麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

12.東北一周の旅<その3:岩手県(内陸編)>


4日目:8月10日(水)

山形県を後にして、本日からはいよいよこの旅のメインである北東北未制覇3県に向かいます。まずは岩手県、個人的には6年間住んでいた宮城県に次いで何度となく訪れた思い入れのとても深い岩手県なので、改めてじっくりとその魅力に触れたいと考えています。
とても広い岩手県、今回は内陸部を観光しながら北上し、一旦他県を楽しんだ後、北東北の最後に思い入れの強い三陸を海岸線に沿って南下するという2回訪問のプランを考えていたので、今回はまず一回目として岩手内陸部の観光です。

東北道宮城県から岩手県に入ると、最初の街が一ノ関。一ノ関には仕事でも何度となく来たし、昭和の時代には会社の同期も住んでいたので、何度か飲みにも来た懐かしい街です。近くには猊鼻渓で舟下りを楽しむことができますし、何と言っても隣町平泉には世界遺産中尊寺があるのですが、猊鼻渓と平泉は病気直後の自分的一大イベント「温泉復帰の旅」(その投稿はこちら)で訪ねていますので、今回はスルーさせていただきます。

本日最初の見学地は、「えさし藤原の郷」。奥州藤原氏がテーマの東北では数少ない歴史的テーマパークなので、以前から一度は訪れてみたい施設でした。
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平安~鎌倉時代のテーマパークなのですが、その時代だけではなくさまざまな時代の映画や大河ドラマなどにもよく使われるらしく、最近では戦国時代が舞台の真田丸でも利用されたとのことですから、見知った風景に出会えるかも…とも楽しみにしていました。
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広いテーマパークを全部ゆっくりと見るには、数時間以上はかかるようなのですが、今日もみどころをてんこ盛りにしている我々は、迷うことなく「お急ぎコース」を選択します。
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確かに昔見た大河ドラマなどで使われていたようなセットもあり、それなりに楽しむことはできました。
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でも、いくら今日が平日の午前中とは言え、お盆休み直前の夏休み期間中です。団体客も殆んどいないし家族連れもパラパラのこの状況には、正直経営が大丈夫なのかとても心配になってしまいます。
せめて奥州藤原家のように三代はもってくれたら嬉しいのですが… 当初の予想よりロケもそんなには多くはないみたいなので、その意味でも非常に心配です。
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次の目的地は遠野なのですが、出発前には「どう考えても、間に合わないであろう」と思っていたものの、念のため時間を控えてきた「銀河鉄道」の通過時間にひょっとしたら間に合うかも…という時間だったので、事故を起さず違反で捕まらない程度に、少しだけ先を急ぎます。

銀河鉄道」とは正しくはSL銀河。このSLは週1往復の週末のみの列車なのですが、お盆期間中の臨時列車として本日も運転されているようです。一番有名な撮影スポットとしては、遠野郊外の宮守のめがね橋を渡るSLが、さながら宮沢賢治銀河鉄道のようだということで人気を集めているのだとか…
何とか通過予定時刻5分前にはそのビュースポットである道の駅に着くことができ、重装備したたくさんの鉄ちゃんに混じって、SLを待ちます。
すぐに遠くに煙が見え、ポーっという汽笛が聞こえるというベストタイミング!でゆっくり橋を通過するSLを撮ることができました。
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SLはゆっくりのスピードなので、連写機能のない私のカメラでも、何回も撮影できるからありがたい…と、改めて後日痛感することになりました。
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遠野でのランチに決めていたのは、遠野名物らしいジンギスカンジンギスカンと言えば、35年くらい前の貧乏旅行者にとっては大のごちそうで、「あの民宿は、ジンギスカン食べ放題だよ!」なんて評判を聞くと、予定を強引に変更してまでジンギスカン目当てに行くというぐらいのぜいたくな食事でした。(当時は、20代前半でしたので勿論食う量も半端ではありませんでしたが…)その後、我々も年を取り、昔は高嶺の花だった牛肉の値も徐々に下がって来た影響で、ジンギスカンは食卓から徐々に消えて行きます。ですからジンギスカンを食べるのなんて恐らく10年以上振りです。
久し振りのジンギスカンに、思わず妻と食らいついてしまいました!!

