麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

紀伊半島グルメ&温泉の旅<最終回:憧れの志摩観光ホテル>


9日目:8月2日(金)

この日は再び三重県に戻って、20年以上憧れ続けた志摩観光ホテルに泊まるという自分的にはこの旅のハイライトの1日。午前中はひたすら三重県に向かって走るのですが、まずは和歌山県最後の観光として、旅館のすぐ近くにある世界遺産、補陀洛山寺に参拝。
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世界遺産なのに4年前には行かなかった寺院で、補陀洛浄土を目指した先達達を偲びました。
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これで和歌山県の4泊5日の予定を全て終了。今回和歌山では天気にも恵まれ、温泉以外は行きたいところにはほぼ全て行くことができ、予定していたグルメも全て満喫することができたので、その成果は予想以上! 4年前のリベンジを達成してお釣りが来るぐらいの和歌山の旅で、今のところ、”和歌山県でやり残したことは、すぐには思いつかない!”ぐらいなので、3周目で行く場所が早くも心配になる程??

それに引き換え数日ぶりに戻ってきた三重県といえば、前半では台風にもあったりと散々で、今日も三重県に入ったからなのか昨日までとはうって変わってどんよりとした天気で、低い雲が垂れ込めていますが、今日は観光よりも憧れの志摩観光ホテル(業界用語で、"志摩観"と呼んでいました)が楽しめればいいので、曇天はあんまり気にしません。(負け惜しみ?)
和歌山県勝浦から三重県の伊勢志摩に向かう道路は、無料高速道路だったり一般道だったりを繰り返すのですが、途中突然世界遺産が出現したりします。でもこれらの世界遺産は4年前に訪問済みなので、「ここ、覚えてる?」などの会話だけでスルー。「ここで、アイス食べた~!」相変わらず記憶は食べ物のことばかりのようです。

尾鷲を過ぎた紀伊長島から山間部に入るメイン道路をそれて、我々は海沿いにルートを取ります。この辺り南伊勢町には、リアス式海外の展望台がいくつかあるようなので、まずはニラハマ展望台で伊勢志摩の海にこの旅最初のご挨拶。
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この日の昼食は、紀伊半島滞在中唯一「グルメ」が見つからずにいた日。目をつけていたレストランはあるにはあるのですが、到着が11時過ぎと早そうなのと、メニューがこの暑い時期なのに”鉄板焼き”なので、どうにも触手が動きません。予想通り11時過ぎにそのお店の前に来たものの、ブレーキを踏む気にはなりませんでした。そうなるとお店のあてはないので、この旅では初めて左右をキョロキョロ飲食店を探しながらのドライブ。徒歩と車の違いはあるけど、田舎町でなかなかレストランが見つからない状況に、「”帰れマンデー”みたいだね?」
ようやく見つけた食堂で、私はアジフライ定食、妻はエビフライ定食をオーダー。到着を待つ間に食べログをチェックすると、評価3.4と田舎の割には(失礼!)意外と高評価。新鮮な刺身が付いた定食は、刺身もアジフライも、さすがに海沿いの食堂だけあってとっても新鮮で美味でした。
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午後も南伊勢の展望台へ。鵜倉園地にはいくつかの展望台が集中しているらしいので向かって見ますが、展望台への道と言えば細くてくねくねした道路が通り相場。先日の和歌山のあらぎ島からの恐怖のドライブの記憶が抜けていない妻は、しきりに心配して戻ることを促すものの、運転手の私には戻る気なし。
ようやく展望台に着き、その後は展望台を一つづつ見学します。
ハート形の海が見える見江島展望台
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続いてかさらぎ展望台
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あけぼの展望台
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天気はイマイチですが、人は殆んどいない快適な観光。

