麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

九州旅行日記 その10(最終回) 開聞岳と知覧特攻平和会館


おはようございます。いよいよ旅行記もようやく最終日になりました。今日で最後にできるでしょうか…

9月3日(月)

4泊5日の旅行中は、毎晩ぐっすりと眠ることができました。10時~11時には床について、翌日5時には目が覚める老人のような毎日です。
でもお蔭で昼間眠くなったりせずに、充実した旅行が楽しめています。

最終日の朝も、同じように5時に目覚め、ちょっと早いけれど昨日果たせなかった大浴場への入浴のためにまた長い大浴場までの道のりを10分以上歩きます。
昨日も利用した脱衣場を利用すると大浴場までは階段を降りなければなりませんが、小さいながらも浴槽と同じフロアにも脱衣場があることを前日に確認していたので、まだ営業前の焼酎屋さんの裏を回り小さな更衣室に入ります。

朝6時の早朝の大浴場はまだ人もまばら… ゆっくりとお湯を掛けた後に、手すりをつたって本当に大きなお風呂に浸かります。今回の旅行では2回目の大浴場を満喫する瞬間です。
指宿のお湯も鹿児島同様ちょっとぬるめで、ゆっくりと浸かりたい私の要望にはぴったりのお風呂でした。この日は洗い場に高い椅子が一つだけあったので、椅子に座って体を洗うことができました。このあたりは大型旅館のいいところですね。
ゆっくりと大浴場を満喫して小さな(実質貸切の)脱衣場を無事に出ると、今度も迷子になるのが怖い妻が待ていてくれました。
今回の九州旅行、大浴場2回+露天風呂1回+砂蒸し風呂1回の温泉はこれにて無事に終了です。2年半ぶりの大浴場を本当に満喫できました!! 万歳~!

このホテルの朝食はバイキングと事前に聞いていましたので、全く期待していませんでしたが、その割には品数も味もまぁまぁだったと思います。バイキングでは洋食派の私で、主食はパンなのですが、さつま揚げなどの鹿児島名物のおかずがたくさんあり、それなりに楽しむことができました。

さて、最終日の予定ですが、夜の飛行機で羽田に戻るまで、南薩摩をタクシーで観光する予定です。実はこの観光こそ、私が40年以上憧れた観光で、まさに今回の旅行の私の「ハイライトイベント」なのです。

そんなに私が見たいのは、薩摩半島の途端に聳える秀峰「開聞岳」です。

開聞岳を初めて見たのは、鉄道に興味を持って鉄道雑誌を読み漁った小学校4年生の時。「日本最南端の駅」西大山駅の写真を見ていると、「日本最南端の駅の碑」の後ろに、決まって美しい山が聳えています。「この山、何だろう~、気になるなぁ~!?」とずっと気になっていました。
5年生になって、従兄が鹿児島の観光をして長崎鼻のペナント(懐かしい~!)と絵はがきをお土産にくれた時も訳が分からず、「長崎鼻? 長崎にあるんじゃないの?」と何が何なのか全くトンチンカンでしたが、あの美しい山の形には鮮明な記憶があり、「あの西大山駅で見える山だ!」とすぐにわかりました。
当時ネットがあればすぐに調べることができたのでしょうが、そんな時代でもありません。気になって仕方がない私がいろいろ聞いて回った結果、「この山は、薩摩半島に聳える開聞岳という山」、「この海越しに開聞岳が見える美しい岬の名前が、(紛らわしいが)長崎鼻という。」と言う情報を大人たちから何とか聞きだし、「行ってみたい!!」と強く願うようになりました。

それから「開聞岳」・「長崎鼻」は私の憧れの地になりました。でも一番長く&自由に旅行に行けた大学生時代、私は完全な「北志向」で、旅行と言えば4年間、北海道と東北しか行きませんでしたので、開聞岳には行きませんでした。開聞岳のことは当時も時折思い出していたのですが、「行きたいなぁ~!でも、遠いからなぁ~…」と初恋の彼女のように遠くてただ憧れる存在だったのです。
なので今回の旅行を計画する際、妻の口から「鹿児島」という言葉を聞いた瞬間、即座に43年振りの初恋の君を思い出し、「よし、初恋の君に逢いに行くぞぉ~!」と即決したのです。

