麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

2023年新春の旅


2023年初めての投稿です。

2022年夏に北海道から帰ってきてからは、自分史上最悪の半年間でした。9月に入って腰の痛みがひどくなり、その痛みが麻痺足ではない左足に来てからは満足に歩けなくなり、徒歩10分の最寄り駅どころか、徒歩数分のマイカーの駐車場に行くのにも何度も休憩しながら15分以上かかるという信じられないほどに体調が悪化しました。足と腰の治療に行った整形外科の医師に、「20日間も北海道に行って、3600キロもドライブした。」と言ったら、「そりゃ、遊びすぎだよぉ~?!」と笑われたこともありました! その時に丁度通院した(12年前に入院していた)リハビリセンターでは、あまりに歩くのが辛いので車いすを借りて診察室に行ったほどです。車いすを使うなんて、2010年10月にリハビリセンターを退院してから12年振りで、我ながらとても悲しくなりました。

仕事も、在宅勤務と有休休暇を使って体調最悪の2週間を何とか乗り切り、その後は最寄り駅まではタクシーで往復、往復の宇都宮線グリーン車を利用するという何とも贅沢な生活をその後約3週間続けました。
10月の中旬以降、何とか駅までは歩けるようになったので往復のグリーン車はそのままで、駅までは徒歩通勤できるようになったのですが、今度はあまりに歩いてなかったからか、どうやら歩き方を忘れてしまったようで、階段で転倒することが2度も起きて、正直歩きというか生活全般に自信を喪失してしまった状況が続いたのです。
とはいえ、このまま老け込むわけにはいきません。毎週土曜日に理学療法士さんに自宅に来ていただいて実施している訪問リハビリにて徐々にリハビリを強化し、気を取り直して少なくとも北海道旅行段階までの状態までには完全復活をすることを目指すことにしました。すでに9月にあった左足の痛みは引いていたのですが、歩き方を忘れてしまったように何となく違和感を拭えないのですが、徐々に元に戻るよう努力を続けていて、2023年に入っても状況は同じです。

旅行についてですが、昨夏北海道から帰ってきてからはいつもの通り「さあ、次の旅へ!」と、8月後半には年末にJALのマイルで宮崎までの特典航空券を早速予約したのですが、足が痛くなった9月後半にはさすがに「こりゃ、無理だなぁ~!」とキャンセル。11月に入ってから、私の勤務先の2023年の勤務開始は1月10日なので、「じゃあ、リハビリに伊豆に湯治に行こう!」と、伊豆のお気に入りの温泉宿を1泊予約したのですが、その後「もう少し、行けるかな!?」と、徐々に日数を増やして行き、最終的には3泊4日の伊豆旅行の日程が出来上がりました。
この旅行ですが、ショッキングな事件が起こり、忘れられない旅になりました。詳細はこの後徐々に記しますが、冗談のような「マイカーで伊豆に行って、電車で家に帰る。」という多分人生で1回だけのショッキングな旅になったのです。
起きたことに対してのショックもかなり大きく、このブログを書く気力もなかったのですが、時間も経ってようやく気持ちも少しは落ち着いてきたので、この旅を忘れないためにも記録を始めることにします。

 

1日目:1月4日(水)

 

