麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

7、九州一周の旅<その8:薩摩半島>


9日目:9月8日(火)

この日は、計画段階からはじめての途中休養日または予備日のつもりで考えていました。この九州旅行は最も長い旅なので、不測の体調不良やら何らかの予期せぬ事態があるのかも知れない… という思いから、日本一周を本格的にはじめて半年で、はじめての休養日にすることと、万一トラブルがあっても、この1日で日程を元に戻せるかも… という小賢しい計算もありました。

とは言え、8割以上は”旅行は、何もなく順調に進むだろう” という読みもありましたが、順調なら順調で結構な訳で、その場合には私の初恋の山である開聞岳にゆっくりと会いに行くつもりでした。

ところがその前日の日程で、「九州最南端の佐多岬に行けない!」という事態が発生したので、昨晩は寝る時間も惜しんで翌日のプラン作りに没頭します。単純に大隅半島を走って、1日がかりで佐多岬を往復するだけではあまりにも面白味がありませんので、三年前の旅で十分に満喫したとは言え、みどころがたくさんある薩摩半島を南下し、指宿の先の山川から出ている鹿児島湾横断フェリーを上手く利用して、薩摩半島佐多岬の両方を楽しめないかと図々しく考えたからです。

結果は、どう考えても適当な時間のフェリーがなく、やはり両方のいいとこ取りは無理だということなり、断腸の思いで佐多岬を諦めました。
何故薩摩半島ではなく最南端の佐多岬のほうを諦めたのかと言うと、佐多岬に関する情報が極端に少なかったからです。
佐多岬に行くということにした場合、桜島周辺のルートは前日に通った同じ道ですし、他に楽しめる観光地候補もなさそうで、佐多岬だけが唯一の観光スポットになりそうだったのですが、その肝心の佐多岬の展望台までのバリアフリー状況がわかりません。駐車場から展望台までは遠いという情報はあったのですが、その途中の階段状況や手すりなどの情報がなかったので、このまま決行してその眺めが見られないままに引き返さざるを得ない可能性を恐れたのです。役所とかに電話で聞ければいいのですが、電話出来る時間にはもうどちらかに決めて走り出していなければならないので、泣く泣く断念したのです。

勿論、私の初恋相手である開聞岳に三年振りに会いたいという気持ちに変わりはありません。今回、開聞岳のすぐそばにある大型日帰り温泉を見つけていて、ここからの開聞岳を楽しみたい! という思いもあります。

鹿児島市内からは、交通量の多い高速で薩摩半島を目指します。薩摩半島は三年前の九州旅行で指宿温泉からタクシーをチャーターして満喫している(記事はこちら)ので、今回はかなりの場所が再訪になります。

最初の目的地は、知覧武家屋敷。三年前、この前に行った知覧の特攻平和会館で時間を使いすぎたため、楽しみだったこの武家屋敷の見学が駆け足になってしまったという記憶の元に、三年前のリベンジ訪問です。
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武家屋敷のうち半分しか見られなかった三年前とは違い、今回は端から端までじっくりと見ることができて、個人的には大満足です。でも、前回ほどの感動がやって来ないのは、やっぱり二度目だからなのでしょうか?
「もう少し見たい!」と思うぐらいがちょうど良いのでしょうか?
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特効平和会館の横を通りながら、妻に「行く?」と聞いてみますが、「あんな辛い思いは、当分したくない!」と、どうもその気はなさそうです。実のところ私もあの辛い展示はたった三年のインターバルではまだもう一度見る気にはなれなかったので、妻と同じ心境で内心少しホッとしたのでした。

今回の薩摩半島では、”鉄ちゃん”として鉄道の終着駅である枕崎に行くのを楽しみにしていました。7月に日本最北端の駅である稚内の駅に立って、「ここ稚内から、9月には最南端の西大山を目指すぞ!」と決意したのですが、確かに緯度で言えば西大山なのでしょうか、路線図で見れば終点の枕崎の方が遠くにあります。なので、この薩摩半島ツアーでは勿論西大山にももう一回行くつもりですが、枕崎も密かに楽しみにしていたのです。
よりによって、最南端の地にこんな悲劇が待ち受けていることも知らずに…

ナビの目的地を「枕崎駅」に設定して向かいます。枕崎駅すぐ近くになっても繁華街は現れずに、逆にどんどん道は細くなっていくのですが、優秀だと信じているナビ君は、「間もなく、目的地です」と動じません。でも人家のすぐ横の車一台がやっと通れる細~い道で、どう考えても駅前ではありません。
右上を見上げると、どうもそっちにホームと線路があるみたいで、「これって、もしかして駅の反対側かも…!?」とようやく気づきますが、都内の駅などとは違って、駅裏に出入口はなさそうです。

そうなると、間もなく道路ではなくなりそうな道をUターンして反対側に出ようと思いますが、何せ車一台がやっとこさ通れる道なので、Uターンできる適当な場所も見つかりません。
ようやく、低い茂みのような場所を見つけてUターンすべくバックで愛車を入れますが、ほぼ90度までバックできたと同じようなタイミングで、「ガリガリガリーン!」と凄い音がします。どう見ても、何か障害物を車が激しくこすった音です!
「ヤバイ!」と思い、様子を見に外に出ようとドアを開けようとしますが、どうも運転席側のドアのところにその大きな障害物はあるらしく、ドアが全く開かないのです!
仕方がないので少しバックしても「ガリガリ」で、相変わらずドアは開きません。少し前に進んでも「ガリガリ」と言うだけで、相変わらずドアは開いてはくれません。
外に出られず、状況も判らないのですが、ただこのまま待っていてもどうしようもないので、意を決してガリガリ音を我慢して車をガリガリ音に我慢しながら少しずつ前に出します。
何とかブッシュを抜けて、やっとドアが開いて外に出てみると、愛車の右横には見事なくらいの派手な傷が…
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2年前に車を買って以来、キズ一つつけることなく大切にしていた愛車ですが、残念ながらついに大きく傷つけてしまいました。しかも、よりによって日本一周でもしないとなかなか来る機会もないであろう、最南端の地枕崎でです!

