麻痺からの脱却~日本二周目挑戦中!~

2010年に脳卒中で右半身麻痺に。でも、「絶対に諦めない」をモットーに現在は『日本2周目』に取り組んでいます。

9.南東北紅葉の旅<前篇:福島~山形>


2月になりました。このブログも、前回で全10回の昨年10月に旅した四国シリーズを無事に完結することができ、今回から新しい月に新しい気分で、新しいシリーズ(というほどは長くならないと思いますが…)を開始することが出来そうです。
14日間の四国旅行と、7ヶ月にわたるニート生活最後の旅になる東北旅行とのインターバルは僅かに5日間。この旅行から戻ると人間ドックを受けて、翌週からはいよいよ会社員に復帰です。
以前も書きましたが、本当なら10月前半から北東北の紅葉めぐりを始めて、慣れ親しんだ東北をぐるっと大周遊するという目論見でしたが、結局10月は四国に行ってしまったので、残されたニートの時間はあと10日あまりとなってしまいました。残りの日数的には、もう東北全部の周遊はその後の入社前の準備などを考えるとどう考えてもムリですし、10月も後半だと北東北の紅葉には既にやや遅いような気もします。
ついては、ニート最後の旅ではまだ紅葉が間に合いそうな南東北を回り、最後は再就職するとなかなか来れなくなる気がする仙台の妻の実家にも行く5日間の旅に決めて、週末にバタバタと日程作成と予約を済ませました。
”バタバタと日程作成”と言っても、特に南東北は昭和の時代に仙台で6年間働いていて、今回旅する宮城、福島、山形はしょっちゅう仙台から遊びにも行ったところですし、営業で各地を回ったこともありますので、土地勘は充分にあるところです。
最後のハローワークの失業認定を前日に済ませ、出発は10月22日(木)。妻の兄弟に会うために、仙台泊を日曜日に設定した結果の日程です。

1日目:10月22日(木)

この日本一周で福島県に行くのは3度目です。最初は、新潟から阿賀野川沿いに会津若松に来て泊まり、翌日は会津の観光をした6月前半。次も同じ6月で、娘の結婚式という人生の一大イベントを無事に終えて、傷心(??)のうちに北海道へ旅立つ前、仙台からフェリーに乗るまでの僅かな数時間をここ福島で過ごしています。

福島県と言えば、そのエリアは3つに大きく別れます。海沿いの常磐線常磐道沿いは”浜通り”、大都市郡山と県庁所在地福島市がある東北線東北道沿いの”中通り”、そして会津若松を中心とした”会津地方”がその3つのエリアなので、本来であればそれら3エリア全てを訪ねてこその「福島県制覇」なのですが、浜通りはまだ原発の後遺症で観光どころではないようなので、浜通りの観光は”2周目”まで我慢することにします。いずれにせよ、1日も早く元の美しい福島県に戻って欲しいものです。本来ならば前2回では会津福島市周辺の山々を楽しんだのですから、今回は別のエリアに行くべきなのかも知れませんが、今回は”紅葉紀行”という事なので、とりあえず紅葉の綺麗なところに行くために、前回との重複はやむ無しとさせていただきます。もっとも、福島は関東から仙台までの途中なので、本当に我々家族は何度となく来ていて、来た回数だけでいえば住んでいた宮城の次に東北では多く、「どこに行っても数回目」だという事情もあります。