最初は”伊豆に湯治に行く”つもりでプランニングを始めた2023年最初の旅でしたが、いつも通り「あそこにも、あっちにも行きたい~!」と欲張るうちに、すっかり湯治ではない旅になってしまったのはいつものこと。伊豆にドライブに行くのは2018年の新春以来5年振りですが、今回は上述のように私が復活を目指す最初の第一歩の旅のつもりでしたが、思い返せば最初から今回の不幸な事態を予測できるような不吉なスタートでした。
今年の旅のスタートは、いつも通り朝8時… いつものようにその10分前には駐車場に車を取りに行ったのですが、旅行の荷物を置こうと車のリアのドアというかハッチを開けようとしましたが… 何故か全く開きません! 「荷物の積み下ろしだけだし、まぁいいかなぁ?」と思い駐車場から家まで車を走らせると、今度は開かないそのリアのドアから「半ドアです!」という警告が鳴り続けます。流石に半ドア警告がずっと鳴り続ける車で高速道路を走る度胸もなく、とりあえずこの車を買ったディーラーがこの日の9時半が仕事始めだというのを急遽ホームページで調べ、1時間時間を潰して相変わらず半ドア警告が鳴り止まない愛車を何とかディーラーまで走らせ、仕事始めの10分前にはお店に到着。時間前にわざわざ出てきてくれたスタッフに窮状を訴え、「ここです」とドアを開けると… 意外にも何と普通に開くではありませんか!
どうにもバツが悪い私は、全く納得がいきません。駐車場や家では少なくとも30回はトライしても全く開かなかったのですが… お店の方に、「こんなことってあるのですか?」と聞いてみると、「寒いときには、ずっと開けていなかったりすると… たまにあるようです。」とのこと。そういえば、確かこの後ろのドアって… 昨夏、北海道から帰ってきた日以来数か月全く開けた記憶がありませんでした!

とりあえず「半ドア警告」も解消したので、1時間半のディレイで旅をスタートさせます。いつも通り圏央道経由で東名に乗り、今日最初の目的地である御殿場インターを目指します。御殿場インターと言えば、最近は「アウトレット渋滞」が特に有名な場所。でも、「今日は仕事始めの平日だし、そこまでの渋滞にはならないよね?」と、高を括っていましたが、やっぱり御殿場インターの渋滞は噂通りで、インター出口の看板が始まる2キロ手前より前から、左側車線は渋滞が始まり超ノロノロの状態で、この日のランチを予約している時間より30分前にはインターに着いたのに、予約時間に遅れそうになりお店に電話しようかと悩んでいるうちに、ようやく出口が見えアウトレットとは逆方向の道に出ることが出来たので、ギリギリでようやくお店に到着。

2023年最初の外食は、御殿場名物ではないけれど「うなぎ」。今から20年以上前、神田にある部署に勤務していた頃、仕事相手の偉い人が来るとお互いの経費でしょっちゅうお昼を食べていたのがオフィスの目の前にあったうなぎの名店「神田きくかわ」。自分のお金では一度も食べたことがないお店ですが、その頃は月に1回は必ず食べていたので、神田で働いた4年間で50回は食べた計算になります。その神田きくかわの支店が御殿場にもあるいというので、懐かしくなりつい予約してしましました。(現在は、神田きくかわの傘下からは離れているようですが…)

2023年最初の外食としては大満足。もう20年も経ったので神田きくかわの味もよく覚えていないので神田の味とは比べられませんが、「また、来たい」と思わせる味でした。

お昼の後は、本来なら今日午前中に来るはずだったうなぎ屋さんすぐ近くの岸信介元首相の別荘へ。

雰囲気のある別荘の玄関

岸信介元首相と言えば、今では「安倍元首相のおじいちゃん。」としてその名が知れていますが、私の子供時代のイメージは、「日米安保を作った首相。(当時の首相)佐藤栄作の兄貴で、「昭和の妖怪」とも言われたフィクサー。」と、どちらかと言えば悪いイメージだった元首相。

その元首相の別荘の観光ですが、靴を脱いで見学する別荘には入らずに、我々のお目当ては別荘の見学ではなくその別荘を管理しながらお店を出している「とらや」のスイーツ。

とらやのお店では私はお茶と大福をいただきましたが、大福はやっぱり大福で、2023年最初のスイーツは「まぁ、こんなもん。」って感じでした。

「とらや」なのに、羊羹はありませんでした。

次の目的地は隣の裾野市にある「富士サファリパーク」。以前から、「本当に本当にライオンだぁ~」というCMを聞いていたのでその存在を認識はしてはいましたが、サファリパーク系の施設には初めての訪問です。裾野市と言えば、少し前に保育園での園児虐待があってそのイメージはあまり良くないのですが、私にとっては大昔「青春ドラマの舞台だった」ような記憶があったのですが、何となく覚えていた「裾野あさひ高校」が何の舞台だったかが全く思い出せないという何とももどかしい状況での訪問。昔見た「これが青春だ」とか「飛び出せ青春」や「俺は男だ」などの番組を思い出しながら運転をしていましたが… 全く思い出せずストレスの溜まる裾野市のドライブ。
富士サファリパークには、入場料を払うと車のままで観光します。「窓を開けてはダメ」だそうなので、イメージは野生のエリアに「檻に入った人間がそのまま移動」するイメージ。いきなりテーマ曲に出てくるライオンのエリアから始まります。

