麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

【2018年GWの旅】道南&桜紀行<その3:長万部・江差と奥尻島>


4日目:4月29日(日)

この日の予定は、日本海側のせたなとその周辺をちょっと見た後に太平洋側に移動、地名に馴染みのある2つの町を見てから再び日本海側に戻るという、1日で太平洋と日本海をどっちも満喫しようという超贅沢な1日。太平洋と日本海との間が日本一狭いこのあたりだからこそ出来るスゴ技です。
まずは宿泊したせたな町に敬意を表して2つの公園を訪ねてみます。どちらも花が咲いていればきれいなのでしょうが、北海道の4月ですからそこは計画段階から期待薄。
最初の浮島公園は、池を取り囲む公園ですが、やはり花はまだ。
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そのかわりという訳ではありませんが、たくさんの野鳥が競って鳴いていて、野鳥の会の会員の皆さんには堪らないスポットなのかも知れませんね!?
次の玉川公園には水仙は咲いていますが、その他にはこれといった特徴がない公園。
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かなり公園は広そうですが、我々はさわりだけを見て先を急ぎます。

ここせたな周辺も、岩内あたり同様ガイドブックには殆んど載っていない町ですが、"塗りつぶし"を目論む我々は、ネットで観光スポットを探して訪ね歩いてゆきます。次のスポットは日本初の女医さん達が明治時代に理想郷を目指して建てた「今金インマヌエル教会」。
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失礼ながら理想郷にはほど遠い気がしますが、当時はこんなところに夢を託したのでしょうか? GWとは言え、勿論こんなところに来る物好きな観光客は我々だけのようです。

ここ今金にも鉄道遺産があるというので立ち寄ってみます。岩内線と同じく函館本線から分岐して日本海を目指した瀬棚線の今金駅跡。
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前日に訪ねた幌似駅のように駅舎がある訳ではなく、少しの線路と周辺の駅も含めた駅名標だけが残っています。
隣には巨大な風車のあるビルがありますが、近づいてみても何に使われているのかが皆目見当がつきません。
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太平洋沿いに出て、40年以上名前はずっと知っていたのに一度も行ったことがない町の代表格とも言える町「長万部」に行きます。まずは駅に行き北海道新幹線の停車駅にもなるらしい長万部駅にご挨拶。
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この駅にも何年後かには新幹線が停まるのですね… その時には、降りてみたいと思いました。

ここ長万部、せたなや岩内以上に観光スポットが見当たらず、観光案内を見ても温泉ばかり。なので、ここでは私には珍しく大学を訪ねてみようと思います。長万部駅にも看板があるように、ここには東京理科大学長万部キャンパスがあるとのこと。
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基礎工学部という学部の一年生全員は、ここ長万部で全員寮生活を送るのだとか…? 高校生時代、猛烈に北海道移住に憧れ、北大の学生寮に憧れていた私。せめてここ長万部で憧れの巨大な田舎キャンパスライフと寮生活に夢を馳せることで、長年名前を見知った街、長万部の観光にすることとします。
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車で想像通り広大なキャンパスに入り、メインらしい建物の中の受付に名前を書いて図々しくも見学させていただきます。
食堂には立派な絵が掛かっています。明治時代に前身の東京物理学園を作った創始者たちなのだとか。
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たくさんある教室には、PCなども完備。この日は日曜日なのに一生懸命PCに向かっている学生さんもいました。
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体育館にはスキー用具もたくさん。全て学校の備品で学生は自由に使えるらしいというとても羨ましい環境。
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ゴルフクラブ(アイアン)を持って外に行く学生の後をついていくと、そこにはいわゆる"打ちっぱなし"のゴルフ練習場まであります。
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受付で貰った案内によると、すぐ裏のここが学生寮らしいのですが、さすがにそこまでは入れません。
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長万部の一風変わった観光を楽しみました。

長万部と言えば有名なのは駅弁の「かにめし」。高2で初めて北海道に行った時にも、この駅弁を食べたらしく40年前の包装紙が残っています。(実はあんまり記憶にはありません。)当然この日の昼食はこのかにめし。駅弁ではありませんが、駅弁の会社「かなや」のドライブインでいただきます。
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その後、北海道に来るたびに何度か食べてはいるので、懐かしい味でした。

