長崎での全ての観光を終え、次は列車で熊本を目指します。
長崎からの特急列車は1時間に2本走っている特急「かもめ」。「白いかもめ」と呼ばれる真っ白な車体の列車も1時間に1本走っているようですが、我々が指定券を持っているのは「白くない普通のかもめ」でした。
でも、この普通のかもめの車輌は、昔九州新幹線が鹿児島~新八代まで部分開業した時に、博多から新幹線をつなぐ特急「リレーつばめ」として九州内で活躍して、私も新八代から熊本までの短距離の乗車経験があり、「いい列車だなぁ~! もっと乗っていたいなぁ~!」とたった30分の乗車では物足りないと、「もう一度乗りたいと願っていた」列車だったのです。
7年越しのこの夢がようやく叶った瞬間でした。
長崎を定刻に出発したかもめの乗車率は50%程度。まず、列車は本日最初に観光した浦上地区の中心、浦上駅に停車します。
最初のプランでは地理と時間を優先して、最後に浦上地区を観光して浦上駅に送って貰おうか…とも考えていたのですが、運転手さんの配慮通り最初に被爆観光を終えて本当に良かったと思います。逆に私がここ浦上駅からこの電車に乗って来た姿を想像すると、ちょっとうすら寒くなります。運転手のHさんに改めて感謝申し上げます。
かもめは快調に博多に向かって行きます。途中の車窓には有明海が広がり、のどかで美しい風景です。
このあと、新幹線との乗り継ぎ時間が僅か8分しかないので、「遅れたらアウトだなぁ~!」とちょっと不安になったりします。
いくら標準乗り継ぎ時間をクリアしているとは言え、やっぱりたった8分での乗り継ぎは足が不自由な私には相当のプレッシャーです。急いで在来線の改札を出て、そのまま目の前の新幹線改札口を通り、目の前のエスカレーターで目指す新幹線ホームに何とかたどり着きましたが、指定された6号車は遥か後ろ… 何とか指定された場所に着いたときは、もう列車がホームに到着する直前でした。
(なので、新鳥栖駅での写真はありません)
これから乗車するのは熊本行の新幹線「さくら」。昔、特急「さくら」と言えば、東京駅を九州行ブルートレインの先頭を切って4時半に発車する長崎・佐世保行のブルートレインでした。そういえば長崎出身の福山さんが、ギター1本担いで東京に出てきた列車も確かこの「さくら」だったと聞いた記憶があります。なので長崎から電車に乗ってきて、改めて「さくら」に乗り継ぐのは、少々変な気もします。でも九州行ブルートレインが廃止になり、「さくら」や「みずほ」や「はやぶさ」(これだけ、東北という完全な新天地ですが!)という由緒あるトレインネームが、別の活躍の場を与えられて、こうやって頑張って走っていることを、とてもうれしく思います。
個人的にはどこかで「あさかぜ」も復帰してほしいと願うばかりです。
九州新幹線さくら号は、2列・2列の4列シートで、非常にゆったりとした作りです。シートピッチも東海道新幹線N700系ばりに広く、新幹線の中でもトップクラスの広さだと思います。時間が中途半端なせいかそれほどの乗車率ではなく、その意味でも本当にゆったりしています。
九州新幹線の先に開通した区間、鹿児島中央~新八代間は2005年に乗った経験があるのですが、その時の印象は「巨大な&超高速な地下鉄」だったことを覚えています。海べりを走る鹿児島本線とは違い山がちな九州内部を縦貫するルートなのでやむを得ないという感じはありますが、とにかくずっとトンネルの中を走っているイメージで、「この時、わざわざ自腹を切って別行動して損した!」とちょっと後悔したぐらいです。
でも熊本までの区間は勿論トンネルはそれなりにあるものの、高架が中心の普通の新幹線の車窓でした。
熊本駅に新設された新幹線側出口を出ると、すぐにタクシー乗り場があります。とにかく荷物が重いので、すぐにタクシーにてホテルに向かいまずはチェックインします。
本日のホテルは熊本市内繁華街辛島町にある「熊本東急イン」。今回の日程で一番リーズナブルなホテルなのは、熊本宿泊は元々の予定ではなく、この1日は後で追加した日程だったためなのです。(本来はこのまま新幹線で鹿児島へ行き、本日は鹿児島止まりの予定でした。)
でもこのホテル、リーズナブルなビジネスホテルタイプですが、風呂が自宅のお風呂と同じでちゃんと「洗い場」がついています。なのでその意味でも超快適なホテルライフが送れて大満足です。これで朝食付きで2人で1万円ちょっとなので、文句のつけようがありませんでした。部屋は2階の市電道路沿いなので、カーテンを開けると深夜まで人が見える部屋でした。