この辺りのリアス式海外を満喫すべく、プランニングの段階ではこの日の午後は超贅沢な観光”ヘリコプター遊覧”に申し込むつもりだったのですが、ヘリコプター会社のHPには「7月まで休業」の掲示が出ています。我々の予定はこの日=8月ですから大丈夫かな? とも願いながら、7月に入ってすぐにメールをしてみたところ、「メンテナンスの関係で当分休業」とのことで、身分不相応な贅沢観光は叶わず。まぁ、ヘリですから中途半端なメンテで運航されて墜落でもされたら全くシャレにならないので、メンテと言われれば諦めざるを得ません。ここも、次回の課題になりました。

展望台の最後は志摩に入ってともやま展望台。本当に入り組んだ海岸線が見事なこのあたり、「次回はヘリで!」と固く自分に誓います。
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志摩観光ホテルに最初に憧れたのは、37年前に旅行会社に入社し、さまざまな資料を見て”行ってみたい!”という思いが強くなったのがきっかけなのですが、その後、その憧れを決定付けたのは、劇画の「美味しんぼ」。美味しんぼの中に実名で志摩観と名物料理”鮑のステーキ”が登場するのをむさぼるように読んで、猛烈に行きたくなったのです。4年前の紀伊半島の旅でも検討はしたのですが、ニートになったばかりの私には1泊数万円を払う度胸や食事だけでも楽しむ余裕はとってもなく、泣く泣くそばを通過した苦い記憶が甦ります。その後、伊勢志摩サミットの開催が決まり、志摩観初体験はオバマさんやメルケルさんにも先を越されてしまいました。今回、紀伊半島のリベンジという行き先を決めた最大の理由は、そうです、ここ志摩観なのです!
志摩観には現在2つのホテルがあります。以前からあった本館とも呼ぶべき”クラシック”と、近年できたオールスウィートタイプの新館”ベイスウィート”。宿泊代は勿論クラシックの方が安く、私の憧れは料理であって部屋ではないので、迷わずクラシックの一番スタンダードなツインルームをこの旅のプランニングを始めてすぐに真っ先に予約。料理も当初は”憧れの鮑のステーキが食べられればそれでいい”と、リーズナブルなプランを予約していたのですが、旅行が近付くにつれて、”せっかく三十数年の積年の宿願を果たすのだから、後で後悔はしたくないよね!?”という気持ちが強くなり、料理プランを一番ハイクラスの「優雅なる晩餐」に変更。この夕食、レストランサイトで見ると料理だけで@36,000円もします。
憧れの志摩観ですから、いつもより早めにチェックイン.
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早速ホテル内の散歩に出掛けます。
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日本庭園などを散策して、各国首脳が泊まったベイスウィートまで。
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因みに、ベイスウィートに泊まった首脳はオバマさん以外の各国首脳。お付きの人数が多く、とにかく厳重警備のオバマさん率いるアメリカは、みんなでクラシックに泊まったそうです。安倍総理は、2つのホテルには部屋がなく、近くにある同じ近鉄グループの温泉に泊まったのだとか。
ベイスウィート屋上のラウンジ横のテラスには各国首脳が記念撮影した場所があります。確かに、この場所での写真、確かに見覚えがあります!
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ホテルには宿泊客が自由に入って寛げるラウンジがあり、アルコールを含むドリンクやスナックも無料!ビールはエビス、ワインも日本酒もウイスキーもそれなりのレベルです。
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(ベイスウィートのラウンジから見るクラシック)
貧乏性の私は、2ホテルのラウンジをはしごして、いろんなお酒を味見して既にほろ酔い状態。この後の夕食がなかったら、多分ラウンジで酔いつぶれていたでしょう。

いよいよメインダイニング”ラ・メール ザクラシック”での夕食、「グルメその⑳:優雅なる晩餐」。この旅では紀伊半島最後の夕食は、まさしくこの旅のクライマックスの瞬間です。メインダイニングには、サミットの食事テーブルが再現されていて、「本当に、ここに世界のトップオブトップが一同に会したんだね!」と思わず呟き。
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(写真は、翌朝の風景です。)
”優雅なる晩餐”は静かにスタート。
これが、本日のメニュー
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今日ばかりはいつもの一番安いハウスワインはやめて、シャブリを奮発。
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全てがメイン料理といってもおかしくないこのコースですが、私の憧れの鮑のステーキは意外と早く、まるで前菜のように登場します。
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ナイフが使えない片手の私の分は、丁寧にカットしてくれる極上のサービス。
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30年憧れ続けた鮑のステーキの味は… 確かに美味しかったのですが、いかんせん期待が高すぎて、ハードルが極限まで上がり尽くしていたので…

