麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

春を感じる旅<伊豆・箱根>その③


2月23日(月)つづき

さて、次はこの日本一周で4県目になる神奈川県です。神奈川県も埼玉・東京に次いで近くて&馴染みも深い県なので、その周遊達成をどうしようかさまざま思いを巡らせました。

普通の人に「神奈川県と言えば?」と尋ねると、大半の方は「横浜」となるのでしょうが、横浜市内に8年半住み、横浜の中心部にある支店に一番仕事をバリバリと元気に働いた年代の筈の30代前半の頃に丸6年勤務していた私にとっては、単純に横浜の中華街を観光しても全く面白味はありません。(当時、中華街には大切な営業先もあり、週1のペースで通っていました。)
同時に神奈川県に対する思い入れもそれなりに強く、それなりにしっかりと観光をしなければお世話になった神奈川県民の皆さまにも失礼との気持ちもあります。
なので、神奈川県についても埼玉・東京と同じように(日帰りも含めて)三回に分けて訪れることにしようと思い、今回はその第一回として、神奈川県最大の観光地である箱根観光をしようと思います。

「じゃぁ、何で泊まりが箱根じゃなく湯河原なの?」と 皆さま不審に思われることと思います。理由はこちらもいくつかあるのですが、最大の理由は「雪への不安」。当初は箱根湯本を代表する大型温泉旅館を予約していたのですが、2月上旬に関東でも結構な量の降雪があり、「天下の剣」の箱根にも結構雪が積もっている映像を見て、「おんなじ2月なので、もし雪の影響があれば、神奈川でも別のエリアの観光に切り替えよう!」と考えたのが最大の理由です。
その他には、特に横浜勤務時代には箱根には山ほど泊まった記憶があるのですが、すぐ近くの名湯湯河原は、本当に数えるほどしか行った記憶がないのです。それから、実は湯河原と箱根は皆さまが思っている以上にずっと近く、もしかしたら芦ノ湖湖畔には箱根湯本と湯河原からだったら湯河原からの方が近いかも? というぐらいのアクセスなのです。

「よし、今回は湯河原にしよう!」とネットで安いプランを探してみたところ、昔、価格志向のいくつかの団体でお世話になった旅館のプランで、「夕食・朝食ともに部屋食で、アワビの踊りと舟盛りとカニがついて、宿泊料が9000円以下!」という信じられないようなプランを発見、おまけにわが社の商品だったので、この金額で更に補助金まで使えるのです!
オフシーズンの平日だからこその料金なのでしょうが、今の私たちにぴったりのプランなので、巡り合わせてくれた旅行の神様に大感謝です!

以前にこの旅館にご案内したお客様の感想の記憶を辿ると、「旅館は結構古いけれど、食事やサービスはまあまあだった。」と最後に私がこの旅館に送客したのは、我が娘の大学のゼミ旅行で、お客様というか娘からはそんな風に言われたことを思い出しました。(娘の評価が正しいかどうかは??ではありますが…)

目指す旅館青巒荘(せいらんそう)は奥湯河原にあります。湯河原でもこの辺りは静かで高級旅館が多く、団体客はあまり近づかないエリアですが、アクセスの道路が狭く、反対側から大型バスが来たら大変だなぁ~!? と、ちょっとビビっていました。
想像通りかなり古い旅館の入口で靴を脱ぎます。目の前にフロントがあり、すぐ横にちょっと急な大きな階段があり、「部屋は全て二階にあり、エレベーターなどはありません。」とのことです。
ちょっと焦りましたが、幸い階段の両側にちゃんと手すりがあるので、多少急な階段でも問題はありませんが、これでもし手すりがなかったら、部屋には何とか行けたとしても、お風呂に入れないなどの事態が想定されます。
そう言えば、映画で寅さんが泊まっている部屋はだいたい2階で、帳場(=フロント)までは急な階段で手すりなんて付いていなかった記憶が… やっぱり私には、まだまだ想定できていない(思いつかない)潜在的なリスクがたくさんあるようですね。

