麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

2023年九州ドライブ紀行<その3:台風と甑島>

8日目:8月9日(水)

 

台風直撃を直前に控えて早くから目が覚めてしまい、3時頃からはネットやテレビの台風情報に釘付け。いずれにしてもこの日は宿泊地鹿児島県の出水市に行ければいいと考えていたのですが、昨日の晩あたりは「暴風圏内に入る前ならば、途中の日帰り温泉くらいは行けるかな?」なんて甘い考えもあったのですが、暴風予報は大袈裟ではなく10分単位で悪化する(早まる)感じ。出水市が暴風圏内に入るのは昨晩の予報では9日の午後2時過ぎだったのに、朝の4時を超えた段階での予報では、今日の午前11時! これでは、のんびり日帰り温泉に浸かっている余裕はありません。朝の普通の時間に佐賀を出れば、暴風圏内に入る11時前には出水市に着けるのでしょうが、途中の高速の通行止めなどが心配です。ついては、妻を起こして朝の6時前には愛車をスタートさせます。こういうこともあろうかと、朝食なしのプランを予約していて正解。
まだ、雨もパラパラで風もそんなに強くありません。今のうちに距離を稼いでおこうと、朝食休憩もせずにひたすらドライブ。無事に九州自動車道に乗れ、80キロ規制はあるもののまだ通行止めの情報はなく、時折雨風は激しくなるものの安全運転を心掛ければまだ恐怖はありません。熊本~八代を通過し徐々に雨風は強まって来ていますが、何とか熊本県を抜けて鹿児島県の出水市へ。9時には目指すホテルに着き、「すぐ部屋に入りたい」と交渉して、半日4000円の追加料金で何とか部屋に入ることができたのです。
でも、このホテルがこの旅最大の失敗。半年前に出水市に泊まることを計画して、武家屋敷に近いこのホテルをとりあえずポチっと予約。その後、日程を変えて別の都市に宿泊しようとして、このホテルをキャンセルしようとした時に改めて目に飛び込んで来た契約条件は、「予約時からキャンセル料全額!」。最近、時折こういう条件の旅行契約があるのは知っていたのですが、予約時に見落とした私のチョンボです。宿泊全額とは言っても宿泊だけで8,000円ですから、授業料だと思って全額払って別の宿を取ればいいのですが、生来貧乏性でケチな私はその8,000円が勿体ないとばかりにそのまま出水市に泊まるプランを組んだのです。その時点では、HPを見る限りこのホテルには最上階にリーズナブルな展望レストランがあり、加えて1階には居酒屋もあり、夏前には「ビアガーデンもオープン!」と書かれていてそんなには悪くない印象。「どこで夕食を食べようか!?」と、計画段階では結構悩んでいたくらいです。
ところがこのホテル、来てみるとどうにも場末のビジネスホテル。今は最上階のレストランはランチしかやっていないし、居酒屋に至っては影も形もありません。ビアガーデンのことは聞く気にもなれずに、チェックインしながら「昼は最上階のレストランで食べるとして、じゃあ晩飯はどこで食えるの?」と聞いて見ますが、「ホテルにはないけど、近くにはお店も結構ありますよ。」と、これから台風が来るというのに冷たい返事。
とりあえず部屋に入り、NHKが入らないという台風情報を見るには致命的なTVとネット(wifiがあることは救いでしたが…)で台風情報をチェックしながら最悪の事態にはならなかったことにとにかく安堵。予想通りこの日のこのあたりのフェリーは全便欠航で、当初の予定通り雲仙に泊まっていたらやはり大回りしなければならず、今頃は風雨の中をビクビクしながらここ出水を目指してドライブしていたでしょう。本当にあの判断は我ながらグッジョブでしたね。
お昼になったので、最上階のレストランでランチを食べようと一旦フロントに行くと、「実は、台風でレストランのスタッフが来れずに、今日はオープンできないんです!」と、何ともショッキングな状況に!「じゃあ、どうすればいいの?」朝飯も満足に食べられていない空腹の我々も結構必死です。「では、宿の車でコンビニまで送迎しましょう。」風雨も激しくなって来たので贅沢は言わずに、ここはホテルのご好意に甘えましょう。車で数分のコンビニで、お昼と今晩の弁当とお酒とつまみを仕入れて、部屋に戻ってとりあえず旅先としては超侘しいランチ。
午後もやることがないので、昼間っからお酒を飲みながらひたすら雨と風の音を聞いてボケっとしています。この時点で我々の最大の関心事は明日の甑島行きのフェリーが出るかどうか。万一欠航にでもなったら、甑島を諦めてどこに行こうか? を、数時間ネットとにらめっこして悩んでいました。(勿論、欠航が決まった訳ではないので、予約はできずに空室確認だけでしたが…)
昼に続いて侘しい夕食を取り、アルコールが結構回ったため割と早く眠りに着きました。

