麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

7、九州一周の旅<その14:(最終回)佐賀~福岡>


16日目:9月15日(火)

この日の予定は、もう少し佐賀県を楽しんでから、いよいよ私の親父の故郷である福岡県に行く予定です。
当初の予定では、福岡県に何泊かして、その後シルバーウイークに突入してからものんびりと日本を走りながら、ゆっくりと埼玉に帰るつもりだったのですが、応募していた会社から「最終面接します。」という連絡が来たので、ここからは予定より数日早く帰宅を始めることにしました。
ということで九州も残り僅かですが、まだまだ目一杯楽しもうと思います。

呼子の朝の名物と言えば、「朝市」。一説では高山、輪島に並ぶ「日本三大朝市」の1つだとのことなので、高山の朝市を見ていれば「最後の1つ!」と思い必ず行ったのかも知れませんが、前月の旅では輪島の朝市には予定通り行ったものの、高山での朝は、国道が通行止めになるくらいの豪雨だったので、高山の朝市は見られていないため、まだ買い物する気にはなれないここ呼子の朝市もパスすることにしました。

佐賀県残りの観光は、まずは唐津から。唐津と言えば、父親の実家があった福岡市の西部からはJRのローカル線の筑肥線一本で行ける街なので、小さい頃に親に連れられて行った(らしい)頃には、福岡県だと思っていた場所です。
その筑肥線、当時は博多駅始発のローカル線でしたが、今は福岡市内は地下鉄になっていて、昔懐かしい西新や鳥飼の駅にはその風情は全くないそうです。

唐津のみどころと言えば、唐津城。山城ではなく平地に建つ城の唐津城なのに、下にはありがたいことにエレベーターがあり、城入口までは難なく昇ることができます。
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ここまで苦労なく連れて来て貰えたとなれば、何とか上まで昇りたいと考えるのは人の常(?)なので、いつも通り苦労はしましたが、お殿様の気分になって唐津の街と松浦湾全景の風景を眺めることができました。
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すぐ近くには、「日本三大松原」の1つである「虹の松原」があり、この”日本三大松原”は、ここが”最後の1つ”だったので、迷わずに行ってみます。
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この日本一周のスタートで4月初めに行った”三保の松原”は、雨でその素晴らしい景色は殆ど楽しめなかったのですが、翌5月に行った福井県敦賀の"'気比の松原"同様、ここ佐賀の"虹の松原"も楽しむことが出来ました。
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子供の頃、両親に連れられて来たことがあるらしいのですが、正直その頃の記憶は全然ありません。でも、お土産屋さんで見た"おこし"の包装紙には、微かな記憶があります。
店員さんに、「この包装紙、昔から同じですか?」と聞いてみたところ、「少なくとも、この10年は変わっていないです!」とのことなので、30年以上前から変わっていないことを信じて、自分への土産にします。
でもやっぱり、舌の記憶は全く蘇りませんでした。

