◇その3 神戸~四国へ(8月6日(火)~8日(木)実施)
この旅がこの夏最長の2泊3日の旅。青春18きっぷと普通乗車券を併用した旅としてプランニングを始めましたが、四国には各駅停車が少なく特急が多いのと高知では18きっぷが使えない第3セクターの土佐くろしお鉄道が中心となるので、結局18きっぷは初日の神戸までしか使いませんでした。
1日目:8月6日(火)
旅の初日は青春18きっぷを使って神戸まで。我が家のある白岡から神戸の中心三ノ宮駅までは約630キロで、各駅停車を乗り継ぐと10時間を超える長~い旅です。因みに乗車券代は9,790円かかるようなのですが、青春18きっぷ1日分なので僅か2,410円です。
白岡駅の始発列車は05:39の熱海行き。白岡に住んで以来、この時間の始発列車には何度となく乗ったのですが、当然のことながら熱海まで乗り通すのは初めての経験。始発からかなり混んでいるグリーン車に乗り込みます。このグリーン車のグリーン料金、前はどれだけ乗っても千円ちょっとで乗れたのですが、先日のグリーン料金改訂で100キロを超えると1500円に値上げになってしまいました。でも、ありがたいことにJREのポイントを使うとグリーン料金は何キロ乗っても600ポイント(=600円分相当)のままなので、今回の私の熱海までの2時間半の長旅も600ポイントで快適に! 始発電車ですが浦和駅あたりでグリーン車もほぼ満席になったのですが、都内を過ぎ横浜駅を超えると再び静寂の(人が少ない)グリーン車に戻ります。「青春18きっぷを使っての東海道本線の旅は、苦行であり旅情を楽しむなんてとんでもない! 安く行けるんだから我慢しなさい!」等の書き込みがいろんなところに書かれており、当然私も旅情なんかには期待しないようにしたので、恐らくこのグリーン車があるこの区間が唯一旅情が楽しめそうな区間なので、懐かしさを味わいながら反対側ホームに展開する朝の通勤ラッシュ風景を眺め、少しだけ旅情を味わいます。小田原近くなると海が見え、朝陽が相模湾に反射してキラキラと輝いていますが、乗り慣れたグリーン車なので何となく車内で写真を撮る気にもなれませんでした。
定刻通り熱海に到着。この先、各駅でわりとすぐに乗り継ぎ電車が発車するので、「ホームが変わると歩くのが遅い私には面倒だなぁ~…」と思っていましたが、全体的に各駅停車の乗り継ぎ客にはどの駅も不親切で、ホームが変わって階段などを結構歩かされます。(確かに、安い18きっぷ客にサービスなんてしないですよね!?)熱海駅での沼津行きへの乗り継ぎは何とかなりましたが、その沼津行きの列車は結構遅れて出発し、沼津駅も乗り換え時間は短いので次の豊橋行には乗り継げそうにないなぁ… と、諦めながら隣のホームまでとぼとぼと階段を昇降してみると、まさに豊橋行きの発車ベルが鳴っている最中!「乗りまぁ~す!」と叫んで何とかギリギリ乗ることが出来ました。
この静岡県内の各駅停車が、東海道本線内での最大の難敵と多くの方が語られていますが、確かに全部ロングシートなので旅情のかけらもなく、長い区間を淡々と乗り続けるしかない区間。トイレのない列車すらあるとのことでしたが、私が乗ったこの列車にはトイレはありました。でも、乗り継ぎ各駅での乗り継ぎ時間が短いので、これで車内にトイレがないと確かに致命的ですね。列車は静岡県内の中小都市に次々と停まりながら走り抜けます。大学生時代に静岡県内の中小都市の高校出身者の知人が多かったので、その多くの地名には馴染みがあったのですが、各都市の順番というか地理感がやや曖昧でした。たとえば「焼津と藤枝って、どっちが静岡市に近いんだっけ?」とか、「袋井と磐田はどっちが浜松寄り?」といった長年のひそかな疑問も今回の各駅停車の旅でスッキリしました。
