麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

紀伊半島グルメ&温泉の旅<その2:三重県 伊勢神宮と台風>


2日目:7月26日(金)

この宿のお風呂は朝6時から。「日帰り客がいないお風呂をゆっくりと楽しみたい」派の私は、6時ジャストにお風呂へ。ところが、朝イチのお風呂を目指す近所のおじいさんたちが、朝から大行列!ネットの酷評(お風呂、とにかく大混雑!)の意味が、ようやく理解できました。せめて朝の1時間だけでも「宿泊者専用の時間」があれば、ホテルの中身はかなり良いのにも関わらず、あの口コミ点数の低さにはならないと思うのですが…
ところで、この朝風呂で私がこの旅最大の失敗をやらかします。お風呂には当然露天風呂があり 、昨日はチビッ子達が大声ではしゃいでいたので露天には行かなかったのですが、今朝はトライしてみます。でも、おじいさんたちで混んでいる露天風呂の先にある広い庭の先には、まだお風呂がありそうなので行ってみると、一番奥にまた露天風呂があり、場所柄誰も入ってはいません。でも、その露天風呂まで行くアプローチには、砂利の中に飛び飛びに石が置かれていて、入浴中ですから杖も装具も持っていない私にはハードルが高そうです。でもこの誰もいないお風呂の誘惑には抗えず、慎重に一歩一歩歩いて貸切の露天風呂を満喫したのですが、戻るときにちょっと砂利に右足をついてしまったのです。
右麻痺で、右足の感覚が極めて鈍い私の感覚的には、本当に「ちょっとだけ、足をついてしまった。」程度に思えたのですが、私の歩いた跡には夥しい血がついていたようで、私は何が起きているのか皆目わからずに脱衣場に上がったのですが、おじいさんたちに「大丈夫?」と心配されます。掃除のおばさんがその血の跡に気付き、その犯人が私であることを突き止め、急いで止血と応急措置をしてくれました。そもそも本人の私に痛みがないので、その時の私的には「あ~ぁ、下手こいちゃったなぁ~!」程度の感覚で、しばらくそのまま普通に過ごすことになります。

このホテルのウリは朝食も選べること。我々は、チェックイン時に「焼きたてのパン屋さんでの朝食」をチョイスすると、一人1500円のパン屋さんの食券が渡されます。
翌朝、「グルメその③」としてパン屋さんに行くと、パンは150~300円程度の埼玉辺りと同じような価格帯で各種の調理パンが並んでいます。「これ、1500円分のパンを食べるのなんて無理じゃない?」と、サラダやヨーグルトなどのサイドメニューを探しますが見事になんにもなく、コーヒーはともかくジュースも小さなパックの100円程度のものしかありません。ということで一人1500円も朝食を食べられる筈もなく、結局朝食代の中で1000円程度のおみやげと旅行中のおやつを貰う羽目になりました。
これが私と妻の2人分の朝ごはんです。真ん中のアップルパイは半分に切ってもらって2人でシェアしました。(これが一番、旨かった!) 左右の袋は3,000円のバジェットの残りで買ったおやつ&お土産です。
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このホテル、いいホテルなんだけどことほど左様に改善点がたくさんありそうです。改革プロジェクトでもあったら、喜んで参加したいと考えながら宿を後にしました。

この日の午前中ですが、観光する場所がありません。元々のプランでは、御在所ロープウェイか、何故こんな美術館が三重県にあるのかとっても不思議な「ルーブル彫刻美術館」に行くつもりだったのですが、明日台風が来るのはどうやら間違いなさそうなので、雨天でも出来る美術館の観光は、明日に取っておくことにしようと思ったからです。昨日雲ばっかりで全く見えなかった御在所ロープウェイにリベンジすることも考えましたが、ホテルから御在所岳を見上げると、相変わらず雲がかかっていてリベンジも跳ね返されそうなので諦め。この日の昼食は津で名物のうなぎを食べる予定にしていたので、とりあえず津の町まで車を走らせることにします。
三重県の県庁所在地である津の町へは初めて行くのですが、運転しながらずっと「ところで、47都道府県の県庁所在地で、私が足を踏み入れていない市は他にあるかしら?」と考えていました。その時の自分の結論は、「今まで、行ってない県庁所在地は、どうやら津と佐賀ぐらい!?」
次回、佐賀市に行けば「県庁所在地全制覇」も達成できそうです。