 

9日目:8月10日(木)

 

相変わらずの雨音で目覚めます。TVをつけると佐賀や長崎あたりの台風情報をやっていて、どうやら台風は我々のところからは過ぎ去ってくれたようです。でもTVでは盛んに台風の爪痕の洪水や川が溢れているニュースをやっており、我々のいる出水市が大丈夫かどうかの情報はありません。レストランがないこのホテルなので、朝ごはんは近くのファミレスかマックにでも行こうと思っていたのですが、街の状況が判らないのに車で出掛けるのは危険… と、朝早い出発を断念して、唯一食べられるものはフロントで売ってるカップラーメンだけなので、3食連続の侘しい朝食。
朝食後、だんだん周囲の状況も判ってきて、どうやらここ出水市の辺りは大きな被害はなさそうなことが判ります。レストランのあるホテル最上階にも上がってみますが、周囲を眺めても特に問題はなさそうで、近くを流れる川も溢れてはいないようです。問題の甑島行きのフェリーですが、甑島発の朝一便は欠航が決まっていますが、串木野から甑島に行くフェリーは「検討中」とのこと。まだ雨は降っていますが、午後には止む予報なので、最終便を予約している我々はとりあえず運航することを信じることにします。
丁度24時間滞在したこのホテルをやっと脱出して、雨中ですが出水市の観光をスタートしますが、やっぱり路面はどこも相当水浸しで、注意して走っても大量の水を跳ね上げてしまいます。
最初の見どころは出水麓武家屋敷群。でもまだ雨は激しいので武家屋敷群を散策する気にはなれずに、武家屋敷のことを展示している出水麓歴史館で雨宿り。

武家屋敷群のジオラマ

台風直後のこんな雨の中なので当然観光客は皆無で、暇を持て余していた学芸員の方はとっても丁寧に武家屋敷の説明をしてくれたので、満足でした。

西郷と大久保って最後は仲たがいしたのでは?

この後プランでは薩摩川内市方面(の武家屋敷群)に行くつもりでしたが、1つでも多くの離島に足跡を残したい我々は、昨日行けなかった長島に向かいます。離島と言っても九州本土から長島には橋が掛かっていて、ここも潮の流れによっては渦潮が見えるらしいのですが、今日の我々は雨中をただ淡々とドライブ。

ここで渦潮が見える時もあるのだそうです。

プランでは昨日の午後に数時間掛けて長島をほぼ一周する予定でしたが、今日は時間もないので少しだけ長島の海岸線をドライブして、少しだけ写真を撮ります。

前の日に見て回る予定だった「長島八景」。

この日のランチは串木野市までドライブして、「マグロラーメン」をいただきました。

串木野市には何店舗かあった「まぐろラーメン」

マグロラーメン

海鮮好きの妻はマグロラーメンに満足したようですが、福岡以来ギトギトしたとんこつラーメンに飢えていた私は、マグロの誘惑を断ち切って鹿児島のとんこつラーメンをいただきます。

でも、私はこってりなとんこつラーメン

やっぱり、九州ラーメンは美味かぁ~!

