麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

11.(京都)・滋賀・愛知<その2:滋賀県>


2日目:4月29日(金)

この日宿泊したホテル星野リゾート「ロテルド比叡」の朝のウリは、比叡山延暦寺の”国宝「根本中堂」での朝のお勤め体験”。本尊である薬師如来・不滅の法灯の前での朝の法会に参加できるのは、ホテルゲストだけの特権のようなので、私も興味はあったのですが、足や正座の不安もあり参加しようかどうしようかずっと悩んでいました。昨日夕のチェックインで、「どうしますか?」と聞かれた時には、結構歩いて寒い中バス待ってやっと宿に着いたタイミングだったので、疲れがかなりあったのでしょうか… 「参加しません。」と、衝動的に答えてしまいました。

星野リゾート「ロテルド比叡」の朝食は、久し振りに幸せな朝食のひとときでした。チェックイン時に朝食時間の予約を聞かれたので、「さすがにこのホテルは、味気ないバイキングの朝食ではなさそうだなぁ~!?」と、秘かに期待したのですが、期待を裏切らない至福のひとときでした。
私がホテルの朝食の理想としていまだに信じて疑わないのは、アメリカのどこの都市かは忘れましたが、東部の田舎町にあった小さな規模のRitz Carltonホテルでの朝食。レストランに座ると、予約もしていないのにボーイさんが私の名を呼んで、まずはフレッシュジュースを薦めてくれます。二日酔い気味だった私がトマトジュースを頼むと、すぐにその場で新鮮なトマトジュースを作ってくれます。感動しながらも、「コーヒーが飲みたい」と言うと、「今、○○様(私)のために豆をひいているので、もうちょっと待っててください。最高の香りのコーヒーをお届けします!」なんて言われるだけで、本当に期待が高まり、そのコーヒーに出会えた時には本当に感動的でした。朝食のハムやベーコンや卵料理も好みを聞かれて、フレッシュなサラダに続いて出来立ての朝食と、そして淹れたての薫り高いコーヒーが作る、めくるめく至福の時間でした。
昔の商売上の役得で、世界中のRitz Carltonホテルには随分と泊まらせていただきましたが、リッツの中でもあの時のあのホテルの朝食だけは私にとっては特別で、20年近く経ってもいまだに忘れることが出来ない1時間でした。
星野リゾートの朝食は、その鮮烈な体験とは比べられないものの、国内では有数の至福体験でした。何故至福だったのかと言うと、焼き立てのパンが特に美味しかったからなのです! 勿論、卵料理も肉料理も美味だったのですが、焼き立てのパンの味だけは、”あの時”に匹敵する程でした。
唯一興ざめだったのが、”既に淹れてあったコーヒーを、自分で取りに行け!”という点。ここを改善すれば、リッツの朝にに匹敵できるのですがねぇ… このことだけは、大学の同級生で学生時代に顔は何度か見たことがあった今を時めく有名人である星野社長に、伝えたいと思いました!

さて、本日はいよいよ滋賀県の観光です。この日本一周を始めてから、滋賀県をただ通過するだけではなく行き先として目指したのは、昨年だけでも3回ありました。1回目は5月、山陰山陽大周遊のスタート地点(福井県敦賀)に立つ前に、琵琶湖のほとりに住む旧友に約20年振りに会いに行った時。2度目は、8月の岐阜県周遊の際に岐阜と滋賀の県境にある伊吹山に行き、この時も岐阜と滋賀の県境の山頂から琵琶湖を遠望しています。3度目も同じ8月、九州に行くフェリーの時間(夕刻)まで、彦根城を訪ねて琵琶湖湖岸をドライブしたのです。
この1月、昨年5月に会った旧友の思いがけない突然の訃報に接し、実は今でもショックから抜け出せずに、滋賀というとすぐにその人のことを思い出して涙が出そうになるのですが、昨年5月に1時間だけでも会えたことが、今となっては本当に良かったなぁと思っています。もし、会わずに訃報に接していたとしたら、後悔してもしきれず、日本一周に最大の禍根を残していただろうと思います。
ということで、涙なしでは見られない滋賀県でしたが、気を取り直して観光を楽しむことにします。
間もなく新しい命も誕生する筈ですから…