タクシーでの観光を選択しますが、タクシー会社のモデルコースを見ると、このあたりのハイライトコースが6時間半のコースで、このコースを選択すると、開聞岳は勿論のこと、もう一つ私がどうしても見てみたかった知覧の「特攻平和会館」も見ることができます。
なので迷わずその6時間半の「南薩摩ハイライトコース」を選択。4時半の空港行のバスに丁度間に合うように、10時スタートをお願いしていました。

なので朝食後、10時までは部屋でのんびりしています。あまり良い天気ではなく「これは開聞岳、見えないかも?」と心配していると、にわかに空が掻き曇って、激しい雨が降り始めます。
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「あ~あぁ、最悪。止んでくれないかなぁ~!」と祈って待ちますが、30分ぐらいで雨は何とか止んでくれます。スコールといい椰子の木といい、本当に「東南アジア」を実感する鹿児島です。

10時前にホテルをチェックアウトして、予約したタクシーの運転手さんとミートします。この6時間半コースは指宿発着で、我々が下車するのはよりモデルコースよりも短い場所なので日程的には「余裕」と思っていましたが、運転手さんの第一声は「非常に忙しいコースなので、メインに見たいものは何ですか?」と言われて、ちょっとびっくりします。
全部の場所がゆっくり見たいのですが、でもメインで観たいものは…と言われれば、当然「開聞岳長崎鼻」と答えます。

タクシーは私の42年来の夢を乗せて出発。雨は何とか上がりましたが、まだ雲は低く垂れこめています。しばらく走った後に運転手さんから「あ~ぁ、残念。開聞岳に雲がかかっていますね。」 もっとも私が聞きたくなかったフレーズを呟かれます。

最初の観光地は43年前からの憧れの地、日本最南端の駅「西大山駅」。ホームから見渡す開聞岳は確かに残念ながら雲がかかっています。
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列車が通ればもっと絵になる風景なのでしょうが、列車は上り下りともあと1時間以上は来ないようなので、43年憧れた駅の感動の風景は撮れませんでした。
なお、沖縄に「ゆいれーる」が開通した以降、本当の日本最南端の駅はここではなく那覇空港駅に移っており、この駅は「JR最南端の駅」になっています。 でも私にとっては何と言っても西大山が「最南端」のままなのです。

次に向かったのは「フラワーパークかごしま」。広い園内を専用バスにてご案内いただきますが、この時間帯の他の乗客はゼロ! 我々の貸切で南国の珍しい花々をご案内していただきました。(残念ながら私植物は本当に詳しくないので… 詳しい人には堪らないのでしょうが…)
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少しずつ空が晴れて来たような気がしています。間もなくメインの長崎鼻です。
車から見る「スヌーピー岩」。スヌーピが寝ているように見えるこの山をスヌーピー山と最初に命名したのは何とあのタイガー・ウッズなのだそうです。
数年前にこの地で開催されていたゴルフトーナメントの時のことです。
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いよいよ私の初恋の相手、長崎鼻での開聞岳とのご対面です。
駐車場から長い坂を歩いて下るのですが、天気も良くなってきているようで、期待の余り転倒を覚悟の上で(?)、つい思わずこれも2年振りに小走りに走ってしまいます!!
何という運の良さでしょうか!?、この頃から完全に雲が上がり、開聞岳の全貌が姿を見せてくれます!!
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長崎鼻の展望スポットに着いた途端、恥ずかしげもなく涙がボロボロと流れて止まらなくなってしまいました! 妻は何が起きたのかわからずに、運転手さんとオロオロしています。
涙が止まるや否や、今度はパチパチと写真の連写が始まります。20枚以上撮り続けたでしょうか… その時点でスマホの調子がおかしくなり、強制シャットダウンされてしまいました。(2時間、使用不能になりました)

恥ずかしい話ですが、景色を見て涙が止まらなかったのは人生で3回目。前回はアラスカ鉄道に乗ってアラスカの大平原を見て以来20年振りで、国内では19歳の時に初めてオホーツクの流氷を見て以来だったと思います。

長崎鼻にあと4時間いても恐らく全く飽きずにい続けられると思いましたが、忙しい観光のいくらメインイベントとは言えあまり長くいるわけにもいきません。それでも普通の人の滞在時間以上は確実に楽しみ、「次回は時間制限なく初恋相手と会話することを約束して」長崎鼻を後にします。

