麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

キュン♡パスで秋田・新潟へ

退職後(年休消化中)の最初の遠くへの旅は、JR東日本の「キュン♡パス」を使っての秋田&新潟への日帰り旅。キュン♡パスとは2・3月に発売された平日限定の切符で、1万円でJR東日本エリア内の列車が乗り放題(指定席は2回まで利用可)という結構太っ腹な切符。2週間以上前の購入制限や、購入はインターネットの「えきねっと」限定 などの制限はあるものの、「青森や秋田までも、日帰りならたった1万円で行ける!」ということをTV番組などが散々取り上げた効果なのか、兎に角すごい人気でこの時期の新幹線の異常なまでの混雑は間違いなくこのキュン♡パスのせいなのです。
私も、3月には無事に有休休暇消化期間を迎えられるであろうことを信じて、3月上旬の平日にはこれを使って旅に出ることを決意、最初は五能線の「リゾートしらかみ」に乗りに行く日帰りの行程を考えていましたが、この日程が成立するかどうかは「リゾートしらかみの指定席(しかも、絶対海側のA席!)が取れるかどうか。」が最大のポイント。でも冬場のリゾートしらかみは毎日運行ではなく運行は金・土・日のみなので平日限定のキュン♡パスが使えるのは金曜日のみ。3/1(金)を最終出勤日に決めていた私がこの日程で旅ができるチャンスは、3/8の金曜日のみということなのです。(キュン♡パスの設定期間は3/14(木)まで)リゾートしらかみの海側A席が欲しい私は、1か月前の発売日(2/8)を在宅勤務にして、発売日の10時には(仕事をサボって)えきねっとでこのリゾートしらかみの席を確保しようと考えましたが、色々あって結局2/8は出勤せざるを得ない状況になり、流石に会社で仕事中にえきねっとをカチャカチャやるのはいかがなものか… と考え、仕方なく可能性は極めて低い、「えきねっとの事前予約登録」に賭けてみることにしましたが、予想通り事前登録の結果は「A席は満席」。未練がましく昼食時にえきねっとにアクセスしてみたものの、A席以外の席には多少空きはありましたが、「五能線の醍醐味は、海側席ならでは」と信じている私は、そこで五能線を諦め、行先を秋田⇒新潟として日本海の景色を五能線から羽越本線特急いなほの海側A席から見るプランに切り替え、秋田新幹線こまちの始発と接続する特急いなほのA席指定券をその日のうちに予約してしまいました。
因みに、キュン♡パス人気は本当に凄く、念のため発売日翌日にえきねっとで予約状況を見てみたら、新幹線青森行きの始発列車はもうすでに満席で、私が予約したこまちも翌々日には満席でした!

 

実施日:3月8日(金)

 

キュン♡パスは2週間前までの前売り切符なので、出発日の変更はできません。無事に年休消化期間に入った私が予定変更することなど絶対にないと思っていたのですが、日程が近づくにつれて実施当日の天候がどんどん怪しくなってきます。「8日は深夜から降雪が始まり、都内でも雪が積もり通勤時間にはダイヤが乱れる可能性がある。」などの報道が続きます。予約がなければ日程の延期等を考える日程なのですが、既に指定券まで取っているキュン♡パスはどうやら払い戻しもできそうにもなく、決行するか1万円をドブに捨てるかの2つに1つしか選択肢はなさそうです。貧乏な私に基本後者の選択肢はないのですが、「足の悪い私が無事に駅まで行き、新幹線に乗れるのか?」という不安が付き纏います。
当日朝、早々に目覚めて外を見るとかなり激しく雪が降っており、(天気予報通り)道路にもうっすらと雪が積もり始めているようです。「これは、時間ギリギリに出ると雪が更に積もりそうなので、早く家を出た方がいい!」と判断し、準備もそこそこに5時過ぎには家を出て、既に道路もかなり白くなって入る中を、転倒しないようにゆっくりと慎重に歩き、何とか無事に駅まで辿り着きました。
駅で撮った写真ですが、結構雪が降っているのをご覧いただけると思います。

この時間にしては徐々に人が増えてきて、来た電車は意外にもかなりの混雑。私と同じように「早く家を出た方が(早く会社に向かった方が)いい!」という判断の人が多い故の混雑に見えます。「私も現役時代だったら、絶対早く出ただろなぁ~!」なんて考えながら電車に乗ると、一抹の寂しさがこみ上げてきます。
無事に大宮駅に着きますが、早く出たので目指すこまちが来るまではかなりの時間があります。こまちはまだ東京駅も出ていないのですが、今のところ運休や遅延の情報もなく定刻通りのようなのでまずは一安心。ところが、こんな朝早いのに大宮駅の新幹線待合室は大混雑!しかもビジネスマンらしい人は少なく、複数で談笑しながら列車を待っている人たち(若者たちやご婦人連中)が大半で、まさしく「キュン♡パス混雑」なのでしょうね。発車時間が近くなったのでホームに出てみます。雪はさらに激しくなりますが、雪に強いはずの東北新幹線なら大丈夫ですよね!?

