麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

7、九州一周の旅<その4:やまなみハイウェイ~阿蘇~高千穂>


5日目:9月4日(金)

別府、由布院と”おんせん県”と称している大分県の温泉と観光をたっぷりと満喫しましたので、そろそろ次の県に向かおうと思うのですが、大分にはもう一つどうしても行きたかったところがあります。それは、湯布院から阿蘇に向かう道として有名な、”やまなみハイウェイ”です。

※今までは、ずっと由布院と書いて来ましたが、今回だけ、あえてこの湯布院という字を使わせていただきました。市町村合併の時に二つの漢字名と地域がきちんと定義されているようなのですが、最近ではひらがなで”ゆふいん”と書くのが主流になりつつあるようです。もっと早く気付いていれば、私もひらがなで”ゆふいん”と書いたのですが…

やまなみハイウェイに憧れたのも、初めて阿蘇に行った高校1年生の時です。多くの方と同様に、阿蘇には熊本から国鉄(懐かしい!)でアクセスした私でしたが、宿泊したユースホステルで、大分方面からバスで来たホステラー(こんな言葉、数十年振りに使ったかも… 懐かしい!)からこの道路のことを聞き、「山、草原、湖、高原など、あらゆる景色を見ることが出来る日本有数の素晴らしい道路。阿蘇も確かに素晴らしいけれど、折角こんな道路があるんだから、熊本から阿蘇を往復する(つまり、当時の私たちのルート)だけなんて勿体ない!」と宣伝文句さながらに熱く語られたことを何となく覚えていて、「今度、阿蘇に行く機会があったら、その時には"やまなみハイウェイ"を通るぞ!」と秘かに誓っていたのです。
また、阿蘇の南には神話の里である高千穂があるので、阿蘇から高千穂に行くのも、もう一つの憧れのルートでした。従って、九州に行くことに決めてからは、どうやって回ろうかを考える前に、この日の日程「ゆふいん~(やまなみハイウェイ)~阿蘇~高千穂」という日程が頭の中で固定されてしまい、この日程を中心に九州旅行の予定が組まれたと言っても過言ではありません。

由布院温泉を満喫してホテルを出発しましたが、市内中心部からやや離れた場所にあるホテルだったため、ホテルの部屋から見えた由布岳以外には由布院の観光は全くしていません。「ここ、本当に由布院なの?」と言われても、由布岳以外には由布院らしきものを何にも見ていなく返事のしようもなかったため、せめて有名な金鱗湖ぐらいは見ておきたいと思い、中心街に向けて車を走らせます。温泉街に近づくにつれてそぞろ歩きの観光客は増えて温泉街の風景らしくはなるのですが、車を停めて写真を撮るような場所は見つかりません。金鱗湖のほとりに着きましたが周囲には時間制限ではなく1日500円の有料駐車場はあるのですが、今日は見どころが盛りだくさんでここで時間をあまり使うことは出来ないので、500円の駐車料金を払って車を停めることは諦め、金鱗湖由布院の風景は写真には撮れませんが、心の中に焼き付けて先を急ぐことにしました。

いよいよ39年越しの念願の県道11号線=”やまなみハイウェイ”に入ります。徐々に高度が上がってゆき、「間もなく、素敵な景色が始まりますよ!」よいう予告編のような景色が周囲に広がりはじめます。この九州旅行に来てから、今まではあまり天気が良いとは言えなかったのですが、その中でこの日だけは晴天予報だったので、「肝心な日にだけは、天気が良い。」という我々の幸運が、前の旅の上高地以来継続しているものとすっかり信じていたのですが、この日は雨は降っていないものの、天気予報通り晴れと呼べるほどの天気には??で、結構雲が多い空が広がっています。

この日の最初の見どころは、やまなみハイウェイを少し外れたところにある、九重”夢”大吊橋です。
この”九重”ですが、九州の屋根と呼ばれる「くじゅう連山」と同じくこの大吊橋でも”くじゅう”と読むのですが、このあたりの地名は九重町と書いて”ここのえまち”なので、今回プランニングの時にも”くじゅう”なのか”ここのえ”なのかで、いささか混乱してしまいました。
一般常識的には、相撲部屋でも(浜名湖の)旅館でも(仙台の)和菓子の老舗でも”ここのえ”なのですから、このあたりで”くじゅう”を使うのなら、周りも全て”くじゅう”に統一したほうが混乱がなくて良いと思うのですが… そうはできない歴史的な背景や何かがあるのでしょうか? 
どうも大分県は、この”くじゅう”とい言い、湯と由が混在する”ゆふいん”といい、混乱を招く地名が多いような気がします。

