麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

8.四国一周の旅<その2:香川県(前篇)>


3日目:10月5日(月)

高松市内のホテルは東横イン。前回の東横イン泊まりは8月の富山で、あの時にはとにかくアルペンルートのスタート地点立山に早く着きたい一心で、東横インの無料朝食を権利放棄したのですが、ここ高松でも朝食は権利放棄することにしています。
勿論、朝からうどん県のうどん三昧を楽しむためです!
今日の朝食は、ホテル裏の住宅街にある”松下製麺所”。勿論、事前にしっかりと下調べは済ませているお店です。
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さすがに観光客らしいお客さんは我々だけのようですが、7時半の開店直後からポツポツと地元民らしいお客さんが来て、いつものことのようにうどんを掻きこみ、足早に店を出て行きます。
私も、朝からいつものように揚げ物を食べてしまいました。
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高松最初の観光地栗林公園へは散歩がてら歩いて向かいます。5月に山陰山陽の旅の帰路にも、この栗林公園すぐそばのホテルに泊まったのですが、あの時は近所でうどんを食べただけで、栗林公園には来ていません。市民の散歩のためなのか、朝早くから開園している栗林公園は、市内中心にあり、まさしく朝の散歩にはもってこいの場所ですね。
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水前寺公園のある熊本といい、兼六園のある金沢といい、街の真ん中にこんなに広くて趣のある公園を持つ街を、心から羨ましいと思うのは、私だけではないでしょう。
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街中の公園なのに公園内には適度のアップダウンがあり、私的には上り下りに苦労する場所もいくつかありました。でも、その分眺めは絶景でしたが…
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順路の中で、石を伝って川を渡る場所があります。普通の人なら何故こんなところが問題になるのか全くわからないところなのですが、情けないことに今の私には渡れないのです。
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改めて写真を見ても、「何でこんなところが怖いの?」と、自分でもアンビリーバブルなのですが、これが今の私の情けない現実なのです。

朝の栗林公園散歩を終え、ホテルに戻りチェックアウトをした後に改めて高松の市内観光のスタートです。
最初のみどころは高松城趾のある玉藻公園。昨日フェリーを降りた高松港やJR高松駅のすぐ近くにある公園です。
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天守閣は残っていないものの、見事な石垣はきちんと残っていて、石垣越しに見る高層ビルがいい雰囲気です。
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高松城の遺跡というか兵の夢の跡をゆっくりと見させていただきました。
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次のみどころは屋島。言わずと知れた源平「屋島の戦い」の舞台です。屋島は、那須与一
扇の的の故事などもあるので、私的にはもっと海に近い低い場所だと思っていたのですが、有料のドライブウェイはグングンと高度を上げて、高松市内や周辺、遠くには瀬戸大橋まで見える予想を遥かに超える高い場所で、「ここまで登るだけでも、源氏も平家も大変だっただろうなぁ~」と思わせるところでした。
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古戦場としてのみどころは別として、高松市街地や瀬戸内海のしまなみが見える展望所としても超一級の観光地です。
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説明書きを色々読むうちに、「実際に、源平が戦った場所はもっと下の方」と知って合点が行きました。確かに、ここは古戦場としては高過ぎですよね!?

屋島には、四国88箇所のうちの1つである屋島寺があります。今回、「四国一周する」と言ったら、何人かの方に「だったら八十八箇所廻りしたら? 意外と(失礼!)、いいよ!」と言われていたのですが、そこまでの根性もないので、今回はお寺めぐりはパスさせていただく積もりですが、観光箇所の近くにお寺があれば、やはり参拝させていただこうと思います。
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四国のお寺は、どこも想像以上に立派なお寺ばかりでした。

いよいよお昼の時間です。今回、うどん県にいる今日と明日には、とりあえずお昼にはうどん屋さんを1日に2軒は回ろうと思っていました。
今日の一軒目は、ひやあつなどの発祥の店といわれる宮武うどん。妻とひやあつとあつひやの違いを車内で予習してから店に向かい、私はひやあつで妻はあつひやをオーダー。お互いに違う熱さで満足したのでした。
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この日の二軒目は、”釜玉”うどんのルーツといわれる山越うどん屋へ。この日は期せずして"発祥の地"シリーズになってしまいました。
私の大好物である釜玉の元祖なので、このお店との因縁はずっと前に遡ります。まだ病気になる6年前のGWに、仕事半分とうどん半分で一人でレンタカーで、香川県のおいしいうどんを求めてさまよった時のことです。当時は1000円高速の時代で、瀬戸大橋から全く動きが止まった大渋滞が始まっていたのですが、香川県内の車の半分は本州ナンバーの車だったくらい、とにかく凄い車の数だった記憶があります。
みんなの目的は当然、うどん。この少し前に”うどん”という映画が流行ったので、この時のうどん屋さんの行列は前年のGWと比べても半端じゃなかったようです。
GWなので90%以上の車が二人以上での来店ですから、運転手が車に残って駐車場の行列に並んでいる間、もう一人がうどんの行列に並べば待ち時間は1時間強で済むようなのですが、一人で両方の行列をフルに並んだ私は、一軒目でいきなり3時間行列の洗礼を受け、それでも次にお目当てのここ山越うどん屋まで来ては見たものの、駐車場のあまりの混雑と凄い人の行列にすっかり怖じ気づいて、結局断念してしまった過去があったのです。

