麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

春を感じる旅<伊豆・箱根>その①


2月になったので、そろそろ日本一周を始める(再開する)ことにします。

本格的な開始は4月になっての退職後になるのですが、少しだけ有給休暇も残っているのと、サラリーマンでいる今のうちなら、会社の福利厚生の補助金という強~い味方が使えるので、退職後に行くより少しだけ安く旅行に行けるというメリットもあります。

まだ関東はかなり寒い季節なのですが、それでもさまざまなところからは春の便りが少しずつ届き始めているようです。
「季節感を大切にする」ことは今回の日本一周の大きなテーマでもありますので、そんな春の息吹きを実感しに、今回は伊豆を中心に「春の訪れを感じる」二泊三日の旅をしました。

1日目:2月22日(日)

この日の天気予報は生憎の雨模様。特に旅行先の伊豆半島にはずっと雨マークが並び、「終日、傘のお世話に…」という最悪の予報です。
「毎日が日曜日」になる退職後であれば、出発を延期したいところですが、まだ限られた休暇を利用する身分ですし、ホテルも予約してあるので、「延期」という選択肢は今回はありません。

私は自分では、人生全体の運はともかく、こと旅行においては「晴れ男」だと自負しています。妻は30年以上前の初デートとその次の2度目のデートが雨だったので、「この人は雨男に違いない!」と第一印象から思っていたことを30年目にして初めてカミングアウトされて、ちょっとびっくりしました。
「去年の北海道も、その前の九州も、雨に逢わなかったでしょう?」と言って、自分の晴れ男振りをアピールしましたが、信じてくれたのかどうか…
まぁ、一年後には結果は明らかになるとは思います。日本一周がずっと晴れなんてことはないとは思いますが。

いつものように早く起きて準備も早々に済ませてしまった我々夫婦は、いつも通り計画よりも早く今にも泣き出しそうな空を見上げて、7時半には車をスタートさせました。今朝見た最新の天気予報によると、埼玉は曇り→雨で、伊豆はずっと雨予報。「お天気の神様、何とか持ってください!」と祈りながらハンドルを握りしめます。

家から30分強裏道を走って圏央道の桶川北本ICへ。昨年、圏央道東名高速まで繋がったので、楽しみにしていた初ルートです。
家を出てから一時間半後には、もう海老名JCTから東名に乗っています。昔なら、まだ首都高の上かせいぜい瀬田でようやく東名に乗れた時間です。これで今年中に圏央道が自宅に近い白岡菖蒲ICまで開通すると、おそらく今よりは15~20分は時間が短縮できそうなので、本当に夢のようです。

東名高速を走るのも五年ぶりです。前回は病気で倒れる1ヶ月前に松本~富山~岐阜~名古屋とGWにドライブした超渋滞の帰り道で、当時工事中の新東名を横目で見ながら、「早く新東名、できないかなぁ~?」と思った記憶があります。
その新東名への分岐は、勿論立派に開通しています。「4月には必ず乗りに来ます!」と横目で挨拶をして通りすぎます。

東名を沼津ICで降りて、いよいよ伊豆に向かいます。今日のルートは伊豆半島中央部を縦断して、下田から南伊豆まで行く予定ですので、まずは観光をしながら「天城越え」を目指します。

最初の見学地は、韮山にある「韮山反射炉」。業界人として知ってはいましたが、初めての訪問です。この韮山反射炉に行く気になった理由は、「この韮山反射炉世界遺産(に推薦される)候補に決まった。」というニュースを耳にしたので、世界遺産には敬意を評して出来るだけ行くとポリシーを決めていた身としては「これは、行っておかないと!」と考えた次第です。
反射炉付近にはさっそく「何としても世界遺産になりた~い!」的なアピールが目立っています。
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入口にいたボランティアの方に世界遺産推薦の詳細を訪ねたところ、今回候補になっているのは「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」とのことで、伊豆地方ではこの韮山反射炉だけが候補に指定されているのだそうです。(因みに、九州・山口以外ではこの韮山反射炉と岩手・釜石の高炉なのだそうです。)
「九州・山口なら萩の反射炉が候補ではないのですか?」とちょっと嫌味な質問をしてみましたが、ボランティアの方曰く「あっちは実験だけですが、こっちは本物!」なのだそうです。
実際の反射炉を見学しましたが、勿論中に入れる訳ではなく外から眺めて覗くだけなので、もし地元の期待通りに世界遺産に選ばれたなら、地元は大いに盛り上がることでしょうが、「見たらがっかり」的にならなければ…と、大きなお世話ながら少しだけ心配になりました。
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ともあれ、遠く九州・山口の各地と組んだ戦い、頑張って欲しいものです。

