麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

3、山陰・山陽大周遊<7:広島県>


明後日の6月16日は、脳卒中で倒れて救急車で救急搬送されてから満5年になります。
この「記念日」には毎年記憶を辿って投稿させていただいていますが、もう5年も経つので、今年は振り返ることはしません。
病気とは一生仲良く付き合っていかなければいけないので、とにかく前を向いて今を過ごそうと考えています。

長い旅行記もあと少し、広島県編です。

5月20日(水)

朝のうちに岩国の観光を終え、まだ午前中のうちに広島県に入ります。
広島で最初に見るべきものといえば、”日本三景”の「安芸の宮島」です。この旅行では3日目に日本三景天橋立に行っているので、”二景”は今回の旅行で制覇したことになります。もう一つの日本三景である宮城の松島は、仙台勤務時代を含めて数十回以上は行っている(営業先もあった)ので、今回行くかどうかは特に考えていませんが、とりあえずこの宮島をもって「日本三景制覇」ということにしちゃおうと思います。

宮島口フェリー乗り場近くの有料駐車場に車を停め、まずは「宮島で食べるべきものその①」として、「作り立てのもみじ饅頭」を食べに宮島口の有名店「おきな堂」に行き、出来立てアツアツのもみじ饅頭をいただきます。
宮島へのフェリーはすぐ横に並んだ2社が競って運航しています。往路は、向かって右側を走るJRのフェリーに乗ることにします。JRのフェリーを選んだ理由は、航路が海中に聳える鳥居に近いので、海中の鳥居が見えやすいという理由からですが、実際には鳥居側のデッキには鳥居を一目見ようという乗客で溢れかえっており、結局外には出れなかったため、感動的な出会いとはなりません。

ということで、実際の鳥居との感動的な出会いは、宮島に降りて参道を歩きながらのご対面となりました。
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この厳島神社を信仰して盛り立てたのはあの平清盛ということですが、昔の清盛は少なくとも私が愛読した歴史小説などでは、「清盛はヒール(悪役)」的な扱いが圧倒的だったような気がしますが、どうも最近のドラマの傾向を見ると、「清盛は意外といい奴」という扱いが多いような気がします。
本当はどっちだったのかは永遠の謎ですが、とりあえずこの立派な厳島神社を残してくれた功績に感謝し、清盛を想いながら参拝させていただきました。
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「宮島で食べるべきものその②」は名物「あなごめし」の昼食。有名店はじめたくさんのお店があったのですが、とりあえず手近にあったお店であなごめしをいただきました。
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参道をブラブラしながらショッピングやお買い物を楽しみます。修学旅行生や外国人もたくさん来ていて、平日なのに大盛況の宮島でした!

その後は広島中心部のビジネスホテルにチェックインし、原爆ドームまで散歩します。私は仕事も含めて何度となく広島市内には来ていますが、妻は初めてとのことで、はじめてみる原爆ドームに、やはり何も言葉が出てこないようです。
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5年以上ぶりに広島に来た私はと言えば… 知ってはいたもののやっぱりショックだったのが「あぁ、(やっぱり)広島市民球場がない!」こと。浩二・衣笠らの赤ヘル全盛期をよく知る世代の私、市内の繁華街ど真ん中にあったこの球場にも何度か見に来たことがありました。

その後平和記念公園を散歩し、資料館を見学します。平日なのに資料館等は凄い人出ですが、3割以上は外国人で国籍は判りませんがアジア系は意外と少なく、多くは欧米系の人たちで、みなさん神妙な面持ちで悲惨な光景に見入っている感じでした。
そして最も多かったのは、10名単位ぐらいの小グループに分かれて、専門のガイドさんが生々しく悲惨な体験を伝えている、小中学生の修学旅行。いわゆる「平和学習」というやつです。
でも、今その悲惨な状況を伝えているガイドさんたちは、当然のことながら我々と同じ「戦争を知らない世代」の筈です。でも、彼らは「本当にその場にいたかのように」生々しい体験を涙を流さんばかりの迫力で話すので、特に小学生なんかは半泣きの顔で聴き入っています。
今後も、このリアリティがずっと語り継がれていくことを切に願うばかりです!

夕食は、広島在住の旧友と逢い、「広島と言えば」の「お好み村」に行きます。地元民らしくいきなりお好みを食べずに、つまみを食べながら飲んでいるうちに、お腹がいっぱいになってしまいました!
「お好み村」、6年以上ぶりの訪問でしたが、訪問する時は常にカープの野球中継があり、お客さんも店員さんも全員が熱狂的にカープを応援しています。ある意味理想的な「地元チーム愛」の象徴で、理想的な場所に思えて私の憧れの場所なのです!

