麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

8.四国一周の旅<その6:宇和島~足摺岬~四万十>


7日目:10月9日(金)

この日は、宇和島南予地区を観光した後に、高知県に向かう予定です。
まずは宇和島城天守閣が残る”現存12城”(私の勝手な命名)の1つで、この旅では3つ目の歴史あるお城です。

高台にあるお城に登ろうと、公園下に車を停めて坂道をゆっくりと歩きます。勿体ぶった宇和島城天守閣はまだ姿が全く見えないのですが、ここに間違いはないので、15~20分ほど歩いて広場のようなところで一息着きます。ここから見える石垣の上まで登れば念願の宇和島城なのですが、最後のこのルートが悪いことに急な階段で手すりがありません。この階段だと私には登れないし、登れたとしても下には降りられないので、散歩している風のお年寄り二人に聞いてみたところ、「天守閣へは、この階段しかない。」とのことで、まだ旅は半分残っているこの朝に、こんな高いリスクを侵すことは出来ません。
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上まで登るのは諦めるとしても、この天守閣のすぐ下からでも天守閣の姿は全く見えておらず、全く天守閣を見ないうちに宇和島を去るのは余りにも淋しい現実です。そこで同情してくれているお年寄りにふたたび、「じゃあ、宇和島城天守閣を見るには、どこから見るのが一番いいでしょうか?」と、地元民ならではのとっておき情報に期待して訊ねてみると、真っ先に出たのが「市立病院の待合室!」といかにもお年寄りらしいマル秘スポット。
とは言え、さすがに用もなく病院に車を停めて待合室まで行くのは、善良な一観光客としてはあまり気が進みません。「他には?」と食い下がったところ、「市内ショッピングセンターの駐車場からなら、道路沿いに見えるよ。」とのことなので、病院ではなくショッピングセンターに向かうことにします。

ショッピングセンターの駐車場からは、道路越しというかマクドナルド越しの遠くに、憧れの天守閣がようやく見えました。でも、この写真もかなりの望遠機能で撮ったことからも判るように、かなり小さくしか見えていなかったのです。
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でもありがたいことに、このすぐ近くには観光案内所があったので、朝からの事情を説明してもう少し近くから天守閣が眺められるスポットを聞いてみます。
地元の年配の方たちから、「市立病院の待合室」がいいと聞いた話をすると、案内所の方は”目から鱗”だったようで、大いに感心して大きく頷いていましたが、観光のプロとしてはどうしても別の絵になる場所を案内しなければ、プライドが許さないのでしょう。「私は、天赦園から見るお城が一番好きです。」というアドバイスをいただきました。

天赦園は元々、次に行くつもりの場所だったので、気を取り直して向かうことにします。ここ宇和島藩は、伊達5万石の城下町だったということですが、宇和島伊達家は仙台の伊達家からの分家と聞いて、仙台出身の妻は興味津々です。この天赦園は、伊達家の作った庭園とのことで、宇和島城天守閣が見えるということは、高松の栗林公園のように高台があり、そこから宇和島城がきれいに仰ぎ見えるに違いないと、勝手に想像していました。
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天赦園は、さすがに四国随一の栗林公園と比べるにはいささか失礼な規模だったのですが、伊達家五万石の庭園としては、かなり立派な庭園でした。
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”高台があるのだろう”と勝手に想像していた私は、入園以降一目散に奥へ奥へと、奥にあるであろう高台を目指しますが、園の奥には高台どころかフェンスしかなく、全然宇和島城なんて見えません。
仕方がないので、庭園だけを楽しんで入口まで戻り、「結局、天守閣が見えるのって、どこからだったんだろうね?」と言いながら出口を出ようとして、何気なく外を仰ぎ見るとなんとそこにはあの宇和島城が見えるではありませんか!
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確かにさっきのマクドナルド越しよりはやや大きくは見えますが、失礼ながら言うほどの絶景でもありません。でも改めて地元民ご推薦の”市立病院の待合室”にはトライする気も起きず、伊達家の庭園とそこからの景色で、満足することにしました。

宇和島を出て愛媛県から高知県へ向かいますが、県境近くにもう1つみどころがあるらしいので向かってみます。この辺りの海の絶景がよく見える「宇和海展望タワー」がそれで、見ると瀬戸大橋タワー同様に細い塔が一本建っているだけなので、「これは、瀬戸大橋タワーのように周りの円盤が上昇しながら回転するタイプの展望台に違いない!」と、駐車しながら予想したところ、正しくその通りでした。

朝イチに行った瀬戸大橋タワーとは違い乗客はそれなりにいて、みんな次の上昇時間を大人しく待っています。上からの眺めは確かにいい気分ではあるのですが、やはり瀬戸大橋タワーと比べると、横綱がいない風景という感じでした。
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瀬戸大橋タワー同様最上部で何回転かしてくれているのですが、目を凝らすような”これ!”というものがないので…
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この辺り、このタワー中心にいくつかの観光スポットがあるようで、すぐ近くには”紫電改展示館”というマニア垂涎のスポットがあるようなのですが、戦闘機に興味がない我々はスルーさせていただきました。

愛媛県最後には、実は私が宇和島と同じくらい楽しみにしていたランチがありました。それは深浦漁港という高知県との県境近くの小さな漁港の直営食堂でいただくカツオ。"午後から、高知じゃん!?  何で慌てて愛媛でカツオなんて食べるの?"と疑問にお思いでしょうが、じつは私もそう思っていました。とは言え、愛媛とはいっても間もなく高知県に入りますし、道路と違って海には県境はないので、獲れる魚はおんなじです。ここは、漁港の目の前ですし漁場もすぐ近くにあるとのことで、新鮮と言ったらこれ以上の新鮮なカツオはないのだそうです。何より魅せられたのは、新鮮なカツオを表すその方言。この辺りでは、朝獲れの超新鮮なカツオのことを、"びやびやかつお"と言うそうなのですが、その"びやびや"というキーワードを聞いて、思わず全身が不思議と熱くなりました。「よ~し。何がなんでも"びやびやカツオ"を食べるぞぉ~!」と、全身がカツオモードになったのです。