閑話休題、この九重”夢”大吊橋は、筑後川源流域にあたる鳴子川渓谷の標高777mにかかる橋で、歩道専用の橋としては、日本一なのだそうです。この日本一周で5月に茨城県の”竜神大吊橋”を訪ねた時に、”本州最長の橋”と堂々と書かれていたのを見て、「じゃあ、日本一はどこ? 九州?、四国?」と気になっていましたが、本州一の竜神大吊橋も十分に高く長く迫力満点でしたから、この、九重”夢”大吊橋の迫力はそれ以上ということで、楽しみにしていました。
吊橋の全景はこんな感じです。
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早速、こんな感じの歩道専用の橋をゆっくりと渡ってみます。
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長さ&高さについては正直竜神大吊橋より凄いという感じはあまりしなかったのですが、竜神大吊橋と違うところと言えば、橋の途中から見ることが出来る迫力のある滝の風景です。日本の滝百選にも選ばれている震動の滝・雄滝という滝なのだそうですが、突然見えてくるその滝の全景は、滝好きとしてはちょっと感動ものでした。
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いよいよやまなみハイウェイのハイライトが始まります。やまなみハイウェイの代表的な風景ともいえる長者原。雲がなければ山々の風景は素晴らしいのでしょうが、残念ながら山々の全景は姿を見せてくれません。」(&看板のところに停車している車もずっと停まったままで、私の写真のために走り去ってはくれません。)
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長者原のビジターセンターにも立ち寄り、少しだけ周辺を散策してみますが、素晴らしい風景ではあるものの、いつまでものんびりしているわけにもいかずに、先を急ぐことにしました。
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阿蘇が近づいて来ます。阿蘇が見える展望スポットの城山展望台で、阿蘇山とは何と39年振りのご対面です! でも、このあたりにも雲が霞んでいて、きれいな写真は残念ながら撮れませんでした。
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いよいよ阿蘇エリアに入ります。まずは全国に450もあるらしい阿蘇神社の総本社である「阿蘇神社」、さすがに総本社だけあって立派な佇まいです。この時点で噴火警戒レベルの関係で火口に行くロープウェイは半年近く休業を余儀なくされていますので、”阿蘇さまのお怒りが鎮まりますように…”とお祈りしましたが、お祈りの効果はなかったようです。と言うより、この少し後に噴火して規制が更に上がったので、逆効果だったのかも知れません。
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阿蘇市内に入り、昼食を食べる場所を探しながら、阿蘇駅付近に昔の記憶が残っているかどうか懐かしみながら車を走らせてみます。39年前の阿蘇の駅前と言って思い出すのは、駅前にあったハワイアンが流れているひなびたパチンコ屋さん。列車の待ち時間に、高校生の分際でありながらパチンコ屋さんで時間を潰した記憶が鮮明です。当時のパチンコは、全自動ではなく1発ずつ手で打つパチンコでしたので、200円でたっぷり1時間は時間を潰せたことを覚えています。
でも、阿蘇の駅前はすっかり変わっていて、パチンコ屋さんはおろか39年前の風景の面影は全くありませんでした!

時間があれば、近くにあるという「ラピュタの道」などにも立ち寄りたかったのですが、どうもその時間はなさそうです。阿蘇の周辺にも、これ以外にまだまだたくさん見どころがあるようですから、近いうちにまた来たいと思います。今度は39年も間をあけずに… です。

いよいよ阿蘇山です。阿蘇山という山はないらしく、中岳など5のつの山の総称ということですが、「今走っているのは何岳?」というのは正直わかっていませんが、ありがたいことに行先案内もしっかりしているしナビもあるので、迷うことはありません。
阿蘇と言えば放牧された馬が有名です。馬と言えば草千里という連想に繋がるのですが、中腹にもいくつかの牧場があり、のんびりと育てられている馬を眺めることが出来ます。
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馬だけではなく、牛も放牧されています。黒牛と言うのだそうですが、同じ牧場には馬も飼育されているようで、馬と牛も仲良く共存しているようです。
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米塚は小高い丘のように見えますが、これでも高さ80メートルの立派な山なのだそうです。観光写真はよく上から撮られているので噴火口跡のくぼみも綺麗に見えるのですが、我々が下から眺めただけでは火口までは見えません。
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ロープウェイ運休中の阿蘇観光のメインは「草千里」。39年前に来た時にもハイキングで訪ねた記憶が鮮明で、妻も亡き父親から「阿蘇の草千里に行った自慢話」をその昔に散々聞かされたらしいので、その意味でも本日の我々のハイライトでもあります。
草千里を代表する風景は、こんな風景でしたよね。ちょっと池が小さくなったような気もしますが…
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散策して、阿蘇の噴火口近辺が遠望できるところまでちょっとだけ登ってみます。噴火口のあたりには白い噴煙があり、今にも噴火するかのような風景で、ちょっと恐ろしい景色です。でも、草千里ではこれ以上近づけないので不安はありません。
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その後も、草千里の草原を20分以上かけて一周します。草千里と言えば観光用の馬に乗るのが定番で、39年前にも馬に乗ってみたかったのですが、貧乏旅行の高校1年生は馬車に乗る大学生のお兄さん&お姉さんの写真係&荷物持ち係を務めた記憶があります。(おぼろげな記憶ではありますが…)現在は、馬に乗れない体になってしまったので、妻を馬に乗せてあげることにして、39年後も同じくカメラマンの役割を務めることにしました。
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草千里で阿蘇を満喫し、火口の迫力がもう少し近くから見えるかもしれないかもと思い、更に上まで走りロープウェイ乗り場まで行ってみます。判ってはいたことですが、ロープウェイは半年前から運休していて、乗り場近辺にも特に散策する場所もないので、数年後の再訪を誓って、阿蘇を後にしました。

