉たっぷりに言われたので、次回は必ず泊まる約束をして別れました。こういうところは、意外に義理堅い私です。

本日の宿泊は「休暇村乳頭温泉」。意外にも休暇村には初めての宿泊です。
乳頭温泉と言えば、何と言っても「鶴の湯」などが有名で湯めぐりを楽しめる東北有数の名湯ですが、私が調べた限りでは浴槽に手すりがあって私でも入浴できる乳頭温泉は、どうもこの休暇村のお風呂だけのようです。Yさんと会ったため乳頭温泉到着は6時を大きく過ぎてしまいましたが、有名な鶴の湯にはまだ車の行列が出来ています。鶴の湯は混浴ですから妻一人で入ることはないので、休暇村のお風呂で乳頭温泉を味わうことにします。でも休暇村の2つの源泉も流石にすごくいい泉質で、ずっと入っていたい最高のお風呂&露天風呂でした!
初めての休暇村も、サービスも意外に良く、一回の宿泊ですっかり休暇村ファンになったのですが、どうも「このホテルが特に良かっただけ!?」というのが正直なところのようです。夕食ビュッフェの「秋田名物オンパレード」も十分に満喫しました。

6日目:8月12日(金)

この日は秋田県内を観光してから、男鹿半島の男鹿温泉を目指す1日です。この日の観光プランは時間に応じていくつか考えていたのですが、朝から乳頭温泉にもう一度ゆっくりと浸かったりなどと珍しくホテルでかなりのんびりした(それだけ、満足感の高い宿泊だったということです。)ため、殆んどのプランが無駄になってしまいました。どうも遠野であのカッパ釣りを見て以来、貪欲に観光地を回る気がかなり減ったようです。おまけに、昨日八幡平と抱き返り渓谷と長いハイキングを二回もしたため、妻はしきりに足の不調を訴えて来ます。もう若くはない我々なので、無理は禁物です。

今日はまず昨日見残した田沢湖へ。遊覧船に乗る気は元々なかったので、湖岸を車で一周します。田沢湖岸は一周約20キロぐらいでしょうか? 車ではゆっくり走ると30分ぐらいの感じですが、夏休みらしく仲間でランニングしている学生をたくさん見かけます。何の合宿かまではわかりませんが、結構早いスピードで走っているマラソン選手のような軍団から、ゆっくりとウォーミングアップをしている人たち、中には明らかに集団から大きく遅れても必死に走っている人もいます。
今更ながら走れない自分がちょっとだけ悲しくなりました。
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田沢湖の一番のビュースポットは辰子姫の像。昔は何度も見た筈なのですが、「こんな大きかったっけ?」
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どうも私の記憶は相変わらず曖昧です。

次のみどころは「角館武家屋敷」。有料駐車場の係員さんに無料の身障者用駐車場を教えていただいたので、その親切に応えることにします。
角館武家屋敷の観光では、場合によってはと人力車観光の情報収集もしていたので、妻の足の不調もあり迷わず人力車乗り場に向かいます。

以前に乗った小樽などの人力車は、確か二人で30分6000円だったと記憶していますが、ここ角館は30分で5000円と良心的。おまけに我々を案内してくれる人は、何とうら若い女性です?
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何と言っても桜の時期が名高い角館武家屋敷ですが、真夏の深緑の時期もなかなか良いものです。秋田佐竹藩武士のさまざまなエピソードをバスガイドさんのような女性車婦(?)さんにご案内いただいた30分は、とても得難い時間でした。でもフェミニストを目指す私としては、重い人力車をうら若き女性に引かせてその上に乗ることには、ちょっとばかり抵抗があったのも事実ですが…
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人力車を降りた後、1つぐらい武家屋敷の中も見たいということで一番有名な青柳家を見学します。
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その後妻は、早くもこの旅の最後に立ち寄る実家へのお土産を仕入れたので、私も有名な味噌しょうゆ蔵で自分とこの旅で出会うであろう人へのお土産を仕入れます。
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醤油と言えば、1年前に熊本の人吉で買った醤油がとても美味しく、その後我が家の食卓に欠かせない調味料になったので、秋田でもそんな調味料に出会えないかと考えた故の訪問です。
そういえばあの人吉の味噌しょうゆ蔵は大丈夫だったのでしょうか? 次回購入の時に尋ねてみようと思いました。

この日のお昼は予定では湯沢に行って、本場の稲庭うどんを食べる予定でしたが断念。近くの道の駅で稲庭うどんをいただきましたが、稲庭うどん讃岐うどんと同じく関東でもそのクオリティがかなり上がってきているので、地元で味わう感動はありません。

午後は予定していた観光地をパスして秋田市内へ行き、秋田市のシンボルである千秋公園に向かいます。混雑していて何とか車は停められたものの、公園は想像していたよりかなり大きいようです。おまけに、妻が突然思い出したように、「ここ、来たことある! 足も痛いから車で待ってるね。」などと言い出すものですから、散歩する気も一気に萎えてしまいます。
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じゃあ歩かないで済むところにしようと、秋田港が展望できるポートタワーへ向かいます。港すぐ近くのタワーからは秋田港をはじめ秋田市内も男鹿半島も見えるのですが、嬉しいことに入場無料です。
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これから向かう男鹿半島も地図で見るみたいに見えています。
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男鹿半島入口の観光案内所には、巨大ななまはげ像があるようなので男鹿半島最初の観光スポットとして向かいますが、夕方近くのこの時間、なまはげ像は完全な逆光で、目を細めて眺めるだけに終わりました。
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男鹿半島に来るのは2回目です。初めて来たのは大学2年の夏休み。青森の宿が取れなかったため、ねぶたを諦めて弘前ねぷた祭りを見てから秋田で竿燈祭りを見て、その翌日国鉄男鹿半島を訪ねてユースホステルに泊まったことまでは鮮明に覚えているのですが、どうやって観光したのかなどは全く覚えていないのです。その意味では、初めての妻と五十歩百歩ですね。

