麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

8.四国一周の旅<その9:室戸岬~祖谷~徳島>


10日目:10月12日(月)

この日は、いよいよ四国最後の県になる徳島県に入ります。この旅も、いよいよカウントダウンが近づくと思うと、そろそろ憂鬱が始まります。
でも徳島県に行く前に、高知県でもう1つ行ってみたい場所があります。足摺岬と並ぶ高知県のもう1つの岬と言えば、そう室戸岬なのです。
でも室戸岬高知市からは結構遠いようで、片道3時間近くは掛かりそうです。室戸岬を越えてそのまま海沿いに徳島市まで走れればいいのですが、私たちの今回のルートでは、今日は山沿いの祖谷温泉に泊まり、徳島市内には明日行く予定にしていますので、海沿いをそのまま北上することも出来ません。そうなると結構遠い室戸岬を往復しなければならず、往復だけでも6時間近くは必要になりそうなので、本当に行くかどうかは大いに迷うところでしたが、やはり「四国一周」と銘打つ以上、天気予報などでニュースなどでもよく耳にする「室戸岬をスルーして何が四国一周だっ!」という天の声が聞こえた気がしたので、やはり行くことに意を決します。
とは言え、今日は徳島県に入っても見たい場所はたくさんあるので、ホテルをのんびりと出ると日が暮れてしまうと思い、朝6時前のまだ暗いうちからエンジンをスタートさせます。こんな時、朝食を基本的にはホテルに頼まない我々は、行動に融通が効くので、気楽です。
(実は、単に節約しているだけなのですが…)

朝日をモロに受ける運転手には辛いドライブでしたが、室戸岬までは予想以上に順調です。朝食を食べられるファミレスやマックなどを探しながらのドライブでしたが、結局空腹に負けてローソンに入ってしまいました。

室戸岬には2時間半ぐらいで着きました。岬のシンボルと言えば灯台なのですが、地図の通り道が左に曲がる突端には灯台はなく、高知県定番の銅像があるだけです。室戸岬銅像中岡慎太郎、この人も失礼ながら「龍馬のお陰で有名になった人」と言っては余りに無礼でしょうか? 日本史は苦手ではなかったものの、中でも幕末だけは苦手だった私が、中岡慎太郎と聞いて思い出すのが龍馬だけなものですから…
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灯台が見えて、太平洋が高い場所から見渡せる展望スポットがかなり高い地点にあるというので、そこをを目指します。この旅での雄大な太平洋はここで見納めでしょう。島陰が見えない海の景色が、やっぱり一番高知らしい風景だという気がしました。
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灯台も高い場所にあり、近くまで歩いていきます。灯台からの絶景もしっかりと記憶させました。
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室戸岬灯台のすぐ近くには、四国八十八箇所のお寺があります。思えば、お寺に来るのは境内までたどり着けなかった金比羅山以来で、本当に久し振りです。
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でも、このお寺もかなり高い場所にあり、我々は車なので気にならないのですが、下から歩いて登って来る人には本当に大変な場所のようです。
次の四国旅行ではもう少しは信心深くなって、八十八箇所全部はともかくもう少しはお寺を回りたいと考えているのですが、もっと信心深くするその前に、もっと脚力をつける必要がありそうです。
そういえば、高知からここ室戸岬に向かう国道沿いにも、いくつか八十八箇所のお寺があったようなのですが、どのお寺も歩き出がありそうな離れた場所にあるようでした。

