麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

"流されて"佐渡<前編:45年前の記憶>

5月中旬に新潟県佐渡島への旅を楽しみましたので、今回はその5日間の旅をレポートします。
私が過去に佐渡に行ったのは大学1年生の1979年の6月だったと記憶しています。入学直後の4月に運命的に旅行のサークルと出会い、公式行事以外で初めてのサークル内のメンバー募集に応募しての旅への参加です。このサークル、メンバーの誰かが行きたい旅を考えたら、部室の壁にツアータイトルと大まかな日程を掲示し、「参加したい!」と思ったら希望者はその紙に自分の名前を書くシステム。5月に2年生の先輩が掲示したそのツアーのタイトルが、「流されて、佐渡」。今では詳しい掲載内容などは全く覚えていませんが、日付の記載だけで日程などは殆ど書かれていなかったような記憶があります。でも、そのツアータイトルに魅せられて、私もすぐに名前を書いたことを覚えています。
最終的にその旅は3年生1、2年生1、1年生が私を含め3人の男5人旅。まだ上越新幹線なんて走っていないし特急列車になんぞ全く興味のなかった我々は、夜に上野駅に集合して夜行急行「佐渡7号」のボックス席の自由席に乗って、いきなりの夜行列車での酒盛りからの旅のスタート。因みに、上越新幹線開業は1982年なのでその3年後、その頃1年生の我々はまだ18~19歳でしたが、当時は大学生になったら20歳にならなくても飲酒は許されるというのが世間の風潮でした。
翌朝、佐渡汽船にて佐渡島に渡り、佐渡島の北のはずれの弾崎灯台までバスで行き、そこから二ツ亀~大野亀まで歩いて、大野亀の海岸で酒盛り&野宿。朝起きたら車座になってそのまま寝ていた5人は数頭の野犬に囲まれていて、結構怖くて飛び起きたのも懐かしい思い出。翌日は尖閣湾などを観光して、民宿のような安宿に泊まってまた宴会をしたくらいの記憶しかありませんが、とても楽しい旅でした。
45年も前のことですからその旅の記憶なんて実際は殆どなく、単なる呑兵衛の旅だったので佐渡の観光なんてあんまり出来なかったと思われ、「いつかは佐渡を再訪したい」とずっと念じていて、妻もかねてから「一度は佐渡に行ってみたい」とずっと言っていたので、2人の念願を叶えるべく数年前から佐渡旅行計画を検討していたのですが、妻の体調不良やコロナもありその実施がずっと先延ばしになっており、ようやく退職後の今回のタイミングでに実現出来たのです!

 

1日目:5月12日(日)

 

片手片足運転なのでレンタカーを運転できない私は、佐渡島へもフェリーにマイカーを積み込んでいくしかありません。車を航送できるフェリーは1日5便あるようですが、埼玉から行くことを考えると新潟港発12:35の便がベスト。そのフェリーに乗るために朝5時半過ぎには埼玉県をスタート。ところがナビは予想された圏央道~関越道ではなく東北道北関東道~関越道を「スマートルート」として推奨しているようです。スマートルートということは運転しやすく楽なルートだろうから、今回はナビに素直に従うことにして、ナビ通り快適に進み、長~い長~い関越トンネルを抜けて、予想通りかなり早く10時頃には新潟市内へ。3月にカレーを食べに来たバスセンターから昔仕事で何度となく来た朱鷺メッセを過ぎて佐渡汽船のターミナルへ。早すぎる到着ですが、ギリギリについてバタバタするのが嫌いな我々夫婦のいつものタイミングで、早速佐渡汽船にチェックイン。

佐渡汽船の自動車受付

その後はフェリーターミナルで暇つぶし。ターミナル内の船の展示物や佐渡のお土産を流石にまだ買いませんが早速下見します。その後フェリーターミナル内の食堂にて早めのお昼。

この日のお昼は夫婦揃って「ブリカツ丼」。「佐渡天然ブリカツ丼」は佐渡のご当地名物で、旅行中1度は食べたいといろいろと調べていたのですが、今回他の食べたいものが多すぎるため、泣く泣く「佐渡天然ブリカツ丼」を諦めていたのです。でも、ここ新潟港にも佐渡でも天然でもないけどブリカツ丼があるので、迷わず注文!