ホテルにチェックインして荷物を置いたのが6時半。これからは熊本の唯一の観光予定である「夜の熊本城観光」に出かけます。
熊本城は8月中、「夜の熊本城ライトアップ観光」を実施しているらしく、この日8月31日はまさにその最終日… ということで二人ともまだ元気ならば、是非熊本城も見たい! と思っていました。
幸い、妻も私も疲れはあるのでしょうが、疲れ以上の感動と興奮でまだまだ元気です。「この体調ならば大丈夫、行くしかない!」と勇んでホテルを出発しました。
ホテルから熊本城までは地図を見る限り徒歩で15分ぐらいでつきそうです。タクシーで行くことも考えましたが、熊本の地理勘を掴みたかったのと、まだ日も明るかったのでそんなに遠くには見えない天守閣を目指してとぼとぼと歩き始めました。
結果的にこのチョイスは大失敗。天守閣に行くには結構な上り坂で、しかも狭い歩道のすぐ横を車がビュンビュン通り、結構怖い目にあいました。天守閣に行く観光客は皆タクシーに乗ってるし… 今回の旅行の唯一最大の失敗でした。
散々怖い思いをして、ようやく入場ゲートに到着。入場料は500円だと思っていたのですが、夜間入場なのでたったの200円。現金なもので再び元気を取り戻します。
熊本城は強烈なライトを当てられてライトアップされていますが、スマホのカメラをナイトモードにするとかなり明るく写ります。
やっぱりこのスマホ、只者ではありませんね。
お侍さんに扮したスタッフさんから、建物内部への入場を強く薦められましたが、靴を脱いで建物に入るのは精神的な負担も大きいため、「次回の楽しみに取っておきます。」と本当に再訪を誓って外観のみの見学としました。
その後売店で熊本のゆるキャラ「くまもん」グッズの物色。娘から「土産はくまもん!」と指定されていましたので、熊本での最大のプライオリティになったくまもん探しでしたが、くまもん人気は今や九州全県に広がっており、長崎にも鹿児島にもくまもんは出張していて販売がされていました。
でも、やっぱり本家本元の熊本に敬意を表して熊本で購入します。
帰りこそ下り坂ではありますがタクシーで帰ろうとしますが、閉門のチャイムが鳴り響く中に客待ちのタクシーはありません。
仕方がないので真っ暗になった下り坂をとぼとぼと下りました。
再び繁華街に戻って今日の夕食です。この日の夕食は今回の旅行で唯一予約などを全くしていませんでした。
毎日、名物料理的なコース料理が続くので、妻は簡単に食べられるけど大好物のお寿司あたりが食べたくなるのではないか? でも私は折角の熊本なので、熊本名物料理が食べたい! なので妻は寿司が食べられて、私は名物料理が食べられる店を探しておけばOK? と予想して店(こういう店は居酒屋に限ります)をいくつかリストアップしていました。(さすがに花金なので混雑は覚悟していました。)
妻に希望を聞くと「お寿司」。やはり夫婦を26年以上もやっていると、この辺りの予想を間違えることはありません。
目星をつけておいた雑居ビル1Fの飲み屋へ。食べログでも評価の高い「天草」というその店は、花金なので満員、しかも全員が地元民のようで、地元に愛されているお店のようです。でもやり手らしいおばさんはカウンターの少しの空きを見逃しません。カウンターのお客様に左右にギリギリ詰めてもらって、カウンターに何とか二人座れる席を用意してくれました!
改めて狭いカウンターに座ってお店全体を見渡すと、10席ぐらいのカウンターはおじさんとわけあり風の若いお嬢さんのカップルやおっさん二人連れの酔っ払い、15~20人ぐらいは入れる座敷席には地元のサラリーマンらしき人たちが方言丸出しで騒いでいます。何より驚いたのはカウンターの中にいる板前さんの多さ! 狭いカウンターの中には5人の板さんが忙しそうに働いています。どう考えても釣り合いが取れない板さんの数。どこか別に、もっと座敷があるのかもしれません。
一応一杯だけビールを注文しますが、我々のメインは料理です。妻の注文は握り寿司で、私のオーダーは、せっかくの熊本だからと、以前にも食べた熊本の名物料理で特に印象的な3品にしました。
まず出てきたのは「一文字ぐるぐる」(ひともじのぐるぐる) わけぎの根元をぐるぐるに巻き、酢味噌でいただきます。
どちらかというと味よりそのネーミングが強く印象に残っているメニューです。
そして熊本と言えば「馬刺し」。 柔らかくって少し甘みのある美味しい馬肉を、たっぷりといただきました。
名物料理を満喫、思ったより安かった会計をして大満足でホテルに戻ります。
万歩計を見ると、この日歩いた距離は22,000歩強。万歩計購入以来初の2万歩越えになりました。
本当に充実した8月の最終日でした!