太平洋沿いのもう1つの町は八雲。乗っていた急行や特急が何度か停まった記憶がある町なので、ここも塗りつぶしを試みます。1つ目の観光は八雲神社。この八雲神社は愛知県にある熱田神宮の分社という由緒ある神社とのことなので、ここでもステッカーがあるのを期待しての訪問。でも、反対側からアプローチしたせいで駐車場すら見つけられず、路駐して慌てて参拝したものの無人の神社でお札等の売店もありません。
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もう1つの八雲のみどころは、高速道路のサービスエリアと一体になった、「噴火湾パノラマパーク」。子供と遊べる広大な公園と噴火湾が見渡せるビュースポットなのですが、今回北海道に来て以来雨こそ降らないもののずっとパッとしない天気が続いており、この日もPM2.5を疑いたくなるようなすっきりしない曇り空。噴火湾の絶景はお預けでした。
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ここ噴火湾パノラマパークの「白い恋人ソフトクリーム」というのが最近かなりの人気らしく行列が出来ていましたが、"1日1ソフト"の我々が目指したのはすぐ横にあるソフトクリーム有名店。こっちも行列でしたが、白い恋人の方に並ばなかったのを後悔しないハイレベルな味でした。

八雲から日本海側に戻る雲石国道は、旅行前に毎日見ていた北海道峠道のライブカメラでは、最後の方まで雪が残っていた場所。出発数日前に路面の雪はなくなったようなので、真狩村の恐怖を思い出しながら結構急な峠道を走ります。峠付近にはまだかなりの残雪がありましたが、路面には雪はなく真狩村のように降りて写真を撮る程でもなく、無事に日本海側にたどり着きました。
再び日本海側のビュースポットへ。まずはせたな町の親子熊岩までちょっと戻って観光。
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桜の名所でもあるらしい「鮪(しび)の岬」では車を停めて散策してみましたが、早咲きの桜がちらほら咲いていて、今回北海道で最初に見られた桜になりました。
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ネットには「東洋のグランドキャニオン」と紹介されている「館の岬」。さすがに、”グランドキャニオン”と名乗るのはどうなのでしょう?
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江差に入り、このルートでは数少ないコインランドリーに洗濯物を放り込み、洗濯と乾燥が出来るまでの時間を使って、近くのホテルで日帰り入浴を楽しみます。
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こんな場所(失礼!?)で、バリアフリーを標榜している宿に大いに興味があり、敬意を表して"せめて日帰り温泉だけでも"と体験させていただきます。ロビーには、車椅子の方も何人かいらっしゃいましたが、皆さん温泉に入れるからかとても嬉しそうでした。車椅子で入れるスロープ付きの温泉は、写真で見るより若干小さめでしたが、車椅子で温泉に入る夢を与えてくれることに、障がい者のはしくれに連なる者としてただただ感謝でいっぱいです。

今日の宿は江差のビジネスホテル。繁華街にあるホテルなので居酒屋での夕食には困らない筈なのですが、今日は日曜日なので開いている居酒屋がとっても少なく事前には候補を絞り込めませんでした。ホテルのフロントで相談してみましたが、経験が浅そうなスタッフは全く頼りになりそうになく、「日曜日だからなぁ~!?」を繰り返しています。案の定、ホテルに紹介された唯一のお店は日曜定休。何十年もここ江差で営業しているレストランもないホテルなのに、夕食ガイドマップの1つもないなんて、やっぱり競合がない地域のホテルはダメですね!?
次に来る時までに、「東横イン」できないでしょうか?

そんなケースも薄々予想していたので日曜日でも開いている居酒屋をリストアップしていた抜かりのない我々は、そのうちの1つの小さな居酒屋に無事に入ります。この居酒屋の情報はネットでもあまりありませんでしたが、さすがに江差なので刺身は新鮮。
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小さいお店なのでメニューは少なく、好きなものをたらふく… とはいかなかったものの、それなりに満足してホテルに戻りました。

5日目:4月30日(月)