その後も、伊勢海老や松阪牛など三重県、否紀伊半島の美味しいもののオンパレード!
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自分で払う夕食としては、間違いなく自分史上一番高い夕食だったと思いますが、最高の一夜になりました。
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この晩だけで、三重県のイメージがかなり上がったことは疑う余地はありません。

唯一心残りだったことは、志摩観は時折夕食後にバンドの生演奏やJAZZナイトなどの大人のイベントが催されるようなのですが、この日はどちらにも当たらなかったこと。もっとも、夕食前からのお酒が効きすぎていたので、どんな名演奏でも子守唄になってしまったかも知れませんが…

10日目:8月3日(土)

今日は悲しいけどもう紀伊半島を離れなくてはいけない日。でも、最後の最後にグルメの大イベントがもう一つ残されています。まだまだ、紀伊半島、味わい尽くすぞぉ~!

志摩観は朝食も豪華。ゆっくり起きた我々は洋食を希望したので、昨晩に続きメインダイニングの同じ席での朝食。他のホテルの朝食バイキングとは違い、珍しくて、とても美味しそうなチーズなども山ほどあり選び放題。朝からワインが欲しくなります。加えてメインディッシュは我々が席についてから希望を聞いて焼いてくれるのです!
本当に”美味しんぼ”になった一泊二日でした。

朝9時からは、ホテル主催の「ヒストリカルツアー」に参加。
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創業時の志摩観の旧館(宿泊はともかく、今でも使われている!)に20名程度の宿泊客が集まって、志摩観ができた頃の話からサミットの裏話までを、ゆかりの場所を紹介しながらの楽しい無料ツアー。
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やっぱり、志摩観に泊まってよかった! 宿泊費は、夕食時に飲んだワインも合わせて、"4年前のケチケチツアーの全宿泊代金"を、たった一泊で上回るというかって例がないくらいの超贅沢な宿泊でしたが、その満足度に後悔は微塵もありません。

本当に満喫した志摩観を後にして、4年前にも訪ねた横山展望台に行ってみます。この展望台から眺める伊勢志摩の海が一番きれいじゃないかなぁ~!?という記憶と、この展望台が4年前の訪問以降にリニューアルされたという情報を得ていたためです。ラッキーなことに駐車場にもすぐ車を停められ、我々には嬉しいスロープを上がり、見ごたえたっぷりの展望台を満喫。
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やっぱり、また来て正解でした。