5月21日(木)

個人的にはこの日を「この旅行のハイライト」と思って入念に計画し、とっても1日では足りない見どころがあるとっても忙しい1日でした。幸い、絶好の天気で7時過ぎには車をスタートさせました。

この日最初の見どころは呉。まずは現役の軍港である呉で、日本ではここでしか見られない現役の潜水艦を見に行きます。「アレイからすこじま」というこの公園からは、本物の潜水艦と船が見えます。これらを見るために、呉にはどうしても来たかったのです!
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呉の中心街にある、「戦艦大和ミュージアム」も早足で見学します。本当は半日ぐらいかけてゆっくりと見たい博物館でしたが、忙しい今日は時間がないので、本当に早歩きで戦争と戦艦大和の歴史を振り返ります。
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本日のメインイベントはこの後。呉近くから5つ以上の島が橋で結ばれている、「とびしま海道」です。「しまなみ海道」のようにメジャーではありませんが、負けず劣らずの素晴らしい島々ということで、是非とも行ってみたかったのですが、しまなみ海道とは違って車でずっと言っても四国などに抜けられるわけではなく、海道の最後の島の先には橋はつながっておらず、最後はフェリーで他の(橋でつながっている)島に渡らなければならないのです。その、フェリーの時間を守らないといけないので、のんびりとはしたいけれども時間は厳守しなければなりません。
とびしま海道の島に渡る前に、まずは全景を見渡せる素晴らしい展望スポットに向かいます。野呂山から眺めるとびしま海道は、本当に素晴らしい島々です!!
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野呂山の一番上の方の展望台から見た風景)
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(ちょっと下がったところにあるビュースポットから見た風景)
この2枚の写真を見ただけで、「早く行きたい!」というゾクゾク感が止まらなくなってしまいます!!

いよいよとびしま海道に向かいます。しまなみ海道はずっと有料道路が続いているのですが、とびしま海道は本州からの最初の橋だけが有料(720円)です。海道内でお店を利用すると帰りの通行料金が割引されるシステムがあるようなのですが、我々はこの道を戻らないので、割引は受けられません。
本州から最初に渡った島が「下蒲苅島」。各島共にみどころはいくつかあるようなのですが、全体で使える時間はもうあと4時間弱しかないため、島の写真などを撮ったり、ビューポイントらしきところで少しだけ停まっただけで、後は残念ながらスルーさせていただきました.

次は「上蒲苅島」。ここでは手軽に食べられそうな麺類のお昼をいただきます。お店には「名物」と書いてありましたが、ネットで調べても何にも出てきません。

次の「豊島」には周囲の島が綺麗に見えるビュースポットがあるということなので、向かったのですが… 人生で最も怖い運転の時間を味わいました!!
ガイドブックにも「道が狭いので、注意!」とは書いてあったので、多少の覚悟はしていたのですが… 実際には、狭いなんていうレベルではなく、「この道を整備もせずに薦めるガイドブックも観光パンフレットも、本当に無責任!」と、立腹しながら運転していました。細い道に入ってからは、全く対向車とすれ違えるような場所が見つからないのです! ずっと車一台がやっと通れる細い道で、片側は崖のようになっていて、「もし、対向車が来たら…」と、常に恐怖に慄きながら片道20分以上のドライブで、ようやく展望台に着きました。
景色は良いのでしょうが、「帰りの20分で、もし対向車が来たら…」と思うと、景色を楽しむ余裕は全くありませんでした!
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洗面所を見ると、完全に乾いていて少なくとも1か月以上は全く使われていない(水が流されていない)感じなので、「帰りも対向車に会う確率は低いかも?」とは思いましたが、最後までびくびくの連続で、広い道に出られた瞬間、車を停めて思わず神様に感謝しました!

