麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

5、北海道一周の旅<その3:納沙布・中標津・羅臼>


5日目:6月29日(月)

34年前から通っている想い出深い民宿を、いくら日本一周の途中とは言えたった一泊だけで出て行ってしまうのはあまりに勿体ない気がします。とは言え学生時代のようにただ漫然と何泊もするほど、(いくらニートとは言え)時間にもお金にも余裕はありませんので、結局中間をとって霧多布里には前回・前々回同様2泊することにして、この日は霧多布をベースに日本最東端の根室納沙布岬を訪ねることにします。

ところで、北海道に来てこの日で4日目になりますが、前回(昨年)の”好天気の旅”とは180度うって変わって、今回は北海道上陸以来、まだ一回も青い空と太陽を拝めていないんです! 強い雨にこそ降られてはいないものの、毎日が曇天もしくは霧雨の中での旅であり、本当に北海道の大地を満喫することが出来ないでいます。
加えて、北海道ならではというか”寒さ”も半端ない状況です。この釧路・根室地方は北海道の中でも特に気温が上がらない地域としても有名で、私が初めてこのあたりに来た高校2年の時も、この地域だけは8月なのにストーブを炊いていたのが当時最大のカルチャーショックでしたが、そんな中でも地元に住んでいる人に言わせても、「今年は特に寒い!」のだそうです。間もなく7月になろうとしていますが、この地方の前日の最高気温が一桁(10℃未満)の状況ですから、半袖の服を着るどころではなく、”念のために持ってきた”厚手のブルゾンが手放せない毎日で、妻は「ダウン持ってくれば良かった…」と嘆いています。
勿論、民宿のダイニングでも部屋でも、ストーブは一日中ガンガン炊かれています!


霧多布から太平洋に近い道をドライブし、観光をしながら納沙布岬を目指します。最初は、30年以上前に来た記憶がある落石岬。知名度はイマイチですが意外といいところだったというおぼろげな記憶はあるのですが、「誰と」・「どうやって来たか」等の記憶が情けないことに全くなく、とりあえず今回も近くまでは行ってみましたが、車が一台も停まっていない駐車場近くにいた地元の方に改めて聞いてみると、「岬へは、ここから歩いて片道1時間(以上)。車では行けないので、(あんたには)ちょっと無理じゃない?」ということで、あっさりと断念しました。
 
次の訪問箇所は、根室市内に入り”車石”という名勝。あの”花咲ガニ”の名前の由来となった花咲漁港の近くで、車石(ホイールストーン)という珍しい石が点在しているところです。周辺を散歩して、初訪問の場所をそれなりに楽しみますが、やっぱり本当に寒く、海岸線の遊歩道はゆっくりとは散歩できずに、早々に退散することにします。
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次に”鉄ちゃん”らしく、日本最東端の鉄道駅「東根室駅」のホームに立ちます。この駅は根室の次の駅ですが、線路が蛇行しているために、根室が最東端ではなくここ東根室が最東端なのです。
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ここでも列車が来るまで待ちたいところでしたが、上り・下りともに次の列車まで1時間以上あるので、列車到着の写真を断念して列車が来た”つもり”になって、写真を念じながら撮ってみます。
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根室駅は終着駅ではあるのですが特に見たいものもないのでスルーして、いよいよ最東端の納沙布岬へ向かいます。最初に岬近くの展望タワーである「オーロラタワー」に登ってみます。この塔、昔”人類みな兄弟”の笹川良一さんが作って、「(笹川記念)平和の塔」などと呼ばれていましたが、今は経営も変わり”望郷の塔”などと呼ばれているようです。
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北方領土の全景が見下ろせる”というのがウリなのですが、残念ながらこの日の天気では、至近にある「貝殻島」以外は見えません。残念ながら北方領土は見えないので、仕方なくここから見える納沙布岬の景色をぼんやりと眺めるだけにしました。
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タワーを降り、改めて岬に立っている各種のモニュメントを眺めながら散策します。現在はここが最東端なのですが、本当の”日本最東端”はこの先の北方領土のまだずっと東なのだということを、この場に立つと改めて強く思います。
何年先になるかはわからない”日本二周目”の時には、この先の島を”日本の離島”として観光し、本当の「日本最東端」に立てることを願わずにはいられません!
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(この碑の上に止まっているウミネコも、「返せ北方領土!」と、一緒に願ってくれていると信じています!)