いつも通り朝早めに家をでて、6月後半の時と同じく二本松ICで東北道を降ります。まずは福島県でも有数の紅葉スポットの”あだたらスキー場”周辺の紅葉を楽しもうと思います。紅葉を見るにはロープウェイがいいとのことなので向かいますが、前回の四国旅行の時とはうって変わって、空は今にも泣き出しそうな様子。2回連続の好天の旅を期待しましたが、さすがにそこまでは甘くはないようです。
それでも道路の周辺はかなり紅葉が進んでいて、紅葉の中のドライブもなかなかです。でも、「この辺りでこれだけの紅葉ってことは、ロープウェイの上の方はどうなんだろう?」と、心配になってきます。最新の紅葉情報では、”上の方は見頃”とのことですが…
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ロープウェイ乗り場には、観光バスもたくさん来ていてかなり混雑しています。何とかロープウェイに乗り曇天の外を眺めますが、小雨模様の外の天気はぼんやりとしていて眺望もいまいちです。おまけに、あだたらの紅葉はもう既に色褪せている感じで、妻曰く、「一週間遅かった!」とのことです。私と違って、東北で生まれ育った妻の紅葉審美眼は確かなのかも知れません。
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懐かしい岳温泉に戻ってランチタイムとします。ここ岳温泉は昭和の時代は仙台から何度となく来たものです。ちょうど今頃は、「二本松の菊人形」を見て「岳温泉に泊まる」というのが、仙台の各企業の職場旅行の定番コースでした。
吉里吉里人」から始まった、”小さな独立国”ブームの最中にここ岳温泉も「ニコニコ共和国」と称し、共通コインなども発行していた記憶があります。最後に来たのは10年くらい前、小さな地味な温泉旅館の宿泊でしたが、朝ホテルのプランで周辺の自然の中を若女将と散歩したのを覚えています。参加者は我々だけの貸切ガイドツアーでした。

次は裏磐梯の紅葉を眺めに向かいます。久し振りの裏磐梯の湖はまずは秋元湖。紅葉は見頃なのかどうかはよく判りませんが、久し振りの裏磐梯らしい眺望です。
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紅葉以外の観光ではあんまり来ない、私にも来た記憶がない中津川渓谷。ドライブインに駐車して周辺を散策しようと歩き始めましたが、かなりアップダウンもあり手すりがないので躊躇していましたが、散策から戻ってきた年配のカップルに階段や手すりの状況を尋ねたところ、私を見て「ちょっと、無理かも…」とのことだったので、諦めて無理はしないことにします。
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引き返したその場所では、猿に鼻で笑われた気がしました。
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写真ではよく見る渓谷の、橋の手前に短時間だけ車を停めて、渓谷の紅葉を橋の上からパチパチと写真を撮りまくります。渓谷の紅葉は正に見頃のようです。
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その後はゴールドラインなどのドライブルートを走りながら、磐梯山の眺望と紅葉とを楽しみます。この湖は、確か小野川湖でしょうか? 天気はイマイチですが、紅葉は綺麗です。
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ところどころのみどころで車を停めると、他のドライバーの人に後ろの全国の神社のお札が珍しいらしく近寄ってくるようになりました。珍しそうに全国のお札を眺めていますが、どなたもお札を見た後に”右側横の枕崎でつけたキズ”に気づき、決まって無言になります。「このキズ、枕崎の駅でつけたんですよ!」と言いたい気もしますが、聞かれない以上勝手に喋るわけにもいきませんので、黙っていますが、決まって必ず”ビミョ~”な雰囲気になるのでした。

裏磐梯のメイン観光地である五色沼。1時間以上かけてのんびりと散策するのが定番ですが、今回はとりあえず紅葉がメインなので、レストハウス近くの湖とその紅葉で満足することにします。
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紅葉越しの湖(沼?)の眺めもなかなかいいものです。
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その後、紅葉の美しい場所を求めて、ドライブウェイを走ってみます。このあたりの象徴である磐梯山です。
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会津磐梯山は、宝の山~よ”という民謡を思わず口ずさんでしまいます。30年前、東北新幹線の駅が近づくと到着を知らせる車内のチャイムが各地の民謡だった頃の郡山駅のチャイムがこの曲で、当時月に1回以上は必ず新幹線に乗っていた私は、景色とそのチャイムを完全に覚えていて、”あと10秒くらいで会津磐梯山の曲が流れるぞ…”という予想を外すことはありませんでした。
でも今は、時折新幹線に乗ってもノンストップで大宮の次が仙台なので、”会津磐梯山”を思い出す風景で新幹線が減速することも無くなってしまいました。