この10日後、我々がまだ九州の平戸にいた時に阿蘇山が再び噴火したことをニュースで知りました。噴火警戒レベルは、我々訪問時の<火口周辺規制>の2から<入山規制>の3に更に引き上げられました。数年後に再訪する時には、噴火警戒レベルも下がっていて、ロープウェイで火口周辺に行けることを願うばかりです。

阿蘇山を南に降りて、高森を通って高千穂に向かいます。このあたりでは、”やまなみハイウェイ”のような素晴らしい景色は望めないのでしょうが、個人的には昔からずっと乗ってみたかった旧国鉄高森線が第3セクターの南阿蘇鉄道として残っていて、一部に雄大な橋梁(鉄橋)が残っているので、”運よく、橋の上を疾走する列車、見られないかなぁ~!?”などと都合のいいことを望んでみますが、”場所も時間も調べていない者に、そんな絶景を見る資格はない!”という感じで、そんな僥倖が訪れるわけもありません。このあたりには温泉もあるようですから、次回の阿蘇への旅の時には、ちゃんと下調べをして旅の基地にしようと思いながら車を走らせます。

宮崎県に入ります。日本一周とは別の個人的な”行ったことがある都道府県”で、宮崎県はずっと私の未訪問県だったのですが、3年前の九州旅行の時に一瞬だけ思いがけずその地を踏んでしまったという「なんちゃって訪問県」になってしまったので、実際に意思を持って宮崎県の地を踏むのは初めてのことです。
日本一周で5月に島根県に入った時に、”これで、未訪問の都道府県は無くなった”と書きましたが、実際その瞬間は5月の島根県の時ではなく9月のこの時だったことにしようと思います。

本日の宿泊は”神話の国”高千穂。私的に一番行ってみたかったところで、宮崎観光の中でもいきなりのハイライトです。かなり暗くなっての到着だったので、高千穂の観光は明日になりますが、今晩は高千穂に来たら一度は見てみたい神楽を見に行こうと思います。
夜神楽は期間限定で行われる神事なので、いつでも見られる訳ではないのですが、それ以外の日には観光客用として、毎晩1時間程度の”高千穂神楽”を公開していますので、我々が楽しむのはその観光客用の神楽です。

”高千穂神楽”は、高千穂神宮境内の神楽殿で夜8時から行われます。ビジネスホテル泊まりの我々は、夕食を食べてから神楽鑑賞に向かう予定でしたが、何故か市内の食堂・レストランは定休日やら臨時休業やら本日貸切など入れない店ばっかりで、結局お店は見つからずにホテル近くのお弁当屋さんで”ホカ弁”を食べるしかありませんでした。

高千穂神社には車で向かいます。高千穂の旅館などは、夕食後にマイクロバスで送迎をしてくれているようなのですが、ビジネスホテルには当然そんなサービスはありません。高千穂神社はかなり暗いので、参拝と観光には明日改めて来ることにして、今日は神楽だけを楽しむことにします。入場料700円也を払って中に入ると、広い座敷の中には100人ぐらいは観客がいて、予想以上の人気のようです。
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説明の中で、「以前はよく、お客さんが1・2人のことがあった。これだけお客さんが来てくれるのは、東国原効果が続いているお陰…」とのコメントもありました。
宮崎滞在中にこの「東国原効果」という言葉を何度か耳にしました。特に観光に関しては”東さんのお陰”がまだまだ続いている証拠のようにも聞こえますので、こと観光に関しては、「宮崎県はどげんかなっとる」ような気もしました。
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神楽を見るのは実は初めてでした。神に奉納する神事が神楽だというお堅いイメージがあるのですが、反面踊りで天照大神から岩戸を開けさせたなど、ユニークな踊りもあるようなので、実はそれなりに楽しいものなのかもしれません。
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最後には観客席にまで下りてきて観客を楽しませてくれるところなどは、エンターテイメント性もあるように感じました。
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明日からも、目一杯宮崎を楽しもうと思います!