午前中は、世界遺産比叡山延暦寺を見学します。延暦寺の主な観光スポットは3つあるようですが、まずはメインエリアである東塔へ。
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まだ10時前ですが、大講堂のあたりも観光客が徐々に増えつつあります。いよいよ今日からゴールデンウイークの始まりです。
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延暦寺最大の見どころで国宝の「根本中堂」。本来なら、ここで朝のお勤めが体験できた筈だったのですが、この時ばかりは自分の怠惰ぶりが恨めしくなりました。
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ロテルド比叡には、朝のお勤め&もう一度あの朝ごはんを食べに、改めて泊まりに来る必要がありそうです。

次に西塔地区を観光します。バスの車中から比叡山の風景を眺めると、まだあちこちで満開の桜が見られたのですが、バスを降りると、まさに満開の桜の季節で駐車場では”桜祭り”をやっています。あと2日で5月だというのに、弘前というより北海道の桜と同じくらいの時期で、”比叡山って、やっぱりかなりの高地なんだ…”と、改めて思わされます。
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お堂同士が2階にある廊下によって繋がっている、珍しい「にない堂」。延暦寺を代表する風景で、昔から何度も見たことがある景色でしたが、”ようやく遭えた…”という感じで、何となく感無量になりました。東塔と比べて西塔には観光客も少なく、何となく厳かな雰囲気なので、個人的には西塔の方が気に入りました。
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遣唐使として同じ年の同じ船に乗った最澄空海、歴史上でも特に傑出している2人の偉人なので、歴史好きの私としてはどうしても昨年行った高野山とここ比叡山延暦寺とを比べてしまいます。昨年の高野山は、開創1200年と言う特殊な年だったこともあり、平日でも凄い人の数でしたので、GW初日とは言え今日の比叡山はそれに比べるとずっと静かです。
どちらの寺も、宗教の総本山らしく厳かな雰囲気で、やっぱり日本を代表する全身が引き締まるようなパワースポットである気がしました。個人的な感想では、高野山の方がより都から遠いので、宗教的な色がより強いような気がして、比叡山は、京から本当に近いが故に、信長の比叡山焼き討ちなどを含めて歴史の表舞台にもたびたび登場する厳かな中にも何となく生臭い寺のような気がするのは、歴史好きの私の勝手な妄想でしょうか…
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天台宗の教えである「一隅を照らす」。1200年前の人の言葉が、今となってもいや今後もずっとずっと語り継がれていく… これって本当に凄いことですよね!? 今は流行語大賞を獲っても数年で消えて行く言葉が多い中で、何百年・何千年と語り継がれるのですから… この言葉を発した最澄と言う人は、本当に凄い人なんだと改めて頭が下がりました。
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それにしても、高野山といいここ比叡山延暦寺といい、本当に山深い急峻な場所によくも建てたものだと、改めて感服してしまいます。今でこそケーブルカー等の文明の利器があるのでこの私でも簡単に行けるものの、昔のお参りする人たちの苦労を思うと、本当に宗教の強大なパワーを感じずにはいられません。 と言うよりも、「そのお寺を建てた人たちって、どれだけ健脚で力持ちだったの!?」と考えると、背筋が寒くなってしまうほどです。

比叡山延暦寺には、もう一つ横川というエリアもあるのですが、時間の都合で今回はスルーさせていただき、帰りは来た方向とは反対に、琵琶湖に向かって下る日本最長のケーブルカーである「坂本ケーブル」に乗って比叡山を下山し、すぐ下にある石積みのある門前町として名高い坂本の街を観光します。

最初に向かったのは「日吉大社」。この日吉大社は、さほど有名な神社ではないのかも知れませんが、およそ2100年前に創祀された、全国3800余の日吉・日枝・山王神社総本宮だという由緒正しい神社です。
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この神社に行く気になった理由は、この神社が猿を祀っている神社で、ホームページにも「今年は申年!」と書いてあり、「そうだ、間もなく産まれてくる孫は申年の男の子。そのすくすくと成長を祈念するために、ちょっと早いけど申年の神様にお祈りに行こう!」という早くも孫煩悩のデレデレ爺さんです。
入口には早速猿の神様が出迎えてくれています。
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結構広い神社内を見学して、次に出口にすぐ近い「旧竹林院」の庭園も見学します。
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坂本の街は、「石垣が美しい街」と言われているそうですが、確かにどこを歩いても石垣があり、まるで昔の町並みのテーマパークのようです。穴太衆積みと呼ばれる積み方のようですが、町の一部ではなくいたるところにあるのですから驚きです。
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(こんな石段が街中ずっと続くのです。)