旅の最初としては、まぁ満足… かな?

恐らく本場佐渡での味には敵わないのでしょうが、何となく本場が想像出来る味でとりあえず満足。

我々の乗るフェリーは、「おけさ丸」。

この日はGW直後なのでフェリーはかなり空いているようです。私はカーペット席に座るのが嫌なので1等の椅子席を奮発したのですが、何と船室のお客は我々だけの貸切!

実は、往復とも我々だけでした!

何より、あれだけ多い訪日観光客の姿を全く見ないのには驚きでした。
ウトウトしているうちに、フェリーは2時間半で佐渡両津港に到着です。ところが両津港に到着すると結構激しい雨が降っています。旅行前の天気予報では、今日日曜日の夜までは天気は何とか持ち、明日月曜日が終日雨という予報だったのですが、雨が降り出すのが数時間早くなったようです。雨天の観光についてもいくつかプランを考えていて、天気が持てばまず佐渡=トキということで空港から近い「トキの森公園」に行くつもりでしたが、傘をさして公園を歩いてトキを探すのも嫌なので、雨天観光プランその1として考えていた「佐渡歴史伝説館」へ。

雨の中入場口に行くと、何と閉まっています。「今日、日曜日なのに、何で?」と思いますが、周囲には誰もいないので聞きようがありません。仕方がないので写真だけ撮って車に戻ります。

その後は雨天観光プランその2として考えていた佐渡奉行所跡にも向かってみますが、思いのほか時間が掛かったので入場を諦めて本日の宿に向かうことに。ということで到着後の約2時間で佐渡島の中央部のくびれたところ(平野部)をドライブして明日からの下見をした格好になりましたが、佐渡島は意外と(失礼!)都会なことに少しびっくり。ドライブしていても人家が途切れることは殆どなく、埼玉にあるチェーン店系の大規模店舗はみんな佐渡にも揃っている感じです。我々も離島をあちこち旅してきましたが、こんなにも都会の香りがする島は淡路島ぐらいではないでしょうか… 淡路島は両端が橋でつながっているのですが、佐渡は勿論橋などはありません… 間違いなく「日本一、都会な離島」ですね!?
今回、佐渡には3泊しましたが、3泊とも全部違う宿です。初日の宿は佐渡市役所や繁華街に近いホテル「たびのホテル佐渡」。佐渡の観光の拠点としては場所も設備も料金も文句のないホテルです。因みに、このホテルの1階には「佐渡天然ブリカツ丼」を提供する店もあり、実はここで食べることも考えてもいたのです。
この日の夕食は佐渡在住の友人と。旅行会社時代の同僚で、約10年前に故郷佐渡に戻った彼は、現在は佐渡市の市議会議員として活躍されているようで、10年以上振りの再会。彼の地元の寿司屋にご案内いただき、ふぐ刺し・天ぷらを含む佐渡の寿司コースを満喫しました。

佐渡歴史伝説館は、日曜なのに何でやってないの?」と、市議会議員に文句を言ってしまいました。

 

2日目:5月13日(月)

 

この日の天気予報は終日雨の予報。1週間前に天気予報が出てからはずっと「1日:雨」の予報だったので、出発ギリギリまで雨天時の観光コースをずっと考えていました。でも、昨日の雨の降り始めが天気予報より半日近く早かったため、今朝の予報ではありがたいことに午後には止むと予報が好転。この予報に気をよくしての2日目のスタートです。
ところでこの日のホテル「たびのホテル佐渡」は、シティホテルとビジネスホテルの中間ぐらいのホテルですが、ホテルには温泉ではないけど大浴場もあり、寛げます。我々が泊まった部屋はたまたま大浴場が目の前(向かい)の部屋だったので、朝早く部屋目の前の大浴場に行った私は、大きな浴槽を独占使用することが出来たのです! このホテル、お気に入りになりました。次回も佐渡に行くときには、ここに泊まって(今度こそ)佐渡天然ブリカツ丼をいただこうと思います!
ホテルが気に入ったとはいえ、この日はホテルで朝食は取らずに出発。理由は後で朝昼兼用の食事を楽しむことにしているので、ホテルの部屋でヨーグルトだけを食べての出発です。まだ雨は結構激しく降っているのですが、この日の最初の見どころは雨天でも観光出来る場所として観光日程のワイルドカードと考えていた史跡佐渡金山。世界遺産登録を目指している今佐渡で最も熱いスポットです。まだ9時前ですが佐渡金山は8時オープンなので駐車場には数台のマイカーが。混んでいなさそうで一安心です。佐渡金山には2つの見学ルートがあり各々の料金が設定されているのですが、我々は両方見られる共通券を購入して、まずは江戸時代の金山が見られる「宗太夫坑 江戸金山絵巻コース」へ。この坑道、階段はかなり多いのですが、手すりがちゃんとあるので我々足が悪い人でも大丈夫です。階段を下りて進んでいくと、かっての金坑の様子をリアルな人形が動いて説明してくれます。

