麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

5、北海道一周の旅<その2:えりも~帯広~霧多布>


3日目:6月27日(土)

宿泊地のえりもでは風が強く、旅館でもかなり大きな風の音がひっきりなしに聞こえていて、ちょっと寝るとすぐ強風にたたき起こされるような一晩でした。決して旅館がおんぼろなわけではありません。えりもでは頑丈な家を建てないと、その家はあっという間に倒壊してしまうような気がします。決して大袈裟ではなく… です。(”3匹の子豚”の教訓が、より強い意味を持ちそうです。)

本日はえりもを出て、帯広に向かいます。「北海道外周の旅」と言いながら、帯広は北海道の真ん中に近くで”外周”ではないのですが、十勝地方(帯広エリア)は、直近2回の旅行でも全く訪ねていないエリアでもあり、えりも~釧路あたりの道東地区の海沿いでは、「どうしても見たい!」という見どころも見つからなかったため、ここからしばらくは少し内陸に入ることにします。

最初に、えりも岬のエリアを少し見学しようと思って車をスタートさせますが、風が本当に強く、車を降りるのすら困難な状況です。「ちょっと降りてみよう」と言って車のドアを開けるのですが、すぐに風の力で思いっきり「バタン!」と車のドアが閉まって(戻されて)しまいます。何度か繰り返してみたものの、何度やってもすぐに閉まってしまい、妻も「これ、歩くの無理じゃない?」と半ば呆れ顔です。結局、前の晩に調べておいた岬周辺のみどころの散策は、強風のためすべて断念せざるを得ませんでした。

えりもから帯広方面に向かう国道336号線は、”黄金道路”と名付けられています。「道路に黄金を敷きつめたくらい、建設にお金がかかった道路。」と言うのがその命名の由来だそうです。黄金道路と書かれたモニュメントと海岸線を望める展望スポットについても、やはり風が強くて車から降りられずに、仕方なく車内からそのモニュメントだけを撮影しました。
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「不思議だけれど、えりも地区を出ると風って不思議なくらいになくなるんですよ。」と、今朝出発前にえりもの旅館のご主人が仰っていましたが、黄金道路を走っているうちに本当に嘘のように風が止まります。本当にこの大自然のメカニズムはとても不思議で、今日は天気はあんまり良くはないけれど、えりも以外は風もない普通の天気の日のようです。

さて、久し振りの十勝地方の観光です。最初に訪ねたのは、元国鉄広尾線の「幸福駅」。昭和の時代に「愛国から幸福へ」という切符が人気になった駅で、国鉄広尾線は昭和62年に廃線になっているのですが、切符の人気のお陰でホームなどは保存されていて、駐車場には数台の車(レンタカー)が停まっています。
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駅舎や記念撮影用の駅名標に加え、その当時主力だったディーゼル列車のキハ22が保存・展示されていて、当時「北海道ワイド周遊券」でひたすら列車に乗っていた私は、「あの頃、この辺の座席が好きだったよな…」と思い出しながら、ノスタルジーに浸ります。
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続いて「愛国駅」にも行ってみます。人気の切符は「愛(の)国から幸福へ」だったので、訪問順序が逆のような気もしますが、地理上の理由でそこまで拘るほどのことでもありません。愛国駅にも駅舎が残っていて、こちらにはSLが保存されています。でも、私が北海道を旅した昭和52年頃には、もう北海道でもSLは走っていなかったので、懐かしさはありません。
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懐かしかったのは駅舎内に残っていた「運賃表」。70円や80円の区間もあり、東京にも青函連絡船経由でたった8400円で行けたのです。昭和60年代のことと思いますが、隔世の感があります。
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広大な十勝平野を眺められる「新嵐山スカイパーク展望台」。晴れていれば広大な十勝平野とその先には大雪山などの”北海道の屋根”ともいえる山並みが見られるはずでしたが、生憎の天気で眺望はイマイチです。展望台でも風は無風で、3時間前のえりもでのことがとっても信じられません。
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帯広と言えばお昼は名物の「豚丼]です。でも、妻が豚をほとんど食べないので、豚丼の専門店に行っても妻が食べられるメニューはなさそうです。なので専門店を諦め、「豚丼も有名な天ぷら屋さん」の”ハゲ天” で「帯広名物豚丼」をいただきましたが、これが豚丼&天ぷら共に大正解!!
やっぱりさすがに本場の名店で、今まで食べた豚丼のレベルを遥かに超えた「まいう~」でした!
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帯広と言えば、「豚丼」に負けず劣らず有名なのが「六花亭本店」です。大学生の頃、まだマイナーだった六花亭の「モカホワイトチョコレート」をこの本店で大量に仕入れ、旅で出会った人たちに(実は、『女性と仲良くなるきっかけづくりに』という不純な理由が大半)「美味しいでしょ!?」と自慢ながらご馳走していたことを思い出します。
今はすっかりメジャーになった六花亭ですが、やっぱり帯広に来たら30年以上振りに本店に行かない手はありません。
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でも、今回の旅ではお土産を仕入れるにはいかにもまだ早すぎます。また、六花亭の商品は今の時代道内ならどこでも(というか、東京でも)手に入りますので、今回は折角の本店ですが、食後のデザートを味わうだけにします。
ここ帯広本店でしか味わえない「賞味期限3時間」の「サクサクパイ」と「賞味期限2時間」の「雪こんチーズ」を味わい、六花亭帯広本店に来た達成感で大いに自己満足します。
でも、我々がまだ北海道にいる間に、六花亭の札幌での新旗艦店である「六花亭 札幌本店」ができて、今までは帯広でしか食べられなかったこれらの商品が札幌でも食べられるようになりました!
個人的には、「帯広ならでは」を何かしらは残しておいてほしいと、強く願っています。