実は遠野に来るのは、私の初めての東北旅行であった1979年以来です。大学1年の時の夏休み、夜光急行を花巻で降りた我々は、花巻市内をぐるっと見てから、釜石線に乗り遠野に降り立ちます。旅するにあたって、柳田国雄の遠野物語を俄知識として仕込んでいたことはいましたが、まだまだ若かった19歳の私には、遠野の観光スポットを見ても、「何だ、こんなとこか!?」とがっかりしたことだけが強く印象に残っていたので、今まで再訪する気にならなかったのです。
あの時から37年、「ようやく私も、柳田国雄が分かる年になったかもしれない!?」という期待を込めての再訪です。

遠野物語の昔話を聞くのには、昔はなかった「とおの物語の館」で地元の語り部さんの話を聞くのが一番と、語り部さんの講演時間に合わせて訪ねてみます。夏休みなので都会から来たらしいちびっこも多かったので、語り部さんは我々にも理解可能なようにソフトな方言を使ってくれたようですが、それでも私には8割しか理解できませんでした。東北出身の妻は100%だったそうですが…

語り部さんの話ですっかり遠野物語の雰囲気になった我々が、次に向かったのは物語の舞台でもあるカッパ淵。そこで見た観光客の余裕ある旅の姿が、私に大きな衝撃を与えることになるのです。
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カッパ淵にいたその若い女性二人は、釣り竿にカッパ釣りの定番であるきゅうり一本を丸々結びつけて、お喋りしながらもずっと竿を動かし続けています。まるで、本気でカッパを釣りたいと言わんばかりの勢いです。その状況には大いに興味があったので、近くを散歩した後に再びカッパ淵に戻ってみましたが、あの二人は何かに笑いながらも相変わらず竿を動かし続けているのです。
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この余裕を見て、改めてこの二人の旅がとても羨ましくなりました! どこから来たのかは知りませんが、こんな絶好の天気なのに、他のみどころには見向きもせずに、ひたすら釣れるはずのないカッパ釣りをしているなんて… 私には考えられない余裕で、とにかく猛烈に羨ましくなったのです。

もうすぐ日本一周を達成できるので、その後にはもう少し地に足を着けた余裕のある旅をしたいと心から思いました。あの娘ぐらいの年の女性に教えられました。

本日の宿泊は盛岡市内。盛岡は妻が中学生の頃に父親の転勤で数年間住んでいた地で、折角なので妻が通った中学校を訪ねることに…
今はナビがあるので、学校名さえ入力すればちゃんとその地まで運んでくれるのでありがたいのですが、学校の周りをウロチョロすると、すぐに不審者の疑いを掛けられるのも、今の時代ならではです。

今晩の夕食はホテル近くの専門店で盛岡名物「じゃじゃ麺」を食べることに決めていました。盛岡と言えば冷麺やわんこそばなどの麺も有名ですが、何と言っても懐かしいじゃじゃ麺を食べ、大いに満足したのでした。
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夕食後、昭和の時代に数年間一緒に働いたE先輩と数十年振りの再開を果たし、ホテル近くで2時間近くの昔話を。その時、Eさんから「当時我々の上司だったY先輩が、風の噂では田沢湖周辺のホテルにいるらしい!?」という情報を聞いたので、それ以上の詳細はE先輩もご存知ないようですがいくつかヒントになりそうな情報もあったので、明日田沢湖方面に行くつもりの私は「出来るだけのことをしてでも出来るものならば是非Yさんにも会いたい!」と、その晩遅くまでネットで情報を収集したのでした。