本当に… ライオンですね。

その後も、トラ~象~シマウマ~キリンなどが続き、結構老人にも楽しめるドライブでした。

その後、本日の宿がある沼津に向かいますが、途中、今晩の夕食を予約している居酒屋から、昨晩に続いて電話が来ます。昨晩の電話は、「明日、市場が休みなのでお出しできないメニューが多いけど、それでも来る?」という内容でした。沼津に宿を取った理由は「旨い海鮮ものが食いたい!」からなので、「市場が休み」というのはショックではありますが、前日の夜にそんな連絡を貰っても宿泊地を変更できる筈もないので、「とりあえず、行きます。」と返事はしていたのですが、今日の電話は「本当に来るの?」的な電話。いろいろと話しを聞いてみると、どうやら「我々が来ないのなら、今日は店を閉めたい。」という雰囲気がミエミエで、ここまで迷惑がられて「行きます」とも言えず、「じゃあ、いいです!」と断らざるを得ない雰囲気に。

沼津のホテルは定宿の「東横イン」。夕食のあてがなくなったのでチェックイン時にフロントでお薦めのお店を教えていただいたのですが、調べてみると案の定2件とも「臨時休業」。とはいえ、チェーン居酒屋等市場以外にも仕入れルートがあるお店は開いているようなので、トボトボと沼津駅までお散歩。駅の向こうに名前を聞いたことがある地場の回転寿司を見つけたので駅を超えて行こうと自由通路を探しましたがどこにもありません。「駅の反対側に行くにはどうするの?」と駅員に聞くと「入場券を買え!」とのこと。ここ沼津駅からはJR東海の駅らしいのですが、駅の反対側に行くのにわざわざ入場券を買えだなんて... JR東海沼津市は何を考えているのでしょう!? 一瞬で沼津の印象が悪くなりました。

地元では有名な回転寿司チェーンでの夕食には市場が休みの影響があるのかは?ですが、確かに品切れがやや多かったような気がします。

キンメ等も品切れでしたが、我々は明日からたっぷり伊豆の海鮮を満喫する予定だったので、キンメがなくても気になりません。

まあまあの夕食でしたが、一時はコンビニ弁当も覚悟したこの日の夕食だったので、予想以上の成果に満足。帰りも2人分の入場券を買うのは癪だったので、タクシーで大回りしてもらって宿まで戻りました。

 

2日目:1月5日(木)

 

沼津に泊まったもう一つの目的は、市場周辺の食堂での朝から海鮮三昧。毎度のことですが東横インの無料朝食を権利放棄して、向かうのは前回も来た沼津漁港の周辺。前回は駐車場探しに苦労した記憶があったのですが今日はまだ8時前なので、繁華街中心の深海魚水族館すぐ隣のベスポジ駐車場に一番乗り!
そのまますぐ近くの有名店「魚河岸丸天」にチェックイン。流石に有名店だけあって朝から混んではいますが、無事にテーブル席を確保。妻は当然の如く朝から豪華海鮮丼ですが、私は厨房の天ぷらを揚げる音とその香りに理性をすっかり奪われてしまい、朝から胃にとってもヘビーな天丼をついつい頼んでしまいます。

海鮮丼と

天丼

これは2つの意味で大失敗。「沼津名物のアジフライは、別に頼んで絶対食べよう!」と思っていたはずなのに、揚げ物が重なって頼む気にならなかったことに加えて、天丼はとても美味しかったのですが、朝から結構なボリュームの天丼は60歳を過ぎた老人の胃にはとても重く、結局泣く泣く残してしまったこと。自分の胃袋のキャパを認識せず、相変わらず20代のつもりで調子に乗ってオーダーしてしまう自分が、本当に情けない!

