麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

息子とタバコ


先週、7年半別々に暮らしていた息子が我が家に帰ってきました。
休みでちょっと帰って来たのではなく、別に暮らしていたアパートを引き払って我が家に帰って来たのです。アパートを引き払って自宅に帰って来た理由は、7年半勤めていた会社を辞めて、新たな生活をするために自宅から再スタートを切るためです。

長女が関西に転勤になって家を出てから3年… 2人の子供が家を出て妻と二人だけの生活が続いていましたが、3年振りに親子3人の生活に戻ることになった訳です。
7年前に息子が、3年前に娘が家を出た時には、残された我々はいつもいる子供たちが家にいなくなり、急に生活に大きな穴が開いたというか呆然とした淋しい気持ちになったのですが、3年も経つと妻と二人だけの生活ペースにもすっかり慣れて、今度は3人の生活に何となく慣れない感じです。二人だけの生活⇒食事は3人分用意しなければいけないし、風呂の順番も… なんとなく落ち着かない1週間を過ごしました。

息子は高校卒業以来、料理人を目指して「中華の鉄人」陳健一さんのお店(チェーン店)に勤めていましたが、勤続7年半でお店を辞め、新しい道に進むのだそうです。
新しい道とは… 「ラーメン屋を開業する。」ことを目指すのだそうです。
勿論、今すぐにラーメン屋を開業できるわけもなく、とりあえずラーメンの修行をしながら自宅に戻って開業資金をせっせと貯めて、何年か後(5年後が目標らしいですが)の開業を目指すのだそうです。

半年前に「ラーメン屋を目指すために会社を辞めて家に戻る。」ことを相談(というより宣言)されてはいたのですが、ごく普通のサラリーマンで会社というある意味では”ぬるま湯”の中でずっと過ごしてきた私には、独立開業の経験もなく、ましてや飲食業のノウハウなんて全くないので、何のアドバイスもしてあげられません。「会社を辞めた」ことも学校卒業以来32年間で一度もない私なので、そのあたりの手続きさえも知識としては何となく知ってはいるけれども、自分で経験したこともなく実体験のアドバイスもできません。
ただ、いくらラーメンブームが続いているとはいえ、独立開業して成功を収めることが出来るのは、数多くのラーメン屋を目指す人たちのうちのほんの僅かな人たちだけ… ということは知っています。TVで取り上げられるサクセスストーリーの主人公は本当に少ない人たちだけで、多くの人たちは開業前に挫折し、開業できたとしても借金を抱えて夢破れる… という惨状になるだろうと思います。
でも、「夢に向かって踏み出す」息子に「止めろ!」という気はありません。息子が悩んで決断した「息子の人生」なのですから、親としては温かく見守ってあげたいと思っています。

火曜日に7年間の一人暮らしの歴史の割には少ない荷物(家電製品などは、かなり整理してきたそうです)と一緒にに帰って来た息子は、翌日から早速バイトしながら勉強するラーメン屋探しを始めたようです。また、開業資金を貯めるためにもう一つバイトをする気のようで、こちらも早くも面接まで行っています。
手に職を持っているので、このあたりの「食うには困らない」さまは、一般のサラリーマンの私(+今は障がい者なので余計)よりもずっと引く手あまたのようです。

でも、一週間で早くも息子と衝突してしまいました。
その理由は「タバコ」。

息子は、20過ぎてからタバコの味を覚え、「プロの料理人を目指すんだったら、タバコは絶対止めろ!」と何度か言っていたのですが…
2年前に突然の病気で約1か月入院&自宅療養した時には、医者の勧めもあって禁煙を決意、以降「タバコとは縁を切った」と本人も言っていたのですが…
今回7年振りに家に帰って一緒に暮らすようになると、勿論我々家族に隠せるはずはありません。自室として与えた部屋の中のニオイは消しても消えません。

タバコに関しては、実は私は偉そうに言える立場では全くありません。、タバコを吸い始めたのは高校時代で、大学入試を前に半年間最初の禁煙をしたものの大学入学後にはずっとタバコを吸い続け、その後何度か禁煙⇒失敗を繰り返して、最終的な禁煙は「2000年になったらタバコを止める。」と宣言した禁煙にようやく成功し、以降約15年間タバコとは完全に縁を切っています。
でも、家の中ではもっと前からタバコは吸っていません。結婚して妻が上の子(娘)を妊娠したことが判明したその日から、家の中での喫煙は一切せずにベランダでタバコを吸ういわゆる”ホタル族”になり、今の家に越した後には、ベランダを含め家の中では絶煙しています。

