麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

【日本2周目開始!】韓国に一番近い島へ!<その2:壱岐>

3日目:5月1日(月)
この日から、待望の離島めぐりの開始です。いよいよ本格的な"2周目"が始まるということで、少々エキサイティングな夜明けを迎えています。
離島めぐり最初の目的地に選んだ島は、壱岐対馬。日本の最果てとして頑張っている対馬に是非一度は行きたいという悲願があり、今回の第1回目の旅を決める最大の決め手でした。
壱岐については、それほどの強い理由があったわけではありませんが、この島の多くの扱いが「壱岐対馬」といういわば対馬とのセット販売のようになっていて、交通の便も2島めぐりに便利なようにできていますので、迷わず壱岐対馬行きを選択しました。世界遺産登録を目前に控えた沖ノ島にも行きたかったのですが、交通機関の関係等で断念、次回に回すことにします。
勿論、壱岐と言えば何と言っても魏志倭人伝の"一支国(いきこく)"。そんな昔から国家として栄えていた島に、興味がないはずはありません。短い壱岐滞在中に、その歴史を満喫できればと、タクシーでの島めぐりを楽しみにしていました。
福岡港からのジェットフォイルは8時発。これに乗れば9時過ぎには壱岐に着き、すぐに観光が始められます。
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いつもは車を積んでののんびりフェリーの旅で、デッキに佇み島影やカモメとのふれあいを楽しむのですが、「基本はシートベルト着用」のジェットフォイルにはそんな旅情はありません。船内に流れるBS放送メジャーリーグ中継を見るうちに、あっという間に壱岐に到着します。
壱岐郷ノ浦港にて迎えてくれたタクシーの運転手さんは、地元出身のいかにも朴訥そうな人。壱岐という場所的にも京都の時の運転手さんのように、歴史を能弁に語るタイプでもそんな土地柄でもありません。でも、的確に壱岐の魅力を案内してくれました。
港近くの高台にてまずは壱岐を一望。島の最高地点とは言え標高200メートル強では、そこまでのダイナミックな眺望は期待できません。人気観光地であれば、この上にタワーでも立つのでしょうが…
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2周目を始める前、「1周目の今までは、いわば日本のオールスター観光地を回ったけれど、2周目特に離島めぐりには、そこまでの観光地がない場所もたくさんあるので、そこは理解してくれないとこれからの旅は辛いかも。」と妻に宣言して2周目の旅を始めたことを、いきなり思い出しました。
次は島らしい海の眺めを2つ。最初は鬼の足跡という海が割れている眺めを高いところから見渡す場所。鬼が踏ん張ってできた窪みとのことで、もう片足を踏ん張った跡は、壱岐島のずっと先にあるのだとか…  何とも、スケールの大きな伝説です。
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すぐ近くにはゴリラの横顔に見えるというゴリラ岩もあります。確かによく見ると似ていなくはないのですが、似た名前の男鹿の「ゴジラ岩」に比べるとイマイチな印象。少なくともCMにはならないであろうと思われます。
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次は壱岐のポスターなどで一番見た風景である「猿岩」。ここに来て、壱岐に来られたことを実感しましたが、写真で見る以上の感動があるわけではありません。
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このタクシーに乗ってすぐの頃に、「お客さん、古墳に興味はありますか?」と聞かれたので、「そりゃぁ、人並みにはありますけど…」と答えたので、"古墳好き?"とみなされたのか、次は壱岐の古墳の三連発。壱岐には、長崎県(そう、壱岐対馬長崎県なのです!)にある古墳の2/3の古墳がこの島に集中しているのだとか。すぐ近くにあるその3つの古墳も、時代が微妙に違うのか身分が違うのかは不明ですが、3つ共に趣の違う古墳で、どれも中々興味深いものでした。
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どの古墳も中に入ることができ、じっくりと見ることができます。以前に訪ねた奈良の古墳はみんなそれなりにお金を取るのに外からしか見られないことに比べて、"壱岐はみんなタダで見られていいね!"なんて妻は言っていますが、奈良の古墳はその歴史的価値も知名度も段違いなので、いささか見当違いですね。
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3つの古墳共にゴールデンウィークなのに観光客は見事に我々だけなのですから、有料にしたらかえって赤字が増えるだけでしょう。
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壱岐と言えば、酒好きには名高い壱岐ブランドの麦焼酎。7つぐらいあるらしい蔵元では、オリジナルの焼酎の味を競っているようです。いつも車で旅をすると、酒蔵に来ても試飲は叶わないので、イメージだけで土産と自分用とを選んでいたのですが、嬉しいことに今日は思う存分試飲をして選ぶことができます。空腹だったので、予想以上に酔いが早く回ってしまいましたが…
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壱岐のお昼と言えば名物は"ウニ丼"。タクシーに乗る前から運転手さんには、「ウニ丼のお昼を中心に予定を組んで下さい。」とリクエストしていました。ウニ漁は解禁されたばかりとのことでしたが、噂通りの壱岐名物のウニ丼は超絶美味でした。自分史的には積丹半島で食べたウニと頂点を争う過去最高のウニ丼で、前菜(?)として先に出された地元産らしい豆腐とあおさの味噌汁が超絶品 。付け合わせまで含めると自分史上最高のウニ丼でした!