津ではまず、観光協会のパンフレットにあった「津城址」に行ってみます。駐車場の隅に「ガイド待機所」があったので観光地としてちょっと期待しましたが、パンフレットに写っているほんの一部の城跡と、公園には藤堂高虎の像がある程度。
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観光は30分以内で終わってしまいます。
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まだうなぎ屋さんに行くにはあまりにも早いので、津市内をあてもなくドライブ。途中、「三重県美術館」の案内看板を見つけて、行ってみることにします。
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美術館では北欧家具の企画展もやっていましたが、私的にはどうも美術館というよりIKEAに見えてしまいます。やっぱり芸術には縁がないようですね。

「グルメその④」は「名物、津ぅ~のうなぎ」。翌日土曜日が「土用丑の日」でもあるので、日程的にもベストのタイミングです。目星をつけていた鰻屋さんは、超有名店ではないもののそれなりの大型で、鰻屋さんがとっても多いことで有名な津市内でも有数の人気店である"新玉亭"。混雑を恐れて、予定通り12時前にはお店に着きますが、駐車場も大混雑で12時前から"席待ち"のお客さんが多数! 平日なのに…   いつものことなのか土用丑の日の前日故の激コミなのかは不明ですが、「うなぎマップ」があるほど鰻屋さんが多い津といえども別の店に行く気もなく、大人しく順番を待つことにします。でもこのお店、席を待っている間にオーダーを通し、時間がかかる鰻の待ち時間を少しでも短縮する努力も好印象。鰻の値段は鰻の数で決まる仕組みなので、グルメツアーである我々は、躊躇なく5切れの特上をオーダー。

運ばれてきたうな丼を一通り調べた妻が、「私の、4切れしか入ってない!」とクレームをつける寸前の雰囲気。正直かなり待ってすっかり空腹の私は、ここでトラブルになるのも面倒なので、必死に宥めます。諦めて食べ始めた妻は、しばらくするとニコッと微笑み、「もう一切れ、ご飯の中に入ってた!」クレームつけて恥かかなくって本当によかった! 
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津のうなぎは蒸さない関西風で、皮がパリッとしていて、とても安くて旨かった!

この日の午後は、伊勢神宮へ。4年前の伊勢神宮訪問時、その時は妻ではなく私の足が絶不調だったのですが、かなり歩いてヘトヘトになった記憶が鮮明です。それでも「伊勢神宮は、お祈りに行く神社ではなく、感謝をしに行く神社。」とのことなので、今までの旅行の無事に感謝したいためどうしても再訪したいと願い、妻にも無理を聞いてもらったのです。
伊勢神宮では外宮から内宮に行くのが参拝のルール。とはいえ、両方は妻の足的には無理そうなので、熟考の結果不届きにも今回は外宮をカットさせていただき、内宮だけに行くことにします。神様に叱られそうですが、これで妻の足が悪くなると本末転倒なので、「神様は許して下さるだろう…」と、勝手に信じることにします。
高速道路を伊勢神宮まで。ところが今晩の宿泊地松阪近くまで来ると、突然豪雨がやって来ます。台風の影響で豪雨になるのは今晩からという予報でしたが… 「これって、我々が外宮に行かない罰?」かと思い、早くも後悔し始めましたが、20分程で豪雨はピタッと止み、後は予報通り夜まで雨には遇いませんでした。

4年前に駐車したおはらい町の先の大型駐車場から(4年前は春休みの日曜日だったので、遠い駐車場に停めるのがやっとでした!)では、伊勢神宮の入口に着く前に妻の足が悲鳴をあげることは間違いないので、今回は何としても数少ない神宮に一番近い駐車場に拘る必要があります。ナビに「A1駐車場」を登録して向かいますが、途中の案内を見ると「A1駐車場、30分待ち」の表示。30分で済めばラッキーと勇んで向かい、結局待ち時間もなくスムーズに駐車できました。神様、外宮のことはあまり怒っていないのかも?
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4年前の伊勢神宮は痛い足で歩くのに必死だったので、風景を楽しむ余裕は全くありませんでしたが、今回は妻を気遣いながらも景色を楽しんで歩きます。何とか無事に本殿までたどり着き、感謝の参拝!
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帰りも妻の足は何とか大丈夫でしたが、おはらい町やおかげ横丁などを散策することまではできません。赤福氷など食べたいものはたくさんありますが、次回の楽しみにします。