午後の串木野市の観光は空振りばかり。中国風の庭園に行ってみても入口や駐車場がどこにあるのかが判らず、正直そう魅力的にも見えなかったので結局車を停めず。じゃぁ焼酎蔵でも見てみようと行けば何故か定休日。(定休日なのか台風で臨時休業なのかは不明ですが…)

でも、モタモタしているうちに雨は止み、フェリーもどうやら運航するようなので、フェリーの受付時間も近づいて来たので早めに串木野港へ向かいます。
車輌の乗船予約は2ヶ月前から済ませていたのですが、甑島行きのフェリーが何日か欠航している状況ですから、港は大混雑だろうなぁ~… と覚悟して向かいましたが、然程でもなく、フェリーターミナルの中で甑島の情報収集をしていたところ、「島内遊覧船は運休中」との残念な貼り紙を発見。明日の観光のメインと考えていたのでショックではありましたが、予定通り甑島に行けるだけでも良しとしなければいけませんね。

甑島からのフェリー到着!

混雑の船は定刻通り串木野港を出航。台風の影響で船酔いも覚悟してトラベルミンを飲んで乗船しましたが、意外と揺れず快適な船旅でした。

私が甑島を知って&憧れたのは大学生の頃。当時居候していた岩手県野田村のYH(ユースホステル)のペアレントで「ネコさん」と呼ばれて親しまれていた私が大好きな人がいました。ある日、「どうして、ネコさんって呼ばれているんですか?」と聞いてみたところ、「貧乏な旅人をしていた頃に甑島に長逗留して、貧乏の極みだったので、魚のアラとか猫しか食べないようなものばかり毎日食べていたので、いつの間にかみんなから「ネコさん」と呼ばれるようになった。甑、懐かしいなぁ~、良かったよぉ~!」という話を聞いて、甑に猛烈に憧れてから、今回の初訪問まで何と43年の歳月を要してしまいましたが、いよいよ上甑島の里港に到着です

里港到着は夕方。港目の前のホテルが今宵の宿です。

ホテルエリアワン。この写真は翌朝の写真です。

チェックインするフロント隣の売店には甑島の焼酎の試飲コーナーがあり、もうこの日は運転しないので予想以上に美味しい芋焼酎を2杯もいただき、すっかり浮かれた気分に。
部屋もオーシャンビューでいい感じです。

我々はこのホテルを数ヶ月前に2食付で予約していたのですが、その後2食付のプランが表示されなくなり、ほぼ同じ値段で1泊朝食のプランのみの表示となっていたので、「こりゃ、ひょっとしたら貧弱な晩飯なのかなぁ?」と、ちょっとビビりながら指定された食事場所に向かうと、大きな宴会場のようなホールで、我々夫婦の他には1人旅らしき男性のみ… 料理は心配したような貧弱なものではありませんでしたが、部屋が巨大過ぎて何となく落ち着かない淋しい夕食でした。
こんなことなら、近くの居酒屋を予約しておけば良かった!
でも、甑島産の芋焼酎はみんな美味で、呑み友達である友人への土産はこれで決まりました!

 

10日目:8月11日(金)

 

甑島には2泊ですが、明日の朝の便で甑島を離れるので、観光は実質この日だけ。ホテルで朝食を食べてすぐに8時半にオープンするフェリーターミナル内にある観光案内所に行き、甑島の情報収集。一昨日の台風による通行止めがかなりあり、今日は行けない観光スポットもいくつかあるようですが、しっかりとそれらの情報を仕入れてから、観光をスタート。
最初の見どころは里地区の武家屋敷群。出水でも薩摩川内でも見られると思っていた武家屋敷が見られなかったので、ようやく見られた江戸の風情を残す風景が見られて満足。

続いては甑島独特の地形が眺められる長目の浜展望所。

近くの田之尻展望所も絶景で、時間が許せば何時間でも見ていたい景色。

天気も良くてサイコーです!