雨は時折パラパラとやって来ますが、ありがたいことにまだ本降りにはなっていません。まだ降られていない我々の幸運に一縷の望みを託して、次に向かったのは元々は最初に来ようと心に決めていた展望スポットの「伊豆の国パノラマパーク」 。ロープウェイで山の上まで登り、間近に見えるはずの日本のシンボル富士山に、「これから日本一周しますので、宜しく!」と最初の挨拶をすることを、今回の最初の目的に決めていた故です。
ロープウェイ乗り場まで来たものの、小雨模様でロープウェイの頂上駅もどんよりと霞んでいる状況です。
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勿論富士山があるはずの方角にも分厚い雲が垂れ込めています。これでは上に上がっても富士山へのご挨拶どころか伊豆半島各地すら見えなさそうなので、千円を越えるロープウェイ代が惜しくなったことも事実ですが、断念して先を急ぐことにしました。

まだ昼ご飯には早いので天城峠方向に車を進め、石川さゆりの曲でも有名な「浄蓮の滝」に向かいます。ここ浄蓮の滝は仕事でもプライベートでも来たことがありますが、「滝までの階段は結構ツラい」という記憶があり、「この階段を制覇出来るかどうかで自分の回復度合いを確かめることが出来るかも?」 とあえて選んだ観光地です。
駐車場に車を停めると、幸いなことに雨は暫しやんでくれていますので、勝手知った階段を降り始めます。
上から滝は見下ろせるので、三年前であれば上から滝を遠望して満足していたのでしょう。
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でも、今は兎に角「行けるところまで行こう!」と少しずつ階段を降ります。片方にしか手すりがない階段や、下がかなりデコボコしているところも多く、自分の許容範囲ギリギリの場所も多くありました。昇ってくる親切そうな人は、私を見て「この先も結構厳しいですよ。(あなたには)ちょっと無理じゃない?」と親切にアドバイスいただきますが、お礼を言いつつ「行けるだけ、あと少し」と一歩一歩亀のように歩んで行きます。
何とか滝壺までたどり着いた時の感動は、今までに味わったことがない種類の感動で、滝壺の間近でたっぷりのマイナスイオンを浴びてリフレッシュすることが出来ました。元気だったころには、この感動は味わえなかったかもしれません…
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登りも下る時と同じくらいスリリングではありましたが、ゆっくりゆっくり昇ったお陰で、何とか上まで戻ることができ、自分へのご褒美として伊豆名物の「わさびソフト」を満喫しました。「わさびソフト」 どう考えても合わないと思う組み合わせですが、意外とイケました。ワサビ特有の「ツーン」とくる感覚は、ソフトになっても不思議にもあるのです!?
それにしても、この滝への階段と格闘している間、雨は止んでくれていて、本当に助かりました。傘をさしての階段なんて、今の私には絶対に無理なので…

お待ちかねの昼食ですが、前の日に食べログで見つけた「あまご茶屋」という伊豆の地物が美味しそうなお店が近くにあり、行ってみることにしました。
妻は天ぷらそばで、私は大好物の「ワサビ定食」をオーダー。店名にもなっている川魚のあまごも追加注文して半分ずついただき、大満足です。
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でも、本場のワサビはその場ですりおろしていただくのですが、片手の私は一人ではワサビをすりおろすことすらできず、結局妻に手伝って貰ったというより作って貰い、申し訳ないというか情けない気持ちになりました。せめて大好物のワサビぐらい自分でできるようにもっと頑張らないといけませんね!

午後は天城峠を越えてのドライブですが、天気予報通りの激しい雨が降り始めます。滝好きの自分としては河津七滝も見たい気持ちはあったのですが、雨も激しいし浄蓮の滝でとりあえずは満足したので、泣く泣くスルーさせていただきました。
明日のメインの観光スポットである河津の桜並木の横を通過。凄い雨の中を、日曜日なので凄い数のお客さんが傘をさして桜見学をしています。傘をさしての行列ですから、人数は倍ぐらいに見えてすごい混雑に見えるのです。
「大丈夫、明日は雨降んない!」と今見ている人たちには申し訳ないと思いながらも、明日の快晴を改めて祈りました。