今日は午前中は江差の観光をして、昼過ぎのフェリーで奥尻島に渡る予定。朝食はこの旅唯一前日にコンビニ(北海道ですから、勿論セイコーマート)でパンを仕入れて、部屋でいただきます。失業中の日本一周の時には大半がこんな朝食だったのですが、今回は11日間でたった1回だけ! 全く贅沢になったものです。
8時過ぎにホテルを出て、まずは江差の町と観光スポットの距離感を掴みそれぞれのスポットにほど近い駐車場を下見。
観光のスタートは、まずは入場するつもりのないところから。旧檜山爾志郡役所は、資料館があるようなのですが我々は開館に関係なく写真に納めるのみ。
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入口横には、開陽丸沈没を嘆いた土方歳三が悔しがって叩いたら松がぐにゃっと曲がったという伝説の「土方歳三嘆きの松」もあります。昔の怪力は桁外れというより大袈裟ですね!?
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すぐ近くには法華寺が。ここの絵は有名らしく9時以降@300円を払えば見学出来るようなのですが、我々の興味はこのお寺の桜。ちらほらと咲いているのが見えましたが、まだ数日早かった感じでしょうか?
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次は「江差はここから始まった」とも言われるかもめ島を少し散策してみます。江差のシンボルにもなっている瓶子岩、根本が削られていて倒れないかどうかが少し心配です。
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このそばにはその沈んだ開陽丸が復元展示されていて、HPでは入場出来るように書いてあったのですが、どうやら外観だけのようです。
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江差観光のメインは昔の町並みが保存されている「いにしえ街道」。まずは江差のお祭りの時には主役になる小さな神社、姥神大神宮。
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下見のお陰でみどころの一番真ん中に金融機関の駐車場があることがわかり、今日は祝日なので停めさせていただきぶらりと散策します。
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こういう昔ながらの町並みが私は本当に大好きなのです!
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旧中村家住宅は、鰊番屋ではなく鰊で栄えた江差きっての近江商人の旧宅。狭くて急な階段を2階には上がれないので、1階と地下だけを楽しみます。
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江差のもう1つのメインは江差追分江差追分会館では11時から実演があるのにあわせて入場。
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追分会館は山車会館(江差では"やま"かいかんと読むらしい)も併設していて、江差にはゆかりがない偉人(例えば水戸黄門)などのお祭りの山車(やま)が展示されています。
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江差追分は昔日本一になった名人の唄を聞きましたが、正直あまり違いはわかりません。
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フェリーのチェックインは12時20分までには行う必要があると言われていたので、急ぎお昼を。江差での昼食は名物のニシンそばと決めていたので、旧中村家と並ぶ旧家のニシンそば専門店の横山家に入ります。ここのメニューはニシンそばたった一品だけ(大盛すらない)だし、いくらGWだからとは言え11時半に席に着いた(=オーダー完了)のだから楽勝だろうと甘く考えていましたが、30分経って12時を越えても我々のニシンそばは一向に運ばれてくる気配はありません。断って席を立とうと真剣に考えていた12時10分頃ようやく我々のニシンそばが運ばれて来ます。
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忙しかった営業マン時代に急ぎ駅の立ち食いそばをかきこんだことを彷彿とさせる必死の昼食。これでは@1000円のニシンそばを味わう余裕は全くありません。

奥尻島へのフェリーには愛車を積み込みます。この自動車輸送料金は片道15000円を越える金額なので、当初は江差に車を置いて奥尻に渡ろうと目論んでいたのですが、2ヶ月程前に奥尻に1つしかないというタクシー会社に貸し切り観光のことを聞こうと電話したところ、「今、申し込んだ以降は、代金全額がキャンセル料としてかかります!」と、まるで詐欺のような超あくどい条件を突き付けられました。普通のタクシー観光で2ヶ月以上前に申し込んだ直後からフルチャージなんて、30年以上旅行業界にいた私も聞いたことがありません。独占企業だからこそ出来る常識外の条件がのめる筈もなく、怒りにうち震えながら「奥尻になんか行くものか!」と電話をブチ切りました。
少し経って冷静になると、「たったこれだけのことで奥尻を諦めることはない。」という気持ちになり、とは言え奥尻では絶対にあんなタクシーは使いたくないので、3万円の出費はとても痛いけれど、愛車を積み込むことにしたのです。
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つまり奥尻に行くのなら、普通の旅行者ならば絶対にレンタカーがオススメ。片手片足運転の私はレンタカーを運動出来ないのが本当に悔しいです!!
今日も風が強く、そのためか波も高くフェリーもかなり揺れています。念のため酔い止め薬のトラベルミンを埼玉から持っては来たものの、肝心な時に車の中に忘れてきたという失態を犯した私は結構酔ってしまい、酔いに苦しむ我慢の2時間でした。