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昼食後、港を見下ろす高台に昇ります。ここには朝鮮征伐の時に戦国大名オールスターズが来たそうなのですが、何と総大将の豊臣秀吉もここまでは来て、軍を鼓舞したのだとか… 私は秀吉は名護屋城にデンと構えていたとばっかり思っていたのですが…
戦国時代を彷彿とさせる石垣跡です。
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「運転手さん、魏志倭人伝から秀吉の朝鮮征伐と、大陸と日本の歴史的舞台に何度となく登場する壱岐ですが、神功皇后元寇の歴史はあるのですか?」という質問と期せずしてほぼ同時に着いたところが元寇の古戦場。残念ながら壱岐では神風は吹かなかったようで、圧倒的な兵力の元軍に蹂躙されたとのこと。ここでも昔日本史で勉強した史実が、圧倒的な迫力で訪れた我々の胸に迫ります。
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ちょうど壱岐島を半周して海の綺麗な北の突端に来たので、「綺麗な海を見るには遊覧船がいいですよ!」という運転手さんのオススメに従って、およそ1時間の遊覧船に。
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本当に海の色は吸い込まれそうになるくらいキレイで、合計4人の乗客でこの素晴らしい景色を独占するのは、とっても勿体ない素晴らしい1時間でした。
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船は、途中無人島までの送迎の役割も兼ねているようで、無人島からは冒険を終えたイギリス人カップルが乗り込んで来ます。ゆっくり来たなら、是非とも散策してみたい無人島ではありました。
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後半は島の反対側である東側を観光します。東海岸にもみどころは豊富。海のキレイな”左京鼻”を見ながら、「右京はないのかな?」と、"相棒"好きの妻は呟きます。
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波打ち際に立つ「はらほげ地蔵」。満潮の時には地蔵の半分ぐらいまで海に浸かるようなのですが、今はほぼ全体が出ていて、被写体としてはイマイチ。
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でも、ここので観光客の数がこの日の観光地の中では最も多く、10人ぐらいはいました。さすがは、ゴールデンウィーク!?
干潮時には小島までの道ができて、満潮時にはその道が無くなるという小島神社。「小豆島のエンジェルロードみたいですね!?」と言うと、「あっちの方が、ネーミングセンスが全然良いですよね!?」と島同士の対抗意識からかちょっとばかり羨ましそう。この時は半分沈んだ状態で、観光的にもまさに中途半端な状態でした。。
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次は一支国を偲べる「一支国博物館」。個人的には魏志倭人伝の世界を味わえるかと凄く楽しみにしていましたが、展示品の順序というか順路が大いにわかりにくく、いささか期待外れでした。展示品の順序または事前説明が必要に感じましたが、もしかしたら我々が入るちょっと前に係員さんが色々と説明されていたので、我々がトイレを探してるうちに聞き逃したのかもしれませんね。
博物館からすぐ近く近くに、遺跡を再現した施設があります。近くだけど同じ敷地内ではありませんし、入場料を払うような受付も見当たりません。
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施設そのものは、吉野ヶ里遺跡のミニ版といった感じで、魏志倭人伝によると、一支国を過ぎて(大きな)邪馬台国に着くのですから、やっぱり吉野ヶ里邪馬台国とした方が、私的にはスッキリとします。(学説的には旗色は悪いようですが、信じています!)