本日の宿泊は裏磐梯のロイヤルホテル。ニート最後の旅なので、今回は全泊で少し贅沢をしてしまいました。このホテル、昭和の仙台勤務時代の職場旅行で来て以来28年振りくらいです。仙台からバスでこのホテルまで向かったのですが、バス車内から大宴会が始まり、ホテル到着前から全員がとてつもなく大泥酔状態で、当時はまだ「セクハラ・パワハラ何でもありの時代(!?)」だったので、阿鼻叫喚の1晩だったことだけは痛烈に記憶に残っていて、ホテルそのものの記憶は極めて曖昧でした。でも、エレベーターに乗った時、「そういえば、このエレベーターの中で、泥酔した某課長を介抱したっけ…」と、突然にその時の記憶が蘇りました!

2日目:10月23日(金)

この日はまず裏磐梯から山越えをして山形県の米沢に向かいます。昨日と違って、今日は天気がいいようなのですが、思えばこの旅唯一の好天の1日でした。
檜原湖のすぐ横を走り、湖のほとりの風景を満喫します。
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その後道路は標高を上げていき、峠からも檜原湖が見えています。
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山形県に入り、最初の途中下車は「天元台」。天元台と言えば私的にはスキー場という記憶しかないのですが、勿論私がスキーをしに来た場所なのではなく、冬になると仕事で何度となく来たスキー場だったのです。駐車場すぐ横の紅葉も結構鮮やかで、期待度が高まります。
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ここでもロープウェイで上に登りますが、途中の紅葉もなかなかきれいです。
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ロープウェイ上からの眺めも見事ですが、さすがに上まで来ると紅葉というより、山並みを楽しむという感じになります。
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この方向には米沢市内が見える筈なのですが、米沢市内方面には見事なくらいに雲海が掛かっています。
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ずっと先には、冬の晴天日なら月山や鳥海山が見える筈なのですが、この日は天気は良いもののまだ冬ほどの眺望は効かないようです。
凄く久し振りに米沢市内にも行きたかったのですが、本日は時間もなくスルーさせていただきました。大河ドラマ天地人”の放送以来米沢には来ていないので、改めて米沢城などにも来てみたいと思いました。米沢から山形新幹線沿いには、温泉や結構懐かしい場所などもあるのですが、昔を懐かしみながらも断腸の思いでスルーさせていただきました。

本日のお昼は上山。上山は妻の母の実家があるところで、結婚後の最初の旅は上山の実家の祖母へのご挨拶と温泉でした。結婚式にも出られなかった老齢の祖母の言葉は、初めて聞くフランス語のようにひとことも理解できなくて、ほんの少しでも理解できた妻に通訳してもらったことが最大の想い出です。
かみのやまには、その後も仕事・プライベートとも何度となく来ていますが、上山というか山形でお昼と言えば私的には何といっても”そば”なので、食べログで探した評価の高い上山のお蕎麦屋さんに向かいます。
郊外にそのお店がある”原口そばや”さんは、結構混んでいて昼前から既に満席の大盛況です。結構寒くなってきているので温かいそばを食べたい気分だったのですが、このお店のメニューはもりそばとそばがきしかないとのことなのです。
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でも、やっぱり山形のそばは旨い! 個人的には長野県と負けず劣らずのどっちも日本一だと思っています。何より、山形のそばでは”はずれ”に当たったことがないのが何よりなのです!
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上山でもう一つ我が家的に外せないものと言えば、中條屋の温泉饅頭。初めて上山に来たとき以来、上山のお土産と言えばいつも必ずこの上山では有名なお饅頭です。今回も実家へのお土産に仕入れますが、この本店で必ず1個はおまけしてくれる習慣は30年間変わっていません。久し振りの作り立ての温泉饅頭は、やっぱり格別な味でした。