苦行の静岡県内も何とか通り過ぎ、この列車の終着駅愛知県の豊橋へ。今晩、神戸で知人と会う約束があるので17時までには三ノ宮駅に着く必要があるのですが、それまでには数十分の余裕があるので、ここ豊橋で少し早めのランチを取ろうと考えていました。豊橋と言えば、1年前の九州旅行の帰りに初めて食べてすっかりハマり、今春の飯田線の旅の帰りでも食べた「豊橋カレーうどん」。勿論、もう一度食べたい大好きなメニューであることに変わりはないのですが、今回は久し振りに名古屋メシの「味噌煮込みうどん」が無性に食べたくなり、事前に豊橋の駅ビルで味噌煮込みうどんが食べられるお店を見つけておいたのです。豊橋駅についてすぐに駅ビルに向かい、目指すお店に着いたのですが… まだ11時半を回ったばかりなのに結構な人が順番待ちをしており、受付表を見ると10組近い待ち客の名前があります。これでは、次の列車に乗れない… どうしよう? と悩みながら駅に戻ると、次の大垣行き快速列車の出発まであと3分… ということで、とりあえず次の大垣行き快速に飛び乗ってしまいました。大垣行き快速で何とか席を確保して、次の行動をあれこれ悩みます。「名古屋で降りて、駅ナカで味噌煮込みうどんの店を探しても、丁度お昼時だし次の快速には乗れないだろうなぁ~」とか、「いっそ、各駅停車での神戸行きを諦め、名古屋駅前の味噌煮込みうどんの名店山本屋総本店でゆっくりと食事をしてから、新幹線で新神戸まで向かう手もあるな。いくらかかるんだろう?」などとスマホと格闘しながらあれこれと悩みます。折角進行方向向きの座席の窓側席を確保できたのに、景色を楽しむ余裕なんて全然ありませんでした。結局決まらないうちに名古屋駅を過ぎ、他に降りるべき駅も見つからずに、結局終点の大垣まで乗ります。大垣駅でも次の列車にすぐ乗れたのですが、ここには駅ビルもあるので駅ビル内でランチを食べることを決め、お店探し。チェーン店ですが名古屋らしい(ここ大垣は岐阜県ですが…)「世界の山ちゃん」に入店。ランチ時ですが、まずは生ビールで朝からの疲れを癒します。
そして、手羽先。岐阜で味わう名古屋感。
ところが、お店が結構混んでいるのかメインで注文していた(これも名古屋メシの)”あんかけスパ”がなかなか出てきません。次の列車の出発時間が迫っており、「時間切れだ、もう出よう。」と思った瞬間にようやく出てきたので、慌てて掻き込みます。味わう余裕も写真を撮る時間もなく、慌てて支払いを済ませて何とか列車にギリギリセーフ。
米原からは新快速に乗れれば三ノ宮までは1本。新快速なので早くて快適な筈… 私は混んでいる新快速しか乗車経験はないのですが、混んでいるのは京阪神の都会相互区間だからだろうと思っていて、午後3時頃の米原駅始発の新快速なんてガラガラだろうと考えていたのですが… 甘かった! 各駅停車から乗り継ぎ時間5分で乗り継いだ新快速はその時点でほぼ満席。4人掛けボックスの最後の1席に何とか席を確保することが出来たのですが、その後の滋賀県内の各駅でも乗る客の方が多く、ずっと肩身の狭い思いを。ボックスの乗客は京都で降りたのですが、京都からは倍以上の乗客が乗ってきて、私のボックスは中国人団体に占領されてあの中国人独特の大声に占拠されて景色どころではありませんでした。
17時前定刻に三ノ宮駅到着。確かに新幹線で来れば15,000円以上はかかるところを、その6分の1の2,410円で来れたことには間違いはないのですが、全行程において旅情感は全くなく本当に単に安いだけで、イマドキの「タイパ」で言ったら最悪ですね。
神戸の中心地、三ノ宮駅の裏側。お洒落な神戸らしくもなく、ちょっと下町の匂いがします。でも、私にとっては懐かしい町!