佐賀県最後のみどころは、自分的には念願だった「吉野ヶ里遺跡」。
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恐らく親父の実家が福岡だった影響だろうと思うのですが、小さい頃からずっと「邪馬台国は絶対に九州だった!」と勝手に信じていた私です。
だからこそ、この吉野ヶ里遺跡が発見されて、「どうやら、ここが邪馬台国だったんじゃないか?」という説が出た時には、本当に心から狂喜乱舞したものです。
その後、「邪馬台国は奈良だった!」という、有力な反証証拠も見つかったらしく、いまのところ九州説は少し旗色が悪いらしいのですが、私的にはこの吉野ヶ里が見つかった時点で、この論争はとっくに決着しています。
100%奈良で確定でもされない限り、「邪馬台国=吉野ヶ里」は私の中では”決定事項”なのです。
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吉野ヶ里そのものについては、”遺跡がどう”とか”復元状態がどう”とかの細かいことを言う気は全くありません。初めての吉野ヶ里で、卑弥呼とおんなじその地を踏めただけで、それだけですっかり満ち足りた気分になれたのです!
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遺跡には小学校の遠足らしいちびっこがたくさん来ていて、遺跡を見ながらのお弁当時間のようです。小さい時からこんなに素晴らしい遺跡が見られるなんて、本当に羨ましい子供達ですよね!?
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いよいよ九州最後の福岡県です。本当ならば南下して久し振りの”白秋の柳川”から福岡県内をのんびりと楽しみたいところですが、3日後には就職のための最終面接が控えているため、柳川は諦めて福岡市内方面を目指します。
とは言え、福岡に来たら大宰府天満宮にだけには行かない訳には行きません。
前回、大宰府天満宮に行ったのは私が高校1年の時で、その時には、「いい大学に入れますように!」と、「大学受験なんてまだまだ先!」とは思いながらも、とりあえず何となく祈ったことを覚えています。
大宰府でもう1つ必ず思い出すのが、さだまさしさんの曲の「飛梅」。高1で大宰府に行ったすぐ後ぐらいに好きになった曲なので、歌詞の1つ1つまで鮮明に思い出せるのです。
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”心”字池の3つの橋を渡るときには、”過去・現在・未来”と言いながら渡ります。
歩きながら食べるおやつは、飛梅の曲同様の”梅ヶ枝餅”。さださんの曲では半分だけ食べたという梅ヶ枝餅ですが、食いしん坊の我々夫婦は、半分なんて上品な食べ方をする筈もなく、出来立てで熱々の梅ヶ枝餅を1つづつ味わいました。
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道真公を追いかけてきた飛梅は、相変わらずの姿で我々を迎えてくれます。「東風吹かば」の短歌だけは、この私でも珍しく諳じられる短歌なので、久し振りに「春な忘れそ」なんて道真の気になって呟いてしまいました。
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”学問の神様”にお願いすることも特にはなかったので、とりあえず3日後の面接の成功をお祈りします。
道真公のご利益はさすがでした。
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本日の宿泊は福岡市内。私が幼少の頃から知っている福岡の繁華街と言えば、実家近くの西新なので、今回は天神や中洲ではなく、西新のホテルをわざわざ探して予約したのです。

40年以上振りに歩く西新。名前の由来は知らないけれど、”サザエさん通り”を地下鉄の駅まで歩くと、福岡の名門である西南学院大学や、福岡在住の従兄弟たちの憧れの福岡NO1県立校の修猷館高校などがあり、西新は昔のイメージとは大分違う文教都市のようです。

筑肥線のイメージは全く無くなった地下鉄で、繁華街天神に出ます。
福岡らしい居酒屋を探しましたが、残念ながら見事にお店選びに失敗して、残念な九州最後の夜になってしまいました。

17日目:9月16日(水)

明後日の面接のためには、明日中に埼玉の自宅に着いていれば良いので、検討の結果帰りも行きに乗った大阪~門司のフェリーに乗ることにしました。フェリーを使えば、まだ今日1日は福岡県を楽しめるし、大阪港には明日の朝の6時に着くので、夕方までには自宅に帰れそう…と考えて同じフェリーの同じ部屋タイプを予約したのです。

午前中には、きわめてプライベートなのですが、ずっと没交渉だった親父の妹さんである叔母さんを訪ねました。この叔母さんに会うのも何と38年振りです。
叔母さんとはずっと連絡先も不明だったのですが、数年前にFacebookで同じく30年以上会っていない従兄弟(つまりその叔母さんの息子)とつながることが出来、従兄弟から連絡先は聞いていたので、その後年賀状だけは出していました。
4月に「会社を辞めて、日本一周します!」という挨拶状を送ったところ、数十年ぶりに電話をいただき、「福岡に来たら必ず寄んなさい!」と声を掛けていただいていたのです。
本当ならば福岡市内には最低でも2泊はして、ゆっくりと親戚を回るつもりでいたのですが、予定変更でそれも叶わなくなったため、せめてこの叔母さんの家にだけは行こうと思っていたのですが、都合を聞こうと前の晩に電話をしても不在だったため、非礼を承知でいきなり行ってみることにしたのです。

