麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

【静岡県鉄ちゃんの旅】<その2:大井川鐡道>


2日目:6月17日(日)

今日はついに憧れの大井川鐵道を満喫する日。今日の日程では昼食をいつ食べられるのか予想がつかなかったので、前の晩にコンビニで仕入れたパンとヨーグルトをビジネスホテルのシングルルームで味わうという味気ない朝食を済ませて、6時には浜松駅に向かいます。
IMG_5957.JPG
浜松からは東海道線の各駅停車で大井川鐵道の始発駅金谷を目指します。あと30分遅い各駅停車でも目指す大井川鐵道の列車には十分に間に合うのですが、とにかく先を急ぐのはいつもの私の癖。
IMG_5959.JPG
(昔の宇都宮線も、こんな色だったなぁ~と懐かしくなってパチリ)
今日の東海道線も昨日と同じように窓が汚れていて車窓が十分に楽しめないため、最前の運転手さんのすぐ後ろに立って運転席からの風景を楽しむことにします。運転席の前だけはワイパーを使った様子があり、そこだけ景色が当然のようにクリアに見えますが、昨日のお酒がまだ少し残っている私は、金谷までの30分以上立っているのはしんどいのでどうしよう? と少々悩んでいるうちに運転手さんが真後ろの私をキッと睨んで、ブラインドを降ろしてしまったのです!
IMG_5965.JPG
JR東海、そんなに見られたくないんだったら窓ぐらい拭いとけよ!」と毒づきたくもなりました。

金谷駅では停まった場所のすぐ目の前に「大井川鐵道乗り換え口」があります。
IMG_5966.JPG
(写真は駅舎の入り口。乗り換え口ではありません)
有名私鉄の始発駅にしてはとても小さな駅ですが、SLなどが発着する大井川鐵道の実質的な始発駅は次の新金谷なのです。一人しかいない駅員さんに「フリーきっぷください」と、4400円を払い全線に乗れる切符を受け取ったのですが…
IMG_6139.JPG
直後に駅員さんが、
「ところで、今終点の井川まで行けないことはご存知ですか?」
「はぁ? 何それ~??」
「5月に崖崩れがあって、閑蔵駅から井川駅までの一駅だけ不通になっているのです!」
IMG_5968.JPG
たった一駅だけとはいえ、全線完乗を目指す鉄ちゃんにとっては大問題ですが、今日大井川鐵道の旅を止めても今更他にすることもないので、とりあえず今のところの終着駅である閑蔵に行き先を変更せざるを得ず、何もなく誰もいないたった一人ぼっちの待合室で、沿線の情報収集をしながら、千頭行きの大井川本線の列車を待ちます。
やって来た大井川鐵道の列車には何となく懐かしいデジャヴ感があります。
IMG_5977.JPG
「これって、40~50年前の東急(目蒲線?)じゃない?」とおぼろげに記憶を辿ります。でも、列車のつり革には「タカシマヤ」の広告があったので、どうも東急ではないのでは?と、自分の中でも情報が錯綜。
(東急電車だったら、渋谷にはないライバルのデパートのつり革がある筈がない!!)
IMG_5975.JPG
後で改めて調べると南海電車だったとのこと。それならば乗車経験はない筈で、鉄道雑誌などでの印象が強かっただけなのかもしれません。

金谷から市街地を走り新金谷へ。たくさんある車庫を通りすぎ、すぐ目の前にはSLやトーマスが停まっているのとすれ違いますが、油断していたためカメラが間に合いません!
大井川鐵道は、その名の通り大井川に寄り添ったり時に離れたりしながらその上流を目指します。今年1月3日に大井川の木造橋「蓬莱橋」を歩いた時に、その上流方面に向かって「いつかずっと上流まで遡ってみたいなぁ~!?」と思ったことが、こんなに早く実現できるなんて、何だか無上の喜びです。
IMG_6004.JPG
周囲は昨日を上回るくらい茶畑が続きます。このあたりは「かわね茶」の本場の筈で、窓を開けたらお茶のいい香りがしそう!?
IMG_5996.JPG
勿論、そんなことがある筈はありませんが。

大井川鐵道はSL以外にも鉄ちゃんには嬉しい車両のオンパレード。すれ違ったこの車両は確か近鉄。乗車経験は少ないものの、昔の鉄ちゃん雑誌では散々見ていました。
IMG_5987.JPG
沿線には時折吊り橋も見えます。静岡県で一番有名な吊り橋"夢の吊り橋"は大井川線沿いではなくもっと奥の寸又峡の近くのよう。いずれにしても今の私の片手・片足では揺れる吊り橋を渡るのは無理なので、遠くから眺めるだけで満足することにします。
IMG_6008.JPG