根室市内に戻る途中、”最東端の原生花園”である「北方原生花園」に立ち寄ってみます。”最東端”なのに”北方”の原生花園の花は、最東端らしく控えめでした。
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でも、ここでようやく今回の北海道で初めて青い空が顔を覗かせてくれました!「青い空と緑の大地」にやっと出会えて、「一年振りに北海道に来られたぞぉ~!」という気持ちにやっとなりました。
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昼食は根室市内。根室と言えば地元発祥の「エスカロップ」というランチが名物ですが、妻はあんまり興味はなさそうです。私も2007年に根室に来た際に有名店でエスカロップを体験していて、「昔、丸の内の食堂でよく食べたBランチによく似た味!」というあまり”もう一度食べたい”というマイ評価でもなかったので、妻に強く薦める気もあんまりありません。
それよりも、札幌市内では大人気でいつも行列ができている回転寿司店の「根室花まる」は、その名の通り根室に本店があり、「札幌であれだけの人気なのだから、恐らく本店はもっと旨いに違いない!」と勝手に思い、寿司が3日続くものの「大好きな寿司なら、毎日でもいい!」という妻のいつもの口癖を信じて、席についてしまいました!
3日連続でも飽きずに美味しい寿司をいただきましたが… 「なごやか亭」を一番に推す私の信条に変わりはありませんでした。

霧多布に戻る途中、オホーツク海と風連湖に挟まれた、春国岱というエリアに立ち寄ってみます。「ここでバードウォッチングなど散策が出来る」と書かれていたので双眼鏡をもって散策しようと楽しみにしていたのですが、自然歩道は何故か通行止めになっていて、先には進めません。駐車場からでは、勿論双眼鏡でもバードウォッチングはできませんし…
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このあたりに来たからには「厚岸の本場のカキ」を食べないことには気が済みません。厚岸に来るたび、いつも「道の駅」でカキを焼いて食べていたのですが、その焼き牡蠣も毎回涙が出るほどに旨いのですが、今回は新しい場所(お店)にもチャレンジしてみようと思い、市場で獲れたてのカキを生で食べるべく市場へ行き、殻のままのカキを買ってその場で殻を割って厚岸本場の大粒のカキを味わいました!
よくは判りませんが、市場のルールで殻を店員さんが割ってはいけないそうなのです。私は片手なので殻を自分では剥けないので、妻に活躍してもらいます。何もつけずに食べても塩味がある牡蠣は、海の香りがして美味でしたが… 
次回も、また別な食べ方(お店)にチャレンジしてみたいと思います!!

霧多布湿原は前回(6年前)もゆっくり観光していますので、今回は霧多布を代表する琵琶瀬の展望台からの川の蛇行風景を楽しむだけにさせていただきました!
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6日目:6月30日(火)

2日間お世話になった民宿「霧多布里」とも2泊でお別れです。この民宿、ずっと連泊している常連さん&噂を聞きつけてくる旅行者もいて、毎日それなりには安定して経営できているように思え、僭越ながら少しだけ安堵します。
でも、この宿だけに限らず、今回いくつか泊まった民宿での共通の現象ですが、「宿泊者の高齢化は、驚くほど!」です。例えばこの霧多布里、この2日間7名/9名のお客さんが宿泊していましたが、両日ともにほぼ間違いなく55歳のこの私が「宿泊者最年少」でした!
34年前に来た時には、みんな20代前半だったのに… です。宿泊者も宿と共に齢を重ね、新しい若い人が来ない状況のようです。
民宿に限らず、ここ北海道の観光地では本当に若者を見なくなっています。勿論、みんなが懸命に働いている&学生は勉強している時期なので、若者がいないのは当たり前なのかもしれませんが… 観光地で見かける若者&若い女性は、ほぼ全員が中国語を喋っています…

この日は知床半島を観光してウトロまで向かう予定ですが、この旅で初めての「強い雨に降られた最悪の天気。」の一日となりました。 とは言え、先には進まなければいけないので、ワイパーをずっと高速で動かしながらのドライブです。

最初に、私の強い思い入れの地である、中標津にある展望台「開陽台」向かいます。ここ開陽台は、「ほぼ270度にわたって地平線の見える展望台は、北海道でもここだけ!」ということを大学2年生の時に旅行者の口コミで知り、(当時は、ガイドブックにすら全く載っていない地でした!)その後は毎年すぐ近くにある民宿にいつも数泊以上して、(泥酔した日はサボりましたが)日の出前に毎朝1時間山道を展望台まで歩き、感動的な「地平線からの朝日」を眺めて、毎回その寒さと(2~3月ですから、気温は-10℃程度にはなります)地平線から登る荘厳な太陽とに打ち震えていた思い出の地です。
 