この日の宿は、この旅唯一のビジネスホテルで夕食は外食。理由は「グルメその⑤:松阪牛回転焼肉」がどうしても食べたかったためです。松阪牛回転焼肉をやっているお店は、有名な「一升びん宮町店」。ここで回転焼肉を満喫するため、宿泊を松阪市内にし、ホテルもお店に近いという理由でルートインに決め、回転席のテーブルを満を持して1ヶ月前から電話で予約していたのです。
予約時間は6時。お店はホテルの部屋から見える距離なので、今回は妻にも了承を貰い、約5分を歩きます。
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回転レーンは冷蔵状態になっていていい感じなのですが、回っている肉はごく普通の肉が殆んどで、最高級松阪牛は期待に反して回っていません。
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勿論、松阪牛は注文すればいいので、1枚1200円の肉などを早速注文。
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(1200円その① やっぱり、旨い!)
確かに松阪牛はとっても美味でしたが、期待した回転焼肉のエキサイティングな満足感には今一つ。
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(1200円その② でも、やっぱり松坂牛は最高!)
松阪牛は、松阪市内の普通の高級すき焼き・焼肉店でもう一度味わう必要がありそうです。

店を出る頃には、「7時から雨が降る」の天気予報通り、台風の影響で結構激しい雨が降り始めています。そんな天気なのに、人気の回転焼肉を待っている人は数えきれないほど大勢。回転焼肉の満足感はともかく、予約のお陰でスムーズに食べられた満足感で、激しくなり始めた雨の中をホテルに帰りました。

3日目:7月27日(土)

天気予報によると、台風はこの日の午前中にまさに我々がいる紀伊半島、それもすぐ近くの三重県内に上陸することは間違いなさそう。傘は折り畳みしか持って来なかった私は、朝雨が強くなる前にホテル横のコンビニにビニール傘を買いに行きます。少し高くやや頑丈そうで、「風に強い」と書かれた傘を買い、コンビニ出口でその買った傘を開いた瞬間に突風が吹き、一瞬で傘の骨が崩壊! ビニール傘の最短寿命記録を一瞬で打ち立てました。今更、目の前のコンビニに返品・交換もできないし… ギネスに申請したいくらい!

この日の本来の予定は、午前中には松阪市内をぶらぶら散策し、午後は伊賀上野に移動して伊賀上野公園内のみどころを見て歩くつもりでしたが、この台風では外を見る観光ができないことは確実。ずっとホテルでウダウダしていたくとも、チェックアウトの時間が来れば追い出されてしまいます。

城跡や昔の屋敷が観光の中心となる松阪市内は早々と諦め、昨日温存した「ルーブル彫刻美術館」で雨をしのぐことにして結構激しくなってきた雨中に車を走らせます。何故、こんな三重県の片田舎(失礼!!)にルーブル彫刻美術館なるものがあるのかとっても不思議でしたが、フランス・パリのルーブル美術館が正式に承認した(オープンセレモニーには、ルーブル美術館の館長も来た!)美術館なのだとか。入口にはルーブル美術館の誇る2つの超有名彫刻「ミロのビーナス」と「サモトラケのニケ」の巨大レプリカが来場者を歓迎してくれています。
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その隣には何故か、「自由の女神」があったりしますが(笑)…
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外の見学は早々に切り上げ中へ。展示されている彫刻はルーブルのものばかりではないようですが、皆丁寧に作られておりかなり見ごたえがあります。
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美術館中央には何故か仏様が鎮座されています。田舎の施設では時折見かける神仏混合というか、「ごっちゃ混ぜ」です。(これをご覧になった、ルーブル美術館の館長は、どう思われたのでしょうか?)
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ルーブル彫刻美術館でそれなりに時間を使い、次の目的地伊賀上野に向かいます。伊賀上野でのお昼は「グルメその⑥:田楽」を予定。お目当てのお店は人気店らしく行列必至とのことですが、この豪雨の中で行列に並ぶのはつらいので、まだ11時ですが早めに店に入ると、何とか座れました。
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(それにしても、凄い雨ですね!)
隣のお客さんはもうすっかり観光を諦めた雰囲気。田楽をつまみに、もうすっかり出来上がっています。出来るものなら私も同じように諦めてビールを飲みたいところですが、運転手たるものそうはいきません。でも、このお店の田楽やら揚げ出し豆腐、おからなどは、みんな私の大好きな"お酒のおつまみ"なのですが…
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雨と風は益々強くなってきています。伊賀上野のみどころは大半が公園内ですから、車を停めて歩いてアプローチするのですが、この雨ではとっても無理な感じ。仕方がないので車で行ける公園近くの「だんじり会館」に行ってみることに。”だんじり”といっても、岸和田のそれほど迫力があり有名なお祭りでもないことはわかっていたものの、まずは時間潰しの見学を。
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次に、この「だんじり会館」に来た最大の目的である併設された観光協会の窓口を訪ねます。
「こんな雨でも観光が出来る場所、ありませんか?」との私の問いに、一生懸命あれこれ説明をしてくれるのですが、要は「殆んどない!」のが実態。そんな中で、向かいにあるビルの「組紐体験」が、唯一妻が暇を潰せそうなので、行ってみることにします。
組紐体験は40分ぐらいらしく、当然片手の私にはできません。とは言え、妻が組紐をやっているのをボケーっと見ていても仕方がないので、意を決して雨中の伊賀上野公園の散歩にトライすることにします。
まずは7~8分掛けて伊賀上野城が眺められるところまで。勿論、普段ならばもっと近くまで行けて入場も出来るのでしょうが、今日これ以上近づくのは私的には危険な香りがします。
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松尾芭蕉の故郷伊賀上野が、芭蕉生誕300年を記念して建立した「俳聖殿」。相変わらずの凄い雨粒が写真にもしっかり写っています。
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伊賀流忍者博物館は、今日午後の観光のメインイベントの予定でしたが、そろそろ組紐体験が終わる頃の妻を待たせる訳にはいきません。
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松阪と伊賀上野にはまた来ることにします。