午後は、こちらも38年前に訪ねる予定にしていながらも行けなかった湖である「然別湖」に向かいます。帯広から大雪山方面に向かうこと2時間、標高が高くなるにつれてまたもや濃霧が強くなってきて、然別湖が遠望できる扇ヶ原展望台で全景を見るつもりでしたが、今回も濃霧のど真ん中で展望台に行っても何も見えなさそうと言うより、目指すべき展望台すら全く見えないので、遠望を諦めて湖のほとりを目指します。
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然別湖の湖面は何とか見えるものの、周囲の景観は相変わらずの濃霧でいつ見えなくなるかわからない状況でしたが、「霧が晴れる」ことを信じて遊覧船に乗りこんでみましたが、見事にその後は湖面全てが霧に包まれて何にも見えず、案内する船長さんが最後に「何にも見えなくて、スミマセン!」と謝ったぐらい全く何にも見えない遊覧船でした。
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然別湖からの帰りも、濃霧で道すら見えずのスリルあるドライブが続きます。でも結構な高地にある然別湖から標高が下がり、ダム湖である糠平湖が見えるあたりまで来ると、ようやく霧は晴れてきます。
本日最後の見どころは旧国鉄士幌線のダムで沈んだ橋梁が神秘的に見える「タウシュベツ橋梁」。ダムに沈んだ橋のすぐ近くまで何時間かかけて見に行く方法もあるそうなのですが、この橋梁が遠望できる展望台なら国道からたった200メートル程度で済むとのことなので、遠望で満足することにして意外に整備された道を歩きます。
今年は信じられないぐらいに水量が少なく、「ダムの上から橋が顔を出す」風景では全くなく、「ほぼ橋がすべて露出している状況」でしたが、念願の「タウシュベツ橋梁」をようやく(遠くからではありますが)見ることが出来ました。
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この日の夕食は、妻がある意味一番楽しみにしていた「回転寿司」。6年前、釧路でそのおいしさに圧倒され、旅行中に2回も行った釧路に本社がある回転寿司店「なごやか亭」が帯広にもあるので、この日は土曜日なので”長時間待ち”も多少は覚悟の上で、糠平湖から直接帯広郊外のお店までドライブします。
でも、やっぱり並ぶ時間は短ければ短いほど良い訳ですから、「スマホで順番待ちが出来るサイト」に事前登録しておき、「あと30分程度で到着」のあたりになってからすかさずスマホで来店登録し、お店に到着した時点では見事に「間もなくご案内です。」という絶妙のタイミングになって、15分程度で席にご案内いただきました!(因みに、その時点での待ち時間は、「1時間~1時間半」と言われていたようです。)
6年振りの「なごやか亭」、前回同様大満足でした! 個人的には、「日本一の回転寿司かも?」とずっと思っていましたが、その感想が更に強化された6年振りの訪問でした!

4日目:6月28日(日)

この日の目的地は釧路の先の霧多布の民宿。”外周の旅”としては太平洋に沿って走るのもいいのでしょうが、やっぱりこのルート近くには、北海道を代表する観光地がありますので、やはりここは有名観光地に敬意を表して、6年振りに定番観光ルートを回ってみることにします。

最初に訪れたのは「池田ワイン城」。大学生の頃、ここ池田のワイン城にはワインを飲み&大好物だったタンシチューを食べに毎年来ていました。その後レストランは閉鎖になったと聞きましたが、近年にはレストランも復活したようです。この日は10時前だったのでレストランには行きませんでしたが、今晩訪ねる民宿へのお土産用の十勝ワインと、我々夫婦が今晩飲む用に「町民用ロゼワイン」を仕入れます。
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このロゼワイン、32年前には「町民還元用ロゼワイン」という名前で池田町内のみで販売されており、私も来るたびに毎年買っていました。当時の値段が800円でしたが、今でも1000円以下で販売されています。32年前の味の記憶は全くないので当時と比較のしようもありませんが、このワイン美味しくて一晩で飲み干してしまいました!