そんなことを考えながら来た道を戻り、その後久し振りの高速を少しだけ走ってトンネルを抜けると、いよいよ四国4カ国目の阿波の国徳島県です。
徳島県最初のみどころは、大歩危小歩危大歩危には7年前に乗った渓谷の遊覧船があるので、とりあえずその乗り場のドライブインでお昼を食べます。7年前にこの遊覧船に乗ったのは記憶にあるのですが、同時に結構乗り場までの階段がキツかった記憶もあります。という事で、遊覧船の切符を買う前に実際の乗り場近くまで歩いてみますが、確かに最後の階段は手すりもなく結構スリリングです。おまけに船を見ると靴を脱いで畳にべたっと座る私が一番苦手とするタイプの遊覧船なので、私のモチベーションは著しく落ちてしまいます。それを察した妻が、「乗るの、よそう。」と言ってくれたので、その言葉に甘えてしまいました。
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船から眺める代わりに、大歩危小歩危の渓谷を上から眺めるスポットはあるだろうと思い、近くの観光案内所に情報収集で立ち寄ります。
大歩危の上から眺めるスポットはすぐ近くにあったので、行ってみます。
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この展望スポットは、国道すぐ横にある展望できる場所なのに、入口のゲートを通るには入場料を払う必要があるというのですから、正直”せこいなぁ~!”と思ってしまいます。日本全国で、すぐ行ける渓谷の眺めに料金を取るのは、この旅を始めて以来、ここ徳島県が始めてでした。
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小歩危には車を停めて眺めるようなスポットはないのだそうで、仕方がないので小歩危エリアはドライブだけで写真は撮れませんでした。

近くに「平家屋敷民俗資料館」があるので、次に行ってみます。壇之浦で敗れた平家の落人がこの山奥でずっと秘かに暮らしていたという話を聞くと、何となくロマンに溢れた話で、「これは、何としても行かなければ!」と思っての訪問です。
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でも、この落人が住んだ家に何を期待したのかは自分でもうまく表現できないのですが、少なくとも鎌倉時代の家が残っている筈はなく、築100年ちょっとの古い家なので、いくら平家の落人の家とは言え、平家滅亡から800年以上は経っているのですから、普通の家と何ら変わることはないことぐらい、ちょっと考えればわかりそうなことなのに、過大な期待をした自分が愚かでした。
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徳島の山奥のみどころである”祖谷のかずら橋”は今日午後のメインイベントです。今朝から各地を回りましたが、”今日は三連休の最終日だから、もう影響はない。”とずっと思っていたのですが、やはり徳島県一番人気のここだけには、駐車場に本州ナンバーの車が溢れています。

かずら橋にも7年前に来ていて、高所恐怖症の私がおっかなびっくりかずらで編まれた橋を何とか渡ったのですが、今の私は右足に装具を着けているので、元気な頃でも怖がりながらやっとこさ渡った橋をもう一度渡る勇気はありません。
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という事で、はじめてかずら橋を渡る妻の姿を撮るカメラマン役を引き受け、橋の真ん中に妻が差し掛かるのを、ずっと待っていました。
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かずら橋のすぐ先には琵琶の滝があります。橋からすぐに行ける滝は、階段などがないので私には嬉しい限りです。
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今日の泊まりはすぐ近くの新祖谷温泉。7年前に、日帰りで
楽しんだここの”天空露天風呂”を妻にも楽しませてあげたいと選んだ宿です。天空露天風呂には宿からケーブルカーに乗って行くので、折角の露天風呂は暗くなってからではその魅力を楽しめないと思い、早めに宿に入って早速ケーブルカーに乗って天空露天風呂を目指します。
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(何となく、温泉情緒があるケーブルカーですよね!?)
ところが、やっぱり”三連休恐るべし!”です。夕方なのに、天空露天風呂には家族連れがたくさん入っています。会話を聞いていると、この後高速を走って帰ると関西圏には夜の10時頃には着けるとのことで、四国最後の観光は天空露天風呂なのだそうです。
という事で、あんまり広くはない露天風呂ですから、のんびりとは出来ない状況でしたが、粘り強く子連れの家族がみんないなくなるのを待っていて、何とか子連れ家族たちの間だけ、のんびりと天空露天風呂を楽しむことが出来ました。
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ホテルの夕食も郷土料理の風情たっぷりで、久し振りに田舎の温泉宿を満喫することが出来ました。

11日目:10月13日(火)