2年前、広島県の福山で今回と同じように台風と正面衝突した時には、うまくシネコンを見つけて映画を観て時間を潰せたのですが、ここ伊賀上野には映画館もなさそうで、本当にもうすることがなくなってしまい、まだ2時過ぎですが、今日の宿に向かうことにします。部屋には3時までは入れませんでしたが、ロビーで座ってゆっくりと待てるのが何より。

今宵の宿は、「三重県最大級の露天風呂」という売り文句に釣られて予約した温泉リゾートホテルなので、何はともあれ、早速風呂を楽しみに行きます。ところが、ここで残念な事態が続けて判明します。
右麻痺の私は、浴槽に入る時に掴まる手すりがないと風呂に入ることができません。従って大浴場に手すりがあるかどうかは必ずネットの写真などで調べるか、場合によってはホテルに直接電話して聞くこともあります。宿泊サイト”ゆこゆこ”のページには浴槽に手すりがあるかどうか記載がちゃんとありますので、そこは大変役に立っています。(今度はゆこゆこでちゃんと予約しますね。スミマセン!)
今宵の宿もネットの写真などを確認して、"手すりがある"ことは確認して予約したのですが、実際にいざ浴槽に入ろうとすると、驚く程に手すりが小さく、腰を曲げれば手すりに触れることは出来るのですが、そこに体重を掛けて掴まって浴槽に入ることはとっても無理です。一体このホテルは何を考えて手すりを着けたのか経営者に聞いてみたいくらいです!  なので室内の浴槽には入れず、露天風呂はいくら三重県最大級といっても、この雨と暴風では入れません。結局、シャワーだけの入浴になり、ストレスは最大級!

そして風呂から上がって右足を見ると、昨日の朝の応急措置が取れていて、右足親指の皮が半分以上ベロっと剥けていて、完全に真っ赤で剥き出しになっていて、自分で見てもおぞましいぐらいの悲惨な状況…。
妻は一目見て、「こりゃ~酷い!すぐ医者に行かなきゃ!それとも、救急車??」と、大いに慌てふためきます。でも、この日は土曜日だしおまけに台風だし… 私も「救急車はともかく、医者には行ったほうがいいかな?」とは思いましたが、この状況では動きようがないのと、幸いなことに痛みがそれほどでもない(鈍感なことが、幸いしました!)ので、ホテルで救急キットを借りて、応急措置を。でも、この足では当分風呂には入れなさそうです。「紀伊半島グルメ&温泉ツアーの、片方の柱が楽しめないなんて~!?」と激しく落ち込む羽目になりました。
今日の夕食は「グルメその⑦:リゾートフレンチ」。めげずにディナーを楽しむつもりでしたが、レストランの冷房が寒すぎ!長袖・スラックスで働くウエイターさん向けの温度で、全員半袖の客は皆ブルブル震えて、料理の味なんて全く分からず、隣の席の子供は、寒すぎて泣いています。 でも、従業員は完全に無視!
どうやら、このホテルはお客のことなんかどうでもよく、「従業員ファースト」という経営理念が徹底されている宿のようでした。
チェックイン時、足が悪い我々が重い荷物を本当に必死に運んでいるのを冷静に横目で見ながら、明るい声で「こんにちわぁ~!」と言われた時に嫌な予感はしていたのですが… お客様をもてなそうする「ホスピタリティ」という言葉は、どうもこのホテルの辞書にはないようです!

三重県最大級の露天風呂の宿」は、「三重県で最大級に、不快な宿」でした。