甑島と呼んでいますが実は列島で、いくつかの島が橋で繋がれているのです。我々が上陸して今までずっと観光していたのは上甑島で、甑島の名前の由来となった甑大明神のすぐ横に甑大明神橋があります。

その先には中甑島への鹿の子大橋があり、こちらもいい眺め。

ここで一旦上甑島に戻り、朝訪ねた観光協会直営のお土産屋さん行き、甑島の焼酎を友人へ送ります。今朝色々と教えてくれた方が、発送まで対応してくれました。本当なら焼酎蔵に行って焼酎を買いたかったのですが、今日は祝日で恐らく酒蔵はお休み。お目当ての焼酎蔵はここから一番遠い下甑島の最南端にあるので、もし休みだったら…と考えて、ここで仕入たのです。

この日の昼食場所には、2ヶ月前にネットで予約申し込みをしたところ「満員」で返事が来て大いに焦ったのですが、「でも、30分後の12時半なら何とかなるかも」と言われたので、12時半で予約をしたお店。

食堂に入ると確かに団体が食べた後がまだ片付けられずに残っており、「満員」が頷ける状況。このお店は海鮮BBQなどがウリのようなのですが、我々のお目当ては「あふれる海鮮丼」。さすがに漁師直営のお店で、とびきり新鮮な地元の海鮮はメチャ美味でした!

ここで上甑島に別れを告げ、再び甑大明神橋~鹿の子大橋を通って最大の島である下甑島を目指します。今回の甑島のメインというか今回の九州旅行の最大のメインと考えていたのが、中甑島と下甑島を結ぶ2年前に開通した甑大橋!

この橋の途中には車を停車させられるスペースがあり、最高の眺め!

下甑島に入って、甑大橋の全景が見られる鳥ノ巣山展望所へ。

この旅イチの絶景!

天気も良く最高の眺め。来年の年賀状の写真が決まりました!

下甑島は最大の島だけあって結構ドライブし甲斐があります。おまけに上甑島に比べて道が狭く、朝聞いた「一昨日の台風で行けないらしい」展望台等もあるようです。
とりあえず下甑島の中心街まで行き、次に向かったのは「瀬尾観音三滝」。ここは滝が3つあるらしく、下から上に上がって観光をするようなのですが、私の足では一番下の滝までが精一杯。まだ道もぬかるんでいるので、無理しないことにします。

下甑島最南端には手打麓の武家屋敷があります。中心街にある下甑島の焼酎蔵吉永酒造にナビをセットして向かいますが、祝日で閉まっているという情報だった吉永酒造、何と開いています!もう焼酎は発送した後なのですが、とっても美味しい焼酎「甑州」に敬意を表して追加でもう少し自分の分を仕入れます。

吉永酒造 営業中!

手打麓の武家屋敷の駐車場は「スーパーの駐車場に停めればいい」と言われていましたが、大きくないスーパーの駐車場はずっと満車で、しばらく待っていても一向に空きません。仕方がないのでゆっくり武家屋敷通りをドライブすることで武家屋敷を満喫しました。(従って、写真はありません。)

武家屋敷通りを抜けると、森進一の「おふくろさん」の歌碑があります。「そういえば、森進一って鹿児島出身だったよなぁ。甑島なのかな?」と思っていたら、森進一ではなく彼のお母さんが甑島出身なのだそうです。

「おふくろさん」の歌碑はピッタリですね!

2泊目の宿は下甑島の長浜港に近い旅館。明日の朝のフェリーで甑島を離れるので近い宿にしたのですが、値段の割にいささか残念な宿。明日の朝、2便しかないフェリーで長浜港を出るのに、「7:45発のフェリーに乗る我々の朝食を準備できない…」と言われたことはちょっと理解できません。離島で、港に近い宿なのに… です。
夕食もグレードアップした割には鮮度・サービスを含めイマイチ… って感じ。甑島、もっと観光的に盛り上げるためには、受け入れる島の観光施設のホスピタリティを上げる努力が必要に感じました。

とはいえ、43年越しの念願であった甑島に来れたことは、本当に嬉しかった!
この日も一緒に旅してくれたであろう天国にいるネコさんと、地元吉永酒造の美味しい焼酎「甑州」を酌み交わしながら、憧れだった甑島のことをあれこれ話しました。