麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

2、紀伊半島周遊の旅③<三重県ーその2>


4月6日(月)

今回の日本一周は貧乏旅行です。今までとは違い、失業者ですから毎月の給料も出ないので、旅行費用は当然今までの貯金を食いつぶすことになります。
日本一周の先達の方々の本やブログを読むと、皆さん野宿をしたり車の中で寝たり… とそれなりに苦労されて節約しながら日本中を巡られているようですが、我々は病人を含む初老の夫婦ですし、乗っている車も1300CCのコンパクトカーですので、やはり安くても何かしらの宿には泊まらなければ旅行は出来ません。
なので宿の費用はシビアに研究しています。32年間お世話になった古巣の(グループ)会社には拘らずに、とにかく安いホテルをネットをフル活用して徹底的に探しています。1泊の宿泊費は2人で1万円を超えないことを最低目標としています。(時折、温泉宿などに泊まる場合を除きます。)
ですから朝食については、ビジネスホテルによくある「無料朝食」を除いては申し込まないようにしていて、その場合は前日にコンビニで菓子パンなどを仕入れて、朝6時過ぎには狭いホテルのツインルームのベッドに座って食べることが日常になっています。(狭いと書きましたが、安いから狭いのは当然です!)
朝起きるのも年寄り特有の早さで6時前、簡単な朝食はすぐに終わってしまうので、毎朝、7時過ぎにはホテルをチェックアウトして早々と観光に向かうことが、この旅の日課になりました。

この日も7時前には伊勢神宮近くのホテルを出て、まず向かったのはそのフォルムは絶対にみんな見たことはあるはずの、二見が浦にある有名な夫婦岩を目指します。
8時前には着いたのに駐車場を探してウロウロしているうちに、夫婦岩に一番近いところにある10台程度停められる無料駐車場はタッチの差で埋まってしまい、結局朝なので無料か有料かも判然としない駐車場(無料でしたが、お店のお客さん専用だったようです。開店前なのでスミマセン!)に車を停め、夫婦岩をお守りする二見興玉神社に参拝をしながら夫婦岩を目指します。
当然のことではありますが、「写真で見た通りだなぁ~」と言うのが偽らざる感想です。通常、有名な場所を初めて見た時には、「思ったより○○だなぁ~」とか思うものなのですが、この夫婦岩に関しては本当に想像した通りでした!
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ここで伊勢地区に別れを告げ、志摩半島に向かいます。この志摩半島にはテーマパークや高級ホテル、ブランド海産物グルメなどの高級観光素材はとっても豊富なのですが、それらの豪華素材は貧乏日本一周にはちょっと手が出ないので、簡単に観光するだけにとどめることにします。幸い、妻も「真珠が欲しい!」なんてことは言い出していないようなので、観光スポットの真珠島などもスルーさせていただきました。(本音については謎??ですが。)
志摩半島で最初に向かったのは賢島駅前の遊覧船乗り場。ネットの情報を頼りに駅前広場に車を停めて(無料!)、駅の中を通って遊覧船乗り場に向かいます。
駅には近鉄自慢の特急列車が停まっています。恐らく、名古屋または大阪(なんば)から来た豪華特急列車だと思います。こういう列車を見ると、(元)鉄ちゃんの気持ちは年齢に関係なくウズウズしてしまいます。「次回、これに乗りに来よう!」と決意しました!
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遊覧船はいくつかあり、ネットでは「駅を出ると客引き合戦が展開される」との情報があったのですが、この日は客引きさんたちの姿は見えません。我々は、はじめから一番無難そうな大型船「エスパーニャクルーズ」に乗るつもりにしていたので、ちょうど出航直後の時間だったため何もない港で待たされましたが、観光色たっぷりのこの船に乗り込みました。
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志摩半島は、リアス式海岸と島々が多数点在し、その中を縫ってクルーズ船が進むので、飽きることなくクルーズを楽しむことができました。
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あちこちにある養殖は、志摩半島らしく真珠や牡蠣なのだそうです。1時間のクルーズですが、15分程度真珠加工場に上陸してのショッピングタイムがあり、妻は真っ先に下船して、一番安い真珠を「旅行記念に!」と言って買っていました。
やっぱり本音は、「真珠が欲しい!」のでしょうね…
「甲斐性のない旦那で申し訳ない」と、心の中でお詫びしました。

下船後、今度は志摩半島の海を高いところから見たいと思い、「横山展望台」に向かいます。無料駐車場から階段を登ってたどり着いた展望台は本当に絶景でした!クルーズからでは見ることのできない、"This is 志摩半島!"という風景でした。
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展望台にある遊歩道を更に登ればもっと高いところに更にいくつかのもっと眺めが良い展望台があるようなのですが、今の私の足ではこの展望台が限界、でも十分に満足できる景色でした!

ここで昼食タイムですが、やっぱりたっぷり潮風を浴びているので、海のものが食べたいというのが夫婦共通の気持ちなのですが、伊勢とはいえ「伊勢エビ」などのブランド海産物には手が出ません。
「安く食べられる海のものはないかしらん?」と考えながらハンドルを握っていたのですが、ロードサイドに見つけたのが埼玉でも日頃大変お世話になっている100円均一の回転寿司のチェーン店である「はま寿司」!
躊躇なく車を停め、埼玉と同じ(??)味の回転寿司を味わいました!