山形の観光と言えば、やっぱり蔵王は外せません。蔵王の山の上へのロープウェイはいくつかあるのですが、紅葉的にいいのはどのロープウェイかはわかりませんが、やはり何といってもお地蔵さんに一番近いロープウェイで蔵王の景色を楽しもうと思います。
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でも、このロープウェイ上のルートの紅葉はまだ早いのか終わっているのかは?ですが、鮮やかな色はあまり見られませんので、紅葉云々というより蔵王の風景を楽しむことに切り替えることにします。
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山並みもやっぱり綺麗ですが、蔵王の象徴と言えば、やっぱりこのお地蔵さん。
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久し振りの蔵王ものんびりと楽しむことが出来ました。

蔵王を後にして、月山、湯殿山を見ながら山形の日本海側を目指します。このあたりの道も紅葉の名所で、確かに丁度見頃の紅葉の赤はとっても鮮やかな場所が続くのですが、車を停めて写真を撮るような絶好の場所が中々見つかりません。結構車の通行量も多く、多くの車がかなり飛ばしていて、私もついつい釣られてスピードが上げてしまいましたが、この紅葉の道の鮮やかさは、今回の山形県の中でもピカイチだったかもしれず、写真を撮れなかったことがいまだに心残りでした。

この日の宿泊は湯野浜温泉湯野浜温泉のこの旅館には、実は忘れられない記憶があります。5年半前、つまり私が病気になる少し前ですが、この年の夏休みを海の日がらみの7月後半の週に取ることを決めていました。1週間の夏休みの前半は、岩手県の野田村での友人たちとのイベントに参加することに決めていたのですが、後半は仙台で妻と落ち合って、ここ湯野浜温泉の以前知人に勧められたことのある宿に泊まろうと、早くから宿の予約をネットで済ませていました。
ところが6月16日に脳卒中で救急搬送され、勿論旅行どころではなくなりますが、当然ICUに入っている時には、そんな予約のことなんて思い出す余裕は全くなかったものの、ようやく2つ目の病院に転院したころにその予約のことを思い出しましたが、妻はネットに疎いので予約を呼び出して取消することが出来ません。おまけに、最悪なことに私がその旅館の名前とどの予約サイトを使って予約したかをすっかり失念してしまっていて、湯野浜温泉であることと宿泊日だけは思い出せたのですが、湯野浜温泉というだけでは宿もかなりたくさんあるので、まさか1軒づつ電話で聞いてみることもできませんし、病床にはネットもパンフレットもないので勧められただけの宿の名前をそう簡単には思い出せそうにもありません。
娘に近辺の旅行のパンフレットを病室に持って来てもらって、ようやく予約した旅館の名前を思い出したのは宿泊予定の1週間前。妻に旅館の電話番号を調べて貰ってキャンセルの電話をしてもらい取消料は何とか免れましたが、病室にあった旅行のパンフレットを看護士さんに見られて、「まだ、歩けないんだから旅行なんて当分無理ですよ!」と同情されながらも窘められたことがとても恥ずかしく、忘れられない記憶として残っています。
その旅館の名前は、「愉海亭みやじま」。その後は当然その旅館の名前を忘れることはなく、「復活の象徴として、いつかは泊まってみよう!」と思っていましたので、今回はその絶好のチャンスです。でも親切なホテルの方にそんな思い出話をしても仕方ないことですし、何より既にもう妻の記憶からもその事件は消えているようなので、そんな記憶は一人で噛みしめることにしました。

この宿のウリは、「日本海の大パノラマ」。日本海に沈む夕日を部屋から見たいと、早めに宿に入って待機していましたが、日が沈む直前に雲がかかってしまい、ギリギリのところで海に沈む夕陽は見られませんでした。
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