麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

8.四国一周の旅<その7:四万十~桂浜>


8日目:10月10日(土)

この日から日本全国は秋の旅行シーズンのピークである三連休に突入です。この四国旅行のプランニングにおいて、ホテルも観光地も混み合うこの三連休をいかに処理するかが、旅の中盤のプランニングの大きなテーマでした。
日程上の都合だけ考えると、前回の九州の時のように、折り返しの都市(九州の時は鹿児島市)にて連泊して、近隣観光日、予備日など余裕を持たせられればいいのですが、今回高知市内でその連泊を目論んだものの、予約が遅かったこともあり市内のホテルで連泊を取れるホテルがなく、色々と検討した結果土曜日は高知市近くのお遍路さん向けの(?)温泉旅館、日曜日は高知市内の旅館に何とか1部屋を確保することができ、とりあえず格好はつきました。おまけに今日は、期せずして妻リクエストの温泉宿泊になったのですから、結果オーライです。

さて、今日のメインの観光は何と言っても”四万十川”。日本全国で、「1つの川を、ずっと遡って観光したい。」という気にさせてくれたのは、この”日本一の清流”と言われる四万十川がはじめてかも知れません。
でも四万十川を楽しむ前に、宿泊していたこの”中村”というエリアがやや気になっているのです。
私が、この中村という地名を最初に強く意識したのは、やはり甲子園の高校野球。私が高校生の頃(つまり高校球児と同世代の時代)、たった11人の部員で大活躍し、”さわやかイレブン”と言われた池田高校(因みに、畠山・水野の大活躍で夏春連覇する8年ぐらい前です。)に続いて、たった12人の部員で決勝まで進み、さわやかイレブンに対抗して”二十四の瞳”と名付けられた高知県立中村高校の大活躍の影響です。後にプロでも活躍した山沖投手を中心に快進撃を続け、あれよあれよという間にとうとう決勝まで進み、判官びいきの私を大いに熱狂させてくれたのです。
その中村の町については、おぼろ気な記憶では確か「”土佐の小京都”と呼ばれた美しい町」と何かで読んだことがあり、「いつかは行ってみたい!」と憧れた場所なのです。今回のプランニングの際、この中村の町歩きをしたいと考えていたのですが、ガイドブックやネットにも何故かその情報はありません。
ホテルにあった近隣のパンフレットには、少しばかり中村の町中の観光情報があったのですが、”小京都”というレベルの情報量でもありません。とりあえずJRの中村駅を目指して周りに観光案内所か観光地図がないかどうか探してみましたが、町中を車でぐるぐる回った限りは普通の田舎町で、私の記憶を疑ってしまいました。でもやはりネットで調べると、”土佐の小京都”は確かに四万十市の中村地区で間違いないようなのですが…

結局、中村地区にはめぼしい見学先もなかったので、特に観光はせずに本日のメインである四万十川に向かいます。

四万十川でとにかく見たいものと言えば、川の大増水対策でいくつも作られた”沈下橋”。沈下橋は本当に橋の道路部分があるだけで、橋の欄干も手すりも何にもありません。四万十川が増水した時には、沈下橋はあっさりと水中に沈むことで、貴重な橋は水に流されないための、先人からの工夫なのだそうです。
この四万十川には50を越える沈下橋があり、どの橋も全部見たいのですが、まずは市内に一番近い一番有名な佐田沈下橋を目指します。
IMG_8977 (2).JPG
この橋が有名になったのは、3年前ぐらいに放送していたドラマ”遅咲きのヒマワリ”の舞台になったからです。このドラマ、実は私も見ていました。生田斗真真木よう子が出ていて、私的にはストーリーはともかく四万十川の美しい景色見たさで、チャンネルを合わせていたのです。
IMG_8983 (2).JPG
憧れの沈下橋の上に立ってみます。どこからでも川に飛び込めそうな沈下橋は、歩くだけでも今の私にはとてもスリルがあります。ドラマでは、みんな橋の上からジャボンと川に飛び込んでいましたが、勿論今の私にはそんなことは夢のようです。
IMG_8975.JPG
橋は車一台が丁度いい幅ぐらいですが、一方通行ではないので、橋の真ん中で対向車に出会ったら悲劇です。慣れた地元の車は橋のたもとで待っていてくれるようですが、観光客の車同士が一番危ないとのこと。ハンドルをちょっと間違うと簡単に車は川に落ちてしまいそうなので、チキンハートの私は車で沈下橋を渡るのは遠慮させていただきました。
IMG_9015.JPG
(違う橋の自家用通行シーンです)