今ではタバコの匂いだけでも大嫌いになりましたが、世間のタバコに対する風当たりが強くなってきて、今では吸えるところも非常に限られてきているので、タバコの匂いをかぐことも殆どなくなりました。
「健康のためにタバコをやめろ!」という意味では、40才前にようやくタバコをやめた私は、(50で脳卒中になって)「既に、手遅れだった」訳ですが、世間で言われている通り「味覚」の点で言えば「料理人」にとって喫煙は致命傷になると思うのです。そういった意味では息子にしてあげられる唯一のアドバイスが”禁煙”だと思うのですが、タバコの魔力に息子はまた押しつぶされてしまったようです。

喫煙していることが判った後、口で話すことも考えたのですが、より思いを正確に伝えるため、口頭をやめて紙で伝えることを決意し、A4×2枚の手紙を書き、息子不在時に部屋の中に入れておきました。
その後、(狭い家ですが)息子とは会話をしていません。
妻は、「ちょっと、厳しいのでは?」と言っていますが、私は間違っているとは思わないのですが… 
「大きなお世話」なのでしょうか?

子供に書いた手紙一部抜粋してここに掲載させていただきます。
私、間違っているでしょうか?

(以下、個人情報を削除した手紙)

XXへ

 2012年2~3月に、貴殿が入院してしばらく家で療養していた時、私が貴殿に禁煙を強く勧めていたことは忘れてはいないと思います。料理人として一人前になるためには、味覚をズタズタにする喫煙行為が貴殿にとって大きなマイナスとなることは間違いないと思うことが、最大の理由です。(勿論、健康面での心配もありましたが…)
貴殿も、理解して禁煙してくれたと信じていたのですが…

 確かにタバコを止めるのは難しいし、私も何回か失敗したので、その苦労は十分すぎるほどわかっているつもりです。でも、(料理を職業にしていない私の過去はともかく、)料理を職業にしている貴殿がタバコを止められないのであれば、正直貴殿のプロ意識に大いに疑問を抱かざるを得ません。ましてや、これから独立してラーメン屋を開業しようという夢に向かって邁進しようとしている今、タバコ一つ止められないようでは、ラーメン屋を開く夢は一刻も早く諦めた方がいいと思います。
今すぐに方向転換すべきです。ラーメン屋を開いて成功させるなんて、そんなに甘いものではない筈です!!

 私も、タバコと完全に縁を切ってから15年が経ちます。今ではタバコの匂いが大嫌いになり、現在の生活圏では全くタバコの匂いと切り離され、快適な生活を送っていました。また、29年前にXXがxxを妊娠したことが判った日から、家の中では一切タバコを吸うことは止め、それから約15年はベランダでタバコを吸っていたことは記憶にあると思いますが、家を買ってから18年間、この家では「完全禁煙」を守っていました。
(昔、貴殿が隠れて吸っていたことがあるのは知っていましたが…)

今の私には、正直家の中のタバコの匂いが耐えられません。自分の家に帰って来てこんなに不快感を覚えたのは18年間で初めてです。昨晩から、気持ちが悪くて殆ど眠れていないのも事実です。

大人である貴殿に、「タバコを止めろ!」と命令することは出来ませんが、少なくともこの家は私の家ですので、この家の中では本日以降「絶対禁煙」を守っていただきます。
貴殿の部屋の中であれ、喫煙は厳禁です。
喫煙は外でして下さい。
守れないのであれば、今すぐ家を出てアパートを探してください。

(中略)

 相変わらず煩い親だと思うでしょうが、普段は貴殿のやることに口を挟むことは出来るだけ遠慮しているつもりです。「今回の退社⇒夢に向かって進む」ことも、何も言わず(親として)できる限り応援しようと思っていました。
でも、本当に喫煙は舌をダメにするのです! 私は20年タバコを吸ったので、既に舌の機能はかなり失われてしまっています。貴殿も、もう「手遅れ」かもしれませんが、今すぐに止めれば「まだ間に合う」かもしれません。
「同僚がみんな吸っているから」というのがタバコを吸う「言い訳」かもしれませんが、あえて言わせていただきます。「だから、努力した一握りの奴しか成功しない。」んだと。
そう、タバコを吸ってノホホンとしている奴らが、みんな成功できるとはとても思えません。
だから、貴殿はその「一握りの人」になるためには、周りの人と同じことをやっていたのでは、絶対にダメだと思います。
今回の退社&転居は、「環境を一新させて自分が変れる大きなチャンス」ではないでしょうか!?

 タバコを止めるのは本当に大変です。でも今は、「禁煙外来」もあるのでこの利用も考えてください。(当時あったら、私も通いたかった!)
夢に向かって真っすぐに進むxxを、気持ち良く応援させて下さい。

 そのためにも、今後の自分の人生をもう一度よく考えてみてください。
 誰のためでもない、あなたの人生なのですから…