大井川本線の終点千頭で旧南海電車を降り、車体がぐっと小さくなった井川線に乗り換えます。
IMG_6012.JPG
いよいよ大井川鐵道のメインイベントの始まりです。井川線は、以前の貨物運搬路線をそのまま客車に転換し、トンネルを広げたりしなかったため、室内は大江戸線以上の狭さです。
DSC_2157.JPG
大井川鐵道井川線と言えば、急勾配を昇るアプト式鉄道として名高いのですが、急勾配を昇るのはごく1区画だけで、後は大井川に沿ってのんびりと走ります。周囲の景色も渓谷のような風景を想像していましたが、相変わらず茶畑が多いのどかな風景が続きます。でも、大井川の川幅は徐々に狭くなり、息をのむような風景も時折見えるように。
IMG_6021.JPG
大井川本線は生活路線のイメージですが、この井川線は完全に観光路線のよう。車掌さんは駅に停まるたびに車両を移動しながら、マイクでの観光案内とお客さんへの案内に大忙し。私は列車の一番前の車両に早々に乗ったので気が付かなかったのですが、思いの外長いこの列車は6輌編成ぐらいのかなりの長さ。途中駅に人がたくさん待っていて、「こりゃ、この列車混むな!!」と覚悟したのに、車掌さんが「後ろ、空いてますよ!」と誘導すると、結局ホームにいたたくさんの乗客は、誰一人先頭号車には来ませんでした。
各温泉行きのバスへの乗り換え駅には、毎回予想以上のお客さんが。不通区間のお陰でもう一回来なくてはいけなくなったのですから、次回は温泉も楽しむ旅にすることに決めました!

いよいよ急勾配のアプト式区間の入口であるアプトいちしろ駅。ここで最後尾にアプト式機関車を連結するので、鉄ちゃん的にはその連結作業は必見なのですが、乗車したのが一番前で連結するのは最後尾なので、私の足で向かったところ連結の瞬間には間に合わず。おまけに他の鉄ちゃん、鉄子さん、ちびっこがたくさんいて、写真すらまともに撮れませんでした。
IMG_6028.JPG
アプト式の急勾配は、確かに乗っていても勾配がわかるくらいの角度。後ろを振り返るとあっという間に前に走っていた区間がすぐ下に見えます。
IMG_6031.JPG
平成になってからできたという、長島ダムが見えます。このダムが出来た時にいくつかの部落や大井川鐵道の旧路線もダムに沈んだのだとか。
IMG_6036.JPG
IMG_6038.JPG
車掌さんの沿線観光案内では何度も
「今の終点である閑蔵での折り返し列車までの時間は1時間以上」
閑蔵駅の周りは、何にもないですよ!」
と、今の終点閑蔵までは行って欲しくなさそうな案内を繰り返しています。私のプランでも終点の井川駅周辺を散策する予定でしたが、確かにその隣駅閑蔵にはパンフレットを見ても何の情報もありません。どうせ未乗区間が残ってしまうのだったら、1区画でもそれ以上でももう一回来なくてはいけないことにかわりはないので、車掌さんのオススメに従い別の駅での途中下車を検討。ダム湖上の駅「奥大井湖上駅」で途中下車しようとも考えましたが、金谷駅で入手したパンフレットによると、「出口急階段」という記載があったので、親切な車掌さんに質問。
「お客さんの足だったら、止めた方がいい。」というアドバイスだったので、奥大井湖上駅での下車を断念。
ダム湖上の駅である奥大井湖上駅は、もっとダム湖が見えるスリリングな駅かなと想像していましたがそうでもなく、階段にはちゃんと手すりがあり、これなら私でも十分に行けた感じ。でも湖上の遊歩道を通って次の接岨峡温泉駅までのハイキングコースは1時間以上の距離で私にはややしんどそうです。この駅に降りるのも、次回の宿題になりました。
IMG_6041.JPG
次の接岨峡温泉駅でぶらり途中下車。この駅を今回の旅の折り返し地点にします。
IMG_6053.JPG
1時間以上あるので、パンフレットに記載がある散策コースをゆっくりと歩いてみます。 ちょっと高台にある駅からの道を下るとのどかな田園風景が広がります。特にあてはなく、部落をうろうろと散歩。人がいたら不審者と間違われそうですが、住民は誰もいません。
IMG_6057.JPG
接岨峡温泉日帰り温泉にも目もくれず、さらに散歩。パンフレットにあった7つの吊り橋がある遊歩道まで行ってみますが、入口が結構急な坂で手すりも十分ではないので、散歩のゴールをここにしてちょっと休憩。
IMG_6065.JPG
すぐ近くに地蔵堂があったので、自分はともかく3人の家族それぞれの願いごとをお祈り。でも賽銭箱もなかったのでお賽銭も入れずですから、ご利益はどうでしょうか?
IMG_6066.JPG