時折、人形が声を発するのですが、ある人形などは、「酒が飲みてぇ~、馴染みの女に会いてぇ~」などと呟きます。思わず微笑んでしまいましたが、世界遺産としてはどうなんだろう…? と、余計なことを考えてしまいます。

酒が飲みてぇ~、馴染みの女に会いてぇ~

数十分の江戸コースを見終わると、資料館。金の製作工程などが展示されていますが、一般人が多数集まっているのは、金塊を持ち上げるコーナー。穴から手を入れて大きな金塊を取り出そうと皆が奮闘していて、その順番を待つ人が行列を作っています。私も並んで持ち上げてみましたが、とっても持ち上がりません!  妻も珍しく必死になっていましたが、大金持ちにはなれないようですね。
金塊を取り出すのを諦めて、お土産売り場へ。どうやらこの佐渡金山のメインはこっちの江戸コースで、明治コースに行かないでこのままバスに乗る団体客が多いようですね。妻も金塊のチョコレートや羊羹を買って早速お土産にするようです。
再び入口に戻って今度は「道遊坑 明治官営鉱山コース」へ向かいます。確かに、江戸時代の坑道と違って明治のそれは近代的ですが、こっちの坑道には人形もなくただ近代的な坑道が続くだけです。

「こっち、つまらないね」と話しながらひたすらに平坦な坑道を歩きますが、ようやく外に出て先に進むと、ようやく佐渡金山のシンボルである景色「道遊の割戸」が見えます。

この明治時代のルートの見学客は江戸時代のルートよりかなり少ないようなのですが、ということは、江戸時代しか見ない見学者はこの有名な眺めが見られないのでは… と、何か残念な感じです。出口近くにはトロッコのルートもあるのですが、雨でトロッコ道がグチャグチャにぬかるんでいて本当に歩くにくく、道遊の割戸が見える以外には本当に取り柄のない退屈なルートでした。出口に行くには同じお土産屋さんを通る必要がありますが、流石に妻も2度目のお土産屋さんはスルー。
次に向かった先は今日の朝昼兼用の食事。佐渡で大人気の回転寿司である「佐渡 廻転寿司 弁慶 佐渡本店」。このお店、新潟市内にも東京にも浦和にも支店があるようで、我々も新潟市内のお店には9年前には行った経験はあるのですが、やっぱり佐渡のお店だし佐渡本店で食べたい! と考えての訪問です。昨晩も友人と佐渡の寿司を楽しんだ我々ですが、このお店明日火曜日が定休日なので行くチャンスは今日しかありません。妻は寿司が大好物で、常々「寿司なら毎日でもいい!」と言い続けているので、図らずもその言葉を証明するかのような日程になってしまいました。このお店、兎に角行列が凄いお店とのことなので、出来るだけ並びたくない我々は開店時間の10:30にお店に行くべく朝昼兼用の食事としてセッティングしたのです。お店到着は開店の5分前、駐車場には数台の車が停まっており、雨なので皆車の中で開店を待っています。

10:30の開店と同時に入店し、無事にカウンター席を確保しますが、開店当初からもう寿司がレーンに流れています! とはいえ、我々はお目当てののどぐろなどの「佐渡の旨いもん」を次々に注文。

昨日も今日も、やっぱり佐渡の寿司は旨い!