この祖谷温泉はかなり山深い場所にあるので、朝夕はかなり冷え込み、上着が欲しくなる寒さです。10日前、この旅をスタートして小豆島に上陸した時には、まだ半袖だったことがまるで嘘のようです。
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今日はまず祖谷渓谷のドライブをする予定です。緑深い祖谷渓谷には、早くも紅葉したエリアがあり、季節の移り変わりを感じます。四国の紅葉は主に11月だと思っていたのですが、高所はもう少し早そうです。
渓谷を象徴する、小便小僧のモニュメントがあります。以前にも見た祖谷渓谷のシンボルですが、シンボルに小便小僧を選んだセンスには、??マークをつけさせていただきます。
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すぐ近くの温泉は、昨晩我々が泊まった温泉とは逆の、「ケーブルカーで降りたところに温泉がある」有名な宿です。実は昨晩の宿とどっちに泊まろうかかなり悩んだのですが、結局あちらを選択していますので、次回こそこっちにも行ってみたいと今から思っています。

ところで、この旅の前まで私が持ち続けていた四国の道のイメージは、「とにかく道が狭くって、対向車が来るとすれ違うのも大変。」という巨大な固定観念だったのですが、今回の旅では勿論狭い道も中にはあったのですが、全体を通して意外にそうでもない気がしていたのです。
ところが、前回も通ったこの祖谷渓谷の凄く狭い道を走りながら、俄に当時の記憶が蘇ります。そうです!「四国は、とにかく道が狭い。」と思っていた私にとっての”This is 四国”の道は、この徳島祖谷渓谷の道路だったのです!
「おまけにこの道、こんなに狭い道路なのに確かバスも走ってるんだよねぇ~!」と独り言を呟いた数分後に、中型のバスがやってきて大いに焦りました。
でも運転手さんにとっては”いつものこと”でしょうから、鮮やかなハンドル捌きで脱出完了です。バスの乗客は淋しいことにゼロでした。この道、本当に狭いので大型バスではとても運行出来ないと思うのですが、中型車でも危なっかしいので「この乗客数ならば、小型車でいいのでは?」と思うのは私だけでしょうか?

ようやく祖谷渓谷の細い道を抜けて、大きな道路に出ます。このあたりは、確か旧池田町の近くだったと記憶していますが、池田町と言えば何と言っても甲子園で大活躍した往年の池田高校のやまびこ打線を思い出します。池田高校に行ってみたいとは思わないのですが、実は先日お亡くなりになった蔦監督のファンだった私なので、蔦監督のお墓がわかればちょっとだけでもお参りしたいと思っていたのですが、一般人の普通のお墓が私にわかる筈もなく、山に向かって黙祷をするだけにとどめました。

次の観光は脇町の散歩。脇町と言えば、「うだつの町並み」で有名です。このところすっかり「うだつが上がらなく」 なっている私の、うだつが少しでも上がるように願いながらの散歩です。
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うだつは元々、火事の延焼を防ぐ防災目的で作られたようですが、その後は家柄や格を表すシンボルに変わったとも言われています。いずれにせよ、各家には立派なうだつがあり、私のように「うだつが上がらない」家は見当たりません。
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それにしても徳島県の中でも結構有名な観光地の筈なのに、今日は本当に静かです。「本当にこの場所でいいんだよね?」と少しだけ不安になりかけた頃に、町の観光協会の職員の方に声を掛けられます。
「昨日まで、ここではイベントも開催されていたので、すごい人出だったんですよぉ~!」と言い、「今日は静かだなぁ~、やっぱり”祭りのあと”ですねぇ~…」と仰ったので、昭和世代の私は思わず吉田拓郎の同名の曲を思い出しました。同世代とおぼしき観光協会の方も、同じような連想をされたのでしょうか?
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次はいよいよ徳島市内です。徳島には個人的に食べたいものがたくさんあるのですが、まず食べたいのは”徳島ラーメン”。
ところが、妻はこの豚骨系のこってりラーメンが苦手なので、有名店・専門店に行っても私はともかく妻が食べるラーメンは無さそうです。
という事で、出発前から悩んだ結果、徳島ラーメンの地元ではそれなりに有名なチェーン店の支店が、イオンモールのフードコートに入っていることを発見、フードコートなら妻の好みのメニューもある筈なので、埼玉での日常さながらのフードコートでのランチタイムです。
ラーメン屋さんの名前は”東大”という名前ですが、創業者がOBなどということではなく、”日本一を目指せ”という意味での命名なのだそうです。
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個人的には10年前に〆で食べたパンチの効いた徳島ラーメンと比べると、やはりフードコート仕様の一般受けする味になっていて、迫力が無くなっているなぁ~ という気がしました。