5日目:8月11日(木)

この日は初めての「山の日」です。現在、学校法人に勤めている私にとっては、夏期休暇中の祝日なので、「嬉しさも、中くらいなり」ではありますが、海の日以来久し振りに増えた祝日なので、嬉しくない筈はありません。旅行プラン的にも、この日は丁度山がメインの1日だったのですが、初の祝日を歓迎するような最高の晴天が広がっています。

今回の旅でホテルで朝食を食べないのはたった二回だけなのですが、その二回共にとっておきの朝食プランを計画していて、今日はその一回目です。6時過ぎにホテルを出て、まずはネットで調べておいた24時間営業のコインランドリーに洗濯物を預け、7時開店の近年TVなどでしょっちゅう取り上げられる超有名になった盛岡のパン屋さんの「福田パン」を目指します。開店の10分前には着いたものの、駐車場はすでに満車で開店に並ぶ行列は既に50人を越えています。まだ、朝の7時前なのに?
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近くのコインパーキングに何とか車を停め、行列に加わりますが、パンを買うだけとは言え名物のコッペパンにその場でジャム等を塗るので、行列は遅々として進みません。改めて先頭の人たちを見てみると、一人でパンを10個以上注文している人ばかりです。TVの影響で観光客ばかりの行列かと思っていましたが、どうやら地元の方々が早朝から並んでいるようです。
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(室内に並んでいる様子) 
少しして列の進みが早くなりました。一人の注文個数もぐっと少なくなったので、我々のような観光客中心になったようです。
結局パンを買えたのは8時前、朝から丸1時間以上の行列に並ぶとはゆめゆめ思わず、コインランドリーではとっくに洗濯が終わっていました。
ようやくコンビニの駐車場で福田パンコッペパンにありつきます。ここ一番の名物は「アンバター」なのですが、実は私の高校のすぐ横のパン屋さんにも40年前から「アンバタ」というほぼ同じパンがあったのですが、比べて抜群に旨いとはどう考えても思えません。もう1つ有名な「サラダパン」もオーダーメードのパンも、平均よりはずっと美味しいけれど、「朝から1時間並ぶまでのことはないなぁ?」というのが我々の結論でした。

本日は、最初に安比高原で働いている大学時代の友人を訪ねた後、八幡平をハイキングをしてから秋田県に向かう予定だったのですが、安比の友人から「朝イチは都合が悪くなった。ゆっくり来て!」という連絡が入り、八幡平に先に行くことに。仕事中のホテルにお邪魔虫するわけですから、文句は言えません。

八幡平アスピーテラインは蔵王同様つづら折りの道。頂上に近づくとガスがかかる御釜の時の悪夢を思い出しますが、今日は山の日なので山の神様もそんな悪戯はしないようです。
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岩手県秋田県の県境にある駐車場、私の中ではまだ拘って岩手県側に停めます。
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八幡平の遊歩道については、事前に観光協会に階段等の状況を問い合わせていて、「(左回りで行くと)最後に150段の(下り)階段があるだけ。」という情報を得ていましたので、躊躇なく右周りでまずは情報通りの階段を上ります。
その後のハイキングコースは至って順調。前にも書きましたが、階段は上りの方がずっと楽なのです。
おまけに今日は、第1回目の山の日にふさわしい、これ以上ない晴天です。
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みどころの沼などもしっかりと見ながら、八幡平の頂上に到達します!
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一時間のお散歩コース、やはり私には1時間半はかかりましたが、久々のハイキングに満たされた気分になりました。

安比高原のホテルで働いている友人は、大学のゼミの同級生。大学を出て、地元岩手県で就職した彼と会うのは、確か昭和60年に私が盛岡に出張した晩に、居酒屋で酒を酌み交わして以来です。仕事中の彼とそんなに長話をしてはいけないことは判っているつもりなので、積もる話は山ほどあるのですが、30分ちょっとで再会を約束して席を立ちました。