さすがの山越うどんは今日も行列だったのですが、勿論6年前のようなことはありません。でも、この旅唯一のうどん屋さんの行列だったので、6年越しの待望の釜玉をあっという間に完食して店を出た後に、写真を撮っていないことに今更ながら気がついたのです。
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いくら悲願達成の瞬間とは言え、いささかみっともない山越うどんでした。

午後は金比羅山に向かいます。こんぴらさんと言えば長い長い階段で有名ですが、写真を見ても殆ど手すりが写っていないので、”この状態なら、自分的には上に上がるのは無理かも?”とは思っていたのですが、香川県と言うより四国を代表する観光スポットだし、これだけの有名観光地では何らかのバリアフリーがあるのが今までの旅での経験値だったので、”まぁ、何とかなるだろう”と、気軽に考えていたことも確かです。
それでも”何とか楽して上に行く手段はないかしら?”とあれこれ探していて、階段の中腹まで行くバスを見つけたので予約をしていました。
バスとは言いながら、実際に迎えに来たのはタクシー。中腹までの間にこの(バス&タクシー)会社の車しか通れない専用道路があるため、独占営業のようなのですが、料金は二人で1100円とタクシーにすればメーターより確実に安い良心的な独占営業です。
「帰りも、ここで電話すれば迎えに来ます」とは言われたものの、バス乗り場から参道中腹までの階段が急な上に手すりが不完全で、昇るのが精一杯でとてももとのバス停までは戻れそうにもありません。この先を十分に不安にさせるバス停でした。

ようやく参道中腹の大門に出ることができ、上下の階段を改めて見渡しましたが、見事なくらいにバリアフリーのバの字も全くなく、手すりはおろか何一つつかまるようなものは皆無です。でも、行くも地獄ですが戻るにしても来た道は怖くて戻れないし、階段を降りるのも昇るのもどうしようもありません。
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とりあえず、1区間だけ階段を慎重にそろそろと昇り、さっきの場所よりは広い椅子などがある広場まで出て、ここで私は金比羅山を断念します。
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この先、昇ることは出来るのかも知れませんが、手すりのない階段は昇るよりもむしろ降りる方が怖いので、降りることを考えると、これ以上昇るのは自殺行為です。
妻には、「俺はここで待って、降り方の情報収集をしてるから、悪いけど一人で参拝してきて! それと、安産祈願のお守りを買って来て!」と頼みます。この旅の前に、来年5月には我々にも晴れて初孫ができることを知り、この旅では安産祈願のお守りを買うことが新たな大きなミッションになっていたのです。

妻を待つ間、近くの施設の人などに、何とか階段を使わずに降りる方法がないかどうかをヒアリングして回ります。
引き返す場所としてここを選んだことはどうやら大正解だったようで、ここのちょっと裏側には荷物を運ぶ車の駐車場があることがわかり、車が降りる坂なら私でも問題なく降りることができそうです!

参拝を終えて戻って来た妻は開口一番、「行かなくて大正解! この先、手すりは全くなく、おまけに階段は益々急になるので、健常者でも大変だった!」「足の悪いお年寄りが、何とか急階段は昇ったものの、手すりがないので降りられずに、途方に暮れて上で泣いてた。」ことや、「別のお年寄りは階段に座り込んで、おしりで一段づつ階段を降りていて、本当に可哀想だった。」とのこと。天下の観光地金比羅山のこの現状、タレント使って派手に”うどん県”をPRしている香川県首脳は、毎日お年寄りを困らせて、泣かせていることをご存知なのでしょうか??

何とか見つけた車道は、かなりの遠回りですが車道なので私でも歩ける道です。階段の参道にはお土産屋さんや見所などもたくさんあり、退屈しないのでしょうが、当たり前ながらこの車道には、人も誰もおらずにお店も全くありません。でも、手すりがない階段の恐怖がないので、我々にはこっちの方がずっとましです。

結局、私的には金比羅山では何の観光もしませんでしたが、安産祈願のお守りだけが唯一のお土産になりました。

今晩の宿泊は琴平温泉。こんぴらさんには手すりがないのに、お膝元の琴平温泉の大浴場に手すりがあるのは、何とも皮肉なものです。早めに観光を切り上げたので、のんびりと温泉につかり、疲れと悔しさを洗い流しました。

夕食は温泉旅館の定番の料理でしたが、最後のご飯はうどんもチョイスできるのはさすがにうどん県です。本日4杯目のうどんでした。
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