前回訪ねた深海魚水族館などには行かずに、沼津港からキレイな富士山が眺められることを確認した上で、前回は富士山頂上が雲に隠れていた伊豆パノラマパークへリベンジに。

沼津の魚市場からはきれいに見えた富士山頂

ところが、1年近く経ってもいまだに相性が悪いのかまだ慣れないナビの設定を間違えたのか、ロープウェイ山麓駅を設定した筈のナビは何故か山頂駅に向かおうとして異常に狭い道に誘導。このナビともあと1日でお別れなんていう運命のことは露知らず、相変わらずの調子なので、「お前はぁ~?!」と毒づいていました。
ともあれ何とか伊豆パノラマパークに到着し、ロープウェイで山頂駅を目指したのですが… 沼津漁港からはあれだけ綺麗に見えていた富士山は、5年前同様に何故か頂上だけ雲に隠れているではありませんか!?

伊豆パノラマパークは、今回も…

おまけにここの山頂駅にだけまだ僅かに雪と氷が残っていて、ツルツル滑ってまるでスケートリンクさながら。とりあえずコーヒーを飲んで雲が晴れるのを待とうかとも思いましたが、雲が晴れるまでは少なくとも30分以上は掛かりそうなので、5年前のリベンジはまたもや次回に持ち越しに。

時折、頂上だけはチラッと見えたのですが…

この日のランチは修善寺にて。温泉街としては高級旅館が多いので、私はかれこれ20年以上振りです。久し振りに修善寺らしい川沿いを散歩して竹林の小径まで。

修善寺らしい風景

思ったより規模の小さい竹林の小径に、妻は少し驚いたよう。

修善寺のランチといえばそば。行列覚悟でワンコイン有名店に行くつもりでしたが、お目当てのバラックのようなワンコインのお店は、何と定休日…

このバラックが有名店… でも、定休日!

その上、すぐ近くのまぁまぁ有名店も「臨時休業」だったため、諦めて近くの有名店ではないお店に何とか座席を確保。

そばはまあまあ美味しいのに、何故かクルミだれとの相性がイマイチ。普通のソバにしておけば良かった!

蕎麦は美味しかったのですが…

修善寺と言えば修禅寺です。初詣ではないけれど、この旅最初の参拝。

午後は西伊豆までドライブ。戸田や土肥の金山や堂ヶ島の遊覧船などには前回行ったので今回はスルーして、今回はネットで見つけた黄金崎クリスタルパークというガラスの博物館へ。ガラスの芸術というのには余り馴染みがないのですが、空いている博物館をのんびりと眺め,たくさん展示されている万華鏡を一つ一つ見学して暇つぶし。

写真が撮れる超大型の万華鏡もありました。

その後は西伊豆の海を眺めに、近くの黄金崎海岸まで。

今日の宿は西伊豆の「雲見温泉」。雲見温泉とは聞き慣れない名前ですが、自分的には「伊豆の〇〇温泉の全制覇!」を目指していて、結構達成は近いような気もしているので、この聞き慣れない温泉の1泊はとても貴重です。今日の宿は料理の評判で選んだので、大型旅館でもなく、おまけに旅館の風呂には手すりがないので私は大浴場には入れないことを承知の上での投宿です。”伊豆へ湯治”が目的の筈だったのに、何たる変わりよう!

「一番,富士山がキレイに見える温泉」と言われるらしい雲見温泉の部屋からは。ちょっと遠いけど富士山がキレイに見えています。

夕食は評判通り。舟盛りもアワビも伊勢海老もキンメも予定通り出て、その味とボリュームに大満足。

 

でも今回の旅のグルメのメインは明日泊まる定宿のいつも通りの豪華な海鮮なので、西伊豆と東伊豆の違いはあれど似たようなメニューになってしまうのは仕方のないところ。例えば美味しいキンメの姿煮を満喫しながらも、「やっぱり、キンメは明日の方が旨いね!」などとほざいている我々は、本当に罪な存在!