この日の午後のメインは、伊豆半島突端に近い南伊豆町の「みなみの桜と菜の花まつり」。下田を過ぎ、南伊豆町に着く頃には、不思議なことに雨は再び小降りになってくれました。会場の中心部にある臨時駐車場に車を停め、傘を持って川沿いに続く桜並木の散歩を始めます。
「みなみのさくら」の開花状況は、一分~五分咲きぐらいでしょうか? 木によってはまだ全く咲いていない木もあり、かなり咲いていて「うん、春が来てる!」と思わせる木もありました。
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みなみのさくらは河津桜と同じ早咲きの品種のようで、普段見る桜より色が濃い(ピンク色が強い)のは河津桜と同じ状況のようです。
でも、この写真だけ見ると確かにこれが2月だとは思えないですよね!?
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引き続き雨は止んでくれているのですが、「終日雨」の予報でしっかりと降られてもいいように大きな傘を持っての散策です。雨は降りださないだけありがたいのですが、結局散策中に雨に降られることはなく、「傘、車に置いて来れば良かったね…」と妻と話しますが、30分前の豪雨を考えると傘を持たずに散策して、びしょ濡れになる可能性の方が怖かったので、これは仕方がありませんね。
でものんびりと1か月以上早い桜見学を満喫しました。
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さくらと菜の花の組み合わせは、地元埼玉でも幸手の権現堂や昨年訪ねた熊谷の荒川河川敷があります。権現堂も荒川も、桜並木の下にずっと菜の花が咲いており、桜色と黄色(い菜の花)の2色を同時に見られるので、ここ南伊豆も同じかなぁ?と考えていましたが、桜並木の周りには少しだけ菜の花は咲いてはいるものの、「2大スター」と命名する程の量ではありません。ここ南伊豆町のみなみの桜と菜の花は、「桜は桜、菜の花は菜の花」と見られるエリアが違うのだそうです。菜の花は隣のエリアなので散策しながらのんびりと見学もできるようなので、普通ならそうするところなのでしょうが、いつまた雨が降るかわからない状況ではのんびりと隣のエリアまで片道30分強の散歩をする気分にはなれません。ついては駐車場に戻り車で菜の花の観光エリアである日野(ひんの)地区まで数分のドライブをしました。
日野地区の菜の花は凄いボリュームでした。車を降りた瞬間に、菜の花の香りが我々を歓迎してくれ、桜との共演ではないので、菜の花が「俺が主役」と堂々自己主張しているようです。山村暮鳥の「いちめんのなのはな」が延々と繰り返される詩は、まさにこのような風景を詩に表したのですね!?
(タイトルを全く忘れていたのでネットで調べました。「風景 純銀もざいく」という詩でした。)
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”いちめんのなのはな”の世界を満喫し、本日の宿に向かいます。本日のホテルは伊豆東海岸稲取温泉にあり、昔団体旅行で何度かお世話になった大型旅館「いなとり荘」の姉妹館である「ペスカードいなとり」。
これからの日本一周は、今までの旅行と違いとにかく旅行費用を節約しなくてはならないので、昨年の北海道旅行の時のような豪華な宿に泊まるわけにはいきません。とはいっても病人を含む初老の夫婦が野宿をするわけにもいかないので、出来るだけ安い宿泊施設を泊まり歩く予定にしています。30年以上振りに、昔お世話になった若者の宿であるユースホステルの利用も真剣に検討しているくらいで、映画で寅さんが泊まり歩いた「木賃宿」のような宿の利用も現実的です。
とは言え、「昨年の北海道旅行の時の豪華ホテル」からいきなり「寅さんの木賃宿」では妻にはギャップが強すぎて、日本一周へのモチベーションが萎えてしまう可能性がある気がするので、徐々にソフトランディングを目指し、ホテルでもエコノミーな宿を選んでいます。勿論、「木賃宿」では会社から宿泊補助金を貰えないという現実的な理由もあります。
とは言え一応はあと少しだけは”業界人”であるので、「安かろう悪かろう」な宿を選ぶことはありません。この日の宿は世間的な標準で言うと決して安い宿ではありません。「全体的にレベルも宿泊費もかなり高い伊豆エリアとしては、やや安い宿」です。

この「ペスカードいなとり」、確かに建物は古くロビーなどにも豪華さは全くありませんが、そのあたりさえ気にならなければ快適な滞在が出来ます。
風呂はデラックスホテルである姉妹館「いなとり荘」のお風呂に同じように入れますし、「海鮮宿」と銘打つだけあって食事もそれなりです。
チェックイン後、早速「いなとり荘」の展望大浴場を満喫し、夕食前にはこの日に獲れた新鮮な魚を見せていただき、「刺身の+1品はどれにしますか?&金目の料理はどの方法がご希望ですか?」とチョイスが出来て海鮮宿の本領発揮です。
因みに私が選んだ刺身の+1品は、大好物である「シマアジ」で、金目は定番ですが”煮つけ”でいただきました。
後は寝るだけなので、部屋の古さは気になりませんし…

雨予報の初日でしたが、この日については「晴れ男」というより「雨に降られなかった夫婦」の幸運を感謝しつつ、早めの眠りにつきました。