部屋の古さなどは、おおよそ想定通りで何の問題もありません。昔は古い旅館の場合、TVが古くて小さくてボロいというのが相場だったのですが、地デジ化のお陰で古い旅館でもTVだけは新しくて立派というのが嬉しい限りです。
そして、何と言っても感動的だったのは、エレベーターがないこの旅館ですが、全館無料でwifiが使えるのです! 妻がお風呂を満喫している間、明日の行動を決めるべく、部屋の中で快適にネットサーフィンしていました。

この旅館のもうひとつのウリは、「滝見野天風呂」。普通の大浴場とは違う場所にあるこの野天風呂、妻は翌朝に満喫したようですが、風呂場の入口にいる案内人さんに聞くと、「この野天風呂には手すりはありません。」ということだったので、私はチャレンジを断念。勿論、大浴場に手すりがあるのは事前確認済なので、大浴場でも充分に名湯を満喫します。
でも、いつかここの野天滝見風呂にもチャレンジしてみたいものです。

旅館の部屋での夕食なんて本当に久し振りです。人件費削減で高級旅館でも部屋食→個室食事処に変わっていくのが、この10年以上前からの世間の流れだったのに…  もっとも、昔の私は部屋での夕食があまり好きではありませんでした。理由は、お酒の「おかわりが遅い!」ためです。呑兵衛だった私は部屋での夕食で頻繁にお酒をおかわりし、都度なかなか持って来てくれないおかわりにイライラしたのも懐かしい記憶です。
勿論、今は最初の一杯で満足するので、なかなか来ないおかわりにイライラすることはありません。

メインのアワビの踊り、「食べるのがもったいないくらい小さくて可愛かったら、食べられるかなぁ?」なんて余計な心配を妻共々していましたが、全くそんな心配はなく、思った以上に立派でした。思ったより固くもなく柔らかいアワビに大満足しました。
カニ」については、スーパーで時折安売りしているカニの足のパックを彷彿とさせ、二人用の「舟盛り」はこれも我が家で時折買う、「スーパーの刺身パック」を無理矢理舟の上に並べた感じで、スカスカの感じはちょっと情けない感じではありました。
でも、この他にちゃんとキンメもついたし、何度も言いますがこれで一泊二食で9000円以下なのですから、信じられないコスパです。

夕食後にはちゃんと布団も敷きに来てくれて、本当に昔の温泉旅館そのもののサービスです。
布団に入って月9ドラマを楽しみました。長谷川博己さん演じる「高等遊民」(つまり、ニート)を見ていると、後1ヶ月でニートになる自分のことをあれこれ考えてしまいます。
私もある意味「高等遊民」になろうと決意しているのですが……

2月24日(火)

温泉旅館では早起きして朝ごはん前に温泉に入るのはいつものパターンです。
7時過ぎには布団を上げに来てくれて、意外と立派な朝ごはんが、部屋に並びます。昨日のリベンジとばかりに主役はアジの開き。満足の朝食となりました。

さて、最終日の本日は箱根を観光することにしていますが、本当に箱根には妻とも何度も来ているので、今更「観光したい場所」はないと言えばないのですが、日本一周の1行程としてはそういう訳にもいきません。昨日、使い放題のwifiを駆使して、「まだ行ったことがない観光地」を中心に日程を組みました。

奥湯河原から箱根へは、道を駅まで戻らずにそのまま更に奥に進むと、箱根への有料道路が始まります。曲がりくねった坂を登って行くと、霧が立ちこめていて、数メートル先すら全く見えなくなります。ようやく有料を終え、芦ノ湖が見渡せる展望スポットに着くと、さすがに芦ノ湖は見えますが周囲の山々はあんまり見えません。