昨今、本当に大都市のホテルは高くなりましたね。20年前に神戸の定宿にしようと勝手に決めていたホテルも、無職の今ではとても手が出ません。でも、今日の宿も駅に近くて、決して悪くない!
この日の夕食は、前の前の会社時代の2007年から2015年までの間、誰よりも親しくしていて(と私は思っているのですが、もしかしたら大きな勘違いかも?)毎日数回以上は電話していたビジネスパートナーの女性と2018年以来久々の再会。神戸の会社だったので大半は彼女らが毎月(時には毎週のように)東京に来てくれていたのですが、時には我々が神戸に来たことも。ここ神戸では、システムのリリース直前に”合宿”したこともありました。もう、縁がなくなった無職の私に、こうして会っていただけることだけでも感謝しなければいけませんね。以前なら、必ず「もう1軒、行こう!」と2次会に誘っていたのですが、この日は1次会であっさりと別れたことに、時代の経過と年齢を感じてしましました。
2日目:8月7日(水)
この日からは青春18きっぷを離れて、瀬戸大橋~四国までの鉄旅旅情を満喫する2日間。最近、ビジネスホテルではコスパを考えても朝食は取らない主義になりつつあるので、この日も前の晩にコンビニで買ったパンとヨーグルトで簡単な朝食を取り、予定より早く6時過ぎに三ノ宮駅へ。
朝の快速列車で三ノ宮駅を出発。新神戸から新幹線を使っても良かったのですが、お金を節約するためにはできるだけ新幹線を使う区間は短い方がいいので… でも通勤快速列車は朝から混んでいて、座席を確保するだけで精一杯。
快速列車の終点姫路が近づくにつれて、益々混んできます。こんな町にも人がいっぱい住んでいるなんて… 兵庫&関西の底力を実感します。ラッシュ時並みの混雑の中、終点の姫路駅到着。次の岡山行き普通列車は隣のホームに停まっていますが、すでに満席で多くの方が立っているので、この列車に乗るのは断念。岡山までの新幹線自由席券を買って、新幹線ホームへ。「新幹線ホームから、姫路城見えないかな?」と、探してみたら、見事に見えています!
姫路城に挨拶して、ひかりで岡山まで。
岡山からは瀬戸大橋を通って松山まで行く「特急しおかぜ」の指定席を予約しています。でも、朝早く出て新幹線にも乗ったので予定よりかなり早く着いたため、1本前のしおかぜの自由席に乗ろうとホームへ。宇野線の四国行きホームには、四国らしく「アンパンマン列車」が停まっています。
隣のホームには、昔からずっと憧れだった「快速マリンライナー」が…
瀬戸大橋開通は1988年で、瀬戸大橋は車では何度か通っているのですが、鉄好きとしては恥ずかしながら鉄道でこの橋を渡るのは実は人生初なのです! というより、瀬戸大橋開通前の宇高連絡船にも乗ったこともなく、初めて四国に降り立ったのは1990年に松山空港に降りたのが人生初。「旅好き」と言いながら四国を軽視していた自分が本当に恥ずかしい!
1本前の特急しおかぜの海側席を無事に確保して、四国に向けて出発!
でも、ここで私的にはチョンボをしてしまいます。私は、四国に入ってから松山までの間に海が見えるという理由で、進行方向右側の席に座ったのです。瀬戸大橋では左側の方が反対側の線路もなく近くに見えるのでしょうが、道路の下を走る瀬戸大橋ではあまり眺めは期待できないのではないか? それなら、四国に入ってからのことを考えると右側の方がいいのではないか… と、考えた故です。ところが、いざ瀬戸大橋に入ると、確かに鉄橋は邪魔ですが、やっぱり左側の方が全然景色がいい! 席を移るほどの空席もなく、仕方なく右側の瀬戸内海の島々を必死にパチリ。
四国到着後には右側席に移るチャンスもあったので、次は絶対左側席に座ろうと固く誓いました!