ベンチに座ってぼんやりとある空想をしました。
4年前の10月、日本一周のスタートは沖縄。行きの飛行機の窓から富士山のすぐそばの山地と川と部落が見え、「こんなところにもいつかは行くぞぉ~!!」と誓った場所(その時のブログはこちら)こそが、「神様のお導き!? もしかしたら、ここがあの時にJALの窓から見た場所??」そう考えたら、何だかとっても嬉しくなりました。真偽の程は定かではありませんが(というより99%違うとは思いますが…)、自分的にはそう信じることに決めました。
IMG_6061.JPG
暑い中ぶらぶらと散歩を続けると、国道沿いに1軒の茶屋があり、この暑さなのに「おでん」というのぼりがはためいています。
IMG_6071.JPG
「この時期におでん?」とも思いましたが、静岡と言えば”しぞ~かおでん”ですから、迷わず立ち寄ってみます。静岡名物の黒はんぺんはなく、どうやらしぞ~かおでんとはちょっと違う感じ。4つ取って「いくら?」と聞くと「280円」。観光地値段ではなさそうです。
DSC_2165.JPG
カラシではなく七味唐辛子をかけて味噌のタレで食べる”大井川おでん”。いい経験をさせてもらいました。

ゆっくりと駅に戻り、のどかな田園風景の中、今日の終着駅閑蔵方面から来る帰りの列車を待ちます。
IMG_6075.JPG
ここからはさっき来た道なので、特に何も考えずに最後尾の車両に乗車。ドカンとボックス席に座った直後に思い出しました!
アプト式機関車の連結は帰りは一番前に連結される筈。しまった、乗る場所を間違えた!!」でももう後の祭り。結局、帰りもアプト式機関車の勇姿は我がカメラには収まりませんでした。

再び乗り換え駅の千頭に戻ったのは1時過ぎ。千頭からは大井川鐵道もう一つのメインイベントSLに乗る予定で、事前に指定席を予約しています。無事に800円也の今どき座席番号が手書きの指定券をまずは無事にGET。
IMG_6143.JPG
近年、大井川鐵道と言えば何といっても(きかんしゃ)トーマス。井川線のすぐ横で、そのトーマスの展示イベントがあるというので、写真で孫の喜ぶ顔が見られるかも?と考え行こうとしましたが、入場料が500円と聞いて入る気をなくします。でもフェンスに囲まれているだけなので、「ずっと端まで行ったらちょっとだけでも見られるかも?」と思い、線路の端まで。予想通りフェンス越しに仲間の顔が見られましたが、トーマスではないので孫は喜ばないかな?
DSC_2184.JPG
そのトーマスはSLより1時間前の発車。私がSLの指定席を入手した段階では、このトーマスにはまだ空席があるようでしたが、ちびっこ人気は相変わらずのようなので静かに旅を楽しみたい老人はトーマスは敬遠。でもホーム先頭まで行けばトーマスに会え、孫の喜びそうな写真が撮れるだろうと考え、先頭まで。
でも、トーマスはホームからはみ出て停車しており、後ろ姿だけであの顔は撮れません。
IMG_6098.JPG
いかにもちびっこが喜びそうな車内。やはり今日も満席のようです。
IMG_6101.JPG
(早くから乗っている人たちは、みんなご年配の方のようですが…)
先頭から500円の有料エリアを望遠でパチリ
IMG_6118.JPG

SLまではまだ時間があるので駅を出て昼食。午前中のおでんのお陰で空腹ではないので、蕎麦屋に入り山菜そば。相棒は勿論ビールです!
IMG_6093.JPG
今度はSLの勇姿をちゃんと撮影。まずはこっちに向かって走ってきた愛称”ポニー”のC56。
IMG_6102.JPG
運がいいことにSLの切り離しから移動、ちょっと先の転車台の風景まで見ることが出来たので、鉄ちゃんとしては乗る以上の高揚感&満足感を乗る前に得てしまいました!
IMG_6122.JPG
IMG_6125.JPG
IMG_6130.JPG
だからなのでしょうか、SLが動き出した途端に猛烈な睡魔に襲われます。昨日の飲み疲れとさっきの蕎麦屋のビールが効いたのです。
結局、せっかく800円也の指定券を買ったというのに、ず~っとうとうとしていた1時間20分でした。

ウトウトから目覚めた新金谷駅では他のSLも
DSC_2207.JPG
SL乗車も満喫(?)して、最後の新金谷~金谷の一駅では近鉄風の列車にも乗れたので、本日の大井川鐵道第1回目の旅は大満足で終了。金谷からは相変わらず窓が汚れた東海道線で静岡駅まで。静岡からはこれも懐かしい"ひかり号"に乗車。
DSC_2209.JPG
ところで、最近の東海道新幹線は来る列車がどれもN700系ばかりなので鉄ちゃんとしてはあまり面白くはありません。まぁ、どの列車に乗ってもスマホが充電できるのだけはありがたいですが。
その意味では、7~8年前の山陽新幹線は楽しかったなぁ~ と、改めて感じます。毎回ワクワクしながら新幹線を待てたので…

仙台から帰って来る妻と帰りの時間をあわせていたのですが、何と東北新幹線は昼からずっと全線ストップのようです。新幹線車内ではそのニュースが散々流れていましたが、JR東海東海道新幹線は、"我関せず"という感じですいすい走っていました。

静岡県に2日もいたのに、結局富士山は全く見られませんでした!