とは言え、朝獲れのびやびやカツオですから、獲れない日もあるのは承知の上です。でも、定休日ではないし時間も昼前で行列も覚悟の上ですから、びやびやではなくともとにかくそれに近いカツオは食べられるであろう… と、勇んで漁港の駐車場に車を停めます。
目指すは漁港の市場食堂。行列も予想していましたが、入口には誰もいません。それどころか電気もついていないので、どうやら休みの雰囲気です。"この日は定休日じゃない筈なのに、何で?"と、しばし呆然としていましたが、近くにいた漁港で働いている人が寄ってきて、「親方の家に不幸があり、臨時休業らしいですよ…」とのこと。身内の不幸ならば致し方ないとは言え、一期一会のびやびやカツオに出会えなかったのは、ある意味この旅最大のショックでした。
教えてくれた漁港の人に恨み言を言っても仕方がないのですが、「え~! ここのカツオを食べに埼玉県から遠路はるばる来たのに…   では、他にこの漁港のカツオを食べられるお店はありませんか?」と聞いてみます。何軒か紹介していただきますが、「でも、びやびやカツオではないですよ!」と念を押されてしまいましたが、今朝からすっかりカツオモードだった我々の胃袋は、今やカツオ以外の食物を受け入れそうにもありません。
でも、ここは本当に四国の一番果て。ここにもう一度来て、びやびやカツオを食べる夢が叶うかどうかは、少々自信がありません。
代案のカツオは、いつも食べているあのカツオでした。
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午後からはいよいよ高知県に入ります。最初のみどころは”竜串・見残し海岸”。竜串はともかく、見残し海岸という名前は何やらいわくがありそうで興味をそそりますが、この海岸は陸からは見えず(アクセス出来ず)、この地を訪れた弘法大師も"さすがに見残したに違いない"というところから"見残し"と名付けられたのだそうです。
それにしても、日本各地を旅していると、本当に弘法大師西行法師の足跡にはよく廻り合います。全て歩くしかなかったあの時代に、これだけの旅をした弘法大師西行法師には旅の大先輩としても本当に頭が下がります。文明の利器をフル活用して旅している我々などは、全くお二方の足下にも及びません。

この竜串・見残し海岸はどう観光すればよいか、ネットやガイドブックを見てもいまいち釈然としませんでした。船も何社か運航があるようなので、とりあえず一番目だった船会社に行って観光方法を尋ねます。
「竜串は歩いても行けるが、船からも奇岩は眺められる。見残しは船でないと行けないが、向こうに停まるので、下船して展望台まで歩いて、ゆっくりしたければ次の船で帰って来ればいい。」とアドバイスしていただきましたが、遊歩道の状況を聞くとやはりかなり状況の良くない道らしく、私が歩いて展望台まで行くのはかなり厳しそうです。
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とりあえず船には乗ろうと乗船券を買い、桟橋まで行きましたが、どうもこの船の乗客は我々だけのようです。船頭さんが私の様子を見て、「降りて歩くの? 厳しいかもね~」と案じてくれたので、私も「歩くの無理そうなので、停泊時間も降りないでずっと船から景色見てますよ。」と言うと、「じゃあ、船着き場に停泊しないで、景色のいいとこずっと走っといてあげるよ!」というサービスの良さです。
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「前の船で来たお客さんが、船着き場でこの船を待ってたら可哀想だなぁ~!」という心配もどうやら杞憂だったようです。
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またこの海岸は、”日本初の海中公園”なのだそうで、この船は海の中も見られるグラスボートも兼ねていて、勿論カツオのような大物には出会えませんでしたが、小さな魚は本当にたくさん泳いでいました。
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次の見所は、四国一周のある意味目的地とも言えそうな足摺岬
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灯台を目指して駐車場からしばし歩きます。憧れだった足摺岬灯台を遠くからですが眺められた時には、何故か感無量でしばし言葉を失ってしまいました。
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今回の旅を始めて以来、島がたくさんある瀬戸内海の海をずっと見続けてきたので、島影が見えない太平洋の景色がとっても新鮮に見えます。どっちも、日本の海を代表する素晴らしい景色ですよね!?
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高知県は有名人の大きな銅像が本当に多い場所。この旅で最初の銅像は、この辺りの漁村出身のジョン万次郎。この人、ただ遭難してアメリカ船に救助されただけでなく、その後日本のために本当に様々な貢献をされた正に偉人なので、太平洋に向かって立つ銅像も、堂々と立派なものでした。
「おまんも、もっと働かにゃいかんぜよ!」と間もなく再就職する私を励ましてくれているような気がしました。
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今日の宿泊は四万十。この辺り、市町村合併で地名がみんな四万十になってしまって、とても分かりにくくなったのですが、昔の中村のエリアです。
ホテルは日帰り温泉も営業している温泉ホテルなのですが、「○×温泉」という温泉名がどこにも書かれていません。普通なら脱衣場にある温泉の成分表示などには温泉名が書かれているので見てこようと思っていたのですが、お風呂を目の前にすると結局2回入ったにも関わらずすっかり失念してしまいましたので、私的に”四万十温泉”と勝手に命名することにしました。

夕食で食べた四万十川の天然鮎、本当に絶品でした!