四国に入ってからは、予讃線の海側の景色を楽しめました。でも、年のせいかお酒も飲んではいないのに頻繁にウトウトしてしまいます。
大好きな列車で海を眺めながらウトウトできるなんて、最高と言えば最高なのですが…
終着の松山駅到着。
駅を出てまずは松山駅をパチリ。松山に来るのは数回目ですが、駅に来るのは間違いなく初めてです。思ったより小さい駅でしたが、現在立派な新駅舎を建設中のようでした。
松山でのランチは”鯛めし”と決めていました。鯛めしには松山風と宇和島風(南予風)とがあって、私は宇和島の鯛めしが大好きなのですが、今宵の宿は宇和島なので、今日のお昼は何としても松山風の鯛めしが食べたい… ということで、駅前の観光案内所で紹介されたレストラン北斗に向かいます。
メニューを見ても松山風の鯛めしがないので、「松山風の鯛めしはありますか?」と聞いてみますが、「うちの鯛めしは基本、宇和島風」とのことで、どうやら松山風の鯛めしは食べられないのかと落ち込んでいたところ、「少しだけ松山風が食べられる”2種の鯛めし味わい御膳”@2,200ならあるよ」と薦められ、それを注文。
確かにメインは宇和島風で松山風は少しだけだったのですが、兎に角食べられたことに満足。おまけに別に頼もうかと思っていた大好物のじゃこ天もついていて嬉しい!
次に乗る列車まで約1時間あるので、松山駅前駅から市電に乗ってみることに。
道後温泉まで往復できるかな? とも思いましたが、意外と時間が掛かるので、繁華街大街道で折り返しすことにしました。
噂に聞いていた俳句ポスト。私も一句… と思いましたが、才能が、ない!
ここからの切符ですが、「四万十・宇和海フリーきっぷ」というお得なきっぷを見つけたので、松山駅でこの切符を5,400円で購入。この切符、松山~高知までの往復乗車券+予土線・土佐くろしお鉄道のフリーエリアがあり、加えて特急の自由席まで何度でも乗れるというまさにこの旅にぴったりの切符! 土佐くろしおラインだけでも往復すると3千円以上掛かり、3回以上乗る特急料金だけを加えてもこれだけでもう5千円を軽く超えます。でも、こんなにいい切符ですが、松山駅まで行かないと買えないのが唯一の弱点。当初は松山は乗り継ぎだけにしようかとも考えていたのですが、それだとこの切符が買えないので、そのために松山に早く着いてお昼まで食べるプランに変えたのは、怪我の功名でしたね。
松山からは宇和島に向かう特急宇和海に乗車。2015年に宇和島に来た時、宇和島駅でこの特急宇和海を見て、「次は絶対乗りに来るぞぉ~!」と固く誓った(その時の投稿はコチラ)その誓いを、9年越しに実施するのです!
松山から乗る特急宇和海も、やっぱりアンパンマン!
松山からの特急自由席はほぼ満席でいささか驚き。今回は、宇和島まで行かずに途中の伊予大洲で下車。
伊予大洲も2015年に訪ねています。寅さん、おはなはん、東京ラブストーリー等数々のロケ地でもあり、会社を辞めてから大学院で学びなおしている友人が町おこし等の研究でこの大洲を研究していて、先日もその友人とここ大洲の話題で盛り上がったばかり。でも今日は大洲を観光する余裕はなく、大洲で降りた目的は有名な海沿いの無人駅である「下灘駅」まで往復するため。大洲駅の100円コインロッカーに荷物を預け、愛ある伊予灘線はフリーきっぷの区間外なので、大洲からの往復1260円也の乗車券を購入してささやかながら大洲駅の売り上げに貢献。
この下灘駅行きのプチトリップは、私が参加している青春18きっぷ関連のFacebookに投稿したので、この投稿をそのまま掲載させていただきます。
【愛ある伊予灘線 下灘駅レポート】
8/7四国の下灘駅を訪問しましたのでレポートします。
15:35 伊予大洲発
18きっぷらしき人は20人ほど 1両のロングシートにギリギリ座れる程度(トイレはないので要注意!)