佐渡の寿司を満喫、食べ過ぎてお店を出ると何とありがたいことにあれだけ激しかった雨が止んでいます。さぁ、これからは佐渡上半分(北半分)の観光に出発進行!
寿司で満腹になった妻は助手席でウトウトしていますが、私は両津から県道「佐渡一周線」をドライブして北に向かいます。まずは、45年前の思い出の地辿り。最初にナビを北端の弾崎灯台にセットしましたが、弾崎灯台が綺麗に見えて車が停められる場所もなく、45年振りの弾崎灯台は遠望で昔を偲びます。45年前には確かこのあたりをずっと歩いた記憶がありますが、次に向かった地は景勝地二ツ亀。この場所に来た記憶はあいまいですが、二ツ亀という地名が強烈な思い出として残っているので、間違いなく来ているのでしょう。やっぱりこの景色、記憶にあります!

雨は止んだものの、この日は気温は上がらず無茶苦茶寒い! 念のためとして持ってきた厚手のパーカーを羽織って寒さを凌ぎます。車での旅は荷物が積めるので本当に助かります!
次はメインの大野亀。この大野亀が見られる海辺で宴会&野宿をしたのが鮮烈な思い出なのです。

45年振りの大野亀

確か、この右側のあの道とぼとぼと歩いて海辺に行ったのです。

45年前、19歳の頃に戻りたいなぁ~!

それからは、佐渡島の海沿いの道を1時間程ドライブして、次に向かったのは「尖閣湾揚島遊園」。ここにも45年前に来た記憶が朧げにあるのです。

ここのメインは尖閣湾の景色と海中透視船での尖閣湾めぐり。海中透視船に乗るにはかなりの階段を降りる必要がありそうなので、料金を払う前に階段の手すりの設置状況を確認したところ「手すりはちゃんとあります。でも今日、揺れますよ!」
とりあえず景色を楽しみながらゆっくりと階段を下り、何とか遊覧船の乗り場まで。

カモメも45年振りを歓迎してくれているよう!

20分おきの遊覧船は3組6名の観光客を乗せて出発。海中透視船はいわゆるグラスボートですが、船長さんが餌を撒いてくれるお陰で小さな魚は結構寄ってきます。でも、カラフルさで言ったら先月行った石垣島の方がカラフルだったなぁ~などと考えますが、実はそれ以上に小舟は凄い揺れ。たった15分程度の遊覧でしたが、船酔いの寸前まで行ってしまいました。あと5分長かったら、確実に船酔いしていたでしょうね! その意味でも丁度良いクルーズ時間でした。

この施設は、大昔の「君の名は」のロケ地となったことがあるらしく展望台までの橋の名前が「真知子橋」と名付けられているそうです。でも、1950年代のラジオ・TVドラマや映画なんて私も生まれる前に流行ったものなので、一緒に船に乗った若いカップルはキョトンとしていました。今時、「君の名は」といえば新海誠監督のアニメですよね!?

まだ周辺に見どころはあったのですが、兎に角寒いのでこの日の観光を早めに切り上げてこの旅唯一の高級旅館にチェックイン。夕陽がウリの高級旅館ですが、流石に雨は止んだもののこの曇天では夕陽は期待薄。一応、夕陽の時間が18:45頃ということなので一縷の望みを託して夕食時間を19:30としてゆっくりと風呂に入って寛いでいると… 何と夕陽が見えそうな天気に変わってきたので、宿イチ押しのロビーに移動して夕陽鑑賞。

何と! こんなに綺麗な夕陽はいつ以来だろう! 佐渡に来てよかった! この宿に泊まって良かった! 頭の中で、私の生涯の夕陽のテーマソングである吉田拓郎の「落陽」を何度もリフレインしてしまいました!

また振り出しに 戻る旅に、日が沈んでゆく

夕陽の興奮も冷めやらぬ内の夕食も満足。新潟は酒どころですが、佐渡にも美味しいお酒がたくさんあるので、昨日から日本酒三昧を満喫!

これ、全部佐渡の地酒です!

夕食後には佐渡名物の鬼太鼓のショーまで楽しみました。