麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

TV2題 情報番組への不満と感動している連続ドラマ


一昨日52歳にはなりましたが、勿論そのことによる劇的な変化があるわけではありません。「とりあえずこのように52歳の一日も、毎日淡々と過ぎてゆくんだろうなぁ~」なんて考えながら毎日を送ることになるんだろうと思っています。
昔の井上陽水の曲、「白い一日」の「今日も、一日が すぎてゆく」というメロディーを思い出しました。
今日は、病気になって以来、より毎日の楽しみの多くの部分を占めるようになったTVに関することを2題書こうと思います。

1、NHK「ためしてガッテン脳卒中に抗議!
先週水曜日、珍しくちょっと遅くなり20時前に都電荒川線でガタゴト帰宅していた時間です。珍しく携帯に叔母さんから電話がありました。最近叔母さんから電話があるときは、あんまりいい話ではなく、「誰かが亡くなった」という訃報ばっかりです。今年もう2回親戚のお通夜があったばかりですし、他には訃報の対象になるような人はいません。
「では何だろう? まさか…??」と思い電車の中なので遠慮がちに電話に出てみると、「これからNHKで脳卒中のことやるよ! 見たら!?」というありがたいアドバイスの電話でした。
8時まではあと数分、まだ電車の中で家に帰るまでにはあと1時間はかかります。
こんな時にありがたいのがリモートの録画機能。スマホから家のビデオにアクセスして、早速録画予約をさせていただき、昨日土曜日にゆっくり見ました。

放送の内容については「知らない最新治療の内容を教えてくれるのかな?」という期待感も少しはありましたが、先日も最新の治療法でBMIが紹介されたばかり… いくらなんでもこんなに早くにまた新しい最新治療が出るわけない!? と思って見ていましたが、さすがにそこまでの内容ではありませんでした。

何より腹立たしかったのは、「脳卒中のリハビリには半年の壁があり、発症から半年間はリハビリにより回復が期待できるが、半年を過ぎると回復は期待できない!」とTVで何回も強調・断言していたことです。

個人的にはこの放送・発言、我々患者の希望を裏切る許せない発言でした。
確かに発症後半年の「回復期」を過ぎると回復は停滞し、「治らなくなる」と以前は言われていたそうです。ところが近年の進歩した医学では、「発症後半年以降は、確かに急激な回復はしなくなるものの、とは言え『もう回復しない』という訳ではない。回復スピードは極めてゆっくりになるけれど、回復しないという訳ではない。だから諦めずにリハビリを続けなければいけない!」という学説が主流になっており、当然私もその説を信じて間もなく2年になるのに諦めずにリハビリを続けているのです。
そんな我々の心情を斟酌せずに「6か月の壁」「もう回復しない」と平然と言い続ける司会者。
「黙ってペヤングのCMだけでとけ!もう絶対食わないけど!」と猛抗議したくなる心情でした。

でも勿論対策は紹介します。「半年の壁を破る夢のような薬が発見されました。 それが、ボツリヌス菌です!」TVではびっくりしている出演者のオーバーな表情を捉えます。
ボツリヌス菌… そう、私が慶應病院で既に2回注射を受けている「ボトックス」がまさにこのボツリヌス菌の注射なのです…
最初に注射されたのが入院中の昨年4月、2回目は昨年の10月でした。実は来週火曜日に慶應病院の予約があり、場合によっては3回目のボトックス? と予期していていた時期だったので、正直「そんなに最新治療だったんだ!?」とちょっと意外でした。

でもNHKさん。 「ボトックスを打つことだけが半年の壁を破る画期的な治療。」ではないと、少なくとも私は信じています。
それにボトックス… TVでは生々しいので当然一切触れられていませんでしたが、実は少々高いんです。
保険適用になったとは言え、保険適用後でも3万円はかかり、医師曰く「10万円の注射だから簡単には打たないよ…」なのだそうです。
来週、慶應病院のF先生の診察です。TVの放映後「ボトックスの希望者、増えたのでは?」と聞いてみようかと思います。

番組の放映を教えてくれた叔母さんには感謝ですが、個人的にはあまり参考にならずモチベーションを下げる「見なきゃよかった」番組でした。

でも引き続き、絶対に諦めません!

2、久しぶりに感情移入しているドラマ 「もう一度君に、プロポーズ
 
病気以降、TVをよく観るようになり、特にドラマを多く見るようになったというのはこのブログにも何回か書きました。今回のクール(10回の放送が多いので3か月ですが)も、ほぼすべての曜日でドラマを見始めましたが、1回や2回で見るのを止めてしまったドラマも多く、今でも見ている番組は火曜日の「リーガル・ハイ」や水曜日で次回が最終回の「ANSWER」など3本程度です。
その中で本当に久しぶりに個人的に激しく感情移入して楽しみにしているドラマがあります。その番組とは金曜日に放送している「もう一度君に、プロポーズ」という番組です。

このドラマ、話題の人気俳優が出るような話題の&派手な番組では全くありません。視聴率的には苦戦しているようです。でも、主演の竹野内豊の「優しさ」と「苦悩」の演技がとてもいいのです。

簡単に概要を書くと、竹野内豊和久井映見は子供はいないけど仲が良かった普通の夫婦。ある日可南子(和久井映見)が脳卒中くも膜下出血?)で倒れ、後遺症は残らなかったものの、結婚前の数年前からの記憶喪失となるという内容で、夫波留(竹野内豊)の苦悩とそんな妻に対する優しさが描かれている地味ですが見どころ溢れるドラマなのです。

「そんなバカな話がある?」と思うかもしれませんが、私の友人の妻も脳卒中による記憶喪失で「40歳を過ぎて意識が子供に戻ってしまい、実の子供より小さい子供になってしまった」という笑えない本当の話も聞いていたので、同じ脳卒中患者としても身につまされる部分もあります。
「自分のことを誰だかわかってもらえない」波留は怒っても泣き叫んでも当然だと思うのに、優しさから声を荒立てることもせずに妻のすべてを許すというか今の症状を受け入れます。
一時は妻のことを思うが故に「離婚しよう」と決心もするようですが、やはり妻を思う気持ちは強く、「思い出さないのであれば、もう一度ゼロからはじめればいい」と考え、タイトル通り「もう一度、君にプロポーズ」しようとするのでしょう。

この夫、波留を演じている竹野内豊が本当にいいのです。私にない「優しさ」を持っていて、「こんなにいい人いないんじゃない?」と思わせるぐらいに「いい奴」でカッコいいのです。主役夫婦の設定は30代後半、「大人が憧れる大人」って感じです。

また、この波留の「血がつながっていない父親」を演じている小野寺昭もいい味出しています。冗談しか言わないようなテレ屋キャラですが、本人も余命があまりない中で、妻の記憶喪失に苦悩する息子波留に対する思いやりの気持ちが痛いほど伝わってきて涙が出てきます。

近年、視聴率狙いでアイドルを主役に抜擢した薄っぺらいドラマが多い中で、中年とは言えないもののアラフォー夫婦が主役の話題性も多くないドラマですが、本当に見応えのある作品です。この一作の、ちょっと考えるような悩むようなしぐさだけで、竹野内豊が大好きになりました。

さすが「ドラマのTBS」の面目躍如ですね。
10%ない視聴率だそうですがネットの書き込みでは絶賛の嵐です。
視聴率だけに拘らず、こういう番組も作り続けてほしいと切に望みます。

あと2回ですが、時間があったら金曜10時是非ご覧ください。
竹野内の波留さん… ほんとうにいいですよぉ~!