16:20 下灘駅到着
意外にも降りたのはわずか数人
◇下灘駅の状況
観光客30人程度。大半が列車ではなく自家用車で来ている模様。この暑さなのに無人駅で冷房なんてないので、私的には20分滞在が限界。
なお、下灘駅にはトイレがあります。
16;38 松山からの列車到着
1両で立ち客多数の中から、大半(30人以上)が下灘駅下車。大半が女性グループで夕陽撮影に来たのでしょうね。でも、暑さ厳しく何も設備がないので、熱中症が心配です。
私は、この列車で伊予大洲に戻りました。伊予大洲駅には100円~のコインロッカーもあり、手ぶらで下灘駅観光が楽しめます、特急が多くって、18きっぷで来るにはハードルが高いですけど…
再び伊予大洲駅に戻り、再び宇和島行き特急宇和海に乗り宇和島まで。今度は、さほど混雑してはいませんでした。
宇和島駅内のホテルにチェックイン。念願の宇和島での夕食ですが、今回は一人なので予約はしていません。念のためホテルフロントにお薦めの郷土料理のお店を聞いてみたところ、9年前に満喫したお店を紹介されます。「やっぱり、ここだね!」と向かいますが、たった1人でもカウンターも全て満席。仕方なくその他検討したお店を歩いて廻りますが、何と3軒とも「満席」で断られます。「ヤバい、折角の宇和島でコンビニ弁当だけは絶対に阻止しなければ!」と、5軒目のやや高級そうな外観のお店でようやくカウンター隅の席を確保。でも、私が席に着いた後、立て続けに2組のお客さんを断っていたので、自分の幸運に感謝!
この店も、本当に旨かった! 刺身盛り合わせも旨い!
大好きなじゃこ天、揚げたてで兎に角旨い! 宇和島・愛媛サイコー!
そして〆は勿論宇和島風鯛めし。やっぱり本場は一味違う!
”やや高級そうな外観”と書きましたが、親方も気さくで料金も庶民的!今度宇和島に来る時にはこのお店を予約してまた来ようと心に決めました。
3日目:8月8日(木)
この日の朝は、私的な最終日のハイライトである予土線の乗車。今まで、四国の列車には乗ったことがなかったのですが、「四国では、どこの線に乗りたい?」と問われたら、迷わずに”予土線!”と答えていたほどの憧れの路線。とはいえ、近年「廃止か?」などの不吉な噂もあり、そんなことになるのは絶対に嫌ですが、兎に角早く乗ってしまいたいとずっと願っていた線なのです。
予土線始発列車の宇和島駅発は朝6時。この列車に乗るために駅の中のホテルを取っていたので、20分前にはホームへ。停車していたのは、予土線3兄弟の1つである鉄道ホビートレイン。外観は1960年代の0系新幹線を模した列車。
車内はロングシートが大半ですが、前に2列だけ0系新幹線のシートが据え付けてあります。このシートを争うライバルは親子連れ1組だけだったので、私も無事に2つしかない新幹線シートの1つを確保。
列車内には鉄道模型の展示もあります。
1両編成のこの列車、「終点まで2時間強、トイレはないので今のうちに済ませておいてください。」というワンマン運転手が丁寧に案内しています。
定刻に宇和島駅を発車。最初は切通しのような山裾を走ったりもしますが、全体的には田園地帯を走ります。
列車は最初に三間川の横を走り、出目駅辺りで三間川は広見川となります。新幹線を模した一両のディーゼルは懸命に走りますが、ディーゼル列車はスピードでは新幹線を模すことはできないのでのんびり。
伊予から土佐の県境を越えて、予土線は高知県に突入。やがて広見川は清流大河の四万十川に飲み込まれて、これから予土線は四万十川に沿って走ります。
沿線にはいくつかの沈下橋が見えます。沈下橋はこのあたりにいくつかあるのですが、写真を撮ろうとカメラを構えると決まって沿線の木が邪魔をして、中々写真が撮れません。撮れたのは沈下橋がない風景ばかり。
でも、十数人の乗客の中で必死にカメラを構えたり外の景色を懸命に眺めているのは、前の新幹線座席に座っている1組と1人だけで、他の乗客は毎日の風景で全く外を眺めてはいないので、列車はたった3人の我々のために徐行をしてくれる筈もありません。
予土線と四万十川は山がちな土地を半周して、土佐くろしお鉄道と合流すると、間もなく終着駅窪川に着きます。予土線、想像以上に素晴らしい車窓風景でした! この車窓風景がいつまでも残りますように! 最後の若井駅から窪川駅は土佐くろしお鉄道の路線ということで、青春18きっぷで乗車している人は、この部分の乗車券を支払う必要があるとアナウンスされていますが、私は土佐くろしお鉄道にも乗れる四万十・宇和海フリーきっぷを持っているので、この辺りは何度でも乗り放題です。
窪川駅からは土佐くろしお鉄道四万十くろしおラインの中村線に乗車。
若井駅まで戻ってここからは予土線と分岐しますが、若井駅を出て予土線を分岐するあたりにループ線があります。このループ線を楽しみにしていたのですが、分岐のあたりからトンネルに入ってループ線が全く楽しめないのです。 残念!
列車はようやく太平洋岸へ。この旅では小田原付近以来2日振りの太平洋!
列車は、四万十市の中心地であるこの列車の終着駅中村駅に到着。
中村と言えば、私には忘れられないのが1977年のセンバツでの中村高校の大活躍。部員11人で大活躍した池田高校の「さわやかイレブン」の数年後、部員12人で「24の瞳」と称されて準優勝した中村高校の大活躍は、当時同じ高校生だった私には強烈な思い出として残っています。勿論、私も判官びいきというか少ない部員の中村高校を熱烈応援していたのです! 中村駅の地名だけでもキュンキュンとしてしまいます。
中村滞在中、何人かの方とこの甲子園で熱狂した時の話をしましたが、その時話をした数人の方は揃って、「自分も中高(なかこう)出身です。あの時の甲子園のことを覚えていていただいて、本当に嬉しいです!」と大変喜んでくださったことが印象的でした。本当に、故郷の誇りなのですね!
次は土佐くろしお鉄道四万十くろしおラインの宿毛線に乗って、終着駅宿毛を目指します。宿毛という地名を知ったのは、昔近鉄バッファローズが宿毛で春季キャンプをしていたため。「プロ野球がキャンプするぐらいの町だから、結構大きな繁華街もあるんじゃないかな?」と考え、当初ここ宿毛で昼食を含めて時間を使う予定でしたが、意外とお店なども少なく、そのうちに「近鉄が宿毛でキャンプをした理由は、当時の西本監督が『宿毛は、何もないので、選手たちが野球に打ち込めるのではないか!?』と考えたため。」という理由だったことを知り、それなら宿毛では単に折り返しで中村に戻ることにしたのです。列車の中には天の川のような装飾が施されています。トンネルに入ったりすると綺麗に光るのですが、安物のカメラではその雰囲気は出ませんね。
来た電車が折り返すのかと思っていましたが、折り返し列車は反対側のホーム。慌てて走って何とかギリギリセーフ。
確かに、宿毛はあまり繁華街の感じはしないかも…
再び中村駅に戻ります。中村駅周辺にはお店などがあまりないという情報は先ほど観光協会で聞いていたので、駅前からタクシーで中村の中心街へ。中村の名物料理は「中村の(かつお)塩たたき」ということですが、酒のつまみが中心の塩たたき、ランチで提供するお店は少ないということで、ランチで食べられる寿司屋に入店。
この塩たたき、本当に旨かった! 写真では薬味等に覆われていてカツオの美味しさは伝わらないかも知れませんが、ボリュームも十分で兎に角旨い!
やっぱり、土佐のカツオは最高ですね!
中村からの帰りは特急あしずりで高知まで。昼に呑んだビールでほろ酔いになり、やはりウトウトしてしまいましたが、須崎市辺りで目覚めて、海の景色に満足。この数時間後、この須崎市からメールが来るなんて夢にも思わずに…
高知駅到着。ここ高知も、松山同様何度も来ていますが、駅に来るのは初めてです。でも、松山と違って駅舎は立派になっています。
高知では目的地は1つだけ。タクシーで呑兵衛の聖地であるひろめ市場に向かいます。道が普段より混んでいますが、どうやら明日から始まる「よさこい祭り」の影響のようです。
ひろめ市場ではやっぱりお酒とカツオをいただきます。端の方に1人でも飲めそうな席を何とか確保
このお店でお酒とカツオを注文。
「おすすめは、”塩カツオ”だよ!」と言われましたが、さっき中村で塩を食べたばっかりなので、普通のたたきをチョイス。
カツオはやっぱり旨かったけど、じゃこ天はイマイチ。やはりじゃこ天は愛媛じゃないと…ね?この後、呑兵衛の町高知に敬意を表して日本酒も飲みました!
高知空港に向かうため、ひろめ市場から空港バスのバス停までとぽとぼと歩きます。町は、明日からのよさこい祭りの準備で大忙し!
高知では、バイキンマンも英雄?
ここで、緊急地震速報のようなけたましい注意喚起メールを着信。「すわ、地震か?」と思ったらメールの発信元は須崎市で、「緊急津波警報 今すぐ高台に避難を!」との警報。「何のこっちゃ?」と思っていたら、すぐに知人数人からLineやメールが入ります。
「今、高知県にいるんでしょ? 地震、大丈夫だった?」
「地震、何のこと?」
「宮崎で、大地震があったらしいよ。そっちも、揺れたでしょ?」
「へぇ~ 鈍感だから全く気付かなかった。何か緊急津波警報は来たけど、今高知市内にいて海までは10キロはあるので大丈夫じゃん?」
とのやり取りがありましたが、高知市内は至って平穏でした。
高知龍馬空港に向かいますが、着いてみると高知龍馬空港はやや混乱しています。でも、この混乱は地震のせいではなく、どうやら昨日の羽田付近の豪雨による運休でまだダイヤの乱れが続いていることが原因のようで、空港に着いた18時頃にようやく昼過ぎの羽田行の便が出発していったようです。私は、今日の羽田行きの最終便をいつもの通りマイルで予約していたのですが、この便も1時間以上の遅れは確実な模様。でも、到着当初は「地震の影響で、飛ばないかもしれない」というアナウンスもあり少しビビッていたのですが、どうやら地震の影響はないとのことで一安心。こうなると、問題は終電に間に合うかどうか。最悪、タクシー利用か都内での1泊かを覚悟して飛ぶのを待っていましたが、そのうち、待合室がザワザワし始めて皆がTVの前に集まり出します。私も近くまで行ってみて、ここで初めて「南海トラフ地震の警報」が発令されたことを知ります。周囲の方は「大丈夫かしら?」と心配顔。確かに、ここ高知も南海トラフのエリアです!
こんな状況の中でしたが、何とか1時間半遅れでJALは無事に飛んでくれて、何とか羽田着。心配していた宇都宮線も終電1本前の列車に何とか間に合ってセーフでした。