33年前、前の会社の就職最終面接の場で、私が当時の役員の方々に偉そうに言ったこの開陽台のことは、恐らく死ぬまで忘れることはないでしょう。
「北海道中標津の”開陽台”ってご存知ですか? ここから見える朝日は、本当に感動的で言葉を失います。日本には、まだまだこんなに素晴らしいのに皆さんに知られていない場所がたくさんあるので、私はこの会社に入ったら海外旅行などではなく、こういった素晴らしい場所をご紹介する仕事がしたいのです!!」
この言葉で採用されたのかどうかは謎のままですが、めでたく採用された私の配属先での部署は「海外旅行課」。
ということでここ開陽台を多くの方々に周知する仕事は出来なかったのですが、33年でそれなりに知名度も上がり、歩いてしか行けなかった展望台は、いまではすぐ近くまで車で行けるようになっていて、駐車場には常設の売店まであるのです!

でもこの日の雨は非常に強く、おまけに少し高くなっている開陽台にはまたもや強いガスが掛かっていて、駐車場からすぐ上の展望台すら濃霧で殆ど見えない状況です。妻とは6年前にここ開陽台にも勿論来ているので、この雨中に景色が全く見えない展望台に上がっても仕方がありません。
いつものように「また、来ます!」と心の中で呟き、33年前からここ開陽台のテーマソングである(元かぐや姫の)伊勢正三さん(風)の曲「地平線の見える街」を口ずさみながら、開陽台を後にしました。

開陽台の麓には33年前まで3年間通った民宿「地平線」がまだ営業しているようです。8年前2007年にはこの民宿にも25年振りに宿泊しましたが、今回は日程等の都合で宿泊を断念しています。民宿を見て妻が珍しく「泊まってみたいなぁ~」と呟いていましたので、次回こそは久しぶりに泊まりたいと思います。

中標津で6年前に食べて好評だったソフトクリーム屋さんを思い出し、行ってみましたが「火曜定休」ということで叶いません。
ツイていない時って、何をやってもこんなもんなのですよね…!?

気を取り直して羅臼に向かいます。羅臼でいつも行くのは羅臼中心街にある「道の駅」。前回もここで個人的な「羅臼と言えば」のホッケ焼き定食を食べたのですが、やっぱりラウスという言葉には何故か”ホッケが食べたくなる”魔法が掛かっているようで、たくさんの美味しそうなメニューからでもやっぱりホッケを選んでしまう私がいます。
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この道の駅のお土産屋さんでは、毎回海産物を大量に仕入れて送っているのですが、今回は有名な羅臼昆布だけを買い求めて満足することにしました。

雨は相変わらず強く、観光が出来そうな感じでは全くありません。この日は早めに宿に入って、ちょうど良い具合に温泉ホテルを予約しているので、のんびりと温泉にでも浸かろうと思いますが、3時前にはチェックインもできなので、時間つぶしに羅臼の海沿いをドライブしてみます。
「あまり歩かなくても見られる滝」ということで、観光案内所で薦められた「セセキの滝」までドライブしてみます。かなり知床半島を突端方面まで走って、道路のすぐ横に目指す滝はありましたが、看板も駐車場も何にもなく、「本当にこれでいいの…?」とちょっと呆気ない滝でした。
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(車の中から、この日唯一の写真です。)

知床横断道路で知床半島をウトロまで横断しますが、山の上はやはり強い霧で景色は全く期待できません。この道は6年前にも通り、その時はこれ以上はない好天で羅臼岳の眺望も本当に素晴らしかったのですが、今回は全く期待できません。案の定、知床峠の駐車場は強いガスが掛かっていて、見たところ車は1台も停まっていません。

あまりにも悔しいので、6年前の写真を探してみました。
これが、2009年10月に撮った知床峠からの羅臼岳です!!
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ということで最悪の一日でしたが、翌日には37年越しの悲願である「知床岬クルーズ」が待っていますので、温泉でゆっくりと休養して明日に向けて体調を整えることにしました。

翌日に我が身に降りかかる悲劇については、その時点ではまだ全く知る由もありません…