そんな中、最初に向かったのは駒ヶ岳へのロープウェイの駅。駒ヶ岳のこのロープウェイも、何度となく目にしていながら一度も乗ったことがないので選んだ施設です。
でも本音を言えば、やっぱり目的は富士山で、昨日も一昨日も富士山にチャレンジして振られているので、「今日こそ、三度目の正直!」とリベンジする気マンマンで向かっては見たものの、切符売場で「景色が見えない可能性もありますので、それでも良ければどうぞ。」と、暗に「止めたら?」と言いたげな案内です。妻と顔を見合わせて思案しますが、「三度目の正直の運試し!」と、自分の幸運を信じてチケットを買う決断をしました。
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でも、やっぱり三度目の運試しは一番最悪の結果となりました。ロープウェイの登り始めこそ芦ノ湖の美しい湖面も何とか見えていましたが、上に行くにつれて全てがガスに包まれ、富士山どころかすぐ下の芦ノ湖というか数メートル先すら全く見えなくなってしまったのです!
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それでも、他のお客さんは晴れるのを信じてか、全く何にも見えない中をとぼとぼとハイキングに山頂駅を出て行きましたが、勿論我々にはそんな気力はありません。晴れるのを待ちたい気持ちもありましたが、回りを見まわしても1時間程度で晴れることもなさそうです。結局15分何も見えない頂上駅にいて、次のロープウェイで下に降りるしかありませんでした。

次の「箱根はじめて観光」の訪問先に選んだのは、「箱根関所」です。歴史は好きではあるけれど、江戸時代の関所を再現した施設に、わざわざ行って見ようとは思わないために、一度も訪ねたことはありませんでした。
はじめて見た関所は… 「う~ん、こんなもんかな?」
もう、行くことはないような気がします。
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次に行ったのは初めてではない「大涌谷」。ここを訪ねた理由は、「歩きがきつかった大涌谷で、自分の回復具合を確かめたい」のと、「食べると長生きできるという、あのゆでたまごが食べたい!」という極めて単純な理由によるものです。
大涌谷駐車場から、白い煙が吹き出している山の上の方を見上げて、ゆっくりと歩き始めます。確かに階段は歩きにくくはあるけれど、決して諦めるような厳しい場所でもなく、ゆっくり落ち着いて一歩一歩歩けばクリアできる道なので、人の倍の時間はかかりましたが、ちゃんと一番上のゆでたまご売店まで行けて、ちゃんとゆでたまごをGETできました。これで、3年は長生きできるとのことです!?
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この、大涌谷への往復は、今の私にはちょうどよいリハビリになってくれました。初日の浄蓮の滝と最終日の大涌谷、適度なリハビリができておまけに観光もできる… 今の私にはもってこいの観光スポットでした。
「これからも、リハビリのためにもしっかりと日本一周はしなければいけない!」と、決意を新たにしました。

これで箱根の観光を終え、最後に箱根でちょっと贅沢なランチをいただくことにしました。何度も言いますが、会社を辞めた後には本当に贅沢はできない「ケチケチ日本一周」になることが確実なので、サラリーマンであるうちの最後の贅沢です。
最後の贅沢は、「箱根のホテルと言えばここ!」というクラシック名門ホテル「箱根富士屋ホテル」のメインダイニングである「ザ・フジヤ」で、ランチコースをいただきます。
箱根駅伝で見慣れた山道を下って、宮ノ下のホテルに車を停めます。お昼だというのに、ホテル内には意外に人が多く、みんなクラシックホテルを満喫しているようです。
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メインダイニングの座席は半分近くは埋まっているでしょうか?2月の平日としては充分なお客さんの入り状況だと思います。
このメインダイニングに来るお客さんの半分以上の人達のお目当ては、有名なカレーライスを食べに来るとのことですが、カレーでも3000円近くするのだから… と我々夫婦は5000円近いランチコースを注文しました。5000円近いコースと言っても、この名門ホテルのメインダイニングでは一番安いランチコースなのです。
洗練されたウエイターにサーブされ、快適なコースが続きます。スープ→魚介(帆立)→メイン(肉)→デザートと続いたコース、みんな美味しかったけれど、特にパンとケーキが絶品でした。特に私が気に入ったのはクルミが入ったパン。おかわりしたのにまだ食べ足りなくて、おみやげに買って翌日以降も朝ごはんでいただきました。

2泊3日の伊豆&箱根の「春を感じる旅」はこれで終わり、帰りも快適なドライブでたった2時間半で埼玉の片田舎まで帰れてしまうのです。
結局、富士山に挨拶は出来ませんでしたが、皮肉なもので翌日、自宅の窓越しに遠望できた富士山は、「また、ここまでおいで」と微笑んでいるようでした。