こまちは定刻通りに大宮駅到着。

長い列の一番後ろに並んで乗車しようとしましたが、長い列は一向に進みません。発車ベルは長時間鳴り続けて、「何でこんなに進まないの?」と少しイライラしましたが、何とか列車に乗り込んですぐにその原因が判りました! 何と入口~列車の中までも、座席のない立ち客が溢れているからなんです! 全席指定席のはやぶさやこまちは、指定席券を持たないと乗れずに、立席でも乗るためには自由席券ではなく立席特急券が必要な筈。キュン♡パスは指定席は2回までは乗れるルールですが、立席特急券も1回にカウントされるはずで、「この人たちはみんな立席券を本当に持ってるの?」と疑問になりますが、通路には人が歩くスペースがないほど立席客が乗っているため、車掌も回ってこられないし、車内販売も「通路を通れないので、今日の車内販売は中止。買いたければ、12号車まで買いに来てください!」と車内放送する始末。こんな満員新幹線、本当に凄く久し振りです! 1か月前に指定席を確保していた私は、無事に確保していた窓際席に座り、埼玉とは思えない雪景色を堪能します。自宅近辺もかなりの雪景色で、「雪景色を見たくて東北に行く」のに、自宅付近で雪景色が見えるなんて、何か皮肉です。

埼玉県内の雪景色

仙台までの1時間は、ずっと雪景色を堪能します。正月に仙台の妻の実家に行った時には、新幹線からは全く雪が見られなくて、「今年は、異常気象?」と心配になったのですが、郡山付近の今日は、3月なのに普段の年より雪深い感じです。

でも、新幹線が何となく遅いなぁ~という感じがしていましたが、その感覚通り「前の列車が徐行運転したため」仙台には6分ほど遅れての到着。普段の東北新幹線では半分近い乗客が仙台で降りて、車内がガラガラになることが多いのですが、さすがに大半がキュン♡パスの乗客だと思われる今日は、仙台でも殆ど降りる人がいません。つまり、通路やデッキにずっと立っているこれらの乗客は、最低でも盛岡までは立つことになります。 こまち号は仙台から盛岡までもノンストップ。この区間は快調な運転ですが、6分の遅れは挽回できずに、盛岡駅で後ろのはやぶさを切り離して秋田新幹線区間に入ります。この区間の雪景色は今日の雪というよりは流石に雫石などのスキー場も近い豪雪地帯の風景で、ようやく私の視界にも立ち客がいなくなった(盛岡では、どうやら全員が降りたか座れたらしい!)こともあり、ようやく落ち着いて車窓の雪景色を楽しむことが出来ました!

秋田新幹線田沢湖線を使ったミニ新幹線なので、盛岡までのように200キロを超えるスピードが出るわけではなく、のんびりと車窓風景が楽しめます。やっぱりこのあたりの風景にはこのスピードが似合います。

おまけに単線なので、時にはこまち同士のすれ違いも楽しめます。田沢湖、角館と馴染みのある名前の駅に停まり、大曲では進行方向が逆になりますが、シートを反対に直す人も誰もいないままで間もなく終着の秋田駅の到着です。このあたりで徐々に沿線の雪が無くなって来て、「間もなく、秋田に着きます。」という車内放送が流れる頃には、全く雪がなくなっているのです!

秋田には… 雪がない!

秋田と新潟に日本海と雪景色を見に来た今回の旅なのに、雪景色は地元埼玉で見られたのに秋田で見られなかったなんて、何と皮肉なのでしょう!? 秋田新幹線区間で少し遅れを挽回してくれたようで、終着の秋田駅には2分遅れでの到着。乗り換え時間が僅か20分なので急ぎホームを移動し、今回のメインである特急いなほ号で「呑み鉄」をするためにお酒とつまみを仕入れて、まずは特急いなほ号の最前部にご挨拶。

今回の旅の私的メインは、「特急いなほ号から見る日本海」なので、いなほ号の席は絶対窓側A席に座りたかったため、ここでキュン♡パスの2つ目の指定券を使っています。でも、終点秋田までほぼ満席だったこまちの乗客の中からこのいなほに移動してきた人は予想より随分少なく、いなほの自由席は意外にもにガラガラ。「こんなことなら、いなほは自由席でよかったのに…」とも思いましたが、秋田駅で慌てずに済んだだけでも指定席を取った効果はあったようです。いなほは定刻通りに秋田駅を出発。酒どころ秋田で仕入れたお酒で、いよいよ日本海を見ながらの呑み鉄の開始です!

「呑み鉄」のはじまり

羽越本線はすぐに日本海に近づき、早くも待望の日本海とご対面!