次の「大崎下島」がとびしま海道のハイライト。「御手洗の街並み保存地区」があり、江戸時代の街並みが残っているので、ゆっくりと散策します。
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こんなところにある島の町なのに、討幕の各藩がここに集結し、「御手洗条約」が坂本龍馬の仲介で締結されたのだそうです。
それ以外にも、吉田松陰もこの島を訪れたのだそうですから、海運の要所だったのでしょう。
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この島から隣島の大崎上島でフェリーを乗り継ぎ、朝ドラの「マッサン」のロケでも使われた竹原まで行くこともできるのですが、「フェリーの乗り継ぎ」が面倒なので、ここではフェリーに乗らずに次の島へ向かいます。

とびしま海道最後の島は、「岡村島」。何と、この岡村島だけはここから愛媛県なのです! 道理で、この岡村島だけとびしま海道のパンフレットでは見事に黙殺されている訳ですね!
この岡村島から、同じ愛媛県大三島までのフェリーがあるとのことです。大三島しまなみ海道にあるので橋でつながれていますので、このフェリーに乗ればしまなみ海道からは車で広島へ戻れるのです!
でも、この情報は実は昨日初めて友人に教えてもらいました! 県が違うと、情報も少なくなり、どうしてこんなに不親切なのでしょう!?

島の(小さい)フェリーでマイカーを運ぶのは初めての経験です。船会社に電話して予約の可否を聞きますが、「予約不要、先着順。満員になることはまずない。」という話を聞いていたのですが、念のため30分前には港に向かいます。
「フェリーで自家用車を航送したいのですが。」と車検証のコピーを持っていきましたが、「切符は自動販売機で買って。」と、車検証も乗船名簿も何にもいらないのだそうです。
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定刻5分前に到着したフェリーに車を乗せるとすぐに入口が閉まり出航です。
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車は私の1台だけの貸切のようです。20分ぐらいの船旅でしたが、ずっと車の中に黙って座っていて景色も見られない退屈な船旅でした!

大三島からはしまなみ海道の高速道路をドライブし、本日の宿泊地である尾道に向かいます。「しまなみ海道」も観光したいところではありますが、過去に2回来たこともあり、次の「四国周遊の旅」まで取っておくことにしたいと思います。

尾道と言えば「尾道ラーメン」なのですが、妻のリクエストは「お好み焼き」。昨日、つまみばっかりで「お好み焼き」が十分に食べられなかったので、「広島にいるうち食べたい。」とのことで、有名でも何でもない通りすがりのお好み焼き屋さんに行きましたが、やっぱり本場広島の味でした。

5月22日(金)

この日は尾道を観光してから岡山県に向かう予定です。
尾道は私の大好きな街なのですが、坂と階段が多く「今の私に尾道の観光はしんどいかも…」とは思いましたが、とりあえず行けるところまで行ってみることにします。

尾道の観光は以前(元気だった頃)と同じように、山の上部の千光寺駐車場に車を停めて、階段を降りながら途中の街を観光し、帰りはロープウエイを使おうという算段で、懐かしい千光寺駐車場に車を停めます。
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まずは「文学のこみち」を通って千光寺まで行こうと歩き始めましたが、この文学のこみちの階段が、本当にきつかった!
手すりは殆どなく、階段もデコボコがあるので本当に下るのが大変で、何度か引き返そうとも思いましたが、もう来た道を戻るだけでもしんどそうです。
とにかく何とか千光寺までは来ることが出来ましたが、歩くのに夢中で文学のこみちを楽しむような余裕は全くありませんでした!
千光寺でお店の方に相談してみますが、「ここで、(別の道で)戻ったほうが無難」という意見もありましたが、ここからの下りは、手すりはないところもあるけれど階段の状況はここまでよりは良いとのことで、大好きな尾道なのでこのまま降りることを選択し、ゆっくりと階段を降ります。
千光寺では写真を撮る余裕すらありませんでしたが、ある程度下に何とか降りて中腹にあるお寺の塔まできてようやく写真を撮る余裕が出来ました!
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最後に、尾道で私が忘れられない場所である「線路のすぐ下の階段」に何とかたどり着くことができました。
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この何でもない階段が忘れられない理由は、私が11歳の時ブルートレインで福岡に行った時の話です。朝、寝台車から何気なく朝の町を見ていると、線路と同じくらいの高さのところを歩いているおばさんと目が合いました。線路と同じぐらいの高さに顔があったことにもとても驚いたのですが、まだ6時台だった朝の風景がとっても印象的で忘れられず、40年以上前のことですが絶対に忘れられない瞬間になったのです!
この出会いの1分後には列車は尾道に停車していますので、この街が「おのみち」と言う名前であることは子供の記憶に強くインプットされていました。10年ぐらい前にこの階段を発見した時には、あのおばさんに再び逢えたような気がして、次の列車が通るまで10分以上ここに佇んでいました。

何とか尾道を楽しむことが出来て、次は岡山に向かいます。