奥尻島着は3時過ぎ。奥尻島滞在はたったの24時間なので、せっかく愛車を持ち込んだのですから、この日の3時以降の時間も無駄にはしません。まずは島を横断して奥尻ワイナリーに向かいます。
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島で栽培したブドウでしか作らないという奥尻ワインは、島で採れるそのブドウには塩気があり、「これがワインとしては意外に旨い!」という噂を何人かの知人から聞いていて、ワインはそれほど好きではない私も興味津々。ワイナリーでワインが買えればいいのですが、見学は事前予約が必要とのことなので、ちゃんと予約を済ませています。
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「ワインはブドウが採れただけしか作らない。」などの説明を受けた後はお待ちかねの試飲。とは言え、運転手の私は試飲できないので、試飲役はワイン好きの妻にお願いし、土産で仕入れるワインのチョイスは妻に委ねます。
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地域活性化などと偉そうな事を言うつもりはありませんが、今回の旅のお土産はせめてもの気持ちを込めてその大半を奥尻島で買うつもりにしていたので、奥尻ワインをそれなりに仕入れて車に積み込むのを手伝っていただきました。
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(埼玉に持ち帰って美味しくいただいた奥尻ワインです。)

ワイナリーのすぐそばには、奥尻島でも有名な神威脇温泉があります。
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地元民に愛される銭湯のような雰囲気の温泉は、「一階は熱いけど二階に上がれるならばそんなに熱くはないよ!」と受付のおばあさんに言われましたが、もとより事前情報収集で"展望風呂"の二階に上るつもり。何とか二階に上がっれましたが、眺望はともかく二階のお風呂もかなり熱く、これ以上という一階のお風呂がとても気になりました。次回は必ず一階に入ります!

奥尻の宿は旅館と民宿の中間ぐらいで、"御宿"と名乗る宿。料理の評判で選んだ宿なので夕食の時間6時半には間に合うように宿に向かいます。まだウニの季節ではなく、イカにも少し早いけれど、奥尻の海鮮をたらふく食べ、それなりに満足しました。ここで初めて奥尻ワインを味わいましたが、ワインをたくさん仕入れたことが間違っていなかったことがとても嬉しい一夜でもありました。
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6日目:5月1日(火)

毎年、5月1日には奥尻フェリーのせたな航路がオープンし、港では海開きならぬ「島開き」のイベントが開催されるという記事をネットで読み、楽しみにしていたのですが、今年の開催告知等はどこにも記載されていなかったので宿の方に聞いてみたのですが、「島開きは10年開催したので、昨年からはもうやっていない。」とのこと。フェリーの割引キャンペーンも繁忙期だけの取り組みだったり、どうも奥尻の観光行政は(GWなのに)繁忙期でない時期に来る観光客には極めて素っ気ないようです。

気を取り直して、今日は午後のフェリー出航まで奥尻を一周してその魅力を見倒す予定。まずは宿すぐ近くにある宮津弁天宮へ。
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駐車場から見るとほぼ同じ高さにある弁天宮なのですが、そこまでのアプローチは急な階段を下って昇ることは事前のリサーチで知ってはいたのですが、手すりはあるものの想像通りの急階段なので、予定通り対面から写真を撮るだけで満足することにします。

ちょっと右に曲がったラグビーボールのような奥尻島を時計周りに観光。数時間後にはまた来なくてはいけないフェリーターミナルを過ぎ、奥尻の象徴ともいえる「なべつる岩」へ。
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ネットや写真で散々見た奥尻島のシンボルですが、やはりこの場に立つと感無量。「色々あったけど、奥尻に来て良かった??」と思った瞬間。

奥尻のもう1つのシンボルは「うにまる」。ゆるキャラのうにまる君に会えるかどうかはともかく、うにまるモニュメントは車で走っていると見落としそうな場所にあります。
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向かい側のうにまる公園の中には、我々古いプロ野球ファンにはとっても懐かしい、奥尻島出身の阪急ブレーブスの背番号11番佐藤義則投手の記念館があります。妻には全然知らない人なので全く興味はなさそうですが、強引に入口まで連れて行ったものの何故か無期限の休館中。妻はほっとしていましたが…
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奥尻島最下部は青苗地区。ここには奥尻観光の際に避けては通れないと言われる「奥尻島津波館」があります。 まずは入口近くにあるモニュメント「時空翔」。
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地震津波の日である7月12日には、この窪みにちょうど夕陽が沈むように設計されているのだとか。
北海道南西沖地震奥尻島津波被害については、勿論一般的な知識としては知ってはいたのですが、その後東日本大震災をリアルタイムに報道で見て、その後の惨状も見ている者としては、どうしても「あれ程ではないでしょ?」的に考えてしまっていたことも事実です。奥尻島津波館に入り、「時間があれば、説明します」との申し出を素直に受け、その時の状況をご説明いただいた途端、私の持っていた一般的な常識などでは計り知れない、その状況が映像を見る以上のリアリティをもって、我々に迫り来たのです!