このあたりにも雪は全くなく、快晴で青空も見えています。今朝の埼玉の雪景色がまるで嘘のようです。特急列車は羽後亀田の駅を通過。この「羽後亀田」、高校生時代に小説でも映画でも熱中した名作「砂の器」で最初の頃に刑事が訪ねた地。当時、時刻表の地図でこの地に思いを馳せた頃の自分が蘇り、ちょっとウルっと来てしまいました。
今日の日本海は、本当に穏やかです。

酒田を過ぎ、陸羽西線の乗換駅である余目へ。今回の計画時、雪深い山形新幹線で新庄まで行き、最上川沿いの陸羽西線でここ余目まで来るルートも考えたのですが、この陸羽西線がまだずっと工事で運休中で、現在も代行バスで運行中だったためにこのルートを諦めたのです。駅前にはJRバスの代行バスが停まっています。

陸羽西線、早く復活してください。今度こそ、乗りに行きます!
鶴岡・あつみ温泉を過ぎると、間もなく新潟県。通過する駅名も羽前から越後に変わります。間もなく、名勝の「笹川流れ」を通ります。この笹川流れの遊覧船にもいつかは乗りたいとずっと思っています。このあたりでずっと向こうに見え続けているのは粟島。離島好きとしては、いつかはあの粟島にも行ってみたいものです!

昼前から呑んだお酒の効果もあり、途中ややウトウトもしましたが、日本海の車窓風景を満喫することが出来て、列車は定刻通り無事に新潟駅に到着! 呑み鉄としての今回の旅のメインイベントはこれで終了なのですが、新潟では2つの目的を実行するために下車します。

その1:「バスセンターのカレー」を食す!
新潟市内のB級グルメとして名高い、万代バスセンターにある立ち食いそば屋のカレー。メディア等にかなり多く登場していて、一度は食べたいと思っていました。駅からは徒歩10分程度とのことでしたが、工事で昔何回も来た頃とは全く印象が変わった新潟駅からバスセンターまではタクシーを奮発。2時半を過ぎているのにやはり食券販売機には行列が出来ていて、全員がそばではなくカレーを注文しています。

食券を出してすぐ来たカレーは噂通りの黄色いカレー。

これがあの有名な、「バスセンターのカレー」

味は、確かに美味でしたが、期待が強すぎた分そこまでの感動はありませんでした。

その2:「ぽんしゅ館」で日本酒三昧
新潟県内の3つの駅ナカ(新潟、長岡、越後湯沢)にある新潟の地酒が呑める人気スポット。2021年に越後湯沢の♨旅館に車を置いてここを訪ねる予定にしていたのに、降り出した雨で断念して以来の念願の初訪問です。新潟駅のお店はキュン♡パスで混んでる気がしたので、当初は空いていそうな(最近できた)長岡のお店に行こうかとも考えていたのですが、キュン♡パスの指定券2回を既に使い切っていたので、帰りは自由席に乗らざるを得ないため、途中駅の長岡から乗るのが怖かったため予定通り新潟駅で行くことにしましたが、実際に行ってみると予想通り(予想以上)の大混雑。
お店のシステムは、最初に500円也を払ってお猪口とコインを5枚受取り、80種類くらいある新潟の地酒の中から好きなお酒を呑むというもので、多くのお酒はコイン1枚でお猪口1杯の日本酒(地酒)が飲めるのです。(一部のお酒はコイン2枚以上)

本来なら、ゆっくりとお酒を見極めて自分の好きそうなお酒を選んで飲めば楽しいのでしょうが、元来そこまでお酒に詳しくない上に好きなお酒のタイプも定まっていない(辛口も好きだけど、甘口も決して嫌いじゃない…など、要はなんでもいい!?)軟弱モノの私は、「80種類の中から好きなお酒を3~5杯選べ」と言われてもすぐに選べるものでもありません。おまけに大混雑の店内ではゆっくりと品定めするだけの余裕もなく、結局「オススメ」や「人気」と書かれていたお酒をあっさり5杯飲んで、早々に退散してしまいました。「空いていたらもっとゆっくり選べるので、もう1回来てみたい。」と思う反面、「日本酒に詳しくないので、何度来ても結局一緒だよ」という気もしているのですが、とはいえ機会があればもう一度行きたいと思っています。

新潟での予定を終え、新幹線ホームに上がってみると間もなく出る新幹線「とき」の自由席に少しだけ空席があります。とりあえず飛び乗ってまたも呑み鉄をしてしまった新幹線、乗った時には「本庄早稲田駅にでも降りてみようかな…」とも考えていたのですが、何とこの飛び乗った「とき」は珍しく長岡から大宮までノンストップの新幹線とのことで、今更乗り換えるのも面倒になりそのまま乗り続け、大宮でも降りずに「埼玉県全鉄道乗りつぶし」のために上野まで乗り続けます。これで行きのこまちと合わせて埼玉県内の全新幹線路線もクリアとなり、ついでに上野からはいつもの宇都宮線で帰り、これで埼玉県内の宇都宮線もクリアとなりました。
夕方、埼玉県の朝の雪はもうすっかり溶けていて、「朝の雪景色は夢だったのではないか?」と思わせるほどのごく普通の日常がそこにはあり、本当に激動の一日でした。