午後は徳島の市内観光ですが、徳島市内の観光で行く予定はたった一ヶ所だけです。
それは、阿波おどりの実演が見られる阿波おどり会館が入る、いわば観光の複合ビルのような場所なのです。

まずは2時の公演に合わせて阿波おどりの実演を見に行きます。夏の阿波おどりの時期に徳島に来るのはかなり困難なので、あの迫力(と言っても経験したことはありませんが)は兎も角、折角徳島に来たのですから阿波おどりの触りだけでも常に見られるこの会館は、我々観光客にとってとてもありがたい施設です。実演してくれる人数もそれなりにいて、楽しい数十分でした。
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徳島の阿波おどりにはこれからも来れるかどうかわからないのですが、東京で楽しめる高円寺や大塚の阿波おどりには、是非とも行ってみたくなりました。
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この会館の別のフロアには阿波おどりミュージアムもあるので、こちらも覗いてみます。この半日で、阿波おどりにはかなり詳しくなった我々でした。

この観光ビルの最上階からは、徳島市内が見下ろせる眉山へのロープウェイがあります。
眉山と言えばさだまさしさん原作の同名の映画を思い出します。松嶋菜々子さんと大沢たかおさんのこの映画は、徳島の美しい風景と阿波おどりの喧騒を伝えてくれていて、徳島に憧れるきっかけになった映画でした。

眉山から町の全景を眺めながら、10年前に仲間とこの街に遊びに来た時の珍道中を懐かしく思い出しました。
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観光ビルの最後の用事はお土産ショッピングです。明日には四国を離れるので、今まで全くお土産には目もくれていなかった分、すべての土産をここだけで済ませようと、凄い勢いで安くて美味しそうなお土産を買い漁ります。
北海道一周では函館、九州の時には門司で、同じようにその地方最後の都市でお土産を山ほど買うと、「あ~、もう帰るんだ。」という憂鬱な気持ちでやりきれない心境になります。ましてや、今回の旅は7ヶ月のニート生活最後のロングトリップなので、門司の数倍以上ブルーになり、しばしお店の中で呆然と立ち尽くしてしまいました。

徳島の夕食で私がどうしても食べたかったのは、徳島の地鶏である”阿波尾鶏”。10年前の珍道中で二次会で入った焼き鳥屋さんで食べた焼き鳥の味が忘れられなかったためです。
その時は結構酔っ払って食べたので、その味が本当に絶品だったのかはたまた酔った上での幻覚だったのかは、今ではそのお店すら覚えていないので定かではありませんが、当時は"日本最高の地鶏"だと勝手に信じていたくらい美味しかったのです。
ところが、妻は鶏肉が大の苦手で、鶏肉は一切口にしない徹底ぶりです。普通の居酒屋に阿波尾鶏メニューがあれば問題はないのですが、残念ながら徳島市内と言えども阿波尾鶏は専門店でしか食べられそうにないので、大いに悩むところです。
結局、この半年で唯一(?)の私のワガママを聞いてもらい、阿波尾鶏の専門店に行かせてもらうことにしました。入口でメニューを見たら、野菜焼きと少しは魚介のメニューもあったので、妻もしぶしぶ了承してくれたのです。
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10年振りの阿波尾鶏はやっぱり美味でした。
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でも、「日本で一番」と言い切るには、当時の楽しかった記憶で味が美化されていた部分もやはりあったと認めざるを得ないようです。
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四国最後の夜も旨いもんを満喫して、すぐに眠ってしまいました。