次に訪ねたのは、滋賀院門跡という高い格式の御屋敷。江戸時代に天皇陛下から滋賀院という名を授かったらしいので、「ここが滋賀という名前のルーツなのでは?」と勝手に考えての訪問でしたが、どうもそうではなかったようです。
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邸の中は立派でしたが、庭園はちょっと期待外れでした。
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昼食を食べるのも忘れて2時過ぎまで観光に夢中になったので、駅前の有名な鶴喜そばでようやくお昼にします。もっとも、朝食の美味しすぎるパンを何回もおかわりしたので、お腹も空いていなかったのも確かなのですが… でも、この「鶴喜そば」には、2時かなりを過ぎたのにまだ行列が出来ています。
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隣にある同じようなお蕎麦屋さんはガラガラなのに… それだけ味が違うのでしょうか? はたまたネットの功罪か…? もう一軒の実力は未知数ですが、この鶴喜そば、関西圏なのにそばでも行列が出来るのが納得の味でした!

昼食後は琵琶湖の遊覧船に乗るつもりでしたが、行列で待たされた分次の船には間に合いそうにはありません。その次の便は本日最終便ですが、それまではまだ時間があるので、時間つぶしにもう一つの観光に向かいます。
向かったのは「三井寺」。昔から何度もその名前は聞いたことがあったお寺なのですが、三井寺というその俗称(正しくは長等山園城寺(おんじょうじ)と言うのだそうです。)の語源が、「天智・天武・持統の3天皇の産湯」という、間もなく孫が生まれる身にとってはとっても縁起が良いと思われたので、最後の安産祈願としたものです。
京阪電車駅から歩いて、三井寺まではごく普通の住宅街の中を歩きますが、三井寺まで来るとさすがに観光客がいます。改めて、3天皇に安産祈願をお願いします。
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その後、広大な敷地を散策。構内というかすぐ横にあったお寺の名前が微妙寺。縁起を担いで微妙にお祈りします。
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琵琶湖は、前回の旅(昨年9月)の時にも湖岸をドライブしたのですが、やっぱり1度は遊覧船に乗って「日本最大の湖」のでっかさを実感したいと思い、本日最後の観光にと遊覧船乗り場に向かいます。

ところで、船の名前は琵琶湖の船なのにMICHIGAN(ミシガン)。ミシガン湖と言えばアメリカ5大湖の一つなのは知っているのですが、「何故、ミシガン?」といささか疑問ではありました。同じ疑問を持つ人は他にもいるらしく、船に乗ると早速説明してくれます。さすがに関西、「ミ”シガ”ン」という、単なるシャレなのだとか!?
本当は、姉妹都市関連の命名なのだそうです。
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確かに琵琶湖は大きいです。大きな湖を表現する時にしばしば使われるフレーズとして、「まるで、海のようだ!」とよく言われます。確かに「巨大な湖」ではあるものの、残念ながら私には少なくとも「海のよう」には見えませんでした。
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初めてロシアのバイカル湖を見た時には、「これは、絶対に海だ!」と思ったのとはさすがにスケールが違いますね!?とは言え、航路図を見ると、1時間の船旅では琵琶湖のほんの端の方だけで引き返しています。これを見る限り、「やっぱり琵琶湖でけえ!」と思います.
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夕方になったので、隣の瀬田駅のビジネスホテルに向かいます。一本前の船に乗れていれば、ホテルに入る前に「瀬田の唐橋」を観光する予定でしたが、もう夕方になりこれは叶いません。昨年9月にも「琵琶湖湖岸ドライブ中に曲がる道を一本間違えて、瀬田の唐橋を見られなかった」ことを思い出します。

富士山にも、瀬田の唐橋にも本当に縁がない日本一周ですね!?