四万十川の清流と沈下橋を楽しむ遊覧船はいくつもの会社が運航していて、だいたい1つの沈下橋に1つの運航会社があるような感じです。我々はこの佐田沈下橋から出る遊覧船にでも乗ろうと考えていたのですが、佐田沈下橋には発着所はあるようで船もあるのですが、人は誰もいません。待っていても仕方がないので、もう1つマークしていた隣の沈下橋近くから出る遊覧船の乗り場まで車を走らせます。次の出航時間は確か10時で、これを逃すと次は1時間後ですから凄く長い待ち時間が発生してしまいます。とは言え、焦って事故っても仕方がないので、気持ちを落ち着かせながらも先を急ぎます。
船着き場到着は10時2分過ぎぐらい。「あ~ぁ、やっぱり無理だった…」と気を落としながらも念のため受付に向かいましたが、「乗るの?」という問いかけに私が頷くと、無線で出航直前の船に「ちょっと待って!」とストップを掛けてくれます。
料金を払ったり、何とか出航の準備をして、5分後に待っていてくれた船に乗り込んで見ると、いくら三連休とは言え初日の午前中の高知県の奥なので、乗客は年配のご夫婦1組だけの模様。「やった~! 貸切だ!」と喜んでいたら、定刻過ぎて招かれざる我々が闖入してきたからでしょうが、「すみません」と謝りながら乗船した我々に対しても、不機嫌さが見て取れるような無愛想ぶりでした。

でも、四万十川雄大な眺めは本当に我々を癒してくれます。
IMG_8989.JPG
船の航路上にあり、下を通れる沈下橋もいくつかあり、下から眺めるのもいいものです。
IMG_9010.JPG
遊覧船を降り、このまま四万十川に沿って高知市方面へぐるっとドライブを続けます。途中、いくつかの沈下橋が見えたので、立ち止まったり遠巻きに眺めたりしながらのんびりとドライブを楽しみました。
IMG_9019.JPG
でも、沈下橋は欄干などのオリジナリティを出しようがない橋ですし、というか元々見せるための橋ではなく人々が生活するための飾りを極力排除した道具なのですから、いくつもの橋とその景観を楽しむと、充分に満足した気持ちになります。
撮った写真を見直しても、もうすでに大半の沈下橋の名前も失念してしまいましたが、駐車場&展望台があって、売店まであったこの沈下橋だけは確か”岩間沈下橋”で間違いなかったと思います。
IMG_9020.JPG
でも、雄大四万十川は本当に素晴らしいものでした。この日本一周でもたくさんの雄大な河川に出会いましたが、川もあまり大きすぎると風情を愛でる気持ちも萎えてしまうせいもあるのでしょうか、各地でその表情を変えるこの四万十川は、あまり大きすぎないことや、田舎らしい風景ではあるものの原野ではなく、適当に人の手が入っているところなどもその魅力なのかも知れませんね!?

昼食には、”四万十川産の天然うなぎ”というフレーズにも大いに食欲を刺激されたのですが、@4000円という価格を見て、さすがにこの半年でぼちぼち貯金が尽きかけてきた我が家の家計事情から、泣く泣く断念することにしました。

四万十川川沿いをず~っとドライブした後は、いよいよ高知市内に入ります。でも、高知市内中心部の観光は明日の予定なので、今日はまず桂浜で巨大な龍馬像に会いに行きます。
四万十エリアでは殆ど感じなかった三連休の混雑ですが、ここ桂浜の混み具合はさすがに三連休、桂浜駐車場に入る前から渋滞が始まり、車を停めるまでも一苦労でした。
はじめて見る桂浜の龍馬の銅像。「大きいよ」とは聞いていましたが、龍馬本人が見たらさぞかしびっくりするでしょうね!?
IMG_9027.JPG
銅像の顔の高さまで登ることもできるようなのですが、我々は自粛させていただきました。それにしても、桂浜のイメージはどこまでも続く高知の海岸線だったのですが、龍馬像の他にも色々と娯楽施設があり、”どこまでも続く海岸線”のイメージは全くありません。海岸線というイメージも、実際に見聞きしたものではなく、大河ドラマ龍馬伝で龍馬が乙女姉やんらとしばしば来たイメージがあった故です。でも、実際に上から見えた海岸線は、たったのこれだけでした。
IMG_9034.JPG
桂浜では、高知県立の龍馬記念館も見学します。
偉人の伝記に熱中した小学生時代から、不思議なくらいに坂本龍馬には興味を持ったことがない私で、「龍馬大好き」の友人にその素晴らしさを酒席などで散々熱っぽく語られても、何故か本を読む気にすらならなかったのですが、5年前の大河の龍馬伝は本当に熱中しました。もっとも、この年(2010年)は私が病気で倒れ、数か月入院した年だったので、他にすることもなくTVばっかり見ていたという影響も大きいのですが…
龍馬の周辺人物なんて、司馬遼太郎の本で「人切り以蔵」を知っているぐらいの私だったのが、龍馬伝を見てからは、博物館を見ても登場人物にもすっかり詳しくなりました。もっとも、関連人物を知っていると言っても、あの時演じた俳優の顔を思い出すだけなのですが…
7年前に高知に来た時には、「どうして高知は、どこ行ってもこんなに龍馬ばっかりなんだろう?」と、自分的にはかなりシラケたことを考えると、変われば変わるものです。この県立の記念館、レア物の資料も多く展示されていて、結構じっくりと見応えがある施設でした。さすがに三連休なので、人が異常に多かったのには辟易しましたが…

この日の宿泊は、海沿いのお遍路さん宿ですが、近年温泉が出たので、「土佐龍温泉」と命名したそうです。HPを見ても実際の宿でも、どう見てもターゲットはお遍路さん達だと思うのですが、この日は満室らしいのにもかかわらず、お遍路さんらしき人はゼロでした。
さすがに三連休ですね!