最近のナビは住所を入力すると、ちゃんとその家の前までエスコートしてくれるので、本当に便利です。
幸いなことに叔母さんは在宅しており、相変わらず突然来てすぐに帰る非礼な私に散々文句は言われましたが、歓迎していただきました。
福岡には、残りの観光&親戚を訪ねに、マイルを貯めてまた来ようと決意しました。

九州のフィナーレを飾る観光は「門司港レトロ」。
5月に下関から門司港を眺め、ついでにちょっとだけ門司にも上陸して、「九州の時には必ず寄るからね!」と決意していた"約束の場所"です。
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今回の九州旅行、宮崎では雨に降られた日もありましたが、全体的にずっと晴天続きでしたが、残念ながら今日は雨模様です。どうやら、「まだ、帰りたくな~い!」という、私の涙雨なのかも知れません。

門司では、名物の「焼きカレー」を食べる気マンマンで、当然お店候補の下調べも済ませていたのですが、空腹でドライブしている時に好物の回転寿司チェーンの看板を見つけ、何も考えないで本能の要求のままに席についてしまいました。
二皿目を食べながら、「そうだ、門司だ! 焼きカレー、食べなきゃ!」とようやく自分の犯した失態に気付きましたが、早くも三皿目に突入していた妻は、もう動く気は無さそうです。
午後は、門司港を時間が許す限り観光します。最初に、鉄ちゃんの私の希望で、九州鉄道博物館に行きました。九州のブルートレインなどはそれなりに懐かしいのですが、本家の鉄道博物館をこの5月に初訪問しているので、何となく重複感は拭えません。
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鉄ちゃんとしては、垂涎ものの展示もたくさんあったのですが…
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でも鉄ちゃんとしては、「これだけは絶対に見たかった。」門司港の駅舎が、大改装中ですっぽりと被われていたことが何よりのショックでした。
こんなことなら、「5月の時に、せめて駅舎にだけには来るべきだった!」と反省したところで、我がマイカーはデロリアンになることは出来ません。
レトロな門司港の近辺を散策します。散歩も視界も雨で残念な状況で、5月の時とは反対に今度は門司の高層ビルから関門海峡と下関を遠望したかったのですが、晴天の5月の時とは違ってその景色を楽しむことは出来ませんでした。
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景色より何より、妻はこの旅唯一のおみやげショッピングタイムに夢中です。確かにここまでは「まだ早い!」とおみやげには目もくれなかったのですが、ここでおみやげを買わないともう九州で買うことは出来ません。
という事で、この旅唯一のショッピング中心の数時間でした。
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駅と焼きカレーに大きく未練を残した門司、福岡県の"見残し"がまた1つ増えてしまいました。
門司からのフェリーは行きと同じ船。「同じ客室だといいなぁ~」と、何となく考えていましたが、隣の部屋でした。
カフェテリアでの夕食も、一杯飲んで早めに床についたのも、行きと全く一緒です。
楽しかった九州をあれこれ思い出しながらいつに間にか爆睡してしまい、今回も船酔いの心配は無用でした!

18日目:9月17日(木)

泉大津の大阪港到着は6時。朝のラッシュ時間になる前に、関西を抜けてしまいたいと思い、朝食も食べずにすぐに阪神高速に乗ります。ところが、私の地図の見方が悪かったのかどうかはわかりませんが、何故か大阪の中心街を避ける道が見つからず、ナビも道路もとにかく大阪中心街を目指せとのご指令です。
慣れない高速道路で、分岐も多く道も狭く、車を停めて地図をゆっくりと見られるようなパーキングエリアもありません。でも阪神高速をぶっ飛ばすトラックが多いのは相変わらずで、行きに続いてヒヤヒヤの阪神高速でした。

目の前の風景は見たことがある大阪の中心地です。この日本一周でまだ大阪府には行っていないのですが、こんな形で大阪とは会いたくなかったというのが、偽らざる心境でした。

何とか阪神高速も無事に通過し、それからはきわめて順調で、夕方までには埼玉に帰り着くことができました。