この日の宿泊は男鹿温泉ですが、予算をけちったためか肝心な温泉がとってもぬるくって、温泉に入った気が全くしません。旅館のウリは新鮮な海産物らしいのですが、「これがウリ?」という余りに貧弱な値段相応というよりそれ以下の夕食。昨日、Yさんに薦められた男鹿にあるというYさんの系列ホテルにその場で予約を変えなかったことを激しく後悔しました。

でも男鹿でとても楽しみにしていた「なまはげ太鼓ライブ」は予想以上に大満足でした。通常500円のライブが金曜日は無料で、お盆直前のこの日は立ち見も含めたぎゅうぎゅう詰めの超満員でしたが、その迫力に大いに満足した晩でした!
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7日目:8月13日(土)

今日から数日間は、お盆の最混雑を覚悟しなければいけません。丁度1年前のお盆の土曜日は、超混雑するであろうという群衆心理の裏をついた私の作戦が見事に効を奏して、信じられないほど快適に上高地を満喫できたのですが(投稿はこちら)、上高地に匹敵するような超人気スポットであっても、二匹目のドジョウは期待できそうにはありません。この日は、男鹿半島のみどころを見てから、いよいよ青森県に向かう予定です。

まず、八望台から男鹿半島の全景を眺めます。この日の天気も快晴で、この旅の前半は本当に天気に恵まれています。
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昨晩、なまはげのライブは見たけれど、あくまでなまはげの格好をした太鼓ライブがメインだったので、地区毎にたくさんいるというさまざまななまはげが見たくなり、「なまはげ館」へ。そんなに広くはないここ男鹿半島に、本当にこんなにたくさんの顔をしたなまはげがいることに改めて驚かされます。
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近年、男鹿半島観光のメインとしてよく取り上げられる男鹿水族館にも、勤務先の共済の券でただ同然で入れるらしいので行くつもりにしていましたが、予想以上の駐車場の混雑とちびっこの大行列で、中の混雑を想像しただけで行く気も萎えてしまい、駐車場からの景色を眺めるだけで満足することにします。
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男鹿半島突端の入道崎。ここで観光とお昼を食べる予定にしていたのですが、水族館をパスしたのでまだ11時前です。とりあえず男鹿半島突端の風景を満喫します。
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念のため昼食候補にしていた食堂群を覗いてみます。どのお店も既にオープンしており、年最高の掻き入れ時の1日に向けて、臨戦体制を整えています。
結局、「今日はこの先、普通に考えたら超混雑でちゃんとしたお昼になんかありつけないかも?」と思ったのと、流石に11時前なので食べログ最高評価で混雑時には2時間待ちとクチコミに書かれている食堂でもまだ空いていたので、ついつい入ってしまい、空腹でもないのに高価なウニ丼を注文してしまいました!
空腹ではないので、美味しく感じられるかどうかが心配でしたが、流石にウニはウニでした!
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昼食後は男鹿半島をゆっくりとドライブしながら景色を楽しみます。次の目的地である「ゴジラ岩」をナビに入力すると、当然のように北海道知床半島ゴジラ岩を表示します。昨年、「ゴジラ岩観光」という会社の遊覧船に乗った時の我が身に降りかかった惨劇(投稿はこちら。ちなみに、この会社が悪いわけではありません。)を思い出して、思わず苦笑いです。

そのゴジラ岩ですが、近年TVのCMで話題を呼び、人気観光地になった故なのでしょうが、駐車場がいかにも急ごしらえの臨時駐車場的で、ちょっとびっくりします。駐車場からゴジラ岩が見えるスポットまでの道も全く整備されておらず、ラフな道が苦手な私は岩がゴロゴロする悪路に大いに苦労させられます。それでもここまで来てゴジラ岩を眺めずに引き返すわけにはいかないので、必死に歩いて何とか岩がCMのように見えるところまではたどり着きました。他の人たちはまだまだずんずん進み、ゴジラ岩のもっと近くまで行こうとしているようですが、私はここで満足して引き返すことにします。
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男鹿半島最後のみどころは寒風山展望台。15分でぐるっと一周するハイテクな回転展望台なので、勿論上まではエレベーターがあると思っていましたが、何とエレベーターはなく階段で最上階まで上がるのです。ちょっと慌てましたが、手すりがあるので事なきを得ました。
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秋田県最後に私が特に行ってみたかった場所は、八郎潟干拓地。子供の頃、日本有数の湖が埋め立てられて広大な農地に変わった話を社会の教科書で見て以来、私の憧れの地の1つになりました。
まっ平らの農地に北海道のような真っ直ぐな道、道の左右にはどこまでも続くちょうど満開のひまわりが咲き誇っています。数十年前までは、ここがだだっ広い湖だったなんて想像もできない風景です。
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八郎潟を作った人たちの「遊び心」が覗けるのが「日本一低い山」の「大潟富士」。日本で一番低い富士山は勿論私でもあっという間に登れ、周囲に他に高い地やビルのない八郎潟の「お山の大将」になれるのです。
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もっとも、この頂上で海抜ゼロメートル。どうやら一番低いところにいる「お山の大将」のようです。
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