 

3日目:1月6日(金)

 

いよいよ運命の事件が起こる当日。でも、そんな前兆は全く無くいつも通り美味しく朝ごはんをおかわりしてから、伊豆半島ドライブを再開。
でも今日の午前中のドライブはイマイチ。棚田は季節のせいもあり期待するような景色には出会えず、きれいな海岸線を期待してナビをセットすると、予想とは全く違ってお猿さんの有料のテーマパークだったりします。不十分だった下調べをひたすら(サルのように)反省しますが、お猿さんのテーマパークには興味はありません。
伊豆半島最南端の石廊崎クルーズが今日のメインイベントのつもりでしたが、駐車場に500円を払って車を停めようとすると、「本日欠航」とのこと。仕方なく伊豆半島最南端の観光を諦め、下田に向かいます。このあたりの沿道にはさまざまな温泉があるのですが、その看板を見るたびに「ここにはあの頃に泊まったな。」と、伊豆半島全温泉制覇の達成が意外と近いような気になり、嬉しいドライブが続きます。
下田の見どころは「爪木崎水仙祭り」。1月のこの時期に見られる花は水仙程度なので、妻は2016年のこの時期に房総半島で見た水仙の記憶と混同している模様。

もう少し暖かくなれば、河津桜や菜の花など伊豆にももっとたくさんの花が咲くのでしょうが…

そろそろお腹が空いてきたのですが、今日の宿は「昼はあんまり食べずに来て!」と謳っている料理自慢・ボリューム自慢の宿なので、前回意外と量が多かった東京駅の駅弁を完食して後悔した経験から、「軽めのお昼を食べよう」と、融通のききそうな道の駅へ。美味しそうな海鮮丼には目もくれずに、軽いお昼をということでオススメされたハンバーガーショップへ。チェーン店ではないこのハンバーガーショップのウリは「下田バーガー」。そういえばこのお店の下田バーガー、何度もTVで取り上げられていて、確かに見た記憶があります。

下田名物… だそうです。

勿論我々もその下田バーガーをいただきますが、無茶苦茶大きく1200円也とのことなので、1つだけ買って妻と半分にシェア。

キンメのフライと、チーズが2種類とたっぷりの野菜!

伊豆らしいキンメのフライの下田バーガーは美味しいといえば美味しかったのですが、何となく「フィレオフィッシュ?」っていう感じもしました。

もう行く予定の場所はなく、まだホテルのチェックインには早いので、石廊崎のクルーズに乗れなかったリベンジを兼ねて下田港のクルーズに参加。

20分程度の湾内遊覧でしたが、「何でこんな何でもないところに遊覧船があるのか?」が全く不思議なくらい何にもない遊覧船でした。

いよいよ我々の定宿でありながら今回の旅でもやっぱりメインイベントの宿へ。チェックイン時間の3時少し前に宿に到着しました。
「いらっしゃいませ。車は我々が駐車しておきます。」
「でも、この車、左アクセルの改造車ですよ。」
「左アクセルですね。わかりました。大丈夫です。」
というやり取りがあり、結局車のキーを渡して我々はすぐ部屋に案内され、部屋でチェックインをしていると、バタバタと支配人と名乗る人が部屋にやってきます。

「いくら5回目か6回目の宿泊だと言っても、支配人が部屋に挨拶に来るほどのVIPじゃないよなぁ~…?」と訝しがっていると、支配人から衝撃の言葉が…

「運転を誤って、車が海に転落してしまいました。今すぐ一緒に来てください!」

改めて聞いてみると海に落ちたのではなく海沿いの道に転落したとのことで、車に積んであったたくさんの荷物はとりあえず無事とのことですが… 玄関に戻ってみると,約2メートル近く下の海沿いの狭い道に、愛車が転落してコンクリの道にスポッと嵌まっている感じ。
幸い、運転していたホテルスタッフは軽症で済んだようで、嵌まった道は歩道なので、「もし、歩行者がいたら…?」と思うとゾッとしますが、とりあえず車だけで済んだのは不幸中の幸い。

とりあえず警察を呼んで、車は歩道に放置しておく訳にもいかないのでレッカーで釣り上げます。車の長さより細い通路に落ちたので前と後はグシャっと潰れていて、どう考えても明日この車で埼玉に帰ることはあり得ないということは、いくらメカに弱い私でも想像がつきます。