その後も車を走らせながらビュースポットがあれば写真をパチリ。
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紀伊半島最後のグルメは牡蠣。伊勢志摩と言えば有名な的矢牡蠣、でも牡蠣の旬は冬で、8月のこの時期にはさすがに牡蠣は無理だろうと考えていたのですが、的矢牡蠣では一番有名な旅館「いかだ荘山上」のランチメニューの”的矢夏牡蠣の夏会席@6000円"を見つけてすかさず予約していたのです。
紀伊半島最後の食事、「グルメその㉑:的矢夏牡蠣」は、海が見える広間に椅子席でいただきます。まずは巨大な牡蠣が出てきて、いきなり度肝を抜かれます。
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牡蠣が”海のミルク”と呼ばれる理由が本当によくわかるとってもクリーミーで濃厚な味。ミルクといっても普段家で飲む牛乳のそれではなく、牧場で飲む絞りたてで超濃厚な生乳!?
その後も”牡蠣料理のオンパレード”が我々を圧倒。
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途中までは食べた牡蠣の数をカウントしてたのですが、途中からはカウントすらできなくなります。
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この時の私の猛烈な不満は、「何で、こんな時にビールやお酒が飲めないの?? 」次回は冬に、電車でここに来て旬冬の牡蠣とお酒を絶対に堪能します。
いつか、必ず!
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紀伊半島とのお別れには夕方の伊良湖岬行きのフェリーを予約していますので、景色を楽しみながらの鳥羽港までのドライブ。途中の展望台からこの後に行く伊良湖岬を遠望。伊良湖岬は、本当に近くすぐそばに見えます。
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鳥羽港近くのお土産屋さんでこの旅唯一のショッピングタイム。でも、もともと私も妻も買い物には興味がないので、最低限のお土産だけをさっさと買うと、早くも時間をもて余してしまうのです。まだ、フェリーの時間には2時間弱あるので、紀伊半島最後の観光に選んだのは”ミキモト真珠島”。1時間程度ではじっくり真珠島の観光はできないし、高級真珠のショッピングができる時間でもないので、簡単な観光だけで「真珠ショッピングはなし!」と断言しての入場。今朝、志摩観でのあの大金の支払いを見ている妻は、今回だけは同意してくれました。
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意外と広い真珠島、博物館で真珠ができる見学は、妻の精神的には決して良くはありません(絶対、欲しくなる!)が、それを我慢しながらの見学。
昔、伝記を読んだ記憶がよみがえった御木本幸吉翁の像
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妻の精神衛生上も影響がなさそうな”海女さんの実演ショー”が始まって、ようやく一安心。
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ショーが終わってフェリー乗り場に向かうと、フェリーにはちょうどいい時間です。
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鳥羽から愛知県の伊良湖岬まではフェリーで約1時間。楽しかった紀伊半島でのあれこれを思い出しながらの船旅は、”紀伊半島ロス”でややメランコリックな気分。
船中、妻はしきりに咳をしていて、どうやら風邪をひいた様子。勿論、心配ではありますが、正直”このタイミングで助かった…”
もう明日は、帰るだけなので…

今日の宿泊は愛知県伊良湖岬の、有名ホテルチェーンの巨大ホテル。このホテルチェーン、仕事以外個人的には久しく泊まった記憶がなく、恐らくは1985年12月1日以来34年振り。何故日付まで覚えているのかというと、この日が我々夫婦の結婚式の日で、新婚旅行のために成田のこのチェーンホテルに宿泊したからです。
ところが、この日の宿泊は最悪。横長の巨大ホテルは部屋に着くまでに疲労してしまうほど長い距離があり、早速大浴場に行った妻は、あまりの遠さにヘトヘトになって戻って来ます。
夕食も最悪。私のもっとも嫌いなタイプのバイキングで、会場は大混雑していて料理をとるレーンはどこも大行列。高級感のかけらもないカフェテリア風のプレートに取られた料理は、どれも安かろう不味かろうの大衆食堂以下!それでもたくさんいるチビッ子はたくさんの料理を前にはしゃいでいますが、大人の食べるものは殆んどありません。「グルメツアーの最後の晩がこれ?」と、妻には非難の目で睨まれますが、「今回、”紀伊半島グルメツアー”だけど、もうここは紀伊半島じゃないからね!」と、苦しい言い訳。

ここまで10日間、食べ過ぎが続いていたので、このくらいの空腹具合が丁度良いのかも!?

11日目:8月4日(日)

今日はいよいよ帰る日。渥美半島の観光も少し考えてはいたのですが、どうも妻の風邪が徐々に本格化し始めたようなので、どこにも寄らずに一目散に埼玉県に帰ることにします。
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渥美半島伊良湖岬と周辺の離島の観光は、次の機会までお預け。その時には、よ~く調べて愛知県の旨いものをとことん味わいますから!

伊良湖岬から渥美半島を横断して東名高速までは意外と距離がありましたが、東名に乗ってからは極めてスムーズ。昼食は途中の足柄サービスエリアでしたが、やはり紀伊半島ではないからか、残念ながらグルメとは無縁。
その後も順調にドライブは続き、2時前には無事に自宅に帰り着きました。
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全走行距離は、約2,000キロ!
明日からは久し振りの仕事です。
でも、10日後にはまた旅に出ます!(寅さんみたい…)