1993年7月12日夜10時17分、突然来たその地震の揺れは1分半続き、早いところでは揺れが収まってからたった1分半後に、10メートルを越える津波が押し寄せたとのことですから、その恐怖を比べることは出来ないものの、ある意味逃げる時間を与えない突然の深夜(朝が早い奥尻の町民にとっては、10時過ぎは深夜!!)の津波の恐怖は想像出来ないくらいだったのでしょう。話を聞き始めてからは、我々夫婦も唖然として一言の言葉も発することができずに、ただただ目に涙を浮かべながら展示物を凝視することしかできない約1時間でした。
奥尻観光には絶対に欠かせない場所」の意味が十分に理解出来ました。

青苗岬は津波館のすぐそば。こんな低い土地には、いつ来るやも知れない津波に備えてあれ以来住居は作りません。
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気分を切り換えて奥尻島の観光を再開。青苗地区のすぐそばには奥尻空港があり、函館から1日1本の小型機が来ているのですが、時間が合わない今は全く航空機もいないただの野原?? この後、奇岩が連なる西海岸を観光。対向車も殆んど来ないので、眺めがいい場所で遠慮なく車を停め、パチリ。
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北追岬公園にはらしくないモニュメントが… よくよく探すと、作者の名前が極めて控えめに表示されています。
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この辺りには、昨日来たワイナリーと神威脇温泉がありますが、今日は勿論通過。

奥尻観光のもう1つのハイライトは、球島山。頂上すぐ近くまで車で来られて、ほんの僅か手すりのある階段を登れば頂上に着き奥尻雄大な景色が見下ろせる私にも嬉しい風景です。
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この日も天気は何となくすっきりしない1日でしたが、ここで晴れた絶景が見えてしまうともう一度奥尻に来る理由が無くなってしまう気がしたので、これでいいのです。
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奥尻島には観光で立ち寄れるレストランもさほど多くはなく、この日の昼食は最北部のドライブイン。名物のうに丼はまだその季節でないのは判っていたのですが、店員さんの挨拶代わりのフレーズは「すみません。うに丼はまだ出来ないのです」 。一縷の望みは抱いていたものの、諦めてここでしか食べられない「なべつるカレー」と焼いたツブ貝を注文。
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海産物がたくさん入った奥尻らしいカレーと言えなくもないのですが、レトルトカレーに海産物をたくさん入れて煮込んだような味。最近、レトルトカレーのクオリティが上がっているので、決して悪口ではありません。
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最北部のみどころは賽の河原。海難者などの幼少者を祀る道南五霊場の1つなのだとか。
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我々も将来ある筈だった幼少者の鎮魂のために、線香を上げます。
ちなみに、この辺りが地震の揺れが収まった僅か90秒後に津波が押し寄せた場所とのこと。その時の犠牲者の方々にも鎮魂します。
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これで、奥尻島一周観光を終えてフェリー乗り場へ。タクシー観光では僅か3時間のコースらしいのですが、我々はゆっくり6時間楽しみました。
最後は島最大のお土産屋さんで、今回の旅のお土産を揃えます。奥尻復興祈念のささやかな気持ちです。

折り返しのフェリー到着に会わせて、埠頭にはうにまる君がお出迎え。
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うにまる君に再訪を誓って奥尻港を後にします。
帰りのフェリーにはトラベルミンを飲んで備えたのですが、行きほど揺れず快適な船旅。就航1年目の新型船の実力はさすがのようです。

6時過ぎに江差港に戻り、今日の宿であるすぐ近くの「寿司屋民宿」に向かいます。
上ノ国の岬に建つこの日一軒宿民宿のウリは、日本海に沈む夕陽。私の計画では夕陽が沈む5分前に宿に着き感動的な夕陽ショーが見られる完璧な予定でしたが、くもり空のこの日太陽が顔を出すことはありませんでした。

夕食は当然のようにお寿司。(首都圏の)デパート物産展の常連らしいご主人ですが、昨年私と同じ病気で同じく右半身に麻痺が残ったらしく、現在寿司は若いお弟子さんらしい女性が握っていました。
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病気に負けず、お互いに頑張りましょう!!