足寄経由で阿寒湖に向かいます。足寄と言えば昔、観光バスはいつも松山千春の実家である「とかち新聞」の前に停まって写真タイムとなっていたのですが、今は勿論そのようなことはありません。我々も当然素通りです。

阿寒湖畔に車を停め、近くを散策します。遊覧船にも乗らず、6年目には有名ホテルである鶴雅で日帰り温泉を楽しみましたが、今年は何もせずに先を急ぎます。
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6年前にはあちこちでまだ人気だった「まりもっこり」のグッズを多数販売していましたが、阿寒湖畔に数多くあるお土産屋さんを覗いても、今やその面影すらありません。「時の立つのは早い」ものですね!

阿寒湖の次は神秘の湖摩周湖。この摩周湖は何故か私と相性がいい湖で、「湖が霧で見られなかった」経験が一度もなく、恐らく”25戦全勝”ぐらいの驚異的な勝率なのです。
でも、「霧の摩周湖」を見たことがない訳ではありません。昔、到着した時には見事に霧に覆われていて、「残念ながら、今日はダメですね!」と諦めて帰ろうとしたその時、徐々に霧が晴れて摩周湖が徐々にその美しい姿を現す感動的な瞬間に立ち会ったこともあります!(この時が、一番感動的でした!)
「今回は、連勝記録どうかしら?」と思いながら展望台に立ちますが、摩周湖は「毎度!」という感じでいつものようにそこにいてくれていました。
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阿寒・摩周とくれば次は当然屈斜路湖ですが、摩周湖の駐車場で「この駐車券で、硫黄山の駐車場にも駐車できますよ!」と親切に教えられたので、先に硫黄山に行ってみます。硫黄の匂いと煙の迫力は相変わらずでしたが、日本各地では最近火山活動が活発化していて、中には箱根の大涌谷のように入場できなくなっているところもありますから、「ここは大丈夫かしら?」とちょっと心配してしまいます。
でも、大自然の胎動は何度見ても迫力満点です。
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屈斜路湖を代表する湖畔は「砂湯」。最近、昔ながらのボートは姿を消しつつあり、代わりに操作が簡単な「スワンボート」にとってかわられています。片手足が不自由になった私は、もうボートを漕ぐことは出来なくなってしまいましたが、このスワンボートならば漕げそうな気がしていますので、いつかはチャレンジしてみたいと密かに闘志を燃やしています。
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阿寒国立公園の観光を終えて、本日の宿泊地である霧多布までドライブしますが、最後の見どころは途中の標茶にある”地平線の見える大牧場”の「多和平展望台」。
学生時代には、標茶国鉄の乗り換えで何度も来ているものの、この展望台の存在は知らなかったので、6年前に初めて知って初訪問した展望台です。展望台の自慢は、「360°の大パノラマ」なのですが、今回はやっぱり天気の関係で眺望は残念な感じでした。
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本日の宿泊は霧多布にある民宿「霧多布里」。大学3年生時の旅で数泊し、翌年の大学卒業直前の旅でも数泊した思い出の民宿です。その後、「また行きたいなぁ~!」とはずっと思っていながらもずっと機会がなく、2007年に25年振りに仕事の合間を縫って一人で泊まり、2009年にも妻と来た宿です。
北海道の中でも、あの頃の思い出が一番詰まっている宿なのかもしれません。
でも、今の私のような障害がある者が民宿に泊まる場合、健常者の方々と違って「できないこと」がたくさんあるので、十分に確認をする必要があります。ホテルなどと違って民宿の場合は、バリアフリーなどにあまり投資できない現状がありますので…
私の場合、「左側に手すりのない階段は利用できない」ことや「手すりのないお風呂には入れない。」ことがポイントなのですが、この宿は「一部屋だけ1階に部屋があるので、そこに泊まらせてもらう。」ことをお願いしました。お風呂は入れない可能性が高いのですが、近くに「日帰り温泉」があるのでそこを利用すればよいのです。
今回、合計4か所の民宿に泊まりましたが、事前にメールや電話で確認させていただいたお陰で、無事に宿泊することが出来ました!

この宿の夕食は34年前からず~っと「お寿司」。いつも通り、霧多布の海産物を満喫させていただきました!