とりあえず、元の道から駅の反対側に出て、車を停めて一旦落ち着くことにします。駅正面は終着駅らしく駐車場もちゃんとあり、最初からこっちにナビしてくれれば、こんな事態にはならなかったであろうと思われますが、今となっては後の祭りです。
改めて結構目立つ「ガリガリ」の跡をもう一度眺めてみます。
ドア2つ&後輪のところが激しくキズついていますので、直すには結構なお金がかかりそうです。とりあえずドライブには支障がなさそうなことが、不幸中の幸いではありますが、ニートの身分では当分この目立つキズを背負ったままで、日本一周を続けなければいけないようです。

この状況ですから冷静でいられる訳はないのですが、このまま運転して事故でも起こす最悪の事態だけは避けなければなりません。幸い、目の前にあるのは憧れていた最南端の終着駅枕崎です。今後も、「枕崎」の名前を聞くたびにこの事故を思い出すことでしょうが、枕崎駅に罪があるわけではありません。
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改めて枕崎駅を気を落ち着ける意味でもゆっくりと眺めることにしました。
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まだショックから立ち直ってはいませんが、いつまでもイジイジしていても仕方がないので、次に向かいます。
枕崎と言って思い出すのは芋焼酎好きの私的には「さつま白波」。この焼酎の工場がすぐ近くにあるので、運転手としては試飲は出来ないけれど、立ち寄ってみます。
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工場には他にお客さんもいなく、親切な方が丁寧に工場内をご案内してくれました。個人的には「やけ酒試飲」といきたいところでしたが、必死に我慢して、枕崎でしか買えないレアものを、自分用とお土産に何本か仕入れました。

親切なお店の方はお昼ごはんの紹介もしてくれます。一応行く予定の店は決めていたのですが、あまりに熱心なリコメンドだったので、お薦め通りに行くことにしました。
枕崎といえばカツオの町。でも昼食もその後に行ったカツオ工場も期待を大きく下回ったのは、あの事故による枕崎への悪いイメージのせいにはしたくありません。
「今日は、こんな日なんだ…」と、思うことにしました。

午後は、私の初恋相手の開聞岳に三年振りに会いに行きます。三年振りの開聞岳は、あの時と変わらない姿で我々を迎えてくれます。
「車、ぶつけちゃった…」
開聞岳に話しかけると
「気にすんなよ! 走れるんだろ?」
と、励ましてくれたような気がしました。
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開聞岳の展望スポット近くのお店のこの看板にも、少し癒していただきました。
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次にJR最南端の駅西大山に行きます。三年前にもこの無人駅には行っていて、写真を撮りまくりましたので、鉄道に興味のない妻も覚えていて今回は車を降りもせずに、「車で待ってる」という興味のなさです… すぐの時間に電車が来るようなら妻を説得してでも列車の到着を待つのですが、そう簡単にシャッターチャンスは訪れません。
結局、お決まりの最南端の看板と開聞岳の写真を撮っただけで、早々に退散しました。
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今回、もう一つ楽しみにしていたのが、開聞岳が望める巨大な露天風呂。指宿やこの辺りの温泉と言えば、何と言っても「砂蒸し風呂」が有名なのですが、我々は三年前に砂蒸し風呂を楽しんでいますし、私の障害では砂蒸しは男性の誰かにお手伝いしてもらわないと入れないので、今回入る気はありませんでした。

開聞岳が間近に見える最高のロケーションのこのお風呂は、開聞岳好きの私にとっては何時間でも入っていたいところなのですが、男風呂はまさに開聞岳ビューの最高のロケーションなのに、どうも女湯は反対側で開聞岳の絶景は見えなさそうです。
後で聞いたら、開聞岳はおろかビューもろくに望めないお風呂だったようで、男女の浴槽は1日毎に入れ替わるのだそうです。
それを知らずに行き、自分だけ開聞岳の景色を満喫して、妻には悪いことをしました。
でも、この温泉が私の傷心をかなり和らげてくれました!

〈後日談〉
この日本一周はギリギリの予算で旅していましたので、この愛車を修理する予算もなく、その後この枕崎でのキズがついたままで、九州の残り半分、四国一周と東北を旅しました。
このキズは、素晴らしい景色の中でも、ずっとかなり目立っていました。

11月になって何とか再就職出来たので、ディーラーの定期点検の時に修理の見積を頼んだところ、予想を遥かに越える42万円の見積が来たので、一旦は修理を諦めました。

でも念のため、家の近くの自動車修理専門のお店にも聞いてみたところ、「板金と塗装で8万円」とのこと。ディーラーの5分の1の値段で、これなら何とか今の私でも払えそうです。ドアを2つ共新品と交換するディーラーのような仕上がりは期待できないでしょうが、とりあえずこの酷いキズだけ目立たなくなればいいと思い、お願いすることにしました。

結果は、何とびっくり! 完全に直っていて、キズがあったことがまるで嘘のように、完璧に綺麗に直っているのです!
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この修理屋さんには本当に感謝です。「またお世話になりたくはないけれど、その時にはヨロシク!」と、大感謝しましたが感謝しきれないぐらいです!
近所の方には本当にオススメです。リンクはこちら