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タクシーの6時間チャーターの拘束時間は過ぎているのですが、今日の観光の最後に我々の宿近くで運転手さんイチオシの「松永安左エ門記念館」に行くことに。事前にネットなどで情報は仕入れていたものの、"電力の鬼"と称された方の記念館には、正直あまり興味が沸かなかったのですが、運転手さんの今日イチの強いリコメンドに触発された格好です。
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見学者が誰もいない記念館に入り、@100円の入館料を払うと館長さんが一つ一つ丁寧に説明をはじめてくれます。早くホテルに入りたい妻を気遣い、多少は急ぐふりをしましたが、私がよく知らなかっただけで、実は本当は凄い人だったのです。おまけに友人の母校の創設にも寄与していて、大いに興味が湧きます。何より感心したのは、私が生まれる前後のあんな昔に、今を見通した様々な提言を政府などに対して行っていたこと。記念館に展示されているそれらの提言を、ゆっくりと読んでみたくなりました。
「あんまり、みどころはないのかなぁ~!?」というややマイナスイメージで始まった壱岐一周でしたが、1日で体験しきれないくらいのたくさんの素晴らしいものが見られて、超大満足です。
「離島めぐりのスタートに、壱岐を選んで本当に良かった!」という感謝で一杯になりました。
今晩の宿は料理のクチコミで選んだ宿。刺身もシーフードの創作料理もとっても美味でしたが、隣の客席に「お待たせしました。壱岐牛です!」と壱岐牛のステーキが運ばれて来て、「そうだ! (追加料理と言われていた)壱岐牛を頼むのを忘れてた!!」と、自分の失態に気づくはめに。この旅での壱岐での食事はもうないし、ステーキは今からでは頼めないし… シーフードですっかり満腹になりつつあった老夫婦なので、ステーキが無事にお腹に収まったかはいささか疑問ではありましたが、もう一度壱岐に来る”宿題”が残った気分でした。
4日目:5月2日(火)
今日は昼前のジェットフォイル対馬に渡る予定です。意外に広い壱岐ですので、宿から昨日来た港と違う港までは、タクシーを使えば3000円以上らしいので、ここは時間を指定するなどの贅沢は言えないものの、費用を節約できる宿の送迎サービスを利用させていただくことに。
ということで出発時間までやや時間があるので、宿のある印通寺港付近を散策します。ここは唐津からの定期フェリーの発着地ですが、次のフェリーまでは時間があるので人もいなくてとっても静かです。
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お土産屋さんで働く人たちも手持ちぶさたな感じ。
特にみどころもないのであてもなく歩くうちに、昨日最後に訪ねた松永記念館に。何となく改めて外に展示されている福岡の市電を昨日の話を思い出しながらぼんやりと見ていると、昨日案内してくれた館長さんが再び登場します。
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「もう一度、ご案内しましょうか?」と誘われますが、丁寧にご辞退申し上げて、散歩を続けます。やっぱり、壱岐には親切な人が多いのです。
対馬行きの港までの送迎車の乗客は我々だけ。運転手さんは開口一番、「対馬沖では、昨日カールビンソンが目撃されたみたいですよ!?」と、いよいよキナ臭くなっている国境の島に向かうことを実感します。運転手さんは運転しながら、壱岐の景色を一生懸命ガイドしてくれています。我々も、"昨日、聞きました"なんて野暮なことは言わずに、熱心に聞き耳をたてます。
親切な運転手さんは、少し遠回りして小島神社に寄り道。昨日は中途半端でしたが、今日はしっかりと道ができていました。
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いよいよ、昨日と同じこのフェリーで、”国境の島”対馬へ向かいます!
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