午後は伊勢志摩エリアを離れ、いよいよ世界遺産熊野古道」の熊野地区に入ります。 
ところで、「熊野古道」というと私のイメージは和歌山県だったのですが、どうも熊野というキーワードでは三重と和歌山でどっちにもあるようなのです。例えば、熊野市は和歌山県ではなく三重県ですが、熊野古道を代表する熊野三山(神社)は全て和歌山県にあります。
世界遺産熊野古道」は三重県でも和歌山県でも使っているようですし、ウィキペディアで熊野を調べると、「熊野(くまの)は、和歌山県南部と三重県南部からなる地域である。」とあります。ネットでの意見によると、「熊野と言えば三重県で、熊野古道和歌山県。」という意見が多いような気がします。
この議論についてはこの場では結論が出ないような気もしますので、とりあえずここでは「両県にある。」ということで進めさせていただきます。

熊野で最初に向かったのは、海沿いにある3つの世界遺産。「熊野古道」からはかけ離れているような気もするのですが、これらも世界遺産として登録されているようなのです。
最初に訪れたのは、海沿いの「鬼ケ城」という大海原と奇岩の景観です。
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すぐ先には、普通のレストランの駐車場の横に車1台分停められるスペースがあり、そこから見える風景が「世界遺産獅子岩」だそうです。
他に観光客は全くおらず、ここでも「世界遺産の貸切状態」でした。
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そして同地区3つ目の世界遺産は、海に近い神社の「花の窟神社」。イザナミノミコトの御陵を祀るパワースポットのようなのですが、これらもすべて「世界遺産熊野古道」の構成史跡として指定されているようです。
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その後、海沿いばかりではなく紀伊半島内部も見たいと思い、いにしえの方々が熊野古道を歩いたさまを偲びながら、(とはいっても車で)紀伊半島内部に入っていきます。ここで見たかったのは日本の棚田の中でも有数の規模を誇る棚田である「丸山千枚田」。
「対向車が来たらすれ違えないかも?」細い山道をヒヤヒヤしながらの運転でしたが、たどり着いた棚田の展望スポットからの風景は、本当にずっとここで日が暮れるまで眺めていたい超絶景でした。
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その後、近くまで行き棚田の一部を散歩してみました。実際の人々の生活がある棚田を歩くと、改めてこみあげてくるさまざまな思いがあります。道を歩いていると実際に棚田で生活を営んでいる人から、「こんにちわ」と声を掛けられます。この方たちとももう会うことはないでしょうが、何となく嬉しくなりました。

この日最後の観光は、棚田の先にある知る人ぞ知る「赤木城址」。
築城の名手藤堂高虎が築いた山城で、昨今の竹田城備中松山城などの「天空の城」ブームにあやかったのか、10年ほど前に城跡が観光用に再整備され、このお城も「第3・第4の天空の城」として一部の話題になっているようです。
誰もいない城址公園に車を停め、城跡に登ってみようと試みますが、残念ながら手すりも多くなく足元もぬかるんでいて、急な階段を登るリスクは高そうです。
無理は出来ないと判断し、断腸の思いで諦め、下から400年前を偲んで我慢しました。
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本日の宿泊はこの旅はじめての温泉旅館。まだギリギリ三重県なのですが、和歌山・奈良と3県の県境が複雑に絡み合うエリアにある熊野市公共の宿、「瀞流荘(せいりゅうそう)」。この旅館を選んだ理由はいくつかあるのですが、理由の一つは「もう一つの温泉」の存在です。

この瀞流荘自体も「入鹿温泉」という温泉の一軒宿なのですが、この宿のHPでも「湯ノ口温泉」という、近くの”源泉かけ流し”の温泉を強くPRしています。
温泉としては湯ノ口温泉の方が(かけ流しなので)いいようなのですが、それよりも「鉄ちゃん」気質が抜けていない私が大いに気になるのは、この入鹿温泉(瀞流荘)と湯ノ口温泉を結んで営業運転している「トロッコ列車」の存在です。
このトロッコ列車に乗って、湯ノ口温泉に入りに行きたいところなのですが、入鹿温泉(瀞流荘)発のトロッコ列車の最終電車が4時発なので、この日は朝からガッツリと観光した我々が宿に着いたのは5時頃で、残念ながらトロッコ列車には乗れません。
でも、そんなけなげに頑張っているトロッコ列車、「乗れなくても、せめて走っている姿だけでは見てみたい!」と思い、湯ノ口温泉発の帰りのトロッコが5:20に宿の駅に着くので、カメラを持って列車の到着を待ちます。
時間通りにトンネルから出てきた(このトロッコ、ずっとトンネルの中を走るのだそうです)列車は、運転手さんがまるで遊園地の「おさるの電車」のようだったと言っては、運転手さんにあまりにも失礼ですね!!
残念ながら、この私が乗りたかった最終電車の乗客はゼロでした。
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その後、かけ流しの湯ノ口温泉に車で行ってみました。トロッコではトンネルの中をゆっくり走って10分で着くのですが、車では細い山道をぐるっと遠回りするので、確実に10分以上は掛かったと思います。細い道なので、すれ違いが発生するたびに結構大変な思いをしました。
旅館も温泉なのにわざわざ急いで別の温泉に入りに来て、夕食の時間が近づいて慌てて旅館に帰る…
慌ただしい温泉泊まりでした。