取り急ぎ車から荷物を取り出し、いつまでもその現場を眺めていても仕方がないので部屋に戻って支配人と今後のことを相談。取り合えず旅館は全面的に責任を認めてくれて、「経費は全て保証します。」と言っていただきましたが、正直これからのことを考えると、暗澹とした気持ちになります。とはいえ、落ち込んでばかりいては仕方がないので、気を取り直して温泉大浴場に向かったのは6時過ぎ。本来なら、夕食をスタートさせていた筈の時間です… 事故から3時間は、バタバタしていたことになります。
(車の写真は… 撮ってはあるのですが、事故の記憶が生々しいので掲載は自粛させていただきます。)

気を取り直して7時から夕食。事情を知っている旅館のスタッフは我々を楽しませようと懸命にサービスしてくれているのがわかるので、その気持に応えようと我々も切り替えて食事を楽しみます。本当に食事は美味しいので、一瞬でも車のことを忘れて伊豆の海鮮を満喫することが出来ました。

でも、キンメはやっぱり最高でした!

床に入ってからも今後のことをあれこれ考えて、この日は眠れない一夜を過ごすことになりました。

 

4日目:1月7日(土)

 

この旅館の朝食のウリは、「朝から舟盛」の朝ご飯。電車で来ている時は、ビールを飲みながら朝から豪華な舟盛を食べるのが朝最大の楽しみなのですが、「今回は車なので、朝のビールは飲めないなぁ~」と諦めていたのですが、思いがけず朝からビールを飲める状況にはなったのですが、流石にこの状況で朝から”ヤケ酒”を飲む気分でもなく、今朝も懸命にサービスをしてくれるスタッフのおもてなしに、朝食は朝食で大いに楽しむことが出来ました。最後に、「こんな状況なのに、夕食も朝食も楽しんでくれたことがとても嬉しい!」とその若い男性スタッフが涙を流してくれたことに、柄にもなく感動してしまいました!
その意味でも、事故は事故としてこのことでこの旅館と揉めてもう来られなくなるのがとても嫌だったので、「兎に角、お互いに禍根を残さないようにしましょう! また来ます!」と言って旅館を後にします。駅までは支配人に送っていただき、東京までの特急券と埼玉までの乗車券を買っていただきました。
「車で来てバスで帰る」というのは、ラスベガスなどでよく言われるジョークですが、「車で来て電車で帰る」という経験は、恐らく人生で最初で最後です。
稲取駅でいつも見る千原ジュニアの研ナオ子などプレバトで芸術自慢の芸能人が描いた大きな画をを見ながら、「今回、この絵を見るとは思わなかったなぁ~!」と思いながら、特急踊り子号で帰路に着きました。

<後日談>
旅館の協力のお陰で、その後の事故処理は迅速に進みました。レッカーで事故車を埼玉の車を買ったディーラーまで搬送していただき、(旅館が掛けている)保険会社が査定をした結果、「修理不能」と判定されます。すぐに新車を買うことになったのですが、たった1年前に契約した新車とはいえ、私が買ったホンダフィットの「20周年記念特別仕様車」はもう製造されておらず、その後フィットもマイナーチェンジしているので、同じ車を手に入れることは無理でした。ほぼ前回の車に近い仕様の車を、ほぼ前回と同額の代金を旅館が全額支払ってくれて、1月末に無事契約が出来ました。
(事故の記憶が辛いので、ボディカラーだけは違う色にしましたが…)
左アクセルの改造車なのでレンタカーなどの代車も利用できないため、新車が納車されるまでは車のない不便な数か月を強いられています。半導体不足の現在、車によっては「納車まで半年以上待ち」の状況が常態化しているとも聞きますが、たった1年間で2回も新車を買うことになった(車のない)私の窮状を理解していただき、ディーラーさんには最大限の手を尽くしていただいているようです。
果たして、車が届くのはいつになるいことやら…
毎年旅行に行っているゴールデンウイーク。今年はJALのマイルを使って「五島列島」に行くつもりなので、車がなくても大丈夫ですが、夏には今年も長距離のドライブに行くつもりです。
その時までには車が届いていますように!