この後は開聞岳を少しだけ車で登ってみます。タイガーウッズもプレーした、「いぶすきゴルフクラブ開聞コース」も見えます。ここも「一度はプレーしたかった憧れのコース」でした。勿論、まだ全く諦めたわけではありません。
馬が草を食んでいます。この開聞岳に暮らす馬、ちょっと羨ましくなりました。
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近くで見てもさほど見た目が崩れないのは、初恋の人に対するひいき目でしょうか?
この開聞岳、数時間あれば登れるそうで、ドライバーさんも年に1回は登っているとか。次に来るときは登ることも目標になりました。
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昼食は指宿名物の流しそうめん。冷たくて美味しい名水でそうめんを回していただきます。そうめん、おにぎり、鱒塩焼、鯉こく、鯉あらいのA定食1600円也を満喫します。
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午後は開聞岳周辺を離れて知覧地区へ向かいます。
まずは「イッシーがいる」と言われた池田湖。ネス湖ネッシー屈斜路湖のクッシーと共に、いてくれたら夢があったのに… と思います。
「イッシーがいるかも」と思われたのには、池田湖が意外と深い湖だという理由と、巨大な天然ウナギがいることが理由で、巨大うなぎはレストハウスに飼育されています。。確かに、あんなデカいうなぎを食える生物は、イッシークラスじゃないと無理でしょうね。
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知覧で必ず行かなければならないと思っていたのは「知覧特攻平和会館」。太平洋戦争末期にこの知覧から出撃した特攻隊員の記念館です。
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この記念館、見ていて本当に涙が溢れました。明日には出陣(=死ぬ)ことが決まっている20歳前後の若者の、両親や家族などへの最後の肉筆が展示されており、正直上手く表現できませんが、切ないとか悲しいとかいう言葉を超越した彼らの顔が浮かんでくるのです。
「本当は死にたくなんてないに決まっている」筈なのに、「立派にお国のために全身全霊をかけて散ってきます。」書きながら彼らは、本音ではどう思っていたのでしょう?
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外には彼らが出陣をじっと待っている兵舎が復元されていました。こんな兵舎で彼らはどういう気持ちで夜を過ごしていたのでしょう? 
「このまま、朝なんて来ないでくれ!」と思いながら眠りについたのでしょうか?
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1時間の見学時間、全然足りませんでした!

特攻平和会館に近い富屋食堂も見学しました。
毎日晩飯を食べに来ていた特攻隊員が「明日出撃」の晩に、「明日の晩、ホタルになって帰ってくるからね。」と言った物語は映画にもなっているそうです。
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最後の見学地は知覧武家屋敷。楽しみにしていた観光地ですが、時間が無くなってちょっとはしょって見学せざるを得ませんでした。
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正直まだ特攻平和会館のインパクトが強すぎて、その風情を満喫する時間も精神的な余裕もありませんでした。でもやっぱりもう一度ゆっくりと歩いてみたい場所でした。
曲がりくねった、道路の風情、良いですよぉ~!
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観光が終わって空港行バスに乗り継ぐ「喜入」バス停に送っていただいたのが予定通り4時半。バス停周囲にはお店も何にもなく、このままバスが来なかったら大変なことになりそう… と危惧した我々の心配を察知してくれたのか、タクシーの運転手さんはバスが来るまで待っていてくれました。
今回2回目のタクシー観光もとにかく大満足でした。
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予定通り5時前に鹿児島空港行きのバスが到着、一路空港を目指します。

鹿児島空港到着は6時過ぎ。予定通り7時の便をチェックインし、重かった荷物を1000円で自宅直送にします。
最後のお土産を買ってから、空港内のレストランで今回の旅行最後の夕食を楽しみます。
でも特に名物料理とかで食べ残したものはありません。
最後の夕食は、「黒豚」の言葉につられて、とんかつを味わいました。
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1時間半のフライトは快適です。JALの業績回復を少しでも応援しようと、クラスJの差額を喜んで払っただけではなく、JALショップの財布をスチュワーデスさんに薦められて、3日後に誕生日を迎える妻についついプレゼントとして買ってしまいました。今回の旅行の最初で最後の「予定外出費」でした!?

羽田空港についたのは9時前。リムジンバスで大宮に直行し、大宮からはタクシーで自宅に帰りました。